この世にたやすい仕事はない (新潮文庫)

  • 新潮社 (2018年11月28日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (432ページ) / ISBN・EAN: 9784101201429

作品紹介・あらすじ

「一日コラーゲンの抽出を見守るような仕事はありますかね?」ストレスに耐えかね前職を去った私のふざけた質問に、職安の相談員は、ありますとメガネをキラリと光らせる。隠しカメラを使った小説家の監視、巡回バスのニッチなアナウンス原稿づくり、そして ……。社会という宇宙で心震わすマニアックな仕事を巡りつつ自分の居場所を探す、共感と感動のお仕事小説。芸術選奨新人賞受賞。

みんなの感想まとめ

ストレスを抱えた主人公が、職安で紹介されたユニークでマニアックな仕事を次々と経験する様子が描かれています。多様な職業や出会いを通じて、彼女が自らの居場所を探し、成長していく物語は胸を打つものがあります...

感想・レビュー・書評

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  • 前職で10年以上まじめに仕事を続けた結果、燃え尽き辞めてしまった30代半ばの女性が主人公。当面のつなぎとして異なる5つの仕事を経て、自分と仕事との距離感と価値観を取り戻していく物語。

    書店で見つけ、表題名に同調し、衝動買いに至った。

    「みはりのしごと」「バスのアナウンスのしごと」「おかきの袋のしごと」「路地を訪ねるしごと」「大きな森の小屋での簡単なしごと」など、しごとの着眼点がユーモラス。

    初著者作品だったが、言葉選びのセンス、放つタイミング、時に刺さる散りばめられたパワーワードがグイグイと私のツボを貫いてくる。兎角シュールなのである。

    私は通読時に登場人物の台詞によって心を揺さぶられることが多いのだが、本作品は【地の文】にこそ共感できるポイントが綴られている。

    よって、読み飛ばせない読み飛ばしたくないという感情が働いて、隅々まで隈なく読み耽る読書に至ったのは、初体験だったのかもしれない。

    楽しい仕事を選んだつもりでも結果しんどい。
    なぜならば…の先に、読者それぞれの答えがあろう作品であった。

    そして私は、私なりの答えを見つけ受け取った。

    きっと私は、ずっとしんどいであろう。
    私は生涯、きっとそちらを選び続けるのであろう。

    それで良かろう。それが良かろうもん。

  • 「1日コラーゲンの抽出を見守るような仕事はありますかね?」
    この一文に心掴まれました。
    めっちゃわかる!
    人との関わりが最小限で、黙々と仕事をして、バッチリ定時で終わる。そんな仕事を私はやりたい、、、。などとぼんやり考えることが多々あるので。

    そして、職員の正門さんが紹介してくれる仕事はどれもマニアックで興味をそそられる。ちょっとやってみたいかも〜と思わせるものばかり。
    しかし、そこは「この世にたやすい仕事はない」まさしくタイトル通り。
    ちょっと不思議だったり、ちょっと理不尽だったり、仕事自体がなくなったり。そして、自分で仕事の引き際を感じ取ったり。

    結局、仕事ってこの本の最後につきるのかなぁと、好意を込めての軽い苦笑い。

    ただ祈り、全力を尽くすだけだ。どうかうまくいきますように。

  • 大学卒業後十数年やってきた仕事を燃え尽き症候群のような感じで辞めた主人公が相談員の正門さんからまず紹介されたのが、「みはりのしごと」。
    正門さんに「一日コラーゲンの抽出を見守るような仕事はありますかね?」と希望を言ってみたら出てきたのがこの仕事だったのですが、たやすいように見えてたやすくない。まさに「この世にたやすい仕事はない」を一作品目から痛感することになりました。他人の生活をモニターでずっと観察するという、地味な絵面ながらも、なんだかクスっと笑ってしまうところがあったりして、妙にハマってしまうお話でした。主人公がマテ茶の茶葉を手に入れられなくて悶々としているところで、監視対象者がマテ茶の茶葉を入手していて、ちょっとした怒りさえ覚えてしまうところとか、ブフっと笑ってしまいました。派手なお話じゃないのに続きが気になるお話で、さすが津村さんだと思わされました。結局主人公はこの仕事の契約更新を断るのですが、その決断に至るところの心情描写にすごく説得力があって、たぶん10人中10人が「うん、更新しない」と思ってしまうのではないでしょうか。

