八月の銀の雪 (新潮文庫)

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  • 新潮社 (2023年5月29日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (352ページ) / ISBN・EAN: 9784101207636

作品紹介・あらすじ

憂鬱な不採用通知、幼い娘を抱える母子家庭、契約社員の葛藤……。うまく喋れなくても否定されても、僕は耳を澄ませていたい――地球の中心に静かに降り積もる銀色の雪に。深海に響くザトウクジラの歌に。磁場を見ているハトの目に。珪藻の精緻で完璧な美しさに。高度一万メートルに吹き続ける偏西風の永遠に。表題作の他「海へ還る日」「アルノーと檸檬」「玻璃を拾う」「十万年の西風」の五編。

みんなの感想まとめ

日常の中に潜む人々の心情を描いた短編小説集で、登場人物たちの葛藤や出会いを通じて、人生の悔いと未来への希望が浮き彫りになります。コミュニケーションに悩む就活生やシングルマザー、夢を追い続ける契約社員な...

感想・レビュー・書評

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  • 伊与原新さんのお話は
    なぜか心に
    スーッと染みてくる
    少しずつ少しずつ
    五つの短編
    ひとつひとつに
    すぐそこに溢れている
    日常がある
    本当の人々の心がある

    迷子の伝書鳩と
    ふるさとのレモンの箱
    心が揺れ動く
    誰もが抱く人生の
    悔いと、これから

    さまざまな思いを
    掘り起こしてくれる
    愛の詰まった文章に
    また、してやられた!

  • 伊与原新さんのハートウォーミングストーリーですね。短編集です。
     生活に疲れ、生きる事の難しさを抱えている登場人物の出逢いと人間模様を、科学を交差させて描く再生のドラマです。
     伊与原新さんは、科学を思考する人達に、科学を描くことの可能性を、この本でも証明されています。
     曰く「科学者にはロマンチストが多い」と言われますが、まさに科学は謎解きと奥の深い人間模様がありますね。

          目次

       八月の銀の雪
       海へ還る日
       アルノーと檸檬
       玻璃を拾う
       十万年の西風
     
     表紙装画と表題が違いますね。装画は「海へ還る日」を表しています。
     「月まで三キロ」から伊与原新さんの作風は、人間模様を主題に置かれるようになりました。それまでの「ミステリーに疲れた」と言われたようです。
     伊与原新さんの文章は、心に沁みますし、何と言っても科学の魅力を醸し出して描かれますから、独特の文学があります。謎解きも、顔を覗かせるストーリーもあり、飽かずに愉しく読み進めます。
     これからが楽しみですね(=゚ω゚=)

    • きたごやたろうさん
      「いいね」ありがとうございます。

      美しいタイトルですよね。
      伊与原さんも近く読みたい!
      「いいね」ありがとうございます。

      美しいタイトルですよね。
      伊与原さんも近く読みたい!
      2025/11/13
    • ひだまりトマトさん
      きたごやたろうさん、こんばんは(´ー`).。*・゚゚
      いつもコメントありがとうございます♪

      伊与原新さんの小説には科学が躍動していますから...
      きたごやたろうさん、こんばんは(´ー`).。*・゚゚
      いつもコメントありがとうございます♪

      伊与原新さんの小説には科学が躍動していますから、読んでいて楽しくなりますp(^-^)q

      夜は冷え込みが厳しくなってきていますね!
      暖かくされてお過ごし下さいm(_ _)m

      明日が良い一日になりますように………(’-’*)♪
      2025/11/13
    • きたごやたろうさん
      ひだまりトマトさんへ

      そうなんです。
      伊与原さんは貴重な理系の作家さんなんですよね!
      ひだまりトマトさんへ

      そうなんです。
      伊与原さんは貴重な理系の作家さんなんですよね!
      2025/11/13
  • その雰囲気が捨てがたかった「月まで三キロ」の作者さん。皆さんの★もまずまずだったので手にしてみた。

    コミュ障で就活連敗中の大学生、天涯孤独なシングルマザー、役者への夢破れた不動産管理会社の契約社員…、そんな主人公たちが思いがけない出会いからもう一度自分の生き方を見つめ直していくお話。
    それぞれのお話自体も良かったが、それ以上にそこで語られる地球内部の構造や音に包まれるような鯨の歌、磁場を“見ている”という鳩の帰巣能力の話などが興味深かった。
    それらは物語ともうまくマッチしていて、とりわけ表題作では、地球の中のもう一つの銀色に輝いている星の上に鉄の結晶の小さなかけらが雪のように降り積もる情景が目に浮かぶようで素敵な気持ちになった。

