凶笑面 蓮丈那智フィールドファイル I (新潮文庫)

  • 新潮社 (2003年1月29日発売)
3.58
  • (92)
  • (195)
  • (257)
  • (26)
  • (9)
本棚登録 : 1341
感想 : 186
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • 本 ・本 (336ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101207216

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 民俗学と殺人事件をコラボしたミステリー小説。民俗学のフィールドワークに行くたびに、殺人事件に遭遇する女性民俗学者の蓮丈那智と助手の内藤三國。冷ややかで中性的な蓮丈は民俗学への知見を駆使して鮮やかに解いてしまう。その天才的な能力の前であたふたとする内藤の目線で小説は描かれるが、なんかねえ、凡人の私としては身につまされる。蓮丈の言葉遣いには、どうも違和感があって馴染めなかった。

  • ストーリーはとっても面白い。
    ただ個人的には、情景描写や人物描写が薄めなのが残念。結構濃いめのキャラクターなのに完全に民俗学解説の面白さに飲み込まれちゃっているかんじ。

  • 行く先々で殺人事件に遭遇する民族学者とその助手。死体を見ても動じず、殺人犯が近くに居ても怖がらず、「犯人はあなたですね」なんて呑気に犯人に告げている。不自然と言えば不自然だけど、まあ、お話として割り切れば楽しめる。

    民俗学の事はよくわからないけど、一歩間違えるとサブカルになってしまうようで、その危うさがうまいこと本書のテイストになっている。個人的に<女の家>を題材にした『不帰家』が面白かった。『双死神』では三軒茶屋のビアバーに行って、そこで骨董商の女性に逢ったり‥‥別のシリーズの登場人物達が現れ、何となく得した気分を味わった。

  • 資料ID:C0024704
    請求記号:913.6||Ki 67||1 ※続編あり
    配架場所:2F文庫書架

    異端で美貌の民俗学者、蓮丈那智と助手の内藤三國が、フィールドワーク先で事件に巻き込まれる、民俗学ミステリーシリーズ。
    しっかり盛り込まれた専門的な事柄も、さりげなく解説されるので、気軽に楽しめます。(私はこの影響で、考古学にちょっとはまりました)
    なお、最後の巻は、作者が途中で急逝したので、別の作家が完成させています。(S)

  • 再読。最初に読んだのは単行本で10年以上前だったはず。
    改めて読んでも民俗学ネタの充実ぶりと民俗学的謎と現実の事件の絡め方が絶妙で、全く色褪せない作品です。
    似たような趣向の作品に化野燐氏の考古学探偵シリーズがありますが、深さ、上手さでは当シリーズの方が一歩も二歩も上かな。

  • んー。
    冬狐堂シリーズが好きなので、似た雰囲気の作品なのかなと思ってたけど、違う。

    本作は蓮丈那智シリーズの予告編って感じですかね。話が淡々としてる。少し期待ハズレ…。でも、これから凄いことが起こるみたいな事をチラつかせられたら、このシリーズ読みたくなるのは自然の摂理(?)!ズルいッ!が、憎めない…。

    民俗学がテーマ。日本史も絡んでくるので、歴史に興味があれば嬉しい内容。
    私はもっと内容を濃く、長くしてもらえたら文句ナシです!長編が読みたいー。
    キャラがあまり好きじゃないのも、この作品に馴染めない理由の一つ。那智の冷たい視線がこちらにも伝わってきてるのか⁉恐ろしい人です。

    民俗学には人間の傲慢が絡む事件が似合いますね。不謹慎なことを言うようですが。

  • あまり文句をつけることのできない面白さ。筆者の民俗学の知識がいかんなく発揮され読者を魅了していく。単純にページを重ねていくだけならば、もっと資料からの引用を増やせばいいのだろうが、その按配を適度にしてスープとしてのダシの濃さより料理としての完成度を高められている。ラストの解説にかかれてあるとおり、基本的な構成を踏襲しているせいか、非常に話がわかりやすく、単純に民俗学やミステリーを愉しむことが可能なつくりとなっている。
    ただただ、知的要求をどんどん満たされてしまう一冊。
    本書の参考文献を紐解きたくなるそんな風に感じてしまった。

  • 短編5話が収録されている。すべて民俗学と事件が紐付いており、面白かった。民俗学に関する話も多いが非常にわかりやすく読みやすい。

    鬼と祭祀、面と異人、女人文化と離れ屋、だいだらぼっちとたたら製鉄、キリスト教と仏像といった感じで、日本の文化や歴史に興味があれば非常に面白く読めると思う。

    インテリジェンス。

  • 古来の伝承等に興味、関心があれば、非常に面白く読めます。

  • <再登録>シリーズ第一弾。美貌の民俗学者・連丈那智と助手の内藤三國が様々な事件に遭遇する連作短編集。
    民俗学と現実の事件が絡み合う展開が面白かった。「双死神」では、ビアバーのマスターや宇佐美陶子など他の北森作品でお馴染みの人物達との共演という見どころも。
    <追記>2024年、新装版が発売されました。北森氏の逝去からずいぶん経ちますが、もう一度多くの人に読んで欲しいですね。

全186件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

1961年山口県生まれ。駒澤大学文学部歴史学科卒業。’95 年『狂乱廿四孝』で第6回鮎川 哲也賞を受賞しデビュー。’99 年『花の下にて春死なむ』(本書)で第 52 回日本推理作家協会賞短編および連作短編集部門を受賞した。他の著書に、本書と『花の下にて春死なむ』『桜宵』『螢坂』の〈香菜里屋〉シリーズ、骨董を舞台にした〈旗師・冬狐堂〉シリーズ 、民俗学をテーマとした〈蓮丈那智フィールドファイル〉シリーズなど多数。2010 年 1月逝去。

「2021年 『香菜里屋を知っていますか 香菜里屋シリーズ4〈新装版〉』 で使われていた紹介文から引用しています。」

北森鴻の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×