本屋さんのダイアナ (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社
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感想 : 523
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  • Amazon.co.jp ・本 (400ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101202426

作品紹介・あらすじ

私の名は、大穴(ダイアナ)。おかしな名前も、キャバクラ勤めの母が染めた金髪も、はしばみ色の瞳も大嫌い。けれど、小学三年生で出会った彩子がそのすべてを褒めてくれた――。正反対の二人だったが、共通点は本が大好きなこと。地元の公立と名門私立、中学で離れても心はひとつと信じていたのに、思いがけない別れ道が……。少女から大人に変わる十余年を描く、最強のガール・ミーツ・ガール小説。

感想・レビュー・書評

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  • あなたは自分の名前が好きですか?

    この世には人の数だけ名前があります。人はその名前と一生を共にします。そんな名前をつけてくれた人がこの世からいなくなってもその名前と共に長い人生を送ります。人は生きていく中で、衣食住の全てにおいて自身の好みに合わせてそれらを自由に選んでいきます。しかし、一生を共にする、生きている限りいっ時も離れることができないにもかかわらず名前だけは他人がつけたものを使い続けなければならないというのはよく考えるととても不思議なことだと思います。

    とはいえ、付けられた名前を気に入っているのであればなんの問題もありません。しかし、人の好みは千差万別です。必ずしも自分の名前が好みであるかどうかは別物です。昨今、”キラキラネーム”と一括りにされる名前の存在があります。”当て字で間違った読ませ方や、しばしば暴走族が好む発音に文字を当てはめたような名前”とも定義されるその名前。一方で『彩子』という一見何の変哲もない名前でも、本人が『子がつく名前なんてめずらしいでしょ。おばあさんみたい』と気に入らない場合もあります。大切なのは本人がその名前に納得しているかどうか、ということだと思います。

    さて、そんなことを念頭に置いていただいた上で、この作品の主人公のことを見てみましょう。この作品の主人公は『矢島ダイアナ』という名前です。『ダイアナ』は、漢字では『大穴』と書きます。『毎週のように府中の競馬場に出かけて、まったく働かずに賭け事だけで生計を立てていた』という父親。『競馬や競輪、競艇で賭け金の百倍を超える当たりを意味する』『大穴』という言葉をそのまま名前に使って『あんたが世界一ラッキーな女の子になれるように』とつけたというその名前。そんな命名理由を聞いて『この名前のせいで、ダイアナは八歳にして未来に絶望していた』と感じるダイアナ。この作品は『自分の名前が大嫌い』というダイアナの物語。そんなダイアナと知り合って『ダイアナなんて名前で羨ましいなあ』という彩子の物語。そしてそれは、そんな二人が時には親友として交わり合い、時にはお互いを意識し合いながらもそれぞれの青春を駆け抜けて大人になっていく様を見る物語です。