    最後の話は、凧の話から放射能の発見や風船爆弾の話に発展し、多少説明がくどい話ではあったが、再び原子力発電に回帰しようとしているこの国の政策やいつの間にかウクライナやガザでの戦火が日常になった世界の姿など、本が書かれた当時にはなかった憂いを感じ取れる、とても締まった話だった。

  • ほんのり科学風味だった『月まで三キロ』が読んでいて心地よかったのと、
    ナオさんのレビューを拝読して本書を読んでみたくなり、手にした。

    やっぱり表題作「八月の銀の雪」は良かった。
    コミュニケーションをとるのが苦手な就活生、堀川。
    就活は連敗中で、そうなると卑屈にもなってくる。
    大学が決まった頃は、東京という街が自分を生まれ変わらせてくれるのではないかと淡い期待も抱いていた。
    でも違った。
    負の連鎖だ。
    けれど、次第に気付いてゆく。
    人の表面だけを見ていても何も理解できないことを。
    その人にどんなことがあったのか、奥深くに何を抱えているか。
    それらに目を向けられるようになった時、
    堀川の頑なに閉じていた心は、少しずつほどけてゆく。
    そして彼の胸にも、熱い気持ちが沸き上がる。。。


    もう1つ、私の心に引っ掛かりを残したのは「アルノーと檸檬」。
    この感想は間違えてるだろうなと思いつつも、何故かちょっぴり切なさを感じてしまった。
    檸檬の香りとともに爽やかに幕を閉じたけれど、実は何も解決していないからだ。
    いや、他の作品もそうだと言われればそれまでなのだけれど、本作の正樹には感情を持っていかれてしまった。
    それに、帰巣本能を貫く鳩にも。
    正樹は仕事を辞めるつもりだろうか。
    実家に帰れる日は来るだろうか。
    お酒の量、今後もしっかり減らせるだろうか。
    彼の生活が、明るい方向へと向かっていることを願う。


    「海へ還る日」
    大海原をゆく鯨の歌う声に想いを馳せた。
    「大事なのは、何かしてあげることじゃない。この子には何かが実るって、信じてあげること」

    「玻璃を拾う」
    珪藻アートを見てみたかったのでググった。繊細でとても美しかった。

    「十万年の西風」
    砂浜で、気持ちよく空をゆく大きな凧を見かけた辰郎は、思わずその凧を揚げていた男性に声を掛ける。
    その男性が今日ここで凧を揚げているのには理由があった。
    話は戦時中の気球兵器の成り立ちへ。


    本作も自然科学が丁度いい加減で、読みやすかった。
    科学の持つ普遍性が、生きづらさを抱えた人たちの心に光をあてる。
    いつの間にか私も癒されていた。

    ナオさんのレビューが無かったら読んでいなかったかもしれない。
    ナオさん、有難う御座います♪


    • 傍らに珈琲を。さん
      nyaさん、こちらこそです!
      レビューから興味を抱いてくださるのはとても嬉しいです。
      是非、読んでみてください♪
      nyaさん、こちらこそです!
      レビューから興味を抱いてくださるのはとても嬉しいです。
      是非、読んでみてください♪
      2025/05/24
    • nyaさん
      はい!早速図書館で予約しましたよ!
      読み終わったら、レビューしますね。
      これからもたくさんの本を共有させてください。
      はい!早速図書館で予約しましたよ!
      読み終わったら、レビューしますね。
      これからもたくさんの本を共有させてください。
      2025/05/24
    • 傍らに珈琲を。さん
      わ!早い( *´艸`)
      レビュー楽しみにしています♪
      わ!早い( *´艸`)
      レビュー楽しみにしています♪
      2025/05/24
  • 五話の短編集。自然科学や生命から自分の生き方を顧みることで前向きになる。二話目「大事なのは、何かしてあげることじゃない。この子には何かが実るって、信じてあげること」この言葉は深く心に残る。

