本当はエロかった昔の日本 (新潮文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (320ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101205175

感想・レビュー・書評

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  • 無宗教と言われる日本人だが、発端の神話にあらわされるおおらかさが根底にある?2018.7.8

  • 題名だけを見ると、キワモノ扱いのスポーツ新聞連載的な記事を集めた本かと思われるが、ざっと立ち読みして、案外原典を重視したきちんとした文章だと思って紐解くことにした。

    先ずは知りたかったのは、この前「万葉集」を読んだ時に、額田王の歌に返す天武天皇の歌「人妻ゆえに我恋ひめやも」と返した事に改めて疑問を思ったことです。不倫はどこ迄認められていたのか?これを公にする古代人の気持ちは如何なるものだったのか?

    本来は女系社会だった古代では、男の血統などは関係なかったから処女性はおろか、不倫などは問題にならなかったようです。時代が下って源氏物語やとりかえばや物語の世界では、不倫し放題。しかし、その頃になると「人妻」という言葉は一切出てこなくなる。万葉集には15首もある。一種のブームである。実はこの時期(7世紀後半)中国の法制度に倣った律令が制定された。この時だけ「人妻と情交した者・人妻の身で情交に応じた者」が処罰の対象になった。この時だけ、これは「タブー」になったのである。だから、かえってこれは「甘い誘惑」を伴う新鮮な言葉になった。男の血統を保証する宦官制度は、遂に日本に導入されなかった。平安時代半ばになると、後宮は公達の集まるサロンと化す。娘を天皇家に入内させ、生まれた皇子の後見役として勢力を伸ばす「セックス政治」に徹し、「ゆるい」サロンで人心をつかむ方向に政治は変わる。

    古代のタブーは、同母きょうだいや親子間、獣の姦ぐらいなものらしい。

    日本は最初から国選歴史書で兄妹間で子供をもうけて国づくりをしている。ずっと国の最高権力者たちが「性愛」の物語の作成と普及に積極的関わって来た。万葉集、古今和歌集、源氏物語、能狂言、歌舞伎。ただ、外の目を気にした時に(飛鳥、戦国、明治)タブーが厳しくなった。そういう意味では、オリンピックを迎える今、2010年「東京都青少年健全育成を求める条例」2014年「児童ポルノ禁止法改正」2017年不倫疑惑報道ラッシュ、2018年セクハラ報道ラッシュなど、この「タブー化」は更に大きくなると思う。行き過ぎには気をつける必要があるはずだ。

    2018年5月読了

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著者プロフィール

1961年横浜市生まれ。古典エッセイスト。早稲田大学第一文学部日本史学専攻。個人全訳『源氏物語』全六巻、『源氏の男はみんなサイテー』『カラダで感じる源氏物語』『ブス論』『愛とまぐはひの古事記』『女嫌いの平家物語』(以上、ちくま文庫)、『快楽でよみとく古典文学』(小学館)、『ひかりナビで読む竹取物語』(文春文庫)、『本当はひどかった昔の日本』(新潮社)など著書多数。

「2016年 『文庫 昔話はなぜ、お爺さんとお婆さんが主役なのか』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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