BUTTER (新潮文庫 ゆ 14-3)

著者 :
  • 新潮社
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  • Amazon.co.jp ・本 (592ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101202433

作品紹介・あらすじ

男たちの財産を奪い、殺害した容疑で逮捕された梶井真奈子。若くも美しくもない彼女がなぜ──。週刊誌記者の町田里佳は親友の伶子の助言をもとに梶井の面会を取り付ける。フェミニストとマーガリンを嫌悪する梶井は、里佳にあることを命じる。その日以来、欲望に忠実な梶井の言動に触れるたび、里佳の内面も外見も変貌し、伶子や恋人の誠らの運命をも変えてゆく。各紙誌絶賛の社会派長編。

感想・レビュー・書評

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  • この作品によって心の一部をえぐられてしまったのか、弱ったメンタルにこの作品が一撃をくらわしたのか、わからない。
    ずっしりとした内容の作品でも、読了後は多かれ少なかれ爽快感があったり、生命力が溢れ出してきたりするものだけれど、この作品を読み終えた今、なぜかそういった感情は沸いてこず、ぐりぐりとした違和感がわたしの心を支配している。台風の季節とともに、わたしの心の中にも、台風ができたかのようだ。

    この作品は2007年から2009年にかけて実際に起こった「首都圏連続不審死事件」を基にしている。いわゆる「木嶋佳苗による連続殺人事件」だ。こうした、ある事件を土台としたフィクションはこれまでにも読んできていて、塩田武士さんの「罪の声」や姫野カオルコさんの「彼女は頭が悪いから」などが該当する。いずれも、ものすごいエネルギーが注がれていて、そこから作家さんの並々ならぬ強い思いが伝わってきて、かなり印象に残っている。本作品も同様に、ものすごいエネルギーと取材量が伝わってきて、圧倒されているところだ。
    「罪の声」を読んだ時、Wikipediaで事件を追いながら読むと、日時がまるで同じだった。「彼女は頭が悪いから」を読んだ時、実際の事件とぴたりと重なる言葉と情景がそこにはあった。本作「BUTTER」はどうか。3人の被害者が亡くなっているという点では実際の事件と同じだが、その殺害方法などは実際の木嶋佳苗によるものと異なっていた。だから、解説と帯で山本一力さんが「物語が進むにつれて、事件からも犯罪者からも遠ざかる。独立したオリジナリティーに富んだ物語が展開される」と描いているように、完全なノンフィクション小説とは異なる。しかし、読了後に木嶋佳苗のブログを目にしたり、獄中結婚についての記事を見たりすると、木嶋佳苗という人物像からは、絶対に軸をぶらさずに描いているということがわかる。ブログは特に、読んでいると途中で文章が入ってこなくなって、何を言っているのか、何を言いたいのか、分からなくなってくる。少し、頭がおかしくなってくるのだ。
    なぜこんなにも今、読了後にポジティブな感情がなく、ネガティブな感情がわたしを支配しているのか。もしかしたらわたしも、木嶋佳苗、いや、梶井真奈子に、心を持っていかれてしまったのではないか。だからこんなにも疲れていて、それなのに近所の図書館へ走り、参考文献に載っていた本を借りに行ってしまったのではないか。

    柚木さんの作品は初。帯には「各詩誌で大絶賛の渾身作」「読みながら震えが止まらなかった」「脳髄がしびれた」「ノンフィクション・ノベルの名著として歴史に名を残すことは間違いない」と絶賛するうたい文句が並ぶ。社会派という好きなジャンルの作品であることも相まって、ものすごく期待をして読み始めた。が、読了後、この有様である。

    この作品の中で、主人公の里佳は記者として、徹底的にカジマナと向き合う。彼女に振り回され、どんどん変化していく。周りは里佳を心配するが、里佳は止まらない。止められないのだ。もっともっとと、取材を重ね、カジマナとの関係にも変化が生じていく。里佳が大切にしてきたものが、次々損なわれてゆく。
    変化は、人を不安にさせる。
    けれど、同時にもっと大切なものにも気付かされる。