    そして、次に正門さんから紹介されたのが、「バスのアナウンスのしごと」。アホウドリ号という循環バスの中で流す広告アナウンスの原稿を書いて、録音して・・・という仕事なのですが、ちょっと奇妙なことが起こるんです。この二作品目から、「サキの忘れ物」を読んだ時の感じを思い出しました。特に「河川敷のガゼル」を思い出しました。「いや、ちょっと待って。なんかちょっとおかしい。」と冷静に考えると思うのだけれど、あまりにも淡々と「いや、どこもおかしくないですよ。」という体裁で、つらつらと物語が続くので、不思議と普通が、奇妙と普通が、グラデーションのように境目なくそこにあるのが、なんというか、まさしく津村さんという感じがするし、うまい、と思うのです。

    次は、バスのアナウンスの仕事が認められて、「おかきの袋のしごと」をすることに。おかきひとつひとつの包装に「国際ニュース豆ちしき」などいくつかのテーマにそって、豆知識的な情報を印刷するので、その文章を考えるという仕事。このお話はもう、主人公の仕事に対する心の動きというのか、機微というのか、そんなものがすごくうまく文章として表現されていて、結局主人公はこの仕事を任期満了的に辞めてしまうのですが、そこまでの過程がすごく納得のいくものでした。いやぁ、うまい。

    さすがに正門さんに対して申し訳なく感じてきた主人公は、デスクワークにこだわらないといって、次の仕事「路地を訪ねるしごと」を紹介してもらいます。これはちょっと暗い影が付きまとう仕事でした。なんだか怪しげな活動をしている自称ボランティアグループの張り紙を、主人公を雇った盛永さんが作った張り紙に切り替えていく仕事なのですが、その怪しげなグループの怪しさといったら!紆余曲折あって、このグループがやっている集会(?)に潜入するのですが、その運営側の人たちについてこんな表現があります。「・・・どの人もなんだか妙に大きい黒目が虹彩の部分に滲み出しているようで、焦点が合っていないような、合いすぎて違和感があるというような、異様な目つきをしていた。」いや、もう絶対この人たちいかんことやっとるやん!と。この仕事で発揮される主人公の仕事に対する変なやる気というか使命感も、ちょっと危うさをはらんでいる気がして、終始不穏な空気が立ち込めるお話でした。不思議なんだけれど、どこか現実的でもあるなかなか感じることのない読後感でした。いやぁ、うまい。(←語彙力よ)

    「路地を訪ねるしごと」は本書で初めて主人公の意思からではなく、終わってしまった仕事でしたが、次なる仕事は「大きな森の小屋での簡単なしごと」。そのままなのですが、大きな公園内の小屋につめて、周辺を散歩して見回る仕事です。合間に小屋で内職のようにチケットのもぎりのためのミシン目を入れるという業務もありますが、これまたちょっと不穏な感じがしてくるのです。なんと前任者には「幽霊がでる」と言われるし、実際に小屋を不在にした後に戻ると、首をかしげてしまうことが起こっているのです。

    最後の最後に主人公がこうやって転々と職を変える前にしていた仕事が何か判明します。個人的に一度考えたことのある職種だったので、「おぉ」と思いました(今の私の仕事は全く関係ありませんが)。「燃え尽き症候群」という言葉を思い出して、「さもありなん」と思ってしまいました。「大きな森」での仕事をある一定期間したら、元の職種に戻っていく人が多いという箱田さん(大きな森の小屋のしごとでの上司的存在)の言葉に主人公の未来が見えました。そして、この職を転々としていたことが全て無駄ではなかったとでもいうように、次の仕事への道筋が見えてきます。