  • 想像していたより読みやすい!
    短編ということもあるけれど、難しく書かれていないからすっと入ってくる。

    日常の決してハッピーでは無い部分を上手く切り取って見せてくれる。だから感情移入しやすいのかもしれない。

  • やはり、うまくいかない人たちが出てきて、閉塞感を抱いている。そんな人の心に変化をもたらしてくれたのは、科学と自然の力。
    地球惑星科学を専攻された、研究者である著者が描くお話は、私の全く知らない科学の知識が、わかりやすく存分に織り込まれ、段々引き込まれていきました。
    特に、海へ還る日、アルノーと檸檬、が良かったです。
    帰巣本能というハトの習性。何百キロ飛んでも元の場所へ帰ってくる驚異的な能力に感銘を受けると共に、帰る場所を失った人の孤独と重ね合せ、故郷を想い自分の人生と向き合う姿に心打たれました。
    科学が人の不安や困難を取り除けるわけではない。しかし些細な取っ掛かりで、光が見えてくることもあると思います。どれも、冒頭の一文にぐっとくるし、大きく事態は変わるわけではないが、それでも主人公たちの心が満たされてゆく、という終わり方が好きです。

  • 弱った心に勇気を与えてくれるそんな優しい短編集。胃腸炎で寝込んでいた私に元気をくれた。
    地球の核、クジラの声、伝書鳩、珪藻アート、風、など自然の壮大なチカラに、癒され、励まされ、人生に迷っている背中を押される。
    わかりやすく自然科学について書かれているので、読みやすい。知らない事ばかりで勉強になった。地道に研究し続ける方々が居らっしゃるから、私達の今の暮らしがあるのだろう。尊敬の念を抱く。
    科学とヒューマンドラマをミックスした新しい文学。もっともっと知りたい気持ちになった。
    さぁ、そろそろおかゆでも食べるとするか。免疫力を上げてウイルスをやっつけよう。人間の持つ治癒力を信じよう。

  • 2020年発刊の短編集、5作品。例えば外国人留学生。もともと不遇な上に舞い込んだ新たな困難に対し、科学の話題を、夢のチカラに変換して勇気をもらい克服していく。自分も前向きに頑張ろうと、改めて思う。

  • 伊与原新、短編集。

    就職活動がうまくいかない大学生・堀川。ひとり娘・果穂を育てるシングルマザー。元劇団員の派遣社員・正樹…

    生きることに辛さを抱えた人達。
    ひととのつながりから、考え方を変え、ちょっと前向きになっていく。

    堀川くんなんて、段ボールロボットの話を動画付きで、面接ですればいいのに。グエンの言うように。

    正樹もレモン農家、継ぐんだろうな。

    それぞれの話に繋がりはなく、どの話にも科学の話が違和感なく、盛り込まれている…
    どの科学の話もわかりやすくて、話を邪魔していない…

    短編って、物足りなさを感じるので、苦手だったが、伊与原新の短編はいい。



  • またも伊与原新氏の短編作品を読む。

    文体が心地よい。

    テーマも色々楽しめる。

    どの短編も好きですが

    ・『アルノーと檸檬』
    ・『十万年の西風』

    が好みでした。

    ・ただ『海に還る日』だけは途中不穏になってハラハラしました。

  • サイエンスを織り混ぜた5つの短編。「月まで三キロ」と同様、面白かった。科学蘊蓄がストーリーの全面に出ないところがいい。

    「八月の銀の雪」
    就活で全く芽の出ない、内向的・コミュ障系の大学4年生・堀川と、ベトナム人コンビニ店員(実は博士課程研究者)・グエンの交流。地球の中心に浮かぶコアに鉄の雪が降るイメージが幻想的。

    「海へ還る日」
    生活に疲れ果てたたシングルマザーが、ふとした縁で、幼い娘と共に博物館を訪れた。クジラの生態の神秘に触れ、癒されていく。

    「アルノーと神様」
    老朽化したアパートの住民立ち退き交渉を担当する正樹。頑として立ち退きに応じない白粉婆・須美江。迷い込んだ伝書鳩〈アルノー19号〉。

    「玻璃を拾う」
    綺麗なガラス細工の写真をSNSにアップしたら強烈なクレームが。『珪藻アート』を巡るトラブルと新しい出逢い。

    「十万年の西風」
    茨城の海岸で、凧揚げをしていた元気象庁研究者と、福島原発に赴く途中の原発保守点検企業元社員が偶然出会った。話は、旧日本軍の気象兵器「風船爆弾」の開発経緯に及び…。