    『新学年の一日目がなんとか晴れてよかった』と、『三年三組の新しいクラスメイト』を『後ろから眺めるのは』主人公の一人・矢島大穴(やじま だいあな)。『自分の名前が大嫌い』というダイアナは『毎週のように府中の競馬場に出かけて』いたというダイアナの父親と相談して『あんたが世界一ラッキーな女の子になれるように』と名付けたという由来を母親から聞いて『八歳にして未来に絶望してい』ました。そんな母親は『勤め先のキャバクラで使っている』『ティアラ』という名前を普段からダイアナにも呼ばせています。そんな時『とうとう、自己紹介の順番が来』たダイアナは、『矢島ダイアナです。本を読むのが好きです』と『できるだけ小さな声』で言ったものの『あの子、外国の子?』『髪が金色だよ』と『ひそひそ話』をされてしまいます。休み時間になって髪の毛のことを話題にされ、『ダイアナなんて変な名前』と名前のことも指摘されるダイアナ。その時でした。『ダイアナは変な名前じゃないわよ』と、『真っ黒なおかっぱ頭の女の子』が話し出しました。『「赤毛のアン」って知ってる?アンの親友はダイアナって言うんだよ』と続ける女の子は『ダイアナなんて名前で羨ましいなあ』と微笑みます。『私は神崎彩子(かんざき あやこ)っていうの』と自己紹介する女の子を見て『この子と仲良くなりたい』と願うダイアナは、『学校が終わったら、中央図書館に行くの… 一緒に…行かない?』と勇気を振り絞って彼女を誘いました。そして、場面は替わり、『早く、早く』と家に急ぐのはもう一人の主人公・神崎彩子。そんな彼女の頭の中は『親しくなったばかりの素敵な名前の美少女でいっぱい』でした。『矢島ダイアナ… こんなに早く親しくなれるなんて』と、『一年生の頃に図書館で見かけて』以来、ダイアナのことが気になっていた彩子は喜びを隠せません。図書館前に行くとダイアナが座ってハンバーガーを食べていました。『一度も買い食いをしたことがない』彩子はダイアナを『ひどく大人に思』います。そして、彩子は『欲しいものとかやりたいこと、ある?』と訊くと『私、大人になったら自由に名前を選びたいんだ』と答えるダイアナは、『十五歳になったら… 普通の名前に変え… お父さんを探しにいくんだ』と続けます。そんなダイアナを見て『物語のヒロインみたい』とうっとりする彩子は、『ダイアナっていい名前だと思うよ…うちにね、「秘密の森のダイアナ」って絵本があるの…一緒に読もうよ』と自宅に誘います。『面白そう。その本、読んでみたいなあ』と約束が成立した二人。『三年生は楽しい一年になりそうだ』と、『「赤毛のアン」でアンとダイアナが親友にな』った場面を思い起こす彩子。そんな二人のその後の日々が描かれていきます。

    『字が読めるようになるずっと前から、自分の名前が大嫌いだった』というダイアナと、『ああ、ダイアナなんて名前で羨ましいなあ』という彩子の二人が等位のダブルヒロインを務めるこの作品。『小さな頃から繰り返し金色に染められ』てきたダイアナと、『つやつやした黒髪』の彩子の似顔絵が本文中に交互に登場し、視点の切り替えの目印の役割を果たすという面白い工夫がなされています。そんな物語で特徴的なのが段落を下げて本文との違いがわかるように記述されていく小説内小説「秘密の森のダイアナ」の存在です。『児童書なんだけど、大人が読んでも引き込まれる』というその物語は、『意地悪な魔法使いのせいで、両親と生き別れになった少女ダイアナが森の動物や妖精達に助けられ、自分の力で生き抜いていく』様を描いたものでした。そんな物語は、彩子が『うちの父が昔、担当したの』と幼い頃から作品に接点を持ち、その主人公の名前がダイアナであったところから、同じクラスになったダイアナにその本を紹介することで二人を結びつけていく役割を果たしていきます。小説内小説が登場する作品は多々ありますが、この作品の特徴は、主人公が同じダイアナであること、そして、後半になって一つのキーワードになっていく『呪いを解く』という言葉の先に物語が描かれていくことです。小説内小説「秘密の森のダイアナ」は、それなりの文章量をもってその存在が小説内に提示されますが、単独でもこの物語を読んでみたい、そう強く感じさせるとても魅力的なお話だと思いました。

    そして、この作品は『本を読みふける時だけ、ダイアナは自分を取り戻すことができる』、『こうして家で本だけ読んで過ごせないか、と思う時がある』というダイアナの存在もあって、さまざまな『本』の名前が登場します。『外国の本が好きでした。女の子たちがみんなが通る「赤毛のアン」、「秘密の花園」、「若草物語」、「小公女セーラ」などを読みました。全部好きなんですが、特に「赤毛のアン」が好き』と語る柚木麻子さん。そんな柚木さんの思いそのままに登場する『本』の内容が作品をリードする場面は多々あります。例えば『山の上女学園』で『文芸部の部長』としての日々を送る彩子。一見充実した日々を送っているようにも見える中で『彩子は「風と共に去りぬ」の三巻にすみれの押し花の栞を挟んでそっと閉じた』というシーンです。『南北戦争や人殺しを経験したいわけではないけれど、この穏やかで平坦な毎日があと三年以上も続くと思うと、思いきってなんでもいいからひっかき傷をつくりたくなってしまう』と思う彩子。『大人になって振り返った時、胸がひりひりしたり、切なくなったりするような思い出が一つもないなんて、それはやはり悲しいことのように思えた』と現状を憂います。こういった形で極めてさりげなく登場する『本』の数々。「ライ麦畑でつかまえて」、「カレンの日記」、「ナルニア国物語」、「メアリー・ポピンズ」、そして「丘の家のジェーン」と次々と登場する『本』の数々。読書歴が二年しかない私には全く未知の世界ですが、これらの作品を知っていれば、この作品の奥行きはもっともっと広がっていく、他の作品の内容にサラッとリンクさせることで物語世界の奥行きを巧みに広げていく柚木さんの手法にとても上手さを感じました。