    知っているものに対しての安心感、知らないもの・変化していくものに対しての恐怖感。人間や社会は、圧倒的に後者だ。例えば、友人が結婚したり、子どもができると、その友人との関係性に変化が生じる。女性であれば、距離を置く人もいるだろう。これまで普通に一緒に過ごしていた友人が、母親になっていく姿。友人が自分の知らない人になってしまうのではないか、と、人によっては、それは恐怖に値する。一方前者は、自分自身を守ってくれるものではあるけれど、人間関係にあてはめると、依存や支配的な関係を生み出す。どうすれば相手が自分を見てくれるのか、それを一度知ってしまえば、あとは似たような相手を見つけるだけだ。それを繰り返す。閉鎖的な人間関係の中で、ただただ、蜜だけを吸う生活。カジマナからしたら、それがたまたま結婚詐欺だった、というだけの話なんだろう。事実としては、3人の男性が、命と、億単位の金銭を奪われているにも関わらず。

    なぜ本作品のタイトルが「BUTTER」なのか。読む前は全くわからなかったこのタイトル。
    作中にたくさん出てくるバターの描写、ブクログのレビューでも見かける「絶対バターが食べたくなる」という感想。それには騙されないぞ、と必死にあがいたところで、やはりバター醤油ごはんと、エシレバターが食べたくなりました。友人の結婚式の引き出物のカタログに載っていた「ばたぁめし」とにらめっこを繰り返しました。
    バターは、塊の状態と、完全に溶けた状態と、その中間、少し塊が残っている状態と、全て味が異なる。この作品の読了直後、バターの塊状態だったわたしの心が、こうして言葉にすることで、少しだけその塊が溶け出して、心の中に広がっていこうとしている。あたたかいトーストに載せた時と同じくらい、バターが溶けだしている。きっとこうして、少しずつ時間が経つにつれ、どんどん溶け出したり、あるいは固まったりして、形を変えてゆく。作品が、わたしの中に落とし込まれてゆく。あなたには、どんなバターの味がするのだろう。ある人には、それは塊のバターのもったりとした味わいに、またある人には、形がなくなったバターのとろりとした味わいに。やけどにも、お気をつけて。