    いや~、面白かったです。個人的に、大学卒業後ずっと続けている現職を早期退職して、違うことをしたいな、とぼんやりと考えているので、なんだか、どんな仕事でもできそうな気がしてきました。
    やっぱり、こう現実的にちょっとおかしくないかい?と思ってしまうことが、すっと現実になじんでいる感じが独特で、その世界線にいる主人公の心の動きがすごく丁寧に描写されていて、それでいて、クスっとニヤッとしてしまうとこもわりと頻発して、何が言いたいかというと、津村記久子さんってすごいな、ということです。津村作品は本書の前に「水車小屋のネネ」を読んで、これまたえらく感動したのですが、それとはまた違う趣の話で、でもやっぱり津村作品で、まるで私が津村記久子という逸材を見つけたかのように、うれしくなる読後感でした。

    いや~、津村記久子さん、やっぱり推します。梨木香歩さんの作品は全部読むと決めていますが、津村さんの作品も全部読もう!

    • URIKOさん
      >へぶたんさん

      コメントありがとうございます!
      はまりますよね、津村さんの作品!
      そうそう、おっしゃる通りで、ここ?っていうところ...
      >へぶたんさん

      コメントありがとうございます!
      はまりますよね、津村さんの作品!
      そうそう、おっしゃる通りで、ここ?っていうところに、
      笑いの種が仕込んでありますよね♪
      これから他の作品を読んでいくのが楽しみです。
      2025/06/25
    • nyaさん
      URIKOさん☆
      いつも本棚参考にさせていただいています♪

      URIKOさんのこのレビューを拝見して、
      「読みたい」リスト入りしました☆
      た...
      URIKOさん☆
      いつも本棚参考にさせていただいています♪

      URIKOさんのこのレビューを拝見して、
      「読みたい」リスト入りしました☆
      たくさんの貸し出し図書本が落ち着いたタイミングで読み、感想書きたいと思います。

      これからも素敵な本を共有できますように☆
      よろしくお願いします♪
      2025/06/25
    • URIKOさん
      >nyaさん

      コメントありがとうございます!
      っか~!なんて嬉しいコメント!

      ネタバレだし、拙い感想なのに、読みたい本リストに...
      >nyaさん

      コメントありがとうございます!
      っか~!なんて嬉しいコメント!

      ネタバレだし、拙い感想なのに、読みたい本リストに入れてもらえて嬉しいです。
      nyaさんの感想も楽しみにしています♪
      2025/06/26
  • 著者初読み。コラムなどで筋が通った面白いこと言う人だなぁと思ってたら本書もそうだった。「マニアックな仕事を巡りつつ自分の居場所を探すお仕事小説」とあるが、本当にありそうな不思議な仕事やいろんな人、謎解きもどきも出てきてずっと楽しく読んだ。

  • もっとブラックな感じのお話かと思ったら。
    出てくる仕事が特殊?なのと、作者さんの文章の表現が何だか面白くて、笑えて楽しかった。

    仕事って人間がやってるから、どんな単純作業でも自分の気持ち、他人の気持ちが絡んできてしまう。それがいい方向に向かう時もあるし、無意識に悪い方向へ押されてしまう時もある。

    最後に出てくる菅井さんのいう「感情労働」
    私も昔、覚えあるなー。いつも口角を上げ、笑顔を絶やさず、絶対怒ってはならぬ。最後の方には謎のストレスが溜まって...ああ、なんか忘れてたけど懐かしい...(ん?)