    そんなこの作品はダイアナと彩子を等位のダブルヒロインとして登場させるという面白い構成をとっています。『漢字で「大穴」と書く』『自分の名前が大嫌い』と『八歳にして未来に絶望』していたダイアナ。そんな名前を『ダイアナなんて名前で羨ましいな』と現れた彩子。そんな彩子は『子がつく名前なんてめずらしいでしょ。おばあさんみたい』と自分の名前を対の話題にすることでダイアナに親しく接していきます。そんな二人の境遇は全くと言っていいほどに正反対です。経済的に恵まれた家庭に育った彩子は例えば文房具も『自由が丘の文房具店で買ってきた、フランス製の高級品』です。しかし、そんな彩子にはダイアナが持つ『光るシールや蛍光ペンや人気アニメのキャラクター』の文房具が魅惑的に映ります。一方で『水商売をしながら女手一つで自分を育てている』という母親と二人暮らしのダイアナにとっては『彩子の家にはダイアナの欲しいものすべてがあった』と映ります。そんな二人が小学三年の第一章〈”ほんもの”の友達〉で出会い、第六章〈呪いを解く方法〉では22歳の大人の時代が描かれるというまさに14年の長きにわたってその対照的な人生が描かれていきます。なんとも微笑ましいまでの小学三年生の二人の姿が描かれる第一章だけ読むと、その後の二人が辿ることになる人生は意外性に満ち溢れています。物語のスタート時点の二人の置かれた境遇の違いがその後の二人のそれぞれの人生にどんな影響を与えていくか、極めて説得力のある柚木さんの描く物語にすっかり魅せられました。

    そして、そんな物語において冒頭で提示された『十五歳になったら名前って自由に変えられるんだって。そうしたら私、普通の名前に変えるの』と未来の思いを語ったダイアナがその時にどんな行動を取るのか、そして、『お父さんを探しにいくんだ』とも語るダイアナが実際にどんな行動を取るのかは物語の最大の山場です。1990年代半ばから登場したと言われる”キラキラネーム”。この作品の主人公のダイアナ(大穴)は、まさしくその代表格とも言える名前を与えられて育ちました。『自己紹介の順番』を恐れ、『静かに過ご』したいと幼い頃から願い続けるダイアナ。流石にこの漢字含めたダイアナという名前はないだろうとは思います。そんな名前が『奇妙な名である』、『むずかしくて正確に読まれない』、そして『外国人とまぎらわしい』といった『「名の変更許可申立書」の「申立ての理由」』に合致するのもわかります。そして、第三章〈月光石のペンダント〉では、15歳になったダイアナが長年抱いてきた『私、普通の名前に変えるの』という思いを果たすべく具体的な行動に出る姿が描かれていきます。さて、その結末は、ダイアナは父親と会えるのか、そして、違う道を歩き出したダイアナと彩子のその後の人生は、と、物語は後半に向かって大きく動いていきます。良い人ばかりではなく、明確に悪人も登場する、でも”白”柚木な結末を見るこの作品。スクールカーストを描いた「王妃の帰還」も絶品でしたが、青春期を送る少女たちの内面を見事に描き出す柚木さんの真骨頂とも言える傑作だと思いました。

    『みんながみんな、アンみたいに飛び立てるわけじゃない』、『アンの良いところをダイアナは自然に引き出してあげたんだ』という「赤毛のアン」の物語に、等位のダブルヒロイン・彩子とダイアナの人生を巧みに重ね合わせるこの作品。それは、『自分の心がけ次第で人生を変えることができる』と気づいていく二人の少女が大人になっていくのを見る物語でもありました。