  • <生成り色の細長い建売住宅が、なだらかな丘に沿う形でどこまでも連なっている。>
    里佳の親友、伶子の住む町だ。
    冒頭からふんわりと柔らかいバターの色のイメージが広がっている。
    里佳は週刊誌の記者。婚活サイトを介して次々と男達から金を奪い、三人を殺した罪に問われているカジマナこと梶井真奈子を追っていた。カジマナの事件が世間から注目を浴びている訳は、大勢の男性を手玉に取っていたカジマナは決して若くも美しくもなく、デブであったということだ。また、カジマナは料理好きで、被害者の男の一人は死ぬ前に「彼女の作ったビーフシチューがとても美味しかった」と母親にメールを送っていたらしい。
    「あの時のビーフシチューのレシピを教えてください」って手紙を送れば会ってもらえるのでは?「料理好きの女って、レシピを聞かれると喜んで、いろいろ聞かれていないことまで話してくれるよ」という親友、伶子のアドバイスに従うと本当に「あなたになら会っても良い」と里佳のところにカジマナから手紙が来た。
     事件の真相を聞き出すため、まずはカジマナと料理の話から始めたが、すぐに里佳が殆ど料理しない人間とばれ、
    「バター醤油ご飯を作りなさい」とアドバイスされる。
    「本当に美味しいバターは、冷たいまま硬いまま、その歯ごたえや香りを味わうべきなの。ご飯の熱ですぐに溶けるから、絶対に溶ける前に口に運ぶのよ。冷たいバターと温かいご飯。まずはその違いを楽しむ。そして、あなたの口の中で、その二つが溶けて、混じり合い、それは黄金色の泉になるわ。………バターの絡まったお米の一粒一粒がはっきりとその存在を主張して、まるで炒めたような香ばしさがふっと喉から鼻に抜ける。濃いミルクの甘さが舌にからみついていく……」
    カジマナのアドバイスに従い、里佳はバターの魅力に取りつかれ、初めはスレンダーでかっこい女性記者だったのにしだいに太っていく。だけど、そんな自分のことを意外と好きになる。
    「本物の男の人が女性本来のグラマラスな美を理解できるように、本物のフランス料理はちゃんとたっぷりバターを使うのよ。甘さ控えめ、カロリー控えめ、薄味、あっさり、なんてものが褒め言葉になる。この日本は本物を知らないの。……彼らはバターとマーガリンの違いさえ分からないの。私のような本物志向の女は息苦しくて仕方ないわ。」
    「仕事だの自立だのにあくせくするから、満たされないし、男の人を凌駕してしまって、恋愛が遠のくの。男も女も異性無しではいられないことをよくよく自覚するべきよ。バターをけちれば料理がまずくなるのと同じように、女らしさやサービス精神をけちれば異性との関係は貧しいものになるって、ねえどうしてわからないの。私の事件がこうも注目されるのは、自分の人生をまっとうしていない女性が増えているせいよ!」
    里子はどんどんカジマナの影響を受け、からめとられていきそうになる。
     カジマナの言葉に洗脳され、読んでいても濃い、こってりと甘いバターの味が口の中に広がり、体の中をとろとろした金色の液体が流れていくようで気持ちのいい、官能的なまでに甘い、黄色く温かい小説。
    それが後半になるとガラッと変わる。カジマナに彼女のインタビューをしたければ、彼女のことをもっと良く知るために彼女の故郷に行くべきだと言われ、そのとおり、カジマナの故郷新潟に行ったのだ。どこまでも続く、雪をかぶった山並みや田んぼ、青白い静寂。
    カジマナの故郷の街は新潟酪農発祥の地であり、寒さに耐えている牛の乳はとても甘くこってりとしている。もとは“血”だという乳。乳製品好きのカジマナの原点を知ると同時に、カジマナの人間を作ってきた暗い過去も見えてきた。いびつな家庭。男子にも女子にも相手にされなかったスクールライフ。
     そして新潟に来て気付いたことがもう一つあった。それは無理やり付いてきた親友伶子のことだ。伶子はもともと映画会社の広報としてバリバリのキャリアウーマンであったが、結婚し理想の家庭を作るために仕事を辞めて妊活に励んでいた。仕事も料理も掃除も出来る綺麗で細くて明るい伶子は一見カジマナとは正反対のようで実は似ていた。自分の信念のためなら周りを顧みない猪突猛進型のところが。そしてそんな性質から旦那さんとうまくいかなくなってきたことや、実は周りに嫌われるタイプであることも分かってきた。
     カジマナの好意を勝ち取り、独占インタビューを記事にすることに成功した里佳は「やりて女性記者」として一時もてはやされたが、そういう成功には必ずしっぺ返しがある。やがて、里佳の書いたことは全部うそだと、別の週刊誌に書かれ、「カジマナに取りつかれて太った」などとなじられ、世間の冷たい視線を浴びるようになる。その時カジマナの気持ちが分かった。世間はその人の中身ではなく、「ブス」とか「デブ」とか「怠惰に見える」とか「嫌われている」とかそういう基準で人を批判しているということが分かってきた。周りから評価されていない人を評価することは勇気がいることなのだと。

    「オレンジや赤を基調にしている料理に合わせ、食卓の花にはミモザが選ばれた。「反対の色を選ぶと料理が映える」とマダムが広げたテーブルクロスは淡い水色で、料理や花との調和が湖畔のピクニックを思わせる。」
    カジマナが通い、里佳も取材のために通った料理教室“サロン・ド・ミユコ”での描写である。反対色……バターの黄色と新潟の寒い空の色?バターのように濃いカジマナとヒンヤリした涼しげな空のように華奢で活動的な伶子?冷たいバターと熱いご飯?
    反対のものはいずれも単独ではちょっとキツイけれど、合わさると溶け合う。

