凶笑面 蓮丈那智フィールドファイルⅠ (新潮文庫)

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  • 新潮社
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レビュー : 167
  • Amazon.co.jp ・本 (336ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101207216

感想・レビュー・書評

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  • 行く先々で殺人事件に遭遇する民族学者とその助手。死体を見ても動じず、殺人犯が近くに居ても怖がらず、「犯人はあなたですね」なんて呑気に犯人に告げている。不自然と言えば不自然だけど、まあ、お話として割り切れば楽しめる。

    民俗学の事はよくわからないけど、一歩間違えるとサブカルになってしまうようで、その危うさがうまいこと本書のテイストになっている。個人的に<女の家>を題材にした『不帰家』が面白かった。『双死神』では三軒茶屋のビアバーに行って、そこで骨董商の女性に逢ったり‥‥別のシリーズの登場人物達が現れ、何となく得した気分を味わった。

  • 久しぶりに再読。
    やはり読み応えあって楽しい。
    北森鴻はもっと評価されてもいいと思うんだけどな。

  • スタッフS 

    異端で美貌の民俗学者、蓮丈那智と助手の内藤三國が、フィールドワーク先で事件に巻き込まれる、民俗学ミステリーシリーズ。
    しっかり盛り込まれた専門的な事柄も、さりげなく解説されるので、気軽に楽しめます。(私はこの影響で、考古学にちょっとはまりました)
    なお、最後の巻は、作者が途中で急逝したので、別の作家が完成させています。


    資料ID:C0024704
    配架場所:本館2F文庫書架

  • 再読。最初に読んだのは単行本で10年以上前だったはず。
    改めて読んでも民俗学ネタの充実ぶりと民俗学的謎と現実の事件の絡め方が絶妙で、全く色褪せない作品です。
    似たような趣向の作品に化野燐氏の考古学探偵シリーズがありますが、深さ、上手さでは当シリーズの方が一歩も二歩も上かな。

  • んー。
    冬狐堂シリーズが好きなので、似た雰囲気の作品なのかなと思ってたけど、違う。

    本作は蓮丈那智シリーズの予告編って感じですかね。話が淡々としてる。少し期待ハズレ…。でも、これから凄いことが起こるみたいな事をチラつかせられたら、このシリーズ読みたくなるのは自然の摂理(?)!ズルいッ!が、憎めない…。

    民俗学がテーマ。日本史も絡んでくるので、歴史に興味があれば嬉しい内容。
    私はもっと内容を濃く、長くしてもらえたら文句ナシです!長編が読みたいー。
    キャラがあまり好きじゃないのも、この作品に馴染めない理由の一つ。那智の冷たい視線がこちらにも伝わってきてるのか⁉恐ろしい人です。

    民俗学には人間の傲慢が絡む事件が似合いますね。不謹慎なことを言うようですが。

  • あまり文句をつけることのできない面白さ。筆者の民俗学の知識がいかんなく発揮され読者を魅了していく。単純にページを重ねていくだけならば、もっと資料からの引用を増やせばいいのだろうが、その按配を適度にしてスープとしてのダシの濃さより料理としての完成度を高められている。ラストの解説にかかれてあるとおり、基本的な構成を踏襲しているせいか、非常に話がわかりやすく、単純に民俗学やミステリーを愉しむことが可能なつくりとなっている。
    ただただ、知的要求をどんどん満たされてしまう一冊。
    本書の参考文献を紐解きたくなるそんな風に感じてしまった。

  • 民俗学者の蓮丈那智と助手の内藤三國。
    二人が各地で遭遇する事件を描いた短編集。
    民俗学者那智の口から語られる、それぞれの事件の真相にまつわる裏の歴史は哀しくてせつない。
    那智の美しい見た目の描写の多さが気になるが、なかなか楽しめた。
    捜査の知識力を問われ「三國が研究室に忘れていった推理小説から得た知識」(不帰屋より)というとぼけた那智の回答は、完全無欠的なキャラクターだけに面白い。
    もうこれで読むのを止めようかと思っていたが、法月氏の解説を読んだらそうもいかなくなってきた。教務部の狐目の担当者…気になる。