    『人生の道しるべになる』という私たちの名前。どんな名前にだってそれをつけた人の何かしらの思いがこもっていることを感じるこの作品。作品内に登場する数多の物語の名前が作品世界の奥行きを広げていくこの作品。少女たちの確かな成長を描く柚木さんの上手さをとても感じた素晴らしい作品でした。

    • しずくさん
      柚木さんを好きになったのはまさしく『本屋さんのダイアナ』でした。随分前だったので本棚には並べてないみたいですね。内容はすっかり忘れてしまって...
      柚木さんを好きになったのはまさしく『本屋さんのダイアナ』でした。随分前だったので本棚には並べてないみたいですね。内容はすっかり忘れてしまっていて、さてさてさんのレビューを読んでも???。「赤毛のアン」が大好きだったのでタイトルに惹かれて抜き取った本です。「秘密の花園」、「若草物語」、「小公女セーラ」、「ナルニア国物語」、「メアリー・ポピンズ」、「丘の家のジェーン」と懐かしく思い出されます。
      2022/02/05
    • さてさてさん
      しずくさん、こんにちは。
      柚木さんのスタートがこの作品だったのですね。記憶を戻す起点のレビューになれず恐縮です。とにかくいろんな本の名前が...
      しずくさん、こんにちは。
      柚木さんのスタートがこの作品だったのですね。記憶を戻す起点のレビューになれず恐縮です。とにかくいろんな本の名前が登場しました。知っているものももちろんありましたが、しずくさん挙げられた中でも半分は知らない私…と、やはり読書経験のなさが露呈しました。恐らく内容知っていればもっと楽しめたのかなあと思います。いずれにしても柚木さんの少女ものは絶品だと改めて思いました。
      2022/02/05
  • R3.11.4 読了。

     ダイアナと彩子の小学生から大人になるまでを描いた物語。ダブルヒロインそれぞれの視点から物語は展開していく。紆余曲折ありながら成長していく姿を追いかけるように読んでいて、気づけば一気読みしていました。
     ダイアナの母親のキャバクラ嬢のティアラさんや彩子の両親や小学校の同級生の武田君、彩子の中学の高柳先生、書店員の田所さんなど、個性派キャラ達が彼女たちの周りでサポートしている。特に大穴の母のティアラさんは一見ケバケバ系のギャルキャラかと思いきや、ダイアナの味方で、いつも笑顔を絶やさない優しいお母さん、そして過去には知的で清楚な一面が垣間見えたりして謎めいている。産まれた時には居なかったダイアナの父親の存在も物語を盛り上げている。
     ダイアナと彩子は小学校6年の時に些細なことが原因で喧嘩別れして絶交状態になるのだが、その後も気になる存在として気にし合うさまは、読んでいて歯がゆくてもどかしかった。
     そして、物語の終盤にはダイアナと彩子のそれぞれに自分を生きづらくしている呪いを自分でかけていることに気づき、それぞれが克服していく。そして二人の関係も修復されて・・・。ここで物語が終わってしまい、とても残念に思っています。
     この作品では読者の期待を良い意味で裏切られ、そんなに世の中甘くないよというような厳しさも教えてもらいました。
     アッコちゃんシリーズに続き、また柚木麻子さんの書かれる好きな作品が増えました。また別の柚木麻子さんの作品も読んでみたいです。

    ・「ペンダントが光らないのは、君がまだ自分の人生を生きていないからだよ。君が変われば、ペンダントも光るようになる。」
    ・「私はどこにだって行くし、どこにいたっていきていけるわ。見たいものはすべてこの目でみないと気がすまない。心配してくれるのは有り難いけど、誰の指図も受けません。お金も後ろ盾もないわ。でも、この手とはしっこい目と頭と頑丈な足があるんだもの。貧しさや波乱は少しも怖くないの。本当に怖いのは、狭い世界に満足して、自分で自分の目隠しをしてしまうことよ。」
    ・「流れていく書き込みではなく、ささやかでもいいから、形に残る何かを他人の中に残していきたい。難しいことではない。あのスレッドで振る舞ったように、現実世界で人と接していけばいいんだ。ネットもリアルも地続きだ。」
    ・「本が好きなだけで、高尚なつもりになるのは間違いだ。」
    ・「人生には、待つということがよくあるものです。自分の希望どおりにまっしぐらに進める人はもちろんしあわせだと思いますが、たとえ希望どおりに進めなくても自分に与えられた環境の中でせいいっぱい努力すれば、道はおのずから開かれるものです。こういう人たちは、順調なコースに乗った人たちよりも、人間としての厚みも幅も増すように、私には思えるのです。」

