BUTTER (新潮文庫 ゆ 14-3)

著者 :
  • 新潮社
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本棚登録 : 8082
感想 : 577
  • Amazon.co.jp ・本 (592ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101202433

作品紹介・あらすじ

男たちの財産を奪い、殺害した容疑で逮捕された梶井真奈子。若くも美しくもない彼女がなぜ──。週刊誌記者の町田里佳は親友の伶子の助言をもとに梶井の面会を取り付ける。フェミニストとマーガリンを嫌悪する梶井は、里佳にあることを命じる。その日以来、欲望に忠実な梶井の言動に触れるたび、里佳の内面も外見も変貌し、伶子や恋人の誠らの運命をも変えてゆく。各紙誌絶賛の社会派長編。

感想・レビュー・書評

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  • この作品によって心の一部をえぐられてしまったのか、弱ったメンタルにこの作品が一撃をくらわしたのか、わからない。
    ずっしりとした内容の作品でも、読了後は多かれ少なかれ爽快感があったり、生命力が溢れ出してきたりするものだけれど、この作品を読み終えた今、なぜかそういった感情は沸いてこず、ぐりぐりとした違和感がわたしの心を支配している。台風の季節とともに、わたしの心の中にも、台風ができたかのようだ。

    この作品は2007年から2009年にかけて実際に起こった「首都圏連続不審死事件」を基にしている。いわゆる「木嶋佳苗による連続殺人事件」だ。こうした、ある事件を土台としたフィクションはこれまでにも読んできていて、塩田武士さんの「罪の声」や姫野カオルコさんの「彼女は頭が悪いから」などが該当する。いずれも、ものすごいエネルギーが注がれていて、そこから作家さんの並々ならぬ強い思いが伝わってきて、かなり印象に残っている。本作品も同様に、ものすごいエネルギーと取材量が伝わってきて、圧倒されているところだ。
    「罪の声」を読んだ時、Wikipediaで事件を追いながら読むと、日時がまるで同じだった。「彼女は頭が悪いから」を読んだ時、実際の事件とぴたりと重なる言葉と情景がそこにはあった。本作「BUTTER」はどうか。3人の被害者が亡くなっているという点では実際の事件と同じだが、その殺害方法などは実際の木嶋佳苗によるものと異なっていた。だから、解説と帯で山本一力さんが「物語が進むにつれて、事件からも犯罪者からも遠ざかる。独立したオリジナリティーに富んだ物語が展開される」と描いているように、完全なノンフィクション小説とは異なる。しかし、読了後に木嶋佳苗のブログを目にしたり、獄中結婚についての記事を見たりすると、木嶋佳苗という人物像からは、絶対に軸をぶらさずに描いているということがわかる。ブログは特に、読んでいると途中で文章が入ってこなくなって、何を言っているのか、何を言いたいのか、分からなくなってくる。少し、頭がおかしくなってくるのだ。
    なぜこんなにも今、読了後にポジティブな感情がなく、ネガティブな感情がわたしを支配しているのか。もしかしたらわたしも、木嶋佳苗、いや、梶井真奈子に、心を持っていかれてしまったのではないか。だからこんなにも疲れていて、それなのに近所の図書館へ走り、参考文献に載っていた本を借りに行ってしまったのではないか。

    柚木さんの作品は初。帯には「各詩誌で大絶賛の渾身作」「読みながら震えが止まらなかった」「脳髄がしびれた」「ノンフィクション・ノベルの名著として歴史に名を残すことは間違いない」と絶賛するうたい文句が並ぶ。社会派という好きなジャンルの作品であることも相まって、ものすごく期待をして読み始めた。が、読了後、この有様である。

    この作品の中で、主人公の里佳は記者として、徹底的にカジマナと向き合う。彼女に振り回され、どんどん変化していく。周りは里佳を心配するが、里佳は止まらない。止められないのだ。もっともっとと、取材を重ね、カジマナとの関係にも変化が生じていく。里佳が大切にしてきたものが、次々損なわれてゆく。
    変化は、人を不安にさせる。
    けれど、同時にもっと大切なものにも気付かされる。

