三省堂国語辞典のひみつ: 辞書を編む現場から (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社
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本棚登録 : 271
レビュー : 19
  • Amazon.co.jp ・本 (304ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101206769

作品紹介・あらすじ

書籍雑誌はもちろん看板やメニューにも鵜の目鷹の目。時には対象物を解体したり味わってみたり。辞書編纂――それが著者のライフワークだ。日常語から若者語・難解語までを視野に入れ、独自の視点で編まれる『三省堂国語辞典』。その編集委員が舞台裏を案内し、ことばにまつわる様々な説をともに検証してゆく。用例採集の鬼・見坊豪紀の魂を継ぐ研究者による日本語愛あふれる辞典エッセイ。

感想・レビュー・書評

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  • 『三省堂国語辞典』通称『三国』の編纂者による『三国』の紹介・解説。現代日本語に気を配り、わかりやすい語釈をめざしている。同じ著者による『辞書を編む』が用例採集や語釈を書く辞書編纂の現場を描いたのに対し、この本は『三国』と言う辞書そのものを紹介する。

    現代の日本で使われている言葉を選び、『三国』の語釈・例文の中ではどのように説明されているか。その理由・背景を丁寧に解説する。たとえば「的を得る」「全然大丈夫」などをあえて誤用と決めつけないなど、変わりゆく日本語に対して、ある意味、寛容な編纂方針である。若者の言葉「やばい」はもちろんのこと、インターネットでの笑いを示す "w" や「中の人」、「ふつうに」など、新しい言葉・語用も積極的に取り入れている。辞書編纂者による言葉についてのエッセイと言ってもよい本である。

    この本に出てくる語例を、『新明解国語辞典』(通称:新解さん)や『大辞林』などで引いてみて比較すると、辞書の違いがわかって興味深い。

    辞書編纂者である著者は、語釈を書くためにさまざまなことに実地にトライしている。最近のライターの仕組みを理解するために分解してみたり、「フラグが立つ」の本来の意味を知るためにプログラミングの勉強をしたり。『三国』をますます「読んで」みたくなる。

  • 「的を得る」「汚名挽回」は必ずしも間違いではない。「ナウい」は「現代の死語」として未だに活躍中など、なかなか面白かった。

  • 辞書の副読本、面白かった。

  • 紙の辞書を引きたくなる。百科事典と国語辞典の違いはなるほどと思った。

  • 普段使っている紙辞書は、明鏡。
    ウェブと電子辞書では、大辞林と日国。
    たまに広辞苑。
    三省堂国語辞典は、申し訳ないけど、全く念頭になかった。

    ケンボー先生が土台を築いた三国。
    三国の持ち味は、現代日本語を映す鏡たらんと収録語を選定していること、そして、中学生でもわかる意味の記述。
    「的を得る」は伝統的な言い方ではないけれど、誤りとは決めつけず、「正鵠を得る」が成り立つなら、正しいかもしれない、と解釈する。
    なお、「にやけた」は、伝統的にはにやにや笑っているという意味ではなかったらしい。
    これは初めて知った。

    辞書編集のことを扱った本は、これまでにも何冊か読んできたが、ライターの語釈を書くまでにライターを分解したり、フラグが立つの意味を明らかにするために、ゲームのプログラミングを学んだり。
    私たちユーザーは、こんな苦労の成果を享受しているんだなあ、と改めて感じた。

  • 日本語について考えるところを数多く示唆してくれる好著だ.第4章の「気がつきにくいことばと意味」が良かった.最近のIT関連のことばについて,しっかりと調査している点は素晴らしい.カタカナ語の氾濫の中で,しっかりした語釈を簡潔に記載していることは素晴らしいと感じた.

  •  ~のひみつというタイトルはどうかなと思いましたが、いやあ、辞書やばいです。面白いですね。

     最近は電子辞書もあるし、ほとんど調べ物はインターネットで済ませていましたが、これからは辞書を使いたいです。しかも三国こと三省堂国語辞典を(笑)。

     言葉の意味とか、正しい使い方とか、インターネットでもいろいろ書かれていて、ついそれを信用してしまうわけですが、何が正しいととらえるかは、実に奥が深いということが分かりました。そして、三国では、言葉の使われ方の変化をとらえ、できるだけ最新の知見を紹介しようとする姿勢に惚れました。

     この本を読むと、きっとあなたも、三国の愛読者になること間違いなしです(^^)。

  • 一口に国語事典と言ってもそれぞれのコンセプトに従って,1冊ごとに個性が色濃く反映されたものであるものであることを,豊富な採録例から実感することのできる一冊。『三省堂国語辞典』の独自性や編纂へのこだわりを知ることができました。

  • 1万円からお預かりします、など誤用とされる言葉の解説や、各辞書の違いがよくわかっておもしろかった
    言葉って生きてるのね
    ナウいは現役の死語というのに納得
    消える一発屋芸人と言われつつ、それすらネタにテレビに出続けるお笑い芸人みたいな?

  • 啓蒙書というにふさわしい。「的を得る」も「汚名挽回」も誤用ではない、として、昨今のビジネスマナーのように濫造される「日本語の間違い」の間違いを正してくれる。言葉の用法は時代とともに移り変わる、という当たり前のことを辞書の多数の事例を通じて教えてくれる。良書。

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著者プロフィール

飯間浩明(いいま ひろあき)
1967年、香川県出身の日本語学者、辞書編纂者。『三省堂国語辞典』編集委員。早稲田大学大学院文学研究科博士課程単位取得。代表作に『辞書を編む』があり、その他著作も国語辞典や日本語にまつわるものが多い。

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