- Amazon.co.jp ・本 (416ページ)
- / ISBN・EAN: 9784101205441
作品紹介・あらすじ
「絶対に無理はしないでください」豪雨に見舞われた地区にボランティアとして赴いた〈私〉は、畑に流れこんだ泥を取り除く作業につく。その向こうでは、日よけ帽子をかぶった女性が花の世話をしていた。そこはまるで緑の小島のようで――。被災地支援で目にした光景を描いた表題作のほか、広島カープを題材にした3作など14編を収録。欧米各国で翻訳され、世界が注目する作家の最新作品集!
感想・レビュー・書評
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小山田浩子『小島』新潮文庫。
14編から成る短編集。
私小説と言うのだろうか。或いは純ブンガクと言うのだろうか。改行の無い初めて見る文体で日常の光景や口から発せられる言葉が垂れ流したかのように、ただ綴られる。
明確なストーリーがある訳ではなく、例えば表題作の『小島』では広島の豪雨被害の被災地のボランティアという特異な体験が描かれているが、普通の小説のようなドラマティックな展開も無ければ、はっきりとした結末も無い。全ての短編がこの調子で、自分は新聞に挟み込まれた広告か何かを読んだいるのかなと空虚な気持ちになった。
小山田浩子は世界が注目する作家らしい。私小説もブンガクも全く解らなくなった。
本体価格750円
★★詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
描写の巧みさ。
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ずっと気になっていた初読みの作家さん。
改行が少ないので若干目が疲れるけど、この世界観、嫌いじゃないかも…と思いながら読んだ。
『異郷』でのカープが負けると気分が落ちて機嫌が悪くなるとか、『継承』でのカープが大量点を取られるとチャンネルを変えるとか、負けた次の日のスポーツ欄は読まないとか、ああそうそう。分かる。分かる。一緒。一緒。(恐らく)カープファンあるあるよね。
これを機に他の作品も読んでみようと思う。 -
短編集。
印象に残った話をいくつか記録。
▼ねこねこ
結局あれはなんだったの?猫じゃなかったの?娘の「ねこにみえた?」が怖かった。
ねこねこ ねこねこ ねこじゃなーい
のフレーズが頭に残る。
私がこの本の担当編集だったら、多分「ねこねこ」をタイトルにしてたと思う。
▼園の花
娘の話から気付いた母親の子供時代の話になっていて、記憶と現実が入り混じる感じがなんかリアルだなと思った。
こういうなんとなく生きづらくて孤立してた子供時代描写が上手い気がする。
お話の終わり方が怖かった。すれ違った子が持っていた植物があの毒のある植物に見えた瞬間電話が鳴る。聞こえてきた子供たちの悲鳴を、何か起きたのではないかと不安にさせる書き方。
最後の方、謎にカープの話が多かったけど、なにかそういう雑誌とかに出してた話なのかな。
自分に子どもができてかはもう一度読んでみたい。この人の描く子供の様子がどれくらいリアルなのか、知りたい。 -
どこかの誰かのいつかの何気ない日常だけど、物語の端々に非日常が見え隠れしていて、それが読み手を不安にさせる。でも気になって読むのをやめることができない。
「かたわら」と「異郷」が特に好き。
著者プロフィール
小山田浩子の作品