    世間の批判の嵐も落ち着き、精神的に回復し始めた里佳は大きな中古マンションを買い、そこに備え付けの大きなオーブンで七面鳥を焼き、十人の友達にふるまった。人との付き合いが不器用なカジマナが本当は料理教室の友達にふるまいたかった七面鳥。里佳は「あなたが釈放されることがあればあなたにも七面鳥をふるまいたい」とカジマナに言い、カジマナに本物の涙を流させた。それほど、カジマナのことを好きになっていた。
    バターをたっぷり塗り重ねて焼いた七面鳥パーティで親友の伶子が他の友達とも柔らかい表情で楽しみ、他の友達からも理解されているのを見て涙が出そうになった。
    「こんな風に自分の親友を誰かと慈しむ瞬間をずっと待ち望んでいたのだ。彼女のほんの少しだけ分かりにくい場所にある本当の美点を、自分以外の誰が理解して、慈しんでやれるのだろうと不安だった。……彼女の暴走しがちな傾向や独りよがりや羨ましい生真面目さをこんな風に第三者と軽やかに笑いながら共有したかった。」
     愛も友情も見た目や性格など「世間の固定観念」の及第点かどうかで生まれるものではない。料理をしたり、掃除をしたり、そして仕事も自分なりに頑張って、自分の砦を気付いたり、適量を知ったり、人との距離感をつかめるようになった人にこそ、味の組み合わせや隠し味の醍醐味の分かる愛や友情を築くことができるようになるのだと思った。

  • 「食べ物」は、割と直接「人となり」を現すと思う。
    食べ方、嗜好などからその人が見えたりする時も。

    私は食べるの大好き。あまり好き嫌いなし。自分の食べたい料理を作るのも割と好き。食べている時の周りの人達の和やかになる雰囲気も大事にしたい。では、これは私という人の何を意味しているの?...あ、単に食いしん坊か(笑)

    でも料理とは、楽しい嬉しい美味しいとは裏腹に、他者の「命を頂く」という行為から成り立っている。そして食べ方を間違ったりすると、毒になったりもする。ほんと料理って匙加減。

    そしてこの本には、沢山の女の目線で見た様々な思いが出てくる。最後まで読んだところで「あ、どの人の思いも、女の人なら絶対思ったことあることばかりだ」と気づいた。単純に見えて複雑な「女」という生き物。なかなか毎日大変よね〜。

    しかし、お話の中のバターの使い方がすごい!話にさらっと入ってきて違和感がない!
    そして何より、調理している表現にライブ感があってもうよだれが...。主人公里佳さんも10kgぐらい太ったって言ってたしね。
    バターって怖いわ〜でも美味しいのよね〜困る〜。

    • へぶたんさん
      あっ、おはようございます(今頃)
      あっ、おはようございます(今頃)
      2024/03/25
    • ハッピーアワーをキメたK村さん
      あっ、こんばんは♪
      それは罪じゃ罪じゃ〜
      もうすぐ薄着の季節が来るというのに

      話変わりますが、今作のカバーの絵を見て気付いたのですが、髪の...
      あっ、こんばんは♪
      それは罪じゃ罪じゃ〜
      もうすぐ薄着の季節が来るというのに

      話変わりますが、今作のカバーの絵を見て気付いたのですが、髪の毛金髪じゃなくて、バターなのね?!(๑°ㅁ°๑)!!笑笑

      あ〜もう一つだけ!
      へぶたんさんの本棚の「3時のおやつ」のドーナツがいつも気になるんです!
      美味しそう!メッチャ食べた〜い₍₍⁽⁽٩(៸៸›ᴗ‹៸៸)۶⁾⁾₎₎
      2024/03/25
    • へぶたんさん
      はっ、もうこんばんは∑(゚Д゚)

      K村さん、さては今お腹空いてますね?(笑)
      皆さんの食欲をそそる私の本棚〜♪さあ、お好きなものをおひとつ...
      はっ、もうこんばんは∑(゚Д゚)

      K村さん、さては今お腹空いてますね?(笑)
      皆さんの食欲をそそる私の本棚〜♪さあ、お好きなものをおひとつ♪...え、それなんか違う(笑)
      2024/03/25
  • 不思議な読後感。

    社会派長編小説とか、ノンフィクションノベルとか、コメントされていますが、結局メッセージは何だったのかがよくわからなかった物語。
    ただ、美味しい料理が食べたくなりました(笑)バターこってりで(笑)

    木嶋佳苗の事件を下敷きとした物語。
    事件同様、男たちを殺害した容疑で逮捕された梶井真奈子。スタイル良いわけでもなく、美女というわけでもないのに、なぜ...

