リカバリー (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社
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本棚登録 : 134
感想 : 7
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  • Amazon.co.jp ・本 (363ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101211510

作品紹介・あらすじ

路上を転がるボール、追う息子、叫ぶ父……。最愛の息子・考也を交通事故で亡くしたプロサッカーチームのベテランGK灰沢考人。事故後、自責の念から自暴自棄になった灰沢は家庭を壊し、チームのレギュラーの座も失う。一方、事故を苦にし自ら命を絶った亡き父の願いを胸に、若き砂田佳之也もプロ選手への道を歩み出す。サ ッカー小説を超える感動の物語。『転がる空に雨は降らない』改題。

感想・レビュー・書評

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  • 交通事故で息子を亡くしたプロサッカー選手と加害者となってしまった父親の息子の目線で物語が交互にすすんでいく。起こった事は被害者家族、加害者家族どちらも不幸としか言いようがない。事故を境にどちらの家族も崩壊してしまう。サッカーというスポーツを通してその後のそれぞれの人生がどうであったかということが分かるのだけれど再生していく感じがして読後感は良かった。そしてこの2人が似ている気がした。

  • 小野寺さんの作品3冊目。どれを読んでも面白いです。主人公はいつも苦しい状況に見舞われ、人生の中で道に迷ってしまうような霧の中を歩いているよう。でも、どの作品でも、一緒に横を歩いてくれる人がいて、出口に手を引いてくれる人がいて、そして霧が晴れそうな光が見つかったあたりで、物語が終わります。今回の作品の状況は、さすがに苦しすぎてどうなるのかと危ぶみましたが、最後には心が幸せな気持ちで満たされました。どんな人生でも生きる価値がある。力をくれる作家さんです。感謝!

  • 幼い息子を交通事故で失ったサッカー選手の灰沢と、父親が幼い子供を死なせてしまった下山(離婚後は砂田)という少年。二人が被害者と加害者の家族として、事故のあとどう生きていくかを描いた物語。二人のかたわらには大切な人がいて、サッカーがあります。
    少年は事故前からユースチームでサッカーをやっていて、灰沢選手のことは知っているし、早く対戦したいと熱望します。
    でも灰沢は、リーグ戦最終節で砂田と対戦したときも、いい選手だとは思いましたが、息子を死なせた男の子供とは知りません。
    もし次のシーズンで灰沢が事実を知ったら…?
    でもこの二人ならきっと大丈夫。そう思って、新たな一歩を踏み出す二人を、温かい拍手で送り出したくなりました。
    サッカーを知らなくても面白いと思いますが、少しでも知っていると、より楽しめると思います。

  • 息子に勧められて読んだ。サッカーを題材にした小説の中では一番面白かった。この作者のものをまた何か読んでみたいと思う

  • 最愛の息子を交通事故で亡くしたプロサッカー選手の灰沢。一方、加害者の父が自ら命を絶った佳之也もプロサッカー選手としてデビューする。絶望から再生へ、二人の生きざまを爽やかに描く人生再スタートの物語。
    ストーリー設定は人の死が絡むので重いが、サッカーというスポーツが舞台なので暗い気持ちにはならない。二人の主人公が挫折を経験しながらも、自分が生きて行く道が明確なのがいい。読者に勇気を与える小説だ。

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著者プロフィール

一九六八年千葉県生まれ。二〇〇八年『ROCKER』で第三回ポプラ社小説大賞優秀賞を受賞し同作で単行本デビュー。著書に「みつばの郵便屋さん」シリーズ、『ひと』『ミニシアターの六人』『レジデンス』『タクジョ!』『銀座に住むのはまだ早い』『君に光射す』などがある。

「2023年 『片見里荒川コネクション』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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