    色々な仕事につく主人公ですが、この最後の菅井さんの登場によって、読者共々「仕事とは?」と考える時が来るのです。どういう結論が出るかはそれぞれの人次第かな。

    マテ茶、ごぼう茶、パンノキチップス...などなど結構通好みの食材が出てきます。出てくるネーミングも面白い。斜め方向からのこれらの存在が、面白さを倍増してくれてましたよ。

  • ぬるゆると主人公の仕事の日常が進んでゆくので、わたしもゆるゆると読んでいたら、すっかり時間がかかってしまいました。でも、真ん中あたりからは一気読み!最終章で、この作品の素晴らしさが一気にあふれ出します。

    主人公は、とても真面目で、だからどんな仕事を任されても、一生懸命になりすぎてのめり込んでしまうんだ。わたしにも同様の素質があるなーなんて思いながら読み進めました。
    仕事をする上で感じる細かな感情が表現されていて、それにとても救われました。そして、これまで自分がしてきた仕事や、置かれた環境の中で、とても頑張ってきたんだなーと、自分を労ってあげることができました。
    自分自身が今転職を考えているからこそ手にとった本。読みながらずーっと、主人公がどんな仕事に燃え尽きてしまったのかと考えていたのですが、まさかの同じ資格を有する人でした。わたしも少し前に休職して、異動して、今はそこも退職しようとしている身。こんなに転々としていて大丈夫だろうかと主人公同様に思うけれども、まずは自分の心身を大切にしないと、また同じことが起こる、だから今の自分の選択を信じてあげようと思います。最後の、箱田さんの言葉「本筋の仕事でなんかあって公園に来た人みたいやったけど、この仕事で、まあ働けんねやな、と思って、そんでまた自分の仕事に戻ってったらええやん」には、救われました。ずっと逃げていたいわけじゃない、ずっと目を逸らしていたいわけじゃない、ただ、今は疲れていて、でもいつかは本筋へ戻りたい、という今のわたしの心境に、背中を押してもらえた感じがして。

    帯で、伊坂先生が絶賛していて、例えば:何気ない会話、特に新しい職場に行った時の業務の説明が伏線となっていて、物語が動く時にその伏線が活かされ、ラストでキレイに回収される様は伊坂作品に通づるものがあるなと、そんな風に思いました。『とにかくうちに帰ります』も、読んでみようと思います◎

    • ちいこさん
      私も伊坂幸太郎さんに似たものを感じました!「とにかく家に…」も読もうと思ったので、共感ばかりです。
      私も伊坂幸太郎さんに似たものを感じました!「とにかく家に…」も読もうと思ったので、共感ばかりです。
      2023/04/26
    • naonaonao16gさん
      ちいこさん

      おはようございます!
      コメントありがとうございます^^

      ここに同じことを感じられた方がいらっしゃって嬉しいです!
      津村さんは...
      ちいこさん

      おはようございます!
      コメントありがとうございます^^

      ここに同じことを感じられた方がいらっしゃって嬉しいです!
      津村さんは、エッセイを読んで以降、なかなか触れられていないのと、伊坂さんの作品も最近は読んでないんです…
      ちいこさんにコメントいただいて、久々に触れたくなってきました~
      ありがとうございました!
      また是非、遊びにいらしてくださいね!
      2023/04/27

  • そういえばバスのCMアナウンスとかおせんべいの袋裏とかひとつひとつにも仕事はあるし他にも未知な仕事がそこら中にあるんだな。

    もうそれ世にも奇妙な物語味がありすぎてそんなことある?な出来事にぶつかって簡単な仕事になかなかありつけないからユニークで。

    燃え尽き症候群のような状態で転々と仕事を変えても必ず天職に戻ってこられるし、今度こそどうかうまくいきますようにって一緒になって祈ってしまう。

    いろんな人間いろんな仕事に出会うと視界が拓けるから、疲れたり行き詰まったら外の世界を見てみるのもいいね。

  • 淡々としてとにかくシュール、飄々としたユーモアのある、津村さんのお家芸とも言えるお仕事小説。ホラーやサスペンスに傾きそうで傾かない。
    読んでいると、自分の身の回りのこともよく観察したらちょっと変で面白かったり、ツッコミどころがあったりするのかなあと思えてくる。「おかきの袋のしごと」が1番面白かった。
    結局人生何が起こるかなんてわからないから、「ただ祈り、全力を尽くすだけだ」という結論に尽きるのかもしれない。

