機巧のイヴ 帝都浪漫篇 (新潮文庫)

  • 新潮社 (2020年1月29日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (480ページ) / ISBN・EAN: 9784101207933

作品紹介・あらすじ

浪漫とモダニズムの花咲く1918年。美しき機巧人形・伊武は、女学校の友人・ナオミとともに訪れた猫地蔵坂ホテルで、ある男と運命の出会いを果たす。恋の始まりを予感したそのとき、幸せな日常を引き裂く大震災が襲う。時代の波に翻弄され、廻り出す運命の歯車。そして物語の舞台は、大陸の新国家・如洲へ──。心を持たない人形が問いかける、愛とは、魂とは。日本SF小説史に残る圧倒的傑作。

みんなの感想まとめ

心を持たない機巧人形・伊武の物語は、浪漫とモダニズムが交錯する大正時代を舞台に、運命の出会いや大震災といった歴史的背景を通じて、愛や魂の本質を問いかけます。シリーズの最終巻として、前作からのキャラクタ...

感想・レビュー・書評

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  • 機巧のイヴシリーズ完結編。

    シリーズを読み終え、今後、日本で本作を超えるSF物語が生まれるのだろうか...
    それ程の余韻に浸れる作品でした。

    大きく分けると大正時代と昭和初期を彷彿させる時代設定での二部構成。

    大正時代と言えば何を思い浮かべますか?

    大正浪漫、ハイカラさん、そうです、全部入ってます(笑)
    しかも、前作から主要登場人物は変わらず、舞台は日下國へ。
    おかっぱ頭で袴を履き自転車に乗るイヴ、想像したら思わず吹き出しそうになりました。

    そして後半は舞台を大陸の新国家・如州へと移ります。

    ここではイヴの女学校時代の友人・ナオミの秘密が明かされると共に、イヴとナオミの側にいた多くの人々が命を落としていきます。

    前作で動かなくなっていたイヴに魂を吹き込んだ八十吉、今作では軍部により研究の為バラバラにされたナオミに魂を吹き込む林田、まさに機巧人形の愛の物語。

    ラスト、思わぬかたちで動きの止まったイヴ。

    シリーズとしては確かに完結しましたが、いつの日か、再びイヴに魂を授ける物語があってもいいんじゃないでしょうか。

    それ程に見事な作品でした。



    これが、日本の『三体』だ! (翻訳家・大森望)
    花咲く浪漫、大震災、そして戦乱――。美しき機巧人形(オートマタ)・伊武(イヴ)が激動の時代を駆け抜ける。世界が注目するSF伝奇シリーズ、クライマックス!!

    機巧人形(オートマタ)をめぐる、魂と愛の物語。
    浪漫とモダニズムの花咲く1918年。美しき機巧人形・伊武は、女学校の友人・ナオミとともに訪れた猫地蔵坂ホテルで、ある男と運命の出会いを果たす。恋の始まりを予感したそのとき、幸せな日常を引き裂く大震災が襲う。時代の波に翻弄され、廻り出す運命の歯車。そして物語は、大陸の新国家・如洲へ――。心を持たない人形が問いかける、愛とは、そして魂とは。日本SF小説史に残る圧倒的傑作。

    出版社からのコメント

    「一九一八年と言えば、現実の日本では大正七年。『はいからさんが通る』の時代ということで(? )、小説の前半はまさかの女学校もの。轟八十吉の養女として天府に戻った伊武は、『はいからさんが通る』の花村紅緒さながら、自転車を颯爽と走らせて女学校に通っている」(大森望「解説」より)

    内容(「BOOK」データベースより)

    浪漫とモダニズムの花咲く1918年。美しき機巧人形・伊武は、女学校の友人・ナオミとともに訪れた猫地蔵坂ホテルで、ある男と運命の出会いを果たす。恋の始まりを予感したそのとき、幸せな日常を引き裂く大震災が襲う。時代の波に翻弄され、廻り出す運命の歯車。そして物語の舞台は、大陸の新国家・如洲へ―。心を持たない人形が問いかける、愛とは、魂とは。日本SF小説史に残る圧倒的傑作。

    著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)

    乾/緑郎
    1971(昭和46)年、東京生れ。2010(平成22)年、『完全なる首長竜の日』で『このミステリーがすごい!』大賞を、『忍び外伝』で朝日時代小説大賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

  • イヴ3部作の最終巻。
    まあまあ面白かったけど、やはり1巻が最高だったな。
    2巻3巻は、なくてもよいとは言えないけど、ちょっと冗長かな。
    また、1巻のようなイヴの短編集を読みたい。

  • #日本SF読者クラブ シリーズ3作目で一応の完結編となる。大正浪漫とモダニズムを髣髴させる時代が舞台。美しきオートマタの伊武(イヴ)。あとがきにもあるように、「未来のイヴ」や「攻殻機動隊」などの作品のオマージュが感じられる。そして作を重ねるごとに、軽妙さが増してきているように思える。イヴのキャラクター付けが、神秘から世俗に移ってきたからか。これは嫌いではない。

  • 『はいからさんが通る』は大好きな漫画で、今年宝塚で上演すると聞いて楽しみにしていた。
    が、そもそもチケットは取れず、COVID-19のため公演は中止。

    なのに、ここでどうして『はいからさんが通る』の世界が繰り広げられるのだ!
    丑五郎ならぬ俥夫の重五郎まで!
    天府高等女学校に伊武が通っている!
    しかも矢絣に紫の女袴。そこにベルトを締めている。
    御三家と呼ばれた自由な校風の学校、制服にベルトの付属学校、距離があったので諦めた可愛いセーラー服の横浜の学校。
    残念ながら憧れで終わってしまったけれど、本書の中には小学生のころ憧れた世界が描かれていた。
    大正!横浜!女学生!