    主人公の週刊誌記者の里佳は真奈子を掘り下げようと、徹底的にむきあうことに。しかし、真奈子の言動に振り回され、変わっていきます。考え方、体形、周りのとの関係。恋人との関係。
    どんどん、真奈子に嵌っていきます。

    そして嵌っていく人物はもう一人、里佳の女友達。

    この辺、ある意味、恐怖を感じました。
    人の言動によって人が変わっていく..

    そして、スクープをものにした里佳に事件が..
    この辺から、里佳の生き方、女の友情と形が変わっていきます。

    解説にもコメントされていましたが、本作の背骨は
    「女性同士の友情と信頼」
    とのこと。
    そうだったの...
    ということで、最後はそっち方面の話になりました。

    本書の中で語られる、様々な料理。そして、レシピ。
    バターのみならず、いろいろ食べたくなりました。

    読後に木嶋佳苗の事件をググったのは間違いない(笑)

  • 男たちの財産を目的に結婚、殺害?した犯罪を取材する主人公。
    解説で山本一力氏が書いているように、「女性同士の友情と信頼」がテーマ。

    580Pある長編なので、読み終わるのに少し時間がかかってしまいました。
    特に前半は。

    しかしここまで振り回されてしまうものなのか?
    それとも現代はみんなが周りを気にしすぎて、自分というものを持てていないと言うことか?

    話の至る所に美味しそうな料理が出てきます。

    とりあえずマーガリンは止めてバターを買い、バター醤油ごはんやバタートーストを楽しみました。。

  • 実際の事件を介したフィクション小説
    よく出版できたものだ
    終始お腹が空く、よだれを誘う文体は凄い!
    バターとマーガリンの味の違い分かりますか?

    容姿は大したことがないむしろ肥えてる女性容疑者に次々と男が寄ってきて、殺害された事件と
    これをルポしようと試みる主人公
    ミイラ取りがミイラ見たく、面会毎にどんどん太る…

    世間体を鑑み、太ることに負い目を感じる主人公
    容疑者は自分に素直 ストレスないんだなと羨ましがる
    世論に抑圧される女性の大変さを描きたかったのか?
    「あれほどまでにバリアを張り巡らし、強靭な精神力で自己肯定し続けなければ、胸を張って生きることが困難な程、この世界の容姿に対する基準は厳しいのだ。」

    表紙は「地獄のミサワ」みたいで、
    意識高い系の女子話と自己納得

    腹は減るが伝えたいことがなにか私には刺さらなかった
    ミステリーではない



  • 何だろう、読んでも読んでも終わらない感じでした。
    バターを吸って重くなった本、みたいな。
    カジマナ、重い!読んでるだけで太りそうなカロリーの高い内容でした。
    みんな、カロリーの高い話が好きだから。
    って、ほんとそう!

    料理の描写は毎回読んでてお腹が空きました。
    出てきたジョエル・ロブソンは行ってみたい!緊張してナイフをガッチャーン!って落とすだろうけれど…。

    私としては、れいこさんは北川景子さんを想像して読んでいました。

    読み終わった後の満足感と満腹感。

    • にゃんちびさん
      ひまわりめろんさん
      コメントありがとうございます!

      なんでしょう、厚い本なら今までも何度も読みましたが、明らかに重量(言葉のまま笑)が違う...
      ひまわりめろんさん
      コメントありがとうございます!