  • 何となく仕事で行き詰まってた時に目にした本だったので手に取ってみました。

    ストレスに耐えかねた主人公が、職安で紹介された、ちょっとマニアックな仕事を転々とする物語です。

    どんな人でも信じた仕事から逃げ出したくなって、そこからずり落ちてしまうことがあるのかもしれない。

    自分の居場所を見つけられることができる仕事。なかなか見つけられないと感じる。

    ただ祈り全力を尽くすだけだ。どうかうまくいきますように。

  • なかなか、個性的な仕事が並んでいました。

    みはりのしごと
    バスのアナウンスのしごと
    おかきの袋のしごと
    路地を訪ねるしごと
    大きな森の小屋での簡単なしごと

    大学を卒業して14年務めた仕事から逃げるように辞めて、そこから始めた仕事たち。
    どれも実際にある仕事だろうけど、読んでいると個性的すぎて、本当にある仕事なのかと何度か疑った。
    でも、仕事あるある的なことも書かれていて、なるほどな〜と思いながら読めた。
    ずっと、主人公の14年間務めた仕事は何だったのだろうと思って作品を読んでいましたが、最後に判りました。そして、きっと、元の仕事に戻っていくのだろうと思わせてくれる作品の終わり方が良かったと思った。
    仕事の話だけれど、珍しい仕事のおかげで深刻な感じはなくて、楽しく読めました。

  • 津村さんの作品初読でした。

    読み始める前に想像していたストーリーや文章と全く違い、まずはビックリ。
    (私の勝手な想像です、、、)
    燃え尽き症候群で休職していた主人公が、変わり種満載の仕事を通じて経験する日々のお話。

    文章や表現力がとてもさっぱりしていて、
    設定もユニークで面白いのですが、
    私には少し馴染まない文体でした。

    一番面白かったお話は、
    〜バスのアナウンスのしごと。〜
    循環バス「アホウドリ号」のアナウンス内容を作成する仕事。
    江里口さんのアナウンス原稿、センスあり!
    梅風庵の和菓子に、不動産、耳鼻科などなど。
    我が家の周りを走るローカル循環バスのアナウンスを思い出してクスっと笑っちゃいました。
    又、全体的に少しホラー要素も感じました。

    津村さんの他作品はまた色が違うのかなー。
    他作品も読んでみたいと思います。

  • とても面白かった。

    もしかしたら、雇い主はそこまで期待していなかったのではないだろうか。
    でも、どうせやるなら面白いほうがいい。
    とことん楽しんでいるような気がする。

    「おかきの袋のしごと」:
    そうかもしれない。食べながら読込んでしまうことはないでしょうか。
    あるある。
    でも、ただ書けばいいわけではなくて、万人に安心して読んでもらって、それでいて、うんうん、って言ってもらえるような、そして、つぎはなにかな~、というような期待感。そんなものを持ってもらえる、自分にしかできない作品を仕上げていく。
    フジッコさんでしたっけ?吹き出し付きのイラストが作られてしまったところは笑った。退路を塞がれてしまったというか。でもちゃんと仕事をこなすところ。いいですね。

    「大きな森の小屋での簡単なしごと」:
    うちの近くの大きな森と対比させながら読みました。
    大きさも似ているかもしれない。とても1日では回り切れない森なのだけれど、そこで発見していく。
    はんのき、調べてみました。
    でもよくわからない。あれを食べるの?
    うーん、きっとうちの森にもあるのだけれど、白樺にも似ていますね。もう少し調べてみます。

  • 働いてお金を稼ぐって甘くない。
    自分の代わりはいくらでもいるけど自分にしか出来ないこともあるんじゃないか。
    ん〜、おもしろ、、、かったけどー。ちょっと中だるみ。次の展開が気になってページを捲る手が止まらないって事はなく、時間かかった。

