本当はひどかった昔の日本: 古典文学で知るしたたかな日本人 (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社
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レビュー : 22
  • Amazon.co.jp ・本 (272ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101205168

作品紹介・あらすじ

昔の日本では、子供は健やかに育てられ、家族は愛に満ちていた……なんて大嘘。『古事記』や『枕草子』『源氏物語』『宇治拾遺物語』をひもとけば、育児放棄や児童人身売買、マタハラに介護地獄、ストーカー殺人から動物虐待まで、現代に負けない残虐悲惨な話だらけ! しかし、それでも逞しくて人間味あふれる日本人の姿を、日本文学の古典から読み解く文芸ワイドショー。

感想・レビュー・書評

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  • とかく、昔はよかったと(特にお年寄りー読み手も含む笑)口にしてしまう人々に、著者は古典を解説しながら、そんなことはありませんと、解き明かす。
    『古事記』から始まり、『日本霊異記』『宇治拾遺物語』、果ては『枕草子』『源氏物語』まで、日本の古典を渉猟し、原文と現代語訳を並列してくれる。
    そして、育児放棄や児童人身売買、ストーカー殺人や動物虐待の話など、古典にも記されており、けっして現代だけの事件ではなく、いずれも昔からあった出来事で、昔のほうがむしろ残酷だったと、著者は明かす。
    それにしても、巻末に掲げられた主要参考文献の膨大さには、圧倒されてしまう。

  • むかしむかし、あるところに、
    で、始まる昔話にも沢山の残虐なお話があります。
    昨今、幼児虐待、ネグレクト、少年犯罪など残忍な事件が多いと感じている人もいるだろうけど、それは今に始まったことではない!
    と言う考察とお話。
    たしかに、事件が増えたんではなく、絶対数はさほど変わらず明らかになる数が増えたんであろうとは思う。
    日本人は平和、温厚など言われるけど、根本は違うのかな。
    大塚さんの著書は初めてでしたがとても読みやすいです。

  • <目次>
    はじめに
    第1章 捨て子、育児放棄満載の社会~昔もあった大阪二児餓死事件
    第2章 昔もあった電車内ベビーカー的論争~「夜泣きがうるさい」と子を捨てるようなシングルマザーに迫る村人たち
    第3章 虐待天国江戸時代~伝統的「貧困ビジネス」の実態
    第4章 本当はもろかった昔の「家族」~虐待の連鎖も描かれていた「東海道四谷怪談」
    第5章 マタハラと呼ぶにはあまりに残酷な「妊婦いじめ」
    第6章 毒親だらけの近松もの
    第7章 昔もあった介護地獄から舌切り雀の実態
    第8章 昔もあったブラック企業~リアル奴隷の悲惨な日々
    第9章 昔もいた?角田美代子~家族同士の殺戮という究極の残酷
    第10章 いにしえのストーカー殺人に学ぶ傾向と対策
    第11章 若者はいつだって残酷~「英雄」か「キレやすい若者」か
    第12章 心の病は近代文明病にあらず
    第13章 動物虐待は日常茶飯~そして極端なペット愛好
    第14章 究極の見た目社会だった平安中期
    第15章 昔から、金の世の中

    貴族と比較して、庶民。
    わざわざ書き記されているのだから、残酷が一般的な証拠というのには留保必要。
    また庶民、武家、江戸庶民、地域差、時代差で留保をつけず古典の庶民はというのは言い過ぎ。
    親孝行第一主義の浸透、仏教間の浸透もグラデーションだろうし。
    とはいえエピソードの面白さは間違いない。
    またこういう見方は「古典に生きる」ひとつのやりかただ。

  • 捨て子ネグレクト満載、夜泣きがうるさいと子を捨てるよう迫る村人たち、伝統的貧困ビジネス、家族の虐待の連鎖、妊婦イジメ、独親だらけ、介護地獄、ブラック企業、家族同士の殺戮、ストーカー殺人、残酷な若者、心の病、動物虐待、見た目社会、金。

    昔は良かった、のイメージだけの昔を、リアルに教えてもらいました。子供向けのお話、などではかなりソフィスティケートされていたのですね。

  • まあまあ、興味深い読書ではあった。
    自分は、教育勅語に代表されるような体制迎合優等生的な儒教道徳へのアンチテーゼとして読んだのだが。
    結果として、古典文学に日本人の残酷さが沢山見出されるんだなーと感心した。
    ただ、古典文学だけをワラント(こんきょ)にしたクレーム(主張)は、理論的には弱い。
    逆に、近現代の話です統計などを引用している部分は、実証的です面白い。
    コンセプト上上記のような弱点が不可避ではあろうけど、もう少し他の資料にあたるなりなんなり、根拠面を補強してもよかったのではないか。
    一々そんな文句をつけるのは野暮か?

  • 歴史

  • 昔は良かったという嘆きを覆してくれる、昔はもっと酷かったという話。古典に書かれた実証であるが、ひどい話に暗さはなく、さばけた語り口が良い。古典に興味が湧いてくる入門書でもある。2018.4.22

  • 人間関係で最近話題になってるヒドイ話(ネグレクトやマタハラやストーカー)は、実は遥か昔からある、 と著者が古典を引き合いに出して説明する本。 確かに昔は人権なんて言葉なかったろうし、ヒドイ話はたくさんあったんだろうなと思う。 ただ、夜泣きで村を追い出される話にはちと驚いた。そこらへんはおおらかだと思ってたから。 まあ人間そう変わらないよね。 ただ、古典の記述は記述として、そこからの結論の出し方に著者の思い込みが多々入っているようにも思えた。

  • 美術本は中野京子さん、古典本は大塚ひかりさんのを読むことにしよう。

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著者プロフィール

1961年横浜市生まれ。古典エッセイスト。早稲田大学第一文学部日本史学専攻。個人全訳『源氏物語』全六巻、『源氏の男はみんなサイテー』『カラダで感じる源氏物語』『ブス論』『愛とまぐはひの古事記』『女嫌いの平家物語』(以上、ちくま文庫)、『快楽でよみとく古典文学』(小学館)、『ひかりナビで読む竹取物語』(文春文庫)、『本当はひどかった昔の日本』(新潮社)など著書多数。

「2016年 『文庫 昔話はなぜ、お爺さんとお婆さんが主役なのか』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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