      なんでしょう、厚い本なら今までも何度も読みましたが、明らかに重量(言葉のまま笑)が違う一冊でしたね!
      わかって頂けて嬉しいです!!
      使って下さい!喜びます!私が!笑
      2022/03/08
    • ひまわりめろんさん
      にゃんちびさんこんにちは!
      許可が出たので使いました!w
      単行本版の方の私のレビューです
      にゃんちびさんこんにちは!
      許可が出たので使いました!w
      単行本版の方の私のレビューです
      2022/03/17
    • にゃんちびさん
      ひまわりめろんさん

      ありがとうございました!たのしかったです⭐︎

      またカロリー高めの本を探して読んで、胸焼けしましょうね!
      ひまわりめろんさん

      ありがとうございました!たのしかったです⭐︎

      またカロリー高めの本を探して読んで、胸焼けしましょうね!
      2022/03/17
  • 里香は自分の食べたいものを自分で、考えレシピを作る。

    そのレシピをいろんな人に伝え世界に波紋のように伝えていけるようにしていくことで生きていく、生きていきたいと感じるようになった。


    梶井に今、会いたい。会って、こう伝えたい。
    この世界は生きるに、いや、貪欲に味わうに値しますよ、と

    この本を読む事でレシピがその人の人生の議事録のような扱いでそれを誰かに渡すことで自分も相手も満たされていくんだなぁと感じとてもおもしろかった。

    それとバターが無性に食べたくなってしまいます。笑

  • この作品は、世の中を震撼させた木嶋佳苗死刑囚がモデルとなっているらしい。
    たいして美しくもなく、小太りの中年女の愛人達が、多数不審死したという、世間をかなり賑わせた事件だ。
    この木嶋容疑者は私と同じ歳ということもあり、このような事件があったことはしっかり記憶に残っていた。

    さて?この事件をどのように料理するのか?真相を暴くのか?全く別の事件に書き換えるのか?
    どのように紡がれるのか興味津々で読み始めた。

    容疑者であるカジマナの取材に取り付くことが出来た雑誌記者の里佳だが、カジマナと話す度変わっていく。
    その変化は、里佳の周りまで大きく巻き込んでいくことになる。

    表題のバターが随所に散りばめられ、美味しそうな描写が盛り沢山。
    お腹が空いた時に読んでしまったら、涎が止まらなくなるだろう(笑)

    最後の七面鳥の描写は、部屋のイメージやら、お料理が頭の中に自然に浮かんできた。

    これだけ分厚くて、内容もコッテリしているが、まだ全てを吐き出していないような?そんな感じがしてしまった。

    女性達の心理の描写は流石過ぎてため息しか出ないが、私の好みの小説とはちょっと違った(^_^;)

  • ゆずきあさこさんとゆづきゆうこさん。
    改めて、名前が似ているなぁ、まぎらわしいなぁ…と。(両先生、ごめんなさい…)
    男も惚れる男のかっこよさを描いたゆづきさんの小説のあとに、ゆずきさんの書いた女同士の怖い小説を読んだので、その世界のギャップがあいまって、お名前がこうも似ていることが面白く感じる。
    なんせ「あさ」と「ゆう」だけの違いなんで。

    木嶋佳苗の事件をモデルにした結婚詐欺犯カジマナに、その取材をする過程で振り回される週刊誌の記者里佳を描く小説。

    タイトルはちびくろサンボのバターのことだな、と。
    虎が戦利品を巡って争ってぐるぐる回ってなっちゃうバター。
    絶版になる前にこどもだった人はみんな、あの絵本を読んでバターたっぷりのホットケーキ食べたいと思ったはずだ。
    (ちなみにwikiによるとサンボは169枚もホットケーキを食べたそうだ)

    あの絵本の中でバターは人生で手に入れるべき勝利と幸せの象徴として描かれている。

    結婚詐欺の末、男性3人を殺害したとされるカジマナがこだわったバターとは、そういうものなのだ、と解釈した。

    ただ、バターは摂りすぎると太って見てくれを損ね、生活習慣病となり健康を損ねてしまう。
    それでも止めることができないほど、その香りとコクに魅了される。

    殺害された(とされる、最後まで真相は闇の中だ)男たちにとって、カジマナはバターだったのだろう。


    主人公の里佳はカジマナと取材を通して振り回されながらも信頼関係を築いた…と思った終盤で裏切られる。

    何冊か柚木麻子さんの小説を読んでて薄々感じていたことだが、このシーンで、「柚木さんって超ドS」と思った。決定的に。

    いやぁ、ここにきて、これかぁ…と。

    まあ、この突き落としがこの小説のキモなのですが。


    この小説は人間関係の描写が非常に濃厚で密度が高い。そして、冗長。TOO MUCHでした。
    胸焼けと胃もたれになり、感想を書けるまで回復するのに少し時間がかかりました。

    胃腸が丈夫な人は是非読んでください。

    あっ、でも七面鳥は食べてみたい!