  • 矢島ダイアナ、小学三年生の女の子。自分の名前が大嫌い。さらにダイアナは漢字で「大穴」と書く。もう出だしで掴まれた。

    これは絶対面白いはず、という期待は半分は当たって、半分はいい方に裏切られた。
    コミック的な面白さを期待していたのだが、それだけではなかった。
    8才から20才に至る彩子とダイアナの紆余曲折がある友情の話。彩子とダイアナのそれぞれの親子の話。彼女たちが自分を確立していく話。どれもこれも自分に身に覚えがあるような、心に刺さった棘のような話です。今年読んだ中で1、2を争う好きな本でした。

    ダイアナのとっても魅力的なお母さん、ティアラの言葉
    「うちはバカだけどそれがうちの個性じゃん。ダイアナと二人で誰にも迷惑かけずに生きているだけで、十分うち、がんばってるもん。うちはうちじゃん。オンリーワンじゃん」
    こんな風に思えるようになりたいと強く願う。

    • アールグレイさん
      初めまして!
      ゆうママと申します!
      raindropsさんのお名前は、タイムラインで存じております。この本のレビュー、読ませて頂きました。「...
      初めまして!
      ゆうママと申します!
      raindropsさんのお名前は、タイムラインで存じております。この本のレビュー、読ませて頂きました。「本屋さんのダイアナ」以前より気になっていました。
      やはり、読みたい感が増しました。ありがとうございます(-_-)
      \(^_^)/
      2021/05/08
    • raindropsさん
      ゆうママさん、コメントありがとうございます。

      私もゆうママさんの本棚を参考にさせていただいています。

      面白い本があればまた教えてください...
      ゆうママさん、コメントありがとうございます。

      私もゆうママさんの本棚を参考にさせていただいています。

      面白い本があればまた教えてください。
      2021/05/09
  • 柚月麻子さんの初読みです。
    柚月さんを一度読んでみたいなぁ〜とは思っていたものの、
    黄色の表紙の有名なbutter?は分厚そうだし、、
    本屋さん歩いてたら!可愛い表紙!ダイアナ?大穴?競馬?親がキャバ嬢? なんか面白そうと思い購入(╹◡╹)

    境遇が違う2人の少女が大人になるまでの物語。
    こうだったらいいな、のような『たられば』に逃げがちになりたい事もあるけれど、今目の前の境地で精一杯頑張るのは素敵な事だと感じた!
    ↓↓ このようなフレーズから。

    【人生には待つということがよくあるもの、希望通りに真っ直ぐ進める人はもちろん幸せだとは思いますが、例え希望通りに進めなくても、自分の与えられた環境の中で精一杯努力すれば、道はおのずから開かれる。順調なコースにのった人たちよりも、人間としての厚みや幅も増すように思えるのです】

    最後になるにつれて、お話が繋がっていくんだけど、防犯カメラのシーンは、ぎょえ〜?????でした笑

    赤毛のアンは、何一つわからない私も、楽しめましたー!!

    ティアラさん、浜崎あゆみ好きなのかな♡
    私も好きです!

