花森安治伝: 日本の暮しをかえた男 (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社
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  • Amazon.co.jp ・本 (432ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101202815

作品紹介・あらすじ

全盛期には100万部を超えた国民雑誌『暮しの手帖』。社長・大橋鎭子(しずこ)と共に会社を立ち上げた創刊編集長・花森安治は天才的な男だった。高校時代から発揮した斬新なデザイン術、会う人の度肝を抜く「女装」、家を一軒燃やした「商品テスト」。ひとつの雑誌が庶民の生活を変え、新しい時代をつくった。その裏には、花森のある決意が隠されていた――。66年の伝説的生涯に迫る渾身の評伝。

感想・レビュー・書評

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  • 「不要不急」の先の世界 暮らしの想像力を広げる  磯野真穂さん(文化人類学者) リレー評論「解読パラリンピック」
    https://www.47news.jp/-/olympics/tokyo-gorin/contents2/6708604.html

    津野海太郎 『花森安治伝―日本の暮しをかえた男―』 | 新潮社
    https://www.shinchosha.co.jp/book/120281/

    津野海太郎が書くものは基本必読!

  • ぼくのツイッターを見てくださっている方なら、よくご存じと思うのですが、「月イチ2文」という、「月に1回本屋さんに行って、2冊文庫を買おう」という個人的なキャンペーンを始めました。そのために、毎週土曜に文庫本を買っているんですが、その中の1冊です。

    花森安治というのは、『暮しの手帖』という雑誌を立ち上げて、100万部売れる雑誌にした名編集者なんですよね。その人の一生のことを書いているんですけど。これは素晴らしくおもしろかったですね。津野さんは何冊か、この手の自伝やノンフィクションを書いているんですけど、この本は特にいいんじゃないかな。

    (石田衣良公式メルマガ「ブックトーク『小説家と過ごす日曜日』」23号より抜粋)

  •  トト姉ちゃんにそろそろ唐沢寿明が登場すると聞いたことで、読んでみた。
     生活の手帖で、大森鎭子と一緒に仕事をした人物が過去の戦争時において行った政治活動に対してとても反省していたことが書かれている。反省した結果、戦後の生活に関わる仕事に就くあたりは、好感が持てる。広告を載せないといった主張も近年のワンマン経営者と何か通ずるものがあると感じられた。
     ただし本著からは花森安治のデザインセンスやそのルーツなどが実はあまり書かれていないよう気がする。もっとどうゆう人間であったか実像を深堀りした証言を集めてほしいと感じた。
     

  • ずいぶん前に 途中まで読んで そのまま
    であった一冊です

    改めて 再読し始めたのですが
    いゃあ これは 凄い
    花森安治さんという
    一人の生きてきた軌跡から
    その時々の時代の様子、雰囲気が
    紙面から湧き上がってくる

    「風土」ではありませんが
    その時代であったからこそ
    その人物(安森さん)が行動したこと
    その時代があったからこそ
    その人物が次なる行動にのめりこんでいったこと

    その 一つ一つが
    ありありと 想像できてしまう

    改めて 津野海太郎さんの筆力に
    脱帽です

  • 読むものがなくて仕方なく読んだが、ドラマと事実の大きな違いに興味をさらに失ってしまった。ははは

  • 偶然、津田さんの『百歳までの読書』と同時にこの本を買った。津田さんは編集者で、それだけ『暮らしの手帖』の編集長を長年やった花森さんの生涯は魅力的であったのだろう。それでも、津田さんは花森さんのような編集長にはついていけないともらしている。それだけ花森さんという人は個性が強く、人をぐいぐい引っ張っていく人だったのだろう。本書はその花森さんがいかにして戦後の日本人の暮らしを変えた男となったのかと言う話。花森さんといえば、その相棒だった大橋鎮子さんとの二人三脚が有名だが、本書では鎮子さんのはなしはあまり出てこない。それより、花森さんが松江の金持ちの娘であったももよさんに求愛し、その後もらぶらぶだった様子が描いてあってほほえましく思った。本書での圧巻はやはり『暮らしの手帖』でさまざまな商品テストをしたくだりであろう。かれらの事務所が出版社でなく研究所であったわけもわかるというものだ。このテスト、本当に徹底している。スポンサーからびた一文もらわずやるわけで、同じものをいくつも買い込んだり、パン焼き器のテストでは天井までつみあがるほどのパンを焼いて実験したり、ストーブでは初期消火には水が効果的であると主張し、消防局とぶつかった話とか。戦後の人々の消費生活が大きく進歩したのは、まさにこの雑誌が引き金になったことがわかる。

  • 「暮しの手帖」は常にそばにあった。小学生のころ、私は意味がよく分からないのに、母が購読していた雑誌を読んでいた。商品テスト、懐かしい。

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著者プロフィール

1938年、福岡県生まれ。評論家・元編集者。早稲田大学文学部を卒業後、演劇と出版の両分野で活動。劇団「黒テント」演出、晶文社取締役、『季刊・本とコンピュータ』総合編集長、和光大学教授・図書館長などを歴任する。植草甚一やリチャード・ブローティガンらの著作の刊行、雑誌『ワンダーランド』やミニコミ『水牛』『水牛通信』への参加、本とコンピュータ文化の関係性の模索など、編集者として多くの功績を残す。2003年『滑稽な巨人 坪内逍遙の夢』で新田次郎文学賞、09年『ジェローム・ロビンスが死んだ』で芸術選奨文部科学大臣賞、20年『最後の読書』で読売文学賞を受賞。他の著書に、『したくないことはしない 植草甚一の青春』『花森安治伝 日本の暮しをかえた男』、『百歳までの読書術』、『読書と日本人』など。

「2022年 『編集の提案』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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