  • 風邪でめっちゃくちゃ具合悪くて、でも読了した。あれっ本屋大賞なのに出たの速いけど読んでいないのかいて。あと鯨の絵がてっきり八月の銀の雪だと思っていた。困難な状況が実に伝わるし出だしで擦り切れた主人公は大丈夫かなと心配したけど、グエンとも距離を縮めるし自分の生きてきた道を歩む覚悟と道を外さないでよかった。やっぱ満員電車の困難な状況もグッとくるし日本人の悪い所がしっかり描いてある 毎度思うけどホントに変われないのだろうか意識の低さと同調圧力。で宮下さん(実在してたねぇ)との出会いで生きる事を続けられたし、果穂ちゃんの名前の実る事を信じるがグッときた。鯨の疑問を言えたし、だから鯨の頭の中の歌にたどり着く。鯨の頭の中の歌も自分には勉強になり 今回も科学がわかりやすくてとても面白くて 伊与原新さんは特別だった。

  • 就活、家族、故郷…。向かうべき先や帰るべき場所を失ったとき、自分は戸惑い、立ち尽くしてしまうかも知れない。それでも、自分以外の他者と触れ合うことで、自分を形作る輪郭とその奥深くに眠る「核」を呼び起こし、再び前に踏み出すことができる。
    伊与原さんの作品は、そんな変化の激しい時代への科学がもたらす処方箋と言えるでしょう。
    どんな状況にあっても、前に踏み出す原動力は「自然の摂理を明らかにしたい」という好奇心。
    10億年も前から地球の中心に積もる、鉄の雪。自分の中にも芯があるとしたら、そこにも何か降り積もっているだろうか。少しずつでも、芯は大きくなっているだろうか。
    行先に迷ったとき、自らに問いかけたい一節です。

  • すべての話が、最後はぼんやりと終わる感じながら、良い余韻を残している。
    不幸を抱えている人が多く出て来るが、暗い感じにならなくて、科学のかたい話しがちりばめられるが鬱陶しさを感じることなく、心地よく読めた。

  • 以前『月まで3キロ』を読んで、傷ついた登場人物たちが、揺るぎない科学の事実と知識に触れて、少し立ち直るエピソードに感動したことを思い出し、今年の夏が終わるタイミングで購入した。
    各編で登場する科学の知識がとても素敵な表現で紹介されている。“銀の雪”とか、“ガラスを纏った細胞”とか。それぞれの分野に詳しい登場人物が、出会った人に分かり易い言葉で語る場面も好きである。科学の知識にちょっぴり触れて、自分の身の上に照らし合わせて小さな発見をし、勇気を得てまた歩き出す。大げさなことではなく、「地に足の着いた」人生を歩むことも大事で尊く感じた。有名人でも成功者でもなく、普通の人達に、静かにエールを送ってくださる5編である。

  • 珪藻アートを調べてみると、すごく綺麗だった。こんなにも小さなアートもあるんだ。万華鏡みたいに綺麗に配置されているものもあって、すごい。殻自体が光でキラキラしてた。
    地球の、ミクロとマクロな話をたくさん教えてもらえた気がする。それにしても、知らないことだらけだなぁ。

  • 自分の明るくないが、興味のある分野を絡めた話なので、興味深く読めたのもあったが、加えて人間の生きづらさ、失敗と再生などのヒューマンドラマが絡み合って面白かった。

    全体的に重いが、最後は前向きになれる、そんな気持ちにさせてくれる。

  • 今回も外れなく面白かった。 中でもやっぱり表題作 "八月の銀の雪" そして "海へ還る人" が好きかな…
    単行本の装丁が素敵だったことも思い出す。探してみようか…

  • 科学の短編集。どの話もおもしろかったが、最後の凧揚げの話に一票。短編集は読みやすくて好き。

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著者プロフィール

1972年、大阪府生まれ。神戸大学理学部卒業後、東京大学大学院理学系研究科で地球惑星科学を専攻し、博士課程修了。2010年、『お台場アイランドベイビー』で第30回横溝正史ミステリ大賞を受賞し、デビュー。19年、『月まで三キロ』で第38回新田次郎文学賞を受賞。20年刊の『八月の銀の雪』が第164回直木三十五賞候補、第34回山本周五郎賞候補となり、2021年本屋大賞で6位に入賞する。近著に『オオルリ流星群』がある。

「2023年 『東大に名探偵はいない』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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