帰ってきたソクラテス (新潮文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (293ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101206318

感想・レビュー・書評

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  • 池田晶子が現代社会をソクラテスに論じさせる対話集。プラトンがそうしたように。

    納得できるところはあるが、核心をずらされ、狐につままれた気分になった。そもそも哲学というもの、そういうものなのかもしれない。

  • ソクラテスが現在の日本に現れて、いろんな対立している人たちと議論の間に参加するという場面設定を通して2つの意見を哲学的に解釈するという興味深い鼎談の数々。ソクラテスと妻クサンチッペ、そして現代のフェミニスト(ウーマンリブの闘士?)の鼎談は実に楽しかった。現代の争点ともいうべき課題をソクラテス的に考えるという著者の発想は凄い。ソクラテス夫妻はこの他にもたびたび登場する。性教育について考える章は実に可笑しく笑える。この他、元左翼と評論家、サラリーマンと妻、議員と青年などの組み合わせが面白い。一方で3大偉人とされるイエスと釈迦の組合せは笑えなかった。

  • ソクラテスが現代日本に蘇ったと仮定して、様々な主義主張をする人達と問答を繰り広げてます。

    結論的なものははっきりとはしませんが、議論の進め方の勉強にはなります。
    ソクラテスの言い分は、偉そうであったり、詭弁に聞こえる所もありますが、自分の頭でよく考えることの重要性を思い出させてくれます。

  • シリーズ第1弾。

    プラトンの対話篇のパロディのかたちで、現代日本のさまざまな論者たちと古代ギリシアの哲学者が問答を繰り広げています。ソクラテスの妻であるクサンティッペや弟子のプラトン、さらにイエスや釈迦、ラスコーリニコフまでもが登場して、ソクラテスと架空の対話をおこなっており、著者の哲学が彼らの口を通して開陳されています。

    ややカリカチュアライズがすぎると感じられるところもありますが、ユーモアも十分にあって、おもしろく読みました。個人的に、著者の本のなかではもっとも好きなシリーズです。ただ、ソクラテスの鎧の下から小林秀雄がのぞくように思えるところも散見され、ロゴスとピュシスの関係について果たしてソクラテスやプラトンの思想を再現したものといえるのか、若干疑問に感じるところもありました。

  • 紀元前400年、世間の様々な賢人と「問答」を行ってきたソクラテス。
    よみがえり、現代人と問答をする。

    ソクラテスって聞いたことあるけど、この本をきっかけに調べてどんな人か知ることができた。


    ソクラテスVS現職議員・議員志望の青年
    「政治家になんかなっても、簡単にカネは貯まらないし威張れもしない、だから誰もそんなのになりたがらない、というふうにしてしまうのさ。いわば・・・『知らしむべし由らしむべからず』にかえちまうわけだ。」
    由らしむべし知らしむべからず:国民を政治家の定める方針に従わせるのは容易いが、その理由を全てに理解させるのは難しい。

    ソクラテスVSジャーナリスト・評論家
    時代はどこにあるのか?
    「学問上の発見や先端技術の発明で時代を画した人々が、事件や他人のあれこれに気を揉んで口出ししているのを見たことがあるかい。彼らは無言だ。自分を忘れて自分の仕事に没頭している」

  • 「君の人生は、いつだって丸ごとそっくり君の所有、君の自由。生きるも死ぬも、君の意のままだ。君が君の好きなことを好きなようにすることを、会社や家族が止めてなんかくれやしない」

    『不平不明は誰に吐く』からの一節。

    各テーマごとに、ソクラテスとテーマの関係者の対話を読むことで、読んだ人にそのテーマについて考えさせる。

  • 池田さんのソクラテスシリーズの1巻です。
    ソクラテスシリーズは、読みながら頭の中で
    ソクラテスに、反論したり、頷いたりと考え
    ながら読める面白い本です。

  • 【本の内容】
    「『私』ってのは何だい」「人が死ぬということなんか、ないではないか」「だから僕たちは考えなければ駄目なんだよ」―。

    史上最強の論客・あのソクラテスが現代ニッポンに甦った。

    相対するは、政治家、学者、評論家、はたまた老人福祉係、元左翼に人権擁護団体等々。
    イエスに釈迦まで登場し、尊厳死から性教育まで身近な難問に大哲人が挑む。

    知の広場へと誘う平成版対話集。

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    [ 関連図書 ]


    [ 参考となる書評 ]

  • 03032

    言葉の定義を相手に問いかけ、その答えの不備をついて自分の論理へ誘導してしまうのがソクラテス流哲学ということか。

  • 「帰ってきたソクラテス」
    ソクラテスが現代に降臨。


    ソクラテスが暴れまくる。あるときは政治家に対して、またあるときは政治家を批判する若者に対して、はたまた、自分を老人扱いする介護関係者に対して。ソクラテスの思考や哲学がどこまで反映されているか分からないけど確かに彼ならば言いそうなことばかり。お気に入りは、老人扱いに対してです。


    老人を特別扱いするからダメ。そもそも、なぜ年寄りを長く生きているだけで尊敬するのか。優しく扱うべきなのか。長く生きている奴の中には、ダメな奴はたくさんいるし、悪い奴だっているじゃないか。


    社会にぶっ飛んでいる高齢者はたくさんいるはず。現実世界で、誰かがこんなふうに言ったら、ネットや視聴者、めんどくさい有名人や知識人からぶつくさ言われるだろう。だから、ソクラテスはその誰かの代わりに言ってくれたんだ。


    しかし、ぶつくさ言ってくる人の中に、しっかりとした批判を出来る人間はどれくらいいるだろうか。どんな風に言おうが批判する為の批判であり、意味のない批判が大半では無いだろうか、そんな疑問、いや、確信が頭に浮びます。悲しいことに彼らを超える際たる例が、ネットやつぶやきにまだまだスタンバイしている訳ですが、全くソクラテスよ、なんとかして下さい。何も気にしないで、好きにやって良いですから。


    ソクラテスと、議論出来れば楽しいだろうな。ソクラテスにしっかりした口調と意思で、反論を述べたい。「いや、それは違うと思います!」と。

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著者プロフィール

1960年東京生まれ。慶應義塾大学文学部哲学科卒業。文筆家。専門用語による「哲学」ではなく、考えるとはどういうことかを日常の言葉で語る「哲学エッセイ」を確立して多くの読者を得る。とくに若い人々に、本質を考えることの切実さと面白さ、存在の謎としての生死の大切さを語り続けた。著書多数。2007年2月23日没。

「2022年 『言葉を生きる 考えるってどういうこと?』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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