- Amazon.co.jp ・本 (320ページ)
- / ISBN・EAN: 9784101205175
作品紹介・あらすじ
兄と妹の近親姦から国作りが始まる『古事記』、義母を犯して子を産ませた光源氏が、結局、妻を寝取られるという「不倫の恋」満載の『源氏物語』、セックス相手によって人生が変わる「あげまん・さげまん」神話、男色カップル弥次喜多の駆け落ち旅『東海道中膝栗毛』など、古典文学の主要テーマ「下半身」に着目し、性愛あふれ情欲に満ちた日本人の本当の姿を明らかにする、目から鱗の一冊!
感想・レビュー・書評
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題名だけを見ると、キワモノ扱いのスポーツ新聞連載的な記事を集めた本かと思われるが、ざっと立ち読みして、案外原典を重視したきちんとした文章だと思って紐解くことにした。
先ずは知りたかったのは、この前「万葉集」を読んだ時に、額田王の歌に返す天武天皇の歌「人妻ゆえに我恋ひめやも」と返した事に改めて疑問を思ったことです。不倫はどこ迄認められていたのか?これを公にする古代人の気持ちは如何なるものだったのか?
本来は女系社会だった古代では、男の血統などは関係なかったから処女性はおろか、不倫などは問題にならなかったようです。時代が下って源氏物語やとりかえばや物語の世界では、不倫し放題。しかし、その頃になると「人妻」という言葉は一切出てこなくなる。万葉集には15首もある。一種のブームである。実はこの時期(7世紀後半)中国の法制度に倣った律令が制定された。この時だけ「人妻と情交した者・人妻の身で情交に応じた者」が処罰の対象になった。この時だけ、これは「タブー」になったのである。だから、かえってこれは「甘い誘惑」を伴う新鮮な言葉になった。男の血統を保証する宦官制度は、遂に日本に導入されなかった。平安時代半ばになると、後宮は公達の集まるサロンと化す。娘を天皇家に入内させ、生まれた皇子の後見役として勢力を伸ばす「セックス政治」に徹し、「ゆるい」サロンで人心をつかむ方向に政治は変わる。
古代のタブーは、同母きょうだいや親子間、獣の姦ぐらいなものらしい。
日本は最初から国選歴史書で兄妹間で子供をもうけて国づくりをしている。ずっと国の最高権力者たちが「性愛」の物語の作成と普及に積極的関わって来た。万葉集、古今和歌集、源氏物語、能狂言、歌舞伎。ただ、外の目を気にした時に(飛鳥、戦国、明治)タブーが厳しくなった。そういう意味では、オリンピックを迎える今、2010年「東京都青少年健全育成を求める条例」2014年「児童ポルノ禁止法改正」2017年不倫疑惑報道ラッシュ、2018年セクハラ報道ラッシュなど、この「タブー化」は更に大きくなると思う。行き過ぎには気をつける必要があるはずだ。
2018年5月読了詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
一神教のキリスト教、ユダヤ教、イスラム教の国とは違い、日本は性に関してゆるかった。平安文学では「男女のことは前世から決められた宿世だから何があっても致し方ない」と、不倫には肯定的。日本の仏教界での同性愛は周知の事だし、江戸時代の銭湯は混浴だった。西洋の文化が入って来て、変容してきたということだけど、LGBT理解増進法なんて本当にナンセンスだ。マイノリティどころか女性が差別されているように感じる。差別はいけないけど、区別は必要。多くの国会議員に本書を読んでもらいたい。
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無宗教と言われる日本人だが、発端の神話にあらわされるおおらかさが根底にある?2018.7.8