    知っているものに対しての安心感、知らないもの・変化していくものに対しての恐怖感。人間や社会は、圧倒的に後者だ。例えば、友人が結婚したり、子どもができると、その友人との関係性に変化が生じる。女性であれば、距離を置く人もいるだろう。これまで普通に一緒に過ごしていた友人が、母親になっていく姿。友人が自分の知らない人になってしまうのではないか、と、人によっては、それは恐怖に値する。一方前者は、自分自身を守ってくれるものではあるけれど、人間関係にあてはめると、依存や支配的な関係を生み出す。どうすれば相手が自分を見てくれるのか、それを一度知ってしまえば、あとは似たような相手を見つけるだけだ。それを繰り返す。閉鎖的な人間関係の中で、ただただ、蜜だけを吸う生活。カジマナからしたら、それがたまたま結婚詐欺だった、というだけの話なんだろう。事実としては、3人の男性が、命と、億単位の金銭を奪われているにも関わらず。

    なぜ本作品のタイトルが「BUTTER」なのか。読む前は全くわからなかったこのタイトル。
    作中にたくさん出てくるバターの描写、ブクログのレビューでも見かける「絶対バターが食べたくなる」という感想。それには騙されないぞ、と必死にあがいたところで、やはりバター醤油ごはんと、エシレバターが食べたくなりました。友人の結婚式の引き出物のカタログに載っていた「ばたぁめし」とにらめっこを繰り返しました。
    バターは、塊の状態と、完全に溶けた状態と、その中間、少し塊が残っている状態と、全て味が異なる。この作品の読了直後、バターの塊状態だったわたしの心が、こうして言葉にすることで、少しだけその塊が溶け出して、心の中に広がっていこうとしている。あたたかいトーストに載せた時と同じくらい、バターが溶けだしている。きっとこうして、少しずつ時間が経つにつれ、どんどん溶け出したり、あるいは固まったりして、形を変えてゆく。作品が、わたしの中に落とし込まれてゆく。あなたには、どんなバターの味がするのだろう。ある人には、それは塊のバターのもったりとした味わいに、またある人には、形がなくなったバターのとろりとした味わいに。やけどにも、お気をつけて。

  • 芳醇なバターの香り。
    バターを贅沢に使ったお料理が食べたくなる。そして読み終わる頃にはだいぶ胸焼けして食傷気味になる。(…とか言ってとりあえずバターご飯食べて、エシレバターを検索かけた。高くて手が出ない。)

    本作は、木嶋佳苗の連続殺人事件をベースにしたフィクションである。もう10年以上前になるんだね。当時かなりニュースを追いかけたから、今でもよく覚えている事件だ。
    今、彼女はどうしてるのかなと思って調べたら、獄中からのブログがあり、三度の獄中婚をしていた。さすがというかなんというか。
    でも最近更新されていないみたいだ。更新が途絶える前に、柚木麻子さんのこの本のこと、『バターって何やねん?』とディスっておった。確かに、自分の人生を題材に勝手に料理されちゃうのは佳苗の美学にも反するのだろうな。料理は自分でしたいタイプよね、きっと。
    "私は「BUTTER」の梶井真奈子とは違うので、サンヨーの桃缶ではなく、ピンク色の和紙に包まれた金色の桃缶を食べています。"
    という謎のマウントもあった。これは、かえってカジマナぽいな、というかカジマナは木嶋佳苗をよく研究して作られたキャラなのだなと再確認してしまうのだけど。

    さて、BUTTERのあらすじはというと。
    孤独な男たちに近寄り、多額の金を貢がせ、最後は殺害した容疑で逮捕されたカジマナこと梶井真奈子。この事件が注目されたのは、大勢の男たちを手玉にとり、法廷でも女王様然としていた梶井が、決して若くも美しくもない、むしろ太っていたことから。
    一審で無期懲役となり、控訴審を控えているカジマナに、週刊誌記者の町田里佳は取材を申し込む。カジマナは取材を一切受けないことで有名で、ことに女性記者に対して冷淡だという。
    しかし理佳は、友人怜子の助言をもとに、レシピを聞いてみるという方法で、カジマナとの面会にこじつける。