  • 津村さん初読 文庫の表紙裏の写真がちょっと尖ってって良いね。

    長く勤めた前職をバーンアウトした後、安定所で働けそうな仕事を紹介してもらい、お試し転職を繰り返している、36歳、独身女性。
    自身にとってストレスが少ない仕事を探して、試行錯誤。仕事に対して真面目なんですね。契約した仕事には、きちんと向き合ってしまう。続けていけそうなんだけど、妥協できそうにない所には、妥協しないで次にいく。
    世の中こんな仕事が!といのも、多々ありますから良いんじゃないですか。たやすい仕事は無いけれど、納得できるものはあるかもしれない。

    ラストを主人公が受け入れる長い職業体験のようでしたね。職種からのバーンアウトか、職場からのバーンアウトかの把握は重要かも。

  • 「一日コラーゲンの抽出を見守るような仕事はありますかね?」
    あらすじの1行目がこれです。
    あらすじが今の自分の心境にドンピシャ。
    めちゃくちゃ共感したので読んでみました。

    全部で5つの仕事を経験する”私”。
    どんな仕事を請け負ってきたのか興味のある方は本を読んでみてください!
    一見簡単そうに思えますが、実際仕事としてやるとなったら誰でも出来る仕事ではないと思うんですよね~。
    特に「バスのアナウンス」と「おかきの袋」の仕事は、それなりにスキルがいると思うのです。
    他3つも素人が現場に入ってすぐできるかというと微妙です。
    全然コラーゲンの抽出を見守るような仕事じゃない!笑
    どの仕事も一人で黙々とやる仕事かと思いきや、コミュニケーション能力、めっちゃ使いますし。
    一つの場所に人が集まると人間関係は避けて通れないって事なんでしょうね。主人公は意外と器用に人間関係を築いていけるところが羨ましかったです。
    お仕事小説としては斬新な切り口でしたので、新鮮で楽しませていただきました。

    今回の気になるフレーズはこちらです。

    ”自分が大学卒業以来十数年続けた、最初の職種に戻る時が来たような感じがした。そうはいっても、こちらの都合だから、簡単に仕事が見つかるとは思わなかったが、とにかく、その周辺にでも帰っていくべきなのではないか。”

    新卒で働いて以来、フラフラした人生を送ってきたのですが、必ず戻る職種があるんですよね。それが新卒で就いた職種なのです。
    これ、ホント不思議です。
    どういうわけかこのお仕事にはご縁があるのです。
    人間の本能なのか、キャリアがその職種を引き寄せるのか。人間、戻る場所というものが職種にもあるのかもしれません。

    一風変わったお仕事小説。
    脱力系っていうんでしょうか?
    バリバリ仕事をするだけが仕事ではない。
    新たな価値観を生んでくれた小説だと思います。

  • どうもやはりわたしは、津村記久子さんの本が好きなんだろうな。久しぶりの津村記久子さん。仕事ってなんだろねと、最後まで読むとなかなかしみじみ。面白かった。主人公がなんだかかんだかまあ、いろいろ小さなことの積み重ねで、なんとなく転職していく小話5話。
    各話の始めに仕事紹介相談員の正門さんが出てくるのもなんだか面白い。そして、けっこう正門さんが一番の観察者であり、理解者かもしれない。

    1話〜3話までは、なんともいえない小話が続き、クスッと笑ってしまう。日常のちょっとした思い込みや普通なら気にもとめない違和を、ぐだぐた言葉にする主人公におかしみと親近感が湧くからだろうか。
    4話からなんともちょっとテイストが変わった気がする。人のさみしさにつけ込み、さみしさに居座るやからの話。一番なんとも言えない感情になった。主人公の観察力と心情を推し量る力がなにげにすごい。

    「そうなのだよ。」と心のなかで唱え、そっと誰かを支援し、自分に対しては「思い上がるなよ」と戒める。誰かに「こざかしいんだよ」と言われても、「まあその通りだなと思う。でもそれは、社会に出て十数年もした人間に対しては誉め言葉だ。そうだよくこざかしくなったな私。えらいぞ。」とまで落とし込む主人公。すごくないか。