    背景だけで話が終わりそうだ。
    前作は少し難しい作りであったけれど、本作はまたまた日下国なので親しみやすいし、歴史上の有名な事件、事故も描かれていて夢中になる。
    一方、フェル電気のM・フェル氏やその娘、ナオミも登場。
    前作で伊武を目覚めさせた八十吉は「父」となっているのだが・・・。
    これ以上は言えないのだ。

    人間の寿命は、機巧人形から見れば短すぎる。
    さよならを言い続けなければならないとき、機巧の心はどう動くのだろう?

    本作で伊武tはお別れ?
    いやいや、時代は日本の元号でいえば、大正から昭和に移ったところ。
    平成、令和の時代にきっと伊武は戻ってくる。

  • これに限った話ではないのですが何書いてもネタバレになりそうです。大正女学生の少し大人びた冒険から始まり、途中から凄い展開になっていきます。そして最後は煽れんばかりの愛あるSF…という。簡潔に言うと「かなり面白いオススメの作品」です。

  • 割と待っていたシリーズ第3巻。

    第2巻で伊武が目覚めてから約50年くらいたったあとの話。伊武が女学校に通い始め、 また色々な事件に巻き込まれていく。

    関東大震災も出来事として組み込まれており、その際に起きた朝鮮人の虐殺になぞらえた事件も生じた。人間の本性ってこういった極限状態で剥き出しになって怖い。

    最後のエンディング的にひとまずこのシリーズは完結したのかなという気がするのだが、また100年後とかに目覚めるのを期待してしまう。

  • ときは大正モダニズムが香る1918年。かつて新世界大陸から共に脱出した轟八十吉の養女として暮らしている美しい機巧人形の伊武(いゔ)は、友人のナオミ・フェルが想いを寄せる無政府主義者の林田馨と出会う。暗い影を持つ林田が自ら隠す来歴を知り、驚く八十吉とナオミの母・マルグリット・フェル。馨と行動を共にするようになったナオミは、関東大震災に巻き込まれて馨と共に姿を消してしまうが・・・。

    前作「機巧のイヴ〜新世界覚醒編」の続編、というか前後編とも言える作品で、前作を読んでから取りかかることを強くおススメ。もちろん、第一作「機巧のイヴ」も読んでいると、さらに楽しめます。

    大傑作だった第一作に比べて、第二作たる前作はかなりテーマが散漫な印象で鴨的にはあまり評価できなかったんですが、完結編らしい本作は、前作よりもまとまっており、軸がぶれることなく最後まで腰を据えて読了することが出来ました。まぁ、冒頭の「はいからさんが通る」的なラブコメ風味にはかなりビビりましたけどねヽ( ´ー`)ノ明るい前半からある事件を経て一気に重厚な後半へ、というストーリー展開は、前作とほぼ変わらず。
    驚いたのが、前作ではラノベ風味の賑やかしキャラとしか思えなかったマルグリット・フェルが、今作では重い運命を抱えた老獪な実業家として主要キャラの位置を占めており、同様に過去の事情を知る八十吉と共に、物語の主要なドライバーとして勢いのある物語を牽引しています。一気読みしてしまうストーリーテリングの巧みさも、本シリーズの特徴です。

    一方で、今作も鴨的に「うーん…」と思ってしまったのは、機巧人形の描き方。人知を超えた技術に寄って作られた不可思議な存在のはずなのに、単なる「歳を取らない美少女」の扱いで、機巧人形という神秘的な設定をもっと活かす手段があったのでは?と思います。
    まぁでも、この人間的な可愛らしさが好き!というファンも多いようで、特に伊武のコメディエンヌぶりは評価高いようですね。好きな人はたまらない作品だと思います。SFとしては突っ込みどころ満載ですが、細かいことは気にせずに面白い小説を読みたい時には良いかも。

  •  シリーズ3作目。前作に続く長編で、内容的にもつながっている。時代は少し下がり、機巧人形は変わらないが、周りの人間たちは相応に年を取った。ということで、あの八十吉が伊武の養父の役回りだ。その伊武とともに主役を張るのが女学校の学友でフェルの愛娘のナオミと日向丈一郎の息子の林田馨。あまりにドタバタしていた2作目とは違って、本作はまともなストーリーで、相変わらず三枚目な伊武やナオミの淡い恋情や出生の秘密などをまじえて、関東大震災や満州傀儡政権などの激動の世相に押し流される登場人物たちの日常が生き生きと語られる。そして、多くの人が死に、人形は再生する。機巧人形には魂がやどるのかという最初の命題があらためて繰り返される終末部はあまりにも哀しい。

