本当はひどかった昔の日本: 古典文学で知るしたたかな日本人 (新潮文庫)
- 新潮社 (2016年8月27日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (272ページ)
- / ISBN・EAN: 9784101205168
感想・レビュー・書評
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美術本は中野京子さん、古典本は大塚ひかりさんのを読むことにしよう。
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ある程度、古典や歴史の狭間でうごめいているのは
わかっていたけど、これだけの量で畳み込まれると、
やっぱり昔って酷いこと沢山あったんだなぁと、
現代に生きていることに感謝してしまう。
生類憐みの令が実は、捨て子、捨て病人の禁止をも
決めていたって知らなかったです。
あぁ読みが足りなかったな。もっと勉強しなくちゃ。 -
図書館で借りた。まぁ今も昔も日本はひどいということですね
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古典文学を、残虐性という面から抜き出して、昔の日本人の価値観や習慣が現代と比べていかにひどかったのかを記述した一冊。 ”昔は良かった”という論調に対して、”そんなことはない、昔の方が今よりずっとひどかった”という主張となっている。
残虐性という性質上、なかなか学校では詳しく扱えないという事情からか、知らないことがたくさんあり、内容が新鮮で面白かった。本書内で著者も述べている通り、現代人のやった程度の事、思いつく限りの残虐な行為というものは、とっくの昔に誰かがやっているものである。 -
もともと著者の作品は好きなのだけど、これは本当に読んで良かった。
『あとがき』で、そうですね、とうなづくことができて、気持ちの良い読後感。
日本の古典はすごいねえ……。 -
人間のモラルは、時代が進むにつれて、良い方に進歩していくと。どこかで聞いたことがあるけども……。
たかだか1500年ぽっちでは、人間の良しあしなぞ、変わらないのでは……とさせられた一冊。
古典の入門としても最適か。 -
言われてみればその通りだが、ちゃんと言われないと認識できないもの。読んでてもそりゃそうだ。となって納得感がある。昔話を現代語のニュースで報じたような分析があって面白い。こうやってキチンと分析してもらわないと、虐待やハラスメントを素通りして古典を読んでる自分達が、日本文化の集大成であるなら恐ろしい。
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貧しければそれこそ耐え難い多くの悲しみがある。しかし豊かさのなかにも、根の深い不幸というものが生まれる。人間は時代も人種も宗教も超えて、総じて同じようなものだし簡単には変わることなどできない。
本書では多くの古典から現代に起きた事件に似た事例現代を挙げ、あえて日本の恥部・暗部をとして紹介している。学校の古典の授業では絶対出てこない記述、解釈なので、古典や昔の風習に関しての知識が学生時代に仕入れたきりの人が読んでみたら結構ショッキングなのかもしれない。
これによると育児放棄、離婚問題、いじめ、自殺、殺人……おおよそ現代人が起こしている事件というものは、すでに昔から起こっている事件に類似していることが多いとわかる。過去の事件の背景と真相を読み解けば、現代特有であるかに見える社会の病理もそうでないと知ることができ、かつ、同じ事件、同じ悲劇を繰り返さないよう対処法を考えることができるのではないだろうか。
簡単に変わることができないと書いたが、それでも社会も、福祉も、道徳も、先人の苦しみから少しずつ学び、向上しているはずだから。
なお、私としては昭和初期の新聞を読んでみることをおすすめする。社会面などに載っている事件をみると、大体今と同じ内容で驚くことと思う。 -
美談ばかりに触れていては見方が偏るので、こういう露悪的な視点も必要。そうは思うものの、読んでいて気分の良い本ではなかった。実際のところ、各時代・各地域で虐待や暴力などがどのくらいの頻度であったかなんてわからないし。