  • 家庭環境の全く違う二人の少女。ダイアナと彩子。小学3年生で出会い、共通点は本が好きな事、そしてお互いの持たざる物に憧れと嫉妬を持ちながら、大切な友人となります。
    中学入学を期に疎遠になりがちな二人。恵まれた家庭の彩子は私立女子中学へ。シングルマザーでキャパ嬢のママを持つダイアナは、公立中学へ。少女らしい誤解が彩子をダイアナから遠ざけていきます。
    ダイアナママの意志の強さと生活力。彩子両親の美しい物と時間に溢れた生活感。違いが大きくても、二つの家族が認め合えるところが落ち着く。
    少女達は、悩みながら恋をしながら成長していく。再会できるのは、多少時間がかかってしまったけれど。
    ダイアナが、「赤毛のアン」の友人のダイアナが由来ということに感嘆。何処かで書いてしまっているのだけど、私も赤毛のアンは、「アンの青春」までが面白いと思っていた。(だから同じように思っていた人達がいるんだなと嬉しくなった。)アンの愛情って、ギルバートとの恋愛小説でねえ。小学生の頃なので、文庫では読んでなく、作中の花岡さんの後書も知らなくて。なるほど、ダイアナが避けられない現実を受け入れて自分の道を進んでいく「アンの愛情」に、この小説のダイアナが重なるんですね。
    私は、彩子ちゃんも好きだったので、大学生活を充実させてあげたかったのよねえ。恵まれている事が不運ということは、ないのだから。それだと再会できないけど。

  • 2015年に発売されたとき、買った積読本でした。

    ダイアナという名前が嫌いな矢島大穴(ダイアナ)と、その親友の神崎彩子の8歳から22歳までの成長譚です。

    帯に本屋大賞ノミネート!!現代の『赤毛のアン』と書かれています。

    ダイアナはキャバクラに勤める矢島有香子(通称ティアラ)が16歳で産んだ母子家庭の子どもで、父は行方不明で、競馬好きだったので「大穴」という名前をつけたと聞かされて育ち、15歳になったら法的手続きをして名前を変えて、将来は大好きな本に囲まれた本屋さんを開くのが夢。

    彩子は編集者の父と料理教室を開く母の間に産まれた遅い子どもで、中学受験をして中高一貫の山の上女学園に入ることになっています。

    ダイアナは母のいいつけで、髪が金髪。彩子は生まれついてのお嬢様で、お互いにないものを持つ二人はお互いに魅かれ合います。

    そして彩子の家にあった『秘密の森のダイアナ』という彩子の父が編集した「はっとりけいいち」という作者の童話がさらに二人を強く結びつけます。

    でも、12歳の中学受験後に彩子がついうっかり口にした暴言で二人の仲はこじれ、それから10年間二人は口も利かずに、それぞれの道を歩んでいきます。

    ダイアナの周りのキャラクターがとても好きでした。
    母のティアラは実は15歳で家出をする前に山の上女学園に通ったこともあるお嬢様でしたが、自分で思うところがあって学校をやめて家出をしました。
    独特の教育方針と子育て法もとてもユニークです。

    ティアラを姐さんと呼んで慕う、ダイアナの同級生の武田君は子供の頃はダイアナをからかってばかりいましたが、中学、高校と進むうちに、ダイアナのよき相談相手です。

    ダイアナが高卒後、アルバイトを始めた書店の店長の田所さんは、ダイアナを父親のような目で見守ってくれます。

    そして最後はやはりこの人かと思ったダイアナの父親との再会。
    彩子との仲直りもできました。
    彩子もたくましく成長していました。
    そして、ダイアナの幸せに満ちた将来がみえました。

  • 主人公は「大穴」と書いて「ダイアナ」と読む…
    何というか…
    「名前」って親からの最大の呪いだな、と思った。

    でもこの小説は、毒親との戦いの話ではない。
    主人公のダイアナと彩子のとても強い友情の物語。
    育った環境は全く違うけど、お互いの持っていないところに惹かれ合う二人。とある誤解から距離を置くことになるが、どんなに環境が変わって、いろいろな経験を経ても、二人がソウルメイトなのは変わらない。

    とても美しくて感動しながら、いろんな涙を流しながら、楽しく読んだ。
    すごくいい。全ての人に読んでほしい。

    ところで、ちょうどこの本を読んでいるタイミングで、うちの娘が誕生日を迎え、自ら改名手続きを申請できる15歳になった。
    恐る恐る、自分の名前を変えたいと思ったことないか聞いてみたところ、
    「名前を変えたいと思ったことは一度もない。結構気に入っている。でもパパを変えたいと思ったことは何度もある」
    だって…(涙)

    • たけさん
      Macomi55さん、コメントありがとうございます!はじめましてになりますね。

      同じ歳の娘さんいらっしゃいましたか!
      なかなか多感で難しい...
      Macomi55さん、コメントありがとうございます!はじめましてになりますね。