    「わたしは亡き父親から女は誰に対しても寛容であれ、と学んできました。それでも、どうしても、許せないものが二つだけある。フェミニストとマーガリンです」

    「仕事だの自立だのにあくせくするから、満たされないし、男の人を凌駕してしまって恋愛が遠のくの。男も女も、異性なしでは幸せになれないことをよくよく自覚するべきよ。バターをけちれば料理がまずくなるのと同じように、女らしさやサービス精神をけちれば異性との感性は貧しいものになるって、ねえどうしてわからないの。わたしの事件がこうも注目されるのは、自分の人生をまっとうしていない女性が増えているせいよ!」

    …次々繰り出されるカジマナ語録。
    揺るぎない信念に基づき、自分の欲望に忠実であることに何の躊躇もないカジマナ。理佳は何度も面会に行き、カジマナに恋と料理の指南を受けるうちに、カジマナに翻弄され、言われるままに食を堪能するようになる。次第に外見も内面も変貌し、親友や恋人との関係も変わっていく──。

    カジマナの語りと、理佳がカジマナに落ちていくあたりは面白かったのだけど、中盤くらいから、事件やカジマナから離れていき、理佳自身の生き方や、女同士の友情や関係性といったテーマが中心になっていった気がする。
    でも控訴審の行方くらいは知りたかった。
    読んだのはたぶん2週間くらい前なのだけど、カジマナの翻意と、理佳の気づきのあたり、十分に理解できていなくて、なんでこの結末に落ち着いたのだろうと、なんだかモヤモヤが残ってしまっている。 

  • 男たちの財産を目的に結婚、殺害?した犯罪を取材する主人公。
    解説で山本一力氏が書いているように、「女性同士の友情と信頼」がテーマ。

    580Pある長編なので、読み終わるのに少し時間がかかってしまいました。
    特に前半は。

    しかしここまで振り回されてしまうものなのか?
    それとも現代はみんなが周りを気にしすぎて、自分というものを持てていないと言うことか?

    話の至る所に美味しそうな料理が出てきます。

    とりあえずマーガリンは止めてバターを買い、バター醤油ごはんやバタートーストを楽しみました。。

  • 何だろう、読んでも読んでも終わらない感じでした。
    バターを吸って重くなった本、みたいな。
    カジマナ、重い!読んでるだけで太りそうなカロリーの高い内容でした。
    みんな、カロリーの高い話が好きだから。
    って、ほんとそう!

    料理の描写は毎回読んでてお腹が空きました。
    出てきたジョエル・ロブソンは行ってみたい!緊張してナイフをガッチャーン!って落とすだろうけれど…。

    私としては、れいこさんは北川景子さんを想像して読んでいました。

    読み終わった後の満足感と満腹感。

    • にゃんちびさん
      ひまわりめろんさん
      コメントありがとうございます!

      なんでしょう、厚い本なら今までも何度も読みましたが、明らかに重量(言葉のまま笑)が違う...
      ひまわりめろんさん
      コメントありがとうございます!

      なんでしょう、厚い本なら今までも何度も読みましたが、明らかに重量(言葉のまま笑)が違う一冊でしたね!
      わかって頂けて嬉しいです!!
      使って下さい!喜びます!私が!笑
      2022/03/08
    • ひまわりめろんさん
      にゃんちびさんこんにちは!
      許可が出たので使いました!w
      単行本版の方の私のレビューです
      にゃんちびさんこんにちは!
      許可が出たので使いました!w
      単行本版の方の私のレビューです
      2022/03/17
    • にゃんちびさん
      ひまわりめろんさん

