ブラックライダー(上) (新潮文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (432ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101201511

作品紹介・あらすじ

「世界は瀕死だが、まだ息絶えちゃいない」。により文明を失ったアメリカ大陸。生き残った者は人と牛を掛け合わせた“牛”を喰って命を繋ぐ。保安官バード・ケイジは、四十頭の馬を強奪したレイン一味を追い、大西部を駆ける。道すがら出逢ったのは運命の女コーラ。凶兆たる蟲の蔓延。荒野に散るのは硬貨より軽い命。小説の面白さ、その全てを装填した新たなる黙示録。

感想・レビュー・書評

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  • 2019年 最も面白かった大賞受賞(自分ランキング)

    ハードボイルド終末SF×ピカレスクウェスタン。
    マイナス二十度のカンザスシティから、実録マッドマックスのメキシコへ。全てが壊れた後の世界で始まる黙示録、その終わりまでの物語。

    「こうなったら」ロミオは弟に言った。
    「『生も死も冷たく見ながせ』だ」
    「ああ」スノーが応じた。
    「『行け、騎馬の男よ』」

    上巻では世界観を、下巻ではその細部に宿る魂とも呼ぶべきものを、味わい尽くせる名作。2019年に読んだ中でダントツの一番面白かった本。たぶんこの先も何回も読むと思う。

  • 長い…

  • 「世界は瀕死だが、まだ息絶えちゃいない」。“六・一六”により文明を失ったアメリカ大陸。生き残った者は人と牛を掛け合わせた“牛”を喰って命を繋ぐ。保安官バード・ケイジは、四十頭の馬を強奪したレイン一味を追い、大西部を駆ける。道すがら出逢ったのは運命の女コーラ。凶兆たる蟲の蔓延。荒野に散るのは硬貨より軽い命。小説の面白さ、その全てを装填した新たなる黙示録。

  • 著者:東山彰良(1968-、台湾・台北市、小説家)

  • レスターが愛おしすぎる。

  • レビューは下巻にて

  • 北方謙三先生も選評で言われていたが、舞台設定が独特で戸惑うところがあるSF冒険小説。アメリカのゾンビドラマのようなグロくて残酷な舞台設定で繰り広げられるドラマ。でも、そんな少し恐い世界に引き込まれてしまいまった。作家のオリジナル性を強く感じられる見たことのない世界の童話。

  • 感想は、下巻読破後に。

  • 読みづらいという声も多いらしいが、サービス精神満点の大娯楽作だった。
    登場人物の多さに辟易しないためには、バード、レイン兄弟、ジョアン周りの数名だけ把握してすいすい読めばよい。
    私はモブであってもネーミングが面白くて、全員メモを取りながらゆっくり読むことを楽しんだ。

    Ⅰではレイン兄弟を追うバードを通じて、荒廃した世界観を味わう。
    「明日に向って撃て!」でブッチとキャシディが荒野を延々追われる場面があるが、その舞台を世界荒廃後の荒野に置いた。
    人肉食がまだまだ廃れていないという背景もぐっとくる。

    Ⅱは打って変わって牛腹と蔑まれたマルコが、蟲の流行から逃れつつ調査する中で、いわば救世主と見做されていく過程。
    人間ではないので人生観も異なり、よい意味で冷酷。
    蟲の流行した村は焼く。それがⅢへ。
    Ⅰでは人生観にまつわるカッコイイ台詞が頻発していたが、Ⅱではカッコイイだけでなく宗教の発生といえるような深い思索が。
    またアビアーダ村の移動とともにマジックリアリズムのテイストが入ってくる。ここも面白い。

    Ⅲはいってみれば戦争。
    ロストテクノロジーも活用して攻め込む討伐隊と、ゲリラ的に応戦する村およびインディアン。
    みながみな荒くれでどうしようもない男どもだが、こうしか生きられなかった悲哀、といったものが戦場に美しく散る。容赦なく。
    ここにおいて発生する抒情こそが、読書を通じて私が欲しているものだ。

  • 2241年2月24日のローマ教皇庁の通達文書から始まる。核戦争が原因で地球が壊滅状態になり、運良く生き残った人類は食人で命を繋ぐ。秩序も変わり人類は牛と人間の遺伝子を組み合わせた牛人を食用にするのだが、その中で高い知能を持った牛人のマルコが登場する。上巻では馬泥棒のレイン兄弟を追うバード・ケイジ保安官がメイン。メキシコでは空気感染する蟲の出現で村が滅亡の危機に。ここでマルコが活躍するし、最初のローマ教皇庁の通達文書の意味が分かる。

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著者プロフィール

1968年台湾台北市生まれ。9歳の時に家族で福岡県に移住。 2003年第1回「このミステリーがすごい!」大賞銀賞・読者賞受賞の長編を改題した『逃亡作法TURD ON THE RUN』で、作家としてデビュー。 09年『路傍』で第11回大藪春彦賞を、15年『流』で第153回直木賞を、16年『罪の終わり』で中央公論文芸賞を受賞。 17年から18年にかけて『僕が殺した人と僕を殺した人』で第34回織田作之助賞、第69回読売文学賞、第3回渡辺淳一文学賞を受賞する。『Turn! Turn! Turn!』『夜汐』『越境』『小さな場所』『どの口が愛を語るんだ』『怪物』など著書多数。訳書に、『ブラック・デトロイト』(ドナルド・ゴインズ著)がある。

「2023年 『わたしはわたしで』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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