  • この3作目で完結なのですね。舞台は20世紀初頭、表紙からも伝わる大正ロマン。前作に引き続き、年月を経て八十吉とフェル、勘助が登場。

    八十吉は万博後に実業家として成功を収め、しかも馬離衝師範として活躍。鯨さんに嫉妬して、腰掛けて屁でもかまそうかとする嫉妬にニヤッとしてしまいます。もちろん必死に鯨さんを擁護するイヴ。

    新たに加わった重五郎がいい感じです。ナオミの用心棒兼車夫、真面目で実直なのにちょっと不器用。遊佐はいっそ潔いほど悪役。

    ナオミが冒頭から動いてたのはフェルの想い故、でいいのかな?ナオミに想い人が出来て林田からの想いに移った、そしてまた父母へ、という事なのかな。

    解説で馬離衝が虚構の日本武術と知りました…。シャーロックホームズが元ネタとか心憎いですね。

  • 電子雑誌yomyom vol.52(2018年10月号)〜58(2019年10月号)連載。2020年2月新潮文庫刊。シリーズ3作目。1作目のピリっとした短編世界を期待していたのですが、長編で、2作目新世界覚醒篇のノリでした。並行世界とファンタジーという要素で展開する独自性の高い世界は、同調するのが難しかったです。

  • 余韻が残るオチ。伊武を主体とする物語なら、確かにこれで終わりだろう。またリブートして続編が出ることを望む。

  • 1作目が1番面白かったかな。
    続きはありそうだけど。

  • 面白かったです。
    今回のイヴは大正~昭和あたり、史実と巧みに絡み合わせてあってドキドキワクワクです。
    でも、1巻からするとすっかりイヴは脇役になってしまったな…面白キャラ要素に。
    ナオミも機巧だろうな…と思っていたけど、林田さんまでそうなるとは!しかも適当な感じで。酷い。
    八十吉くんが亡くなったことでまた止まってしまったイヴだけど、まだ解かれていない謎もあるし(天帝とか)、一応シリーズ終了だろうけど続きを求めています。
    命とは……。

  • 伊武がかわいいです。誰かに望まれて心を宿したけれど、その誰かをただ一人の人と思い、そこに縛られるのではなく、自由に思いを広げていく伊武が好きです。機能を停止してしまった伊武が、また動き出す時が見たいです。

  • 新刊が本屋さんにならんでいたので反射的に手に取りました。

    1冊目のようなドキドキはなく、きっと2冊めのようにどこか殺伐としているんだろうなあと思ったら文字通り殺伐でした。
    しかし、前回より救いのある部分もあって。
    なにより登場してきた瞬間から伊武の愛らしさが炸裂していて、もう伊武ちゃんがいるからこそこの世界が成り立っているのね!とも思えます。読んでいて心がささくれ立っても、彼女の存在で救われます。

    次作はどんな時代でしょうね。WW2あたりでしょうかそれとも
    機械じかけの眠り姫のお話はきっとまだまだ続くのでしょう。

  • 三部作完結、とはいえ、イヴは傍観者のポジションに引っ込んだうえ、最後はまた眠りに就く、と。
    「続き」を書くとしたら、超古代篇か遠未来篇かな、文芸忍法「火の鳥」ですな(笑)

  • シリーズ最新作。
    本書でこのシリーズは一区切り……らしいのだが、物凄く気になるところで終わっている……本当にこれで一区切りなの? この先、登場人物の運命がどうなるのか、めっちゃ気になるんだけど……。

  • イブ また会おう

  • シリーズ第3作目にして、一応の完結編。

    前作、前々作を読んでから時間が経ち過ぎており、繋がりというか、伏線みたいなものは全く覚えていない状態で読む。

    イヴが機巧人形であるということがあまり内容に活かされていないというか、イヴは最早主人公ですらない。

    退屈はしないが、物語の長さの割に満足度は高くない。

    シリーズものは連続して読むに越したことはないことを再認識した次第である。

    星は3つ。3.3くらいか。

  • 機巧のイヴ シリーズ3作目

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著者プロフィール

1971年東京生まれ。小説家・劇作家。2010年『完全なる首長竜の日』(宝島社)で第9回「このミステリーがすごい!大賞」を、『忍び外伝』(朝日新聞出版)で第2回朝日時代小説大賞を受賞しデビュー。2013年『忍び秘伝』(文庫化タイトル『塞ノ巫女』)で第15回大藪春彦賞候補。近年は作品の英訳版が発売され、中国のSF雑誌にも掲載されるなど、海外での評価も高い。『機巧のイヴ』シリーズ(新潮社)、『見返り検校』(新潮社)、『僕たちのアラル』(KADOKAWA)、『ツキノネ』(祥伝社)、『ねなしぐさ 平賀源内の殺人』(宝島社)など、著書多数。

「2020年 『ドライドックNo.8 乾船渠八號』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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