      ありがとうございました!たのしかったです⭐︎

      またカロリー高めの本を探して読んで、胸焼けしましょうね!
      ひまわりめろんさん

      ありがとうございました!たのしかったです⭐︎

      またカロリー高めの本を探して読んで、胸焼けしましょうね!
      2022/03/17
  • ゆずきあさこさんとゆづきゆうこさん。
    改めて、名前が似ているなぁ、まぎらわしいなぁ…と。(両先生、ごめんなさい…)
    男も惚れる男のかっこよさを描いたゆづきさんの小説のあとに、ゆずきさんの書いた女同士の怖い小説を読んだので、その世界のギャップがあいまって、お名前がこうも似ていることが面白く感じる。
    なんせ「あさ」と「ゆう」だけの違いなんで。

    木嶋佳苗の事件をモデルにした結婚詐欺犯カジマナに、その取材をする過程で振り回される週刊誌の記者里佳を描く小説。

    タイトルはちびくろサンボのバターのことだな、と。
    虎が戦利品を巡って争ってぐるぐる回ってなっちゃうバター。
    絶版になる前にこどもだった人はみんな、あの絵本を読んでバターたっぷりのホットケーキ食べたいと思ったはずだ。
    (ちなみにwikiによるとサンボは169枚もホットケーキを食べたそうだ)

    あの絵本の中でバターは人生で手に入れるべき勝利と幸せの象徴として描かれている。

    結婚詐欺の末、男性3人を殺害したとされるカジマナがこだわったバターとは、そういうものなのだ、と解釈した。

    ただ、バターは摂りすぎると太って見てくれを損ね、生活習慣病となり健康を損ねてしまう。
    それでも止めることができないほど、その香りとコクに魅了される。

    殺害された(とされる、最後まで真相は闇の中だ)男たちにとって、カジマナはバターだったのだろう。


    主人公の里佳はカジマナと取材を通して振り回されながらも信頼関係を築いた…と思った終盤で裏切られる。

    何冊か柚木麻子さんの小説を読んでて薄々感じていたことだが、このシーンで、「柚木さんって超ドS」と思った。決定的に。

    いやぁ、ここにきて、これかぁ…と。

    まあ、この突き落としがこの小説のキモなのですが。


    この小説は人間関係の描写が非常に濃厚で密度が高い。そして、冗長。TOO MUCHでした。
    胸焼けと胃もたれになり、感想を書けるまで回復するのに少し時間がかかりました。

    胃腸が丈夫な人は是非読んでください。

    あっ、でも七面鳥は食べてみたい!

    • たけさん
      naonaoさん、こんばんは!

      naonaoさんのレビュー読み直してみて、改めて共感しました!
      そうですよね。この本にはある種のショックを...
      naonaoさん、こんばんは!

      naonaoさんのレビュー読み直してみて、改めて共感しました!
      そうですよね。この本にはある種のショックを受けますよね。
      「弱ったメンタルに一撃をくらわす」ような作品ですよね。

      僕も、読んでいて、信頼していた人に裏切られた、と感じた過去の出来事を思い出したりしました。辛くなりました。

      痛い目をみる小説だと思います。
      でも、僕は嫌いじゃないんですよね。Mなのかもしれませんね。

      カジマナと向き合うにはどうするのがベストか?

      僕は向き合いません。
      意図せず近づいてしまったら、カジマナの視界になるべく入らないように、関心を引かないように静かに逃げ去ります。
      変な気をおこしてはいけません。
      2020/10/31
    • naonaonao16gさん
      たけさん、こんばんは!

      本日たまたま、この作品を引用したテレビ番組を見ていて、不思議なタイミングだな~と、再度コメントです(笑)
      おいしい...
      たけさん、こんばんは!

