本屋さんのダイアナ (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社
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レビュー : 169
  • Amazon.co.jp ・本 (400ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101202426

感想・レビュー・書評

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  • 一気読みしました。止まらなかった。これはやばい。読まれる方は読み始めの時間に十分に注意された方がいいです。

    ダイアナと彩子がお互いにないものを羨ましがりあう姿が微笑ましく、心温まりながら読み進めました。
    ダイアナは自分の周りにあるのは流行に乗ったくだらないものだと思っていて、彩子は逆にキラキラしてて可愛く魅力的なものだと思っている。この二つの視点が交互にくることで、自分の視野が広がる気がしました。
    私も、私がくだらなくてどうしようもなくて捨てたいと思っているものが、最高に私らしくて素晴らしいものなのかもしれない。
    そしてティアラさんはそのことにきっと気づいていたんだね?超カッコイイ。

    自分に呪いをかけているというくだり、ドキッとしました。
    「なんびとたりとも、私を縛ることはできない。私に命令できるのは、この世界で私ひとりだけ。私だけが私のすすむべき道をしめすことができる」
    それを口に出す勇気がなければ、呪いを解くことはできないんだね。
    勇気を振り絞らなきゃいけないんだね。
    簡単なことのようだけど、それはとっても難しいことだと思いました。そして誰しもがその呪いにかかってしまう。でも、絶対に自分で破ることができる。
    「呪いを破ったんだわ!私一人の力で!」
    作中作のダイアナのセリフですが、泣いちゃった。
    彩子もダイアナも呪いをかけられていて、(彩子の呪いの方が衝撃的だったけど)でもそれを自分一人で乗り越えたんだ…って本当に感動しました。
    また呪いはどこからともなくやってきてしまうかもしれないけど、その都度解き続けていけばいいんだー!
    そんな時、そばに居てくれる人を大切にしたいと思いました。

    「悲しくて辛いのが、まるで上等なことのように、ずっとずっと思い込んでいたのでした」
    すごく心当たりがあります。私も呪われている…

    「さよなら、「いい子」の魔法」も読みたい(^^)

  • 相手の環境が羨ましい。自分はこの世界から抜け出せないのではないか。
    そんなきっと誰しもが思ったことのある感情を、二人の女性を通して、自分は自分しか変えることができないんだ、道を切り開かないといけない、と教えてくれる1冊

    最初から最後までぐいぐい読ませるけど、都合のいい展開ばかりではなくて、彩子の大学時代は読み進めていてもしんどいものがあった。
    でもそれでも道を切り開く二人に勇気をもらえる。

  • これまで、どの作品も夢中で一気に読んでいたが、これは途中で止まってしまっていた。自分はもう30代なので、小学生〜中学生の女の子同士の話に共感が薄かったからだと思う。
    しかし、また読み出したところ後半に圧倒された。最後は、感動で涙が止まらなかった。私が柚木作品に夢中になったきっかけの、『その手を握りたい』で味わった時と同じように、最後の展開に圧倒された。
    すごく精密に、組み立てられていることに驚かされる。
    そして今回も、女なら味わう、自分の汚さ、ズルさにギクリとさせられる反面、皆同じなのだとホッとする。
    やはり、柚木さん作品はすごい。
    一番好きな作家さんの1人です。

  • 柚木先生の小説は2人の対照的な女性を描いているものが多く、本屋さんのダイアナもそのうちの1作である。
    風景が想像しやすく、また25歳の私にとって登場人物に感情移入しやすく、今までの人生の中での友人との関わり方を考えさせられた。

  • まるで自分のにあるような言葉だと思う。これでいいんだよ、と励まされている気分だ。こんな風に心にぴたっとくる描写や表現に出会えるから、読書はやめられない。(本文より)

  • 理想と現実のギャップがある中で、自らの力で道を切り拓いていくダイアナと彩子に背中を押されました。
    勇気を出して一歩踏み出したいときに最適な一冊です。

  • この本にあるように、いい少女小説は、いくつになってもいいものなのかも知れない。
    いい少女小説には、次世代の女性たちには、女性だからこそ出会う不条理や足かせがあっても、まっすぐに生きてほしいという作者の(特に女性の作者の)思いが、隠されているように思う。そういうのを物語のメインでない所で感じるようになったってことは、私は、とうに少女ではない(当たり前だ!)ってことだろうな。

    巻末の解説によると「赤毛のアン」の本歌取り。
    境遇も容姿も、まるで正反対の、でも、読書が大好きな女の子2人が、大人になっていく物語。

    この本のすごいとこの一つは、若くて魅力的な(立場の弱い)女性に対して、(一部の)男性がどんなことをし得るかをはっきり描いていること。「No」を言える強さと賢さは、女性が幸せになるために、ほんと大事。それは、少女たちに知っておいてほしいこと。女手ひとつでダイアナを育てるティアラさんが、小学校6年生の彩子に語る内容が、なかなかにすごい。

