七つの死者の囁き (新潮文庫)

  • 新潮社
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  • Amazon.co.jp ・本 (282ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101204352

感想・レビュー・書評

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  • やっぱり鈴木光司さんの「熱帯夜」が怖かったかな。

    道尾秀介さんの「流れ星のつくり方」はそうか~と納得。

    七つの話、どれも面白かった。

  • 有栖川有栖『幻の娘』から始まり、恒川光太郎『夕闇地蔵』に終わる構成がとても良いと思った。どの作品も面白かった。小路幸也氏のバクシリーズ(正式名称を知らない)はずるいなあ。面白くないわけがない。吉来駿作『嘘をついた』は意外性もあり、ほろりとさせられる面もあり、好き。『夕闇地蔵』は圧倒された。

  • 怖いというよりじーんとくる感じ。おもしろかった。

  • 七人の作家による、死者をテーマにしたアンソロジー。

    「幻の娘」有栖川有栖
     殺人の容疑をかけられた男のアリバイを証明するのは、10年前に亡くなった少女だった。
     容疑者を冤罪から救えるのは、同じく霊が視える刑事だけ。ホラー度はほぼなし。

    「流れ星のつくり方」道尾秀介
     霊現象探究所・助手の『凛』は、旅先でラジオを聴いている少年と出会う。彼は殺人現場から犯人がどうやって消えたのかを当てるようにと話し始める。
     顔を振って流れ星を作るように頼んだ訳、ラジオを聴いていた訳、そして犯人が消えた訳…すべてが繋がるラストが切ない。

    「話し石」石田衣良
     声を録音できる話し石を1001個集めると願いが叶うという。集めた男の前に現れたのは、40年前に自殺した友人だった。
     星新一氏に捧げ書かれた一編

    「熱帯夜」鈴木光司
     もし~なかったら…偶然の連続のあげく暴力事件を起こし、失明した彼女は自殺。27年後、死の淵に立つ彼の思うこととは。
     望んだ未来に手が届く目前で、事態が悪い方悪い方へと転がっていく。ただただ彼女が不気味。これが一番怖かった。

    「嘘をついた」吉来駿作
     自殺した彼女から届いたメール。彼女の幽霊に会おうと訪れた森で出会ったのは、くたびれたおっさんだった。
     幽霊がタクシーに乗るのは、乗っ取れる体を探しているから…なんか説得力がある。ホラーとミステリーがいい感じで混ざり合ってる。一番良かった。

    「最後から二番目の恋」小路幸也
     死の間際に現れた『バク』。思い出を差し出す代わりに、破れた恋をやり直せると。彼女が選んだのは、最後から二番目の初恋だった。
     小路さんらしいなと思った。優しくて、ちょっと切ない。

    「夕闇地獄」恒川光太郎
     地蔵の前に捨てられていた『地蔵助』の目に映るのは、白黒の世界で人は真っ黒な影のよう。でも、命の揺らめくような炎を見ることができた。そして、人の目には見えぬ神のような存在を『雨蛇さま』と呼んでいた。
     命の煌めき、人ならざるもの…よくわからない話だった。




     

  • カバー裏より「~恐怖と憂愁を纏った七つの死者たちの物語。文庫オリジナル。」ということですが、どっちかと言えば恐怖よりも憂愁寄り多めに感じました。

    短編集でテーマに沿った色々な作家さんのお話が読めるので、作風を知るのに良かったです。

    石田衣良さんの「話し石」と小路幸也さんの「最後から二番目の恋」が私的に良かったなと。前者は『話し石』という音を録音したり再生したりできる不思議な石を採集する男の話。ページ数も一番少なくて短い話です。主人公の男は石を集めて自殺した親友本人に死の真相を聞く、という願いを叶えます。友人の霊が男のことを陥れようとしていると取れなくもないですが、たぶんこれは意味が分かると怖い話に見せかけた純粋にいい話なのだろう、と思いたいです。
    後者は同名のテレビドラマが放送されていましたけど、これとは無関係のようです。夢を見せてくれるバクのちょっといい話。

    一番ホラー色が強めに感じたのは、映画が有名な『リング』の鈴木光司さんの「熱帯夜」。人物二人のうち女性の方の視点の妄想の描写が不気味。浴室のスポンジが「ナマコのように這い回っているかもしれない」とか、二人が見詰め合っているのを「パイプで繋がっている」とか特徴的な言い回しが頭に残ります。

  • 有栖川有栖「幻の娘」
    道尾秀介「流れ星のつくり方」
    石田衣良「話し石」
    鈴木光司「熱帯夜」
    吉来駿作「嘘をついた」
    小路幸也「最後から二番目の恋」
    恒川光太郎「夕闇地獄」
    の7編。

    メンバー豪華〜。吉来駿作さんという作家さんは知らなかったけど。

    「流れ星のつくり方」が一番好き。気になる展開でどんどん読めるし、面白かったし、最後を読んだらまた最初から読みたくなった。

    「嘘をついた」も良かった。『オッサン』のことをそんなすぐ信用することってあるかな?とは思っちゃったけど。しかもオッサンって呼びかけてるし。

    「最後から二番目の恋」、設定が面白い。意外な部分も用意されていて楽しめた。ただ、終わりからふたつめの◆部分が不要に思えた。じゃあ結局どういうシステム?と混乱してしまったので。

  • 死者はそこにいる。生きている私たちの記憶の中に、夢の中に、そしてすぐ背後に。私たちを見つめ、語りかけ、時に狙っている。ひそやかで絶え間ない、死者たちの攻勢――。恐怖と憂愁を纏った七つの死者たちの物語。

    この短編集の作者7人中6人は読んだことがあり、その実力のほどは知っていたので、各篇が個性的で充実した内容でも特に驚かなかった。その中で一番「らしさ」を感じたのは恒川作品か。
    (C)

  • 有栖川有栖、道尾秀介、石田衣良、鈴木光司、吉来駿作、小路幸也、恒川光太郎の短編集。向こうからの声に関わるホラー?ミステリー?短編集。あんまりホラー色は強くない。道尾さんのは真備の短編集で読んだやつだけど、やっぱり良かった。真備シリーズもう出ないのかな?恒川さんのが相変わらず雰囲気あって好き。

  • 1:00

  • ホラー、とまではいかないが幽霊やらファンタジーをテーマに七人の小説家が物語を書いた短編集。
    一番のホラーは「熱帯夜」。1つの何気ない行動がというよりは、挽回のチャンスを自分の利己心から逃してしまい大事になってしまう。やはり、何より一番怖いのは人間だ。
    美しいのは「夕闇地蔵」。ちょっと暗い展開になっても崩れぬ丁寧語で語られ、物語の起伏を隠しているようで逆に際立たせてるようでもある。
    と、挙げてみたがやはりこのようなオムニバス形式の本より、作家一人が最後まで手掛けた一冊の本の方が個人的には好み。ショートがいいのは星新一くらいだと感じる。

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著者プロフィール

1959年大阪生まれ。同志社大学法学部卒業。89年「月光ゲーム」でデビュー。「マレー鉄道の謎」で日本推理作家協会賞を受賞。「本格ミステリ作家クラブ」初代会長。著書に「暗い宿」「ジュリエットの悲鳴」「朱色の研究」「絶叫城殺人事件」など多数。

「2023年 『濱地健三郎の幽たる事件簿』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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