      本日たまたま、この作品を引用したテレビ番組を見ていて、不思議なタイミングだな~と、再度コメントです(笑)
      おいしいバター特集をしていて、わたしもこの作品を読んだ直後、高級バターを塗りたくった食パンやバター醤油ごはんなど、禁断の味に目覚め、すぐその熱はさめたのですが、タイミングとは不思議なもので、また高級バターにとりつかれそうになっています。

      レビュー再読してくださったそうで、ありがとうござます!
      わたしも実はこの手の作品が嫌いじゃないんです(笑)まあ、だから読んだんですけど…

      カジマナと向き合わない!潔い選択ですね(笑)
      人と関わる仕事をしているからか、「この人をどう攻略するか」という視点で相手を見がちです、よくないですね…
      2020/11/01
    • たけさん
      naonaoさん、こんばんは。
      再度コメントありがとうございます!

      すっかりバターにはまってますね笑

      さて、確か、柚木麻子さんの小説は「...
      naonaoさん、こんばんは。
      再度コメントありがとうございます!

      すっかりバターにはまってますね笑

      さて、確か、柚木麻子さんの小説は「BUTTER」がはじめてとのことでしたよね。この手のが好きなら、ぜひ「ナイルパーチの女子会」も読んでみてください。描かれた人間関係にいやーな気分になれます。

      あと、カジマナの攻略法!
      良い考えが浮かんだら教えてくださいね。
      期待してます笑
      2020/11/01
  • この作品は、世の中を震撼させた木嶋佳苗死刑囚がモデルとなっているらしい。
    たいして美しくもなく、小太りの中年女の愛人達が、多数不審死したという、世間をかなり賑わせた事件だ。
    この木嶋容疑者は私と同じ歳ということもあり、このような事件があったことはしっかり記憶に残っていた。

    さて?この事件をどのように料理するのか?真相を暴くのか?全く別の事件に書き換えるのか?
    どのように紡がれるのか興味津々で読み始めた。

    容疑者であるカジマナの取材に取り付くことが出来た雑誌記者の里佳だが、カジマナと話す度変わっていく。
    その変化は、里佳の周りまで大きく巻き込んでいくことになる。

    表題のバターが随所に散りばめられ、美味しそうな描写が盛り沢山。
    お腹が空いた時に読んでしまったら、涎が止まらなくなるだろう(笑)

    最後の七面鳥の描写は、部屋のイメージやら、お料理が頭の中に自然に浮かんできた。

    これだけ分厚くて、内容もコッテリしているが、まだ全てを吐き出していないような?そんな感じがしてしまった。

    女性達の心理の描写は流石過ぎてため息しか出ないが、私の好みの小説とはちょっと違った(^_^;)

  • 里香は自分の食べたいものを自分で、考えレシピを作る。

    そのレシピをいろんな人に伝え世界に波紋のように伝えていけるようにしていくことで生きていく、生きていきたいと感じるようになった。


    梶井に今、会いたい。会って、こう伝えたい。
    この世界は生きるに、いや、貪欲に味わうに値しますよ、と

    この本を読む事でレシピがその人の人生の議事録のような扱いでそれを誰かに渡すことで自分も相手も満たされていくんだなぁと感じとてもおもしろかった。

    それとバターが無性に食べたくなってしまいます。笑

  • この本は読む前から「苦手なタイプ」とわかっていた
    なのに手に取ってしまった…

    「木嶋佳苗事件」がとても強烈で印象深かったから

    「羊たちの沈黙」みたいに主人公である30代の女性記者が自分のプライベートやプライバシー、心の内までも容疑者に曝け出し、捧げながら、容疑者の懐に入っていく
    彼女を知ろうと行動までも模倣する内、主人公やその周りの人達の人生が良くも悪くも影響されていく
    容疑者の人生や事件背景を調べながら、主人公が自分と向き合い、自分らしさを発見していくストーリー展開

    うーん
    やっぱり苦手なタイプだった
    たくさん出てくる料理もフレンチ系が多く特有のこってりとした重さがだんだんのしかかってきて、くどくなってくるのと同じくして、内容ももたっとした重さやねとっとした湿度を感じ胸やけしてくるではないか!