    「優しくて上品なのは彩子ちゃんのいいとこだけどさ、男になめられるスキをあたえちゃだめってことだよ。いざとなったら、ガチで闘う気迫で生きなきゃ。」
    「女ってもともと男よりずっと強いんだよ。」

    そして、終盤には男性の弱さや情けなさも、遠慮なく描かれている。ある意味、男性立入禁止の物語かな。おっと、2人の幼馴染の武田くんだけは、「ギルバート」か。

    巻末の解説は、翻訳家の鴻巣友季子さん。あの「風と共に去りぬ」の新訳をされた方で、ちょうどEテレの「100分de名著」に出演されているのを楽んでいたので、うれしい偶然でした。

  • 全体的に素晴らしい話でした。
    不器用に生きる自分の胸を打つ言葉や思いも多く、持ち歩きたいお話です。

    小学校から社会人になるまでの2人を描く物語ですが、2人が揃うと物語がより一層、宝石のようにきらきらしていています。別々に進むころから読むこちらも苦しく、大学時代の彩子の姿は容易に想像できる環境なだけに、苦しくなりました。

    しかし、どちらも呪いを解くことができるのです。
    わたしは未だに呪いを解けずにいるのかな。

    自分が小学校のころ親友だった子も”AYA”だった上に、去年、実に10年ぶりくらいに再会したこともあり、ついつい感情移入して自己投影をしてしまいました。彼女もまた裕福で愛されていて、中学受験をしていて、優等生タイプだったな〜。

  • 柚木麻子さんを知るのにもってこいの小説。
    白柚木に黒柚木、彼女の中にとりこまれている数々の名作の息遣いをも感じられる作品になっている。軽やかでテンポよく読めるものなので、柚木さんの作品をすすめるとしたら、まずこれから読んでほしい。
    彼女の驚くほど細やかな心情描写と、木漏れ日のなかを揺蕩うような独自の世界観。
    これを読めばあなたも柚木ワールドの虜になるだろう。

    本書紹介
    女の子ふたりの惚れ惚れするほどまっすぐな友情を描いた作品。
    ダイアナと彩子は対極な環境の中、育てられてきた2人の女の子。
    運命的な出会いから、腹心の友になったふたり。しかし、彩子が中学受験迎えた頃、ちょっとした誤解から二人の間に大きな溝が生まれてしまう。それからは互いに言葉を交わすことはなく、別々の道を歩むこととなる。
    そして約10年の月日が流れる。
    ダイアナは本好きが転じて本屋に務め、彩子はあこがれの大学でそれぞれの時を過ごす。2人がお互いのことを忘れることは一時もなく、苦しい時はかつての腹心の友からもらった勇気が心の支えだった。
    どこまでも正直にまっすぐ成長したダイアナと、かつての純真さを失ってしまった彩子。2人の再会は何をもたらすのか。

    赤毛のアンや、若草物語といった名作少女小説を彷彿とさせる瑞々しさと甘酸っぱさ。
    そこかしこに宝石を散りばめたかのような濃やかで繊細な情景描写と、眩いほど素直に生きる主人公ダイアナから目が離せない。
    世界の名作、赤毛のアンに次ぐ史上最強のガールミーツガール小説がここに。

    (最後フレーズ新潮文庫さんの丸パクリです)

  • 対照的な2人の少女、ダイアナと彩子の友情の物語。
    お互いにない部分がうまく合わさって、刺激しあい、支え合って成長していく。
    またその過程で、2人はお互いを通して自分を見つめ直していく、とても内面的なお話でもある。

    この2人がどうなっていくのか、どきどきうきうき見守る読者を置いていくように、後半は徐々に思いがけない展開へ。ダイアナの父もなかなかだけど、特に彩子の身に起こったことは、つらかった…。

    女の子の友情って難しいところもあるけれど、そういうリアルなところも含めて、恋愛とは違う、とても“運命的な“絆”をみれたと思う。
    (2人の関係をより特別にみせる為か、この話では恋愛について、触れているようで触れていない、と思う。個人的には、きっとこの先そうなるであろう、武田くんとの微笑ましい関係が見たかったけどナー!)

    この本のもうひとつの特徴が、度々文中に挿入されるおとぎ話と徹底的な現実のギャップ。これがまた不思議なバランス。作中に出てくる「さよなら、いい子の魔法」。
    私はそっちから本作に辿り着いたけど、本当に素敵な一冊だから、その本も是非手にとってほしい!

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著者プロフィール

柚木麻子(ゆづき あさこ)
1981年、東京都生まれの小説家。立教大学文学部フランス文学科卒業。2008年に「フォーゲットミー、ノットブルー」で第88回オール讀物新人賞を受賞し、2010念二同作を含む初の単行本『終点のあの子』を刊行。2014年に『本屋さんのダイアナ』で第3回静岡書店大賞小説部門受賞。2015年『ナイルパーチの女子会』で第28回山本周五郎賞受賞、直木賞候補に。2017年『BUTTER』で直木賞候補。2019年、『マジカルグランマ』が第161回直木賞候補となる。

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