    • たけさん
      naonaoさん、こんばんは!

      naonaoさんのレビュー読み直してみて、改めて共感しました!
      そうですよね。この本にはある種のショックを...
      naonaoさん、こんばんは!

      naonaoさんのレビュー読み直してみて、改めて共感しました!
      そうですよね。この本にはある種のショックを受けますよね。
      「弱ったメンタルに一撃をくらわす」ような作品ですよね。

      僕も、読んでいて、信頼していた人に裏切られた、と感じた過去の出来事を思い出したりしました。辛くなりました。

      痛い目をみる小説だと思います。
      でも、僕は嫌いじゃないんですよね。Mなのかもしれませんね。

      カジマナと向き合うにはどうするのがベストか?

      僕は向き合いません。
      意図せず近づいてしまったら、カジマナの視界になるべく入らないように、関心を引かないように静かに逃げ去ります。
      変な気をおこしてはいけません。
      2020/10/31
    • naonaonao16gさん
      たけさん、こんばんは!

      本日たまたま、この作品を引用したテレビ番組を見ていて、不思議なタイミングだな~と、再度コメントです(笑)
      おいしい...
      たけさん、こんばんは!

      本日たまたま、この作品を引用したテレビ番組を見ていて、不思議なタイミングだな~と、再度コメントです(笑)
      おいしいバター特集をしていて、わたしもこの作品を読んだ直後、高級バターを塗りたくった食パンやバター醤油ごはんなど、禁断の味に目覚め、すぐその熱はさめたのですが、タイミングとは不思議なもので、また高級バターにとりつかれそうになっています。

      レビュー再読してくださったそうで、ありがとうござます!
      わたしも実はこの手の作品が嫌いじゃないんです(笑)まあ、だから読んだんですけど…

      カジマナと向き合わない!潔い選択ですね(笑)
      人と関わる仕事をしているからか、「この人をどう攻略するか」という視点で相手を見がちです、よくないですね…
      2020/11/01
    • たけさん
      naonaoさん、こんばんは。
      再度コメントありがとうございます!

      すっかりバターにはまってますね笑

      さて、確か、柚木麻子さんの小説は「...
      naonaoさん、こんばんは。
      再度コメントありがとうございます!

      すっかりバターにはまってますね笑

      さて、確か、柚木麻子さんの小説は「BUTTER」がはじめてとのことでしたよね。この手のが好きなら、ぜひ「ナイルパーチの女子会」も読んでみてください。描かれた人間関係にいやーな気分になれます。

      あと、カジマナの攻略法!
      良い考えが浮かんだら教えてくださいね。
      期待してます笑
      2020/11/01
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著者プロフィール

1981年生まれ。大学を卒業したあと、お菓子をつくる会社で働きながら、小説を書きはじめる。2008年に「フォーゲットミー、ノットブルー」でオール讀物新人賞を受賞してデビュー。以後、女性同士の友情や関係性をテーマにした作品を書きつづける。2015年『ナイルパーチの女子会』で山本周五郎賞と、高校生が選ぶ高校生直木賞を受賞。ほかの小説に、「ランチのアッコちゃん」シリーズ(双葉文庫)、『本屋さんのダイアナ』『BUTTER』(どちらも新潮文庫)、『らんたん』(小学館)など。エッセイに『とりあえずお湯わかせ』(NHK出版)など。本書がはじめての児童小説。

「2023年 『マリはすてきじゃない魔女』 で使われていた紹介文から引用しています。」

柚木麻子の作品

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