    みはりのしごと
    バスのアナウンスのしごと
    おかきの袋のしごと
    路地を訪ねるしごと 
    大きな森の小屋での簡単なしごと

    「みはりのしごと」より、印象に残った文の抜粋
    「そのひとのすべてなど知りたくもないし知らないと思っていたけれども、頭のどこかでは、相当知っているだろうと思い上がっていた。しかし、単なる外面的な癖でさえ知らないことがあった。」  

    相変わらず、津村さんは人間が好きなんだろうなといういつもの感想になると共に、たぶん津村さんご自身が観察力と人の気持ちを推し量る力をとてもお持ちの方なのだろうと思った。

    「これ以上働くことから余計な感情を押しつけられたくない」と思っていた主人公は、最後どういう思いに至るのか。
    読んでみてください。

    またいつか読み返してみたくなる本だった。

  • 現実的なストーリーかと思って手に取ったけど、ちょっとサスペンス的な内容でした。

  • 主人公の女性が、14年間勤めていた職場を辞め、様々な仕事に携わりながら、働くことについて見つめ直していくストーリー。
    「みはりのしごと」「バスのアナウンスのしごと」「おかきの袋のしごと」「路地を訪ねるしごと」「大きな森の小屋での簡単なしごと」、どの仕事も読んでいて面白かった。作者の書く文章が面白くて、クスッと笑う場面が多々あった♪仕事に関しての自分の得意不得意、向き不向きを知ることは大事だなと改めて考えさせられた。
    最後の最後の文章、「どんな穴が待ちかまえているかはあずかり知れないけれども、だいたい何をしていたって、何が起こるかなんてわからないってことについては、短い期間に五つも仕事を転々としてよくわかった。ただ祈り、全力を尽くすだけだ。どうかうまくいきますように。」のところがグッときた。
    私自身も仕事に悩みを抱えていたけど、視野が少し広がった気がする。本当に読んで良かった作品!

  • 大学卒業以来、14年間勤めた会社を辞めた主人公。
    燃え尽き症候群だったのかな。
    職安で楽な仕事を求めて5つの仕事を経験するけど、どれも本当にある仕事なら凄いな。
    仕事で大切なのは何だろうと思いながら読んだ。
    仕事内容なのか、人間関係なのか、待遇なのか。

    「第3話 おかきの袋のしごと」での周りの人達は感じないけど自分だけが感じる相手への不信感や嫌悪感。
    「第4話 路地を訪ねるしごと」での仕事と私事が重なる辛さ。
    最後に「信じた仕事から逃げ出したくなる」主人公が辿り着いた先の決意が前向きで良かった。

  • 出版社の若手社員が書いた帯文言に惹かれて購入。
    恵まれた職場、向いている仕事なのに、ふとしたことで働き続けることへの躊躇に襲われて仕事を転々とする主人公に、つい自分を投影してしまった。同じような感想を持った方もいたようでした。

    多くのエピソードで、「楽な仕事のはずなのに、ついのめり込んで、要らぬ苦労を背負い込みがち」「それに喜びを感じることもあるし、背負った苦労に潰されることもある」という点が共通しているように思いましたが、共感する読者も少なくないのでは。
    そうはいっても向き合っていくしかないよね、仕事ってそういうものだよね、と腑に落ちつつ、「しんどくなったらすぐ仕事を変える」という選択がどこか羨ましくも感じます。

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著者プロフィール

1978年大阪市生まれ。2005年「マンイーター」(のちに『君は永遠にそいつらより若い』に改題)で第21回太宰治賞。
2009年「ポトスライムの舟」で第140回芥川賞、2016年『この世にたやすい仕事はない』で芸術選奨新人賞、2023年『水車小屋のネネ』で谷崎潤一郎賞受賞、2024年「本屋大賞」第2位となった。
他著作に『ミュージック・ブレス・ユー!!』『ワーカーズ・ダイジェスト』『サキの忘れ物』『つまらない住宅地のすべての家』『現代生活独習ノート』『やりなおし世界文学』『ディス・イズ・ザ・デイ』などがある。

津村記久子の作品

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