  • 中性的な美貌を持つ異端の民俗学者、蓮丈那智。
    彼女が助手と共に全国各地にフィールドワークに赴くと必ず事件に巻き込まれる…。

    五篇の民俗学ミステリ短編集ですが、どの話も大体同じパターン。
    民俗学者、蓮丈那智助教授と助手の内藤三國が調査依頼を受け現地で調査を開始すると、必ず何かしらの事件が起きる。
    そして、彼女の直感と冷徹な観察力により快刀乱麻に事件を解決するが、諸事情によってその成果を学会に発表できない、というオチまでセットでパターンとなっています。

    この作品シリーズの一番の面白さは、民俗学的な歴史の謎と、二人が遭遇する事件の真相がリンクしているところ。
    事件の動機やトリックと民俗学的要素が有機的に結びついており、どちらの要素も生かされている練られた状況設定には唸らされます。
    二つの要素を持つ小説って、どうしても比重が片方に寄りがち。
    一方は面白いけど、もう一方は物語のテーマから乖離している場合もあったりして、バランス良く絡み合ってうまく作用し合うことは難しい気がします。
    その点、この作品は二つの要素の融合に成功しており、作者の卓越した手腕に魅了されました。

    考えてみれば、ミステリと民俗学はその構造に共通項も多く、かなり親和性の高いジャンルかもしれません。
    ある謎に対して想像力を駆使して仮説を立て、それを証明するための根拠を探し、ひたすら検証を繰り返していく。
    検証をフィールドワークまたは捜査と言い換えれば、ミステリも民俗学も謎へのアプローチは共通していて、どちらも発想の柔軟さや緻密な考察(推理)が求められます。
    常識や先入観、思い込みをとっぱらい、目の前の事実から論理的に導き出された真実のみを抽出するという点では同じ。
    異なるのは、民俗学は答えは一つではないが、ミステリはそうじゃないということ。
    なんだか掘れば掘るほど奥深そうです…。

    また、探偵役となる蓮丈那智の造形が独特すぎて、違和感だらけのキャラ設定に最初は疑問を感じました。
    感情の波を全く感じさせないクールな年齢不詳の中性的美女で、アンドロイドみたいで全然感情移入ができない…。
    でも、読んでいるうちに探偵がなぜ彼女なのか何となくわかりました。
    隠された犯罪であれ、闇に葬られた正史の裏側であれ、真実を白日の下にさらけ出すという過酷な役割を持たせるため、あえて性別や固定観念を超越した、なにものにも囚われない強さを持つ人物造形にしたのかな、と思います。
    人間らしさはちょっと情けないキャラの助手の内藤君が担ってくれるので、これもバランス取れてますね。

    短編ひとつひとつの巧拙の差は少なからずあるけれど、ダイナミックな民俗学仮説とトリッキーなミステリ要素の双方の醍醐味を味わえる、一級の作品です。

  • 面白かった!

    まず、披露される民俗学の豊かな仮説がオモシロイ。
    民俗学の魅力を伝えて余りある。
    主人公・蓮丈那智の、頭の切れる美人って設定も、全くセックスアピールをしないところに好感が持てる。
    文字通り助手の内藤三国との関係性も、変な感情がなくて良い。
    民俗調査に行くたびにヒトが死にすぎだけど、ミステリにするには仕方ないか。
    シリーズ絶対読む。

    ……なのになぜ☆3つなのかというと、どうしても受け付けない文体があるからである。
    「…どうしてこんな器用な真似ができるのか、内藤には、
     ーーこの人の脳の構造は永遠に理解できない。
     のである。」
    っていう、読点打っておいて改行してーーで繋ぐ文体が、どうしても生理的に気持ち悪い。☆1つ減らすほどに無理。

  • 蓮丈那智シリーズ、第1弾。

    民俗学者がフィールドワーク先で起こる事件を解決していく短編集。
    とても読みやすい。
    ドラマ化されてもよさそうな感じ。
    このシリーズはすんなり読めそうかなー。

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