    数々の料理にやミステリー要素もあり、読みやすいので600ページ近くあるが難なく読めた
    しかし寝る前に読むと消化不良の胃袋を抱え、布団に入るようで、絶対良質な睡眠が得られない!(と思う)
    しかしそのくらい圧倒する力量のある文章力である
    そしてツールとして「木嶋佳苗事件」うまく使って、フィクションの世界に違和感なく存在させるテクニックは素晴らしい

    フレンチのフルコースが好きで、仕事や恋愛や友情に悩んだり、真剣に向かい合っているエネルギッシュでちょっと憂いのあるような女性にはかなり面白く読めると思うし、感情移入できる部分も多いだろう
    イタリアンと和食好きで、悩むことより悟りの境地に入るつつある自分には残念ながら楽しめない(笑)

    butterというタイトル通り、容疑者はバターに対する入れ込みが激しく、当然ストーリー的にもキーワードになる
    個人的にバターは溶かさず、食材に乗せて一緒に味わうと芳醇で贅沢な感じがしてとても好きだ
    しかしエシレバターを手に入れる!という夢は叶っていない(泣)

    個人的にこの小説よりノンフィクション部分が気になるという悲しき現実主義という結論に
    しかしこういう本が好きな方にはかなり面白いのでは?とおすすめできる!

  • オンナとして生きることを描いた小説で、さらに言うと飯テロ本でもある。柚木さんの小説の魅力のひとつが「脳の食欲の部分を直接揺さぶってくる」ことなのですが、現在読んだなかではその最高峰。バターの溶けてく描写、舌がさわった時の味の表現、料理が出来上がっていく場面ひとつひとつが丁寧かつ暴力的で、これを読んでお腹が減らない人っているのだろうか…と思います。
    もちろんストーリー自体も濃厚。「普通の小説ならこんな展開になるだろう」という予想を打ち砕き、一番盛り上がる展開をサラッと書く一方で心の機微は分厚く書かれていて、オンナとして生きる人なら心当たりがある辛さを言語化してくれるように感じました。
    柚木さんのような美しい表現で食を楽しみたいと思い実践してますが、いまのところ彦摩呂さんにも届かず。それだけが残念…。笑

    • 3cyo-me10-12さん
      これを読むと、バター食べたくなりますよね〰(^_^;)。僕も少し体重ふえましたもん。
      これを読むと、バター食べたくなりますよね〰(^_^;)。僕も少し体重ふえましたもん。
      2021/06/22
    • はるさん
      バターの魅力にとりつかれますよね、わたしもついエシレのマフィンを買ってしまいました。笑
      バターの魅力にとりつかれますよね、わたしもついエシレのマフィンを買ってしまいました。笑
      2021/06/22
  • 歳上の男達の心をもてあそび、財産と命を奪って、逮捕された梶井真奈子。
    週刊誌記者の里香、その友人の怜子は、梶井との接触から、その言動に翻弄され始める。

    当然、世間を騒がせた「毒婦。」の事件が着想だろうが、別の作品でしょうから、あえて調べない。

    食に執着する梶井から、次々とレシピを示される。里香は忠実に、彼女の食のヒストリをたどることにより、彼女の犯罪を炙りだそうとする。

    社会派小説という前説だったが、なかなかの長編で、描かれているものが多い。マスコミの対応、事件の特異性等、社会派の側面もあるが、後半からは、女性の生きづらさ、友人の在り方、仕事への向かい方など、方向性が変わっていった様に思う。

    意欲作らしく、多くを盛り込んだけれど、主題が揺らぎ、長編にも関わらず、中途半端な事柄が残る。
    里香自体の未来は見えるが、事件に関しては、ほぼ解決をみない。
    2作ぐらいに分けたら良かったかもしれない。

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著者プロフィール

作家。1981年、東京都生まれ。2008年「フォーゲットミー、ノットブルー」でオール讀物新人賞を受賞し、2010年に同作を含む『終点のあの子』でデビュー。 2015年『ナイルパーチの女子会』で山本周五郎賞を受賞。主な作品に『ランチのアッコちゃん』『伊藤くんA to E』『BUTTER』『らんたん』『ついでにジェントルメン』などがある。

「2022年 『とりあえずお湯わかせ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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