      同じ歳の娘さんいらっしゃいましたか!
      なかなか多感で難しい年頃ですよね。生意気な口もきくし。まあ、そこが楽しくもあるのですが。

      「ダイアナ」という名前にした理由は読んでるとなんとなく理解できるのですが、「大穴」という感じを当てた理由はわかりませんでした笑
      でも、大穴の母親(シングルマザー)は悪い母親ではないと思いました。めちゃくちゃなだけで。
      2021/11/27
    • Macomi55さん
      たけさん
      ほんとですよね。受験もあるし大変ですよね。褒めても、叱っても、励ましても、諭しても「うるさい」って言われますよ。
      「パパを変えたい...
      たけさん
      ほんとですよね。受験もあるし大変ですよね。褒めても、叱っても、励ましても、諭しても「うるさい」って言われますよ。
      「パパを変えたい」気持ち分かります。でもそんなことを面と向かって言ってもらえるくらい仲の良い親子なんですね。
      ダイアナさんの漢字のことで思ったのですが、この子のお父さんは博打好きなのかな?
      今後とも宜しくおねがいします。
      2021/11/27
    • たけさん
      Macomi55さん
      気難しいですよね。
      声かけて、まともに返事が返ってくると「ラッキー!」みたいな笑
      「パパを変えたい」気持ちわかり...
      Macomi55さん
      気難しいですよね。
      声かけて、まともに返事が返ってくると「ラッキー!」みたいな笑
      「パパを変えたい」気持ちわかりますか(苦笑)そんなもんなんですかね。

      ダイアナの父親の読みイイセンいってます。父親探しはこの小説の大きなテーマの一つなので、是非読んでみてください!

      こちらこそ、今後ともよろしくお願いします!
      2021/11/27
  • ダイアナで大穴、自分の名前をティアラと呼ばせる母親に引いてしまったが、名前や生い立ちも予想外な展開になって行く。
    8歳のダイアナに真逆な友達の彩子が現れる。二人の理想は相手側の生活。無いものねだりの二人に、小さなすれ違いから10年の亀裂が発生する。
    「赤毛のアンシリーズ」を読んでいる方には良くわかる内容かも知れないが、読んでいなくとも面白く読める。
    自分の夢を貫き通すダイアナと回り道をしながらも何とか立ち直る彩子。二人の行く末とダイアナの武田君との恋愛の続きが読みたくなる。

  • 二人の少女の小学生時代から社会人になるまでの成長物語。途中から、この作品は『赤毛のアン』へのオマージュだということがわかった(読んだことはないけれど、ストーリーは何となくわかる)。子ども時代のダイアナの生活の苦労が気の毒に思われたが、成長とともにその生活が反転したような彩子の大学時代の体験には、とても驚かせられた。柚木氏がこのような文章を書くとは思っていなかったので、新しい発見ができてよかった。

  • 柚木麻子さんの作品を読むのは久しぶりになります。
    以前、いくつか読みましたが、いずれも女子同士の繋がりが主に描かれていました。
    今作も二人の女の子の゙小学生から大人になるまでの成長、また二人の交わり、繋がりが書かれていました。
    読み終わって、柚木麻子さんは女子を書かれるのが、とても上手な方だな~と改めて思いました。
    言葉もわかりやすく、文章も読みやすく、また面白かったので、あっという間に読み終えました。
    また、柚木麻子さんの作品を読んでみようと思っています。

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著者プロフィール

1981年生まれ。大学を卒業したあと、お菓子をつくる会社で働きながら、小説を書きはじめる。2008年に「フォーゲットミー、ノットブルー」でオール讀物新人賞を受賞してデビュー。以後、女性同士の友情や関係性をテーマにした作品を書きつづける。2015年『ナイルパーチの女子会』で山本周五郎賞と、高校生が選ぶ高校生直木賞を受賞。ほかの小説に、「ランチのアッコちゃん」シリーズ(双葉文庫)、『本屋さんのダイアナ』『BUTTER』(どちらも新潮文庫)、『らんたん』(小学館)など。エッセイに『とりあえずお湯わかせ』(NHK出版)など。本書がはじめての児童小説。

「2023年 『マリはすてきじゃない魔女』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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