あわこさま―不村家奇譚― (新潮文庫)

  • 新潮社 (2025年2月28日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (384ページ) / ISBN・EAN: 9784101211626

作品紹介・あらすじ

東北地方の旧家・不村家では数代に一度、特別な子供が誕生する。人智を超えた才知を授かることから繁栄の兆しと崇められる一方、「あわこさま」と呼ばれる怪異があると畏れられてもいた。異形の奉公人たちの手で守られる平穏な日常が闖入者により瓦解したとき、人々は思い出す。――あわこさまは、不村に仇なすものを赦さない、と。「水憑き」一族の栄枯盛衰を描く、危険すぎるホラーミステリ。

みんなの感想まとめ

特別な子供が誕生する東北地方の旧家・不村家を舞台に、恐怖と美しさが交錯する物語が展開されます。「あわこさま」と呼ばれる怪異が憑く「水憑き」の一族の歴史を、さまざまな視点から描いたこの作品は、単なるホラ...

感想・レビュー・書評

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  • 東北地方の旧家・不村家では、数代に一度、特別な子供が誕生する。人知を超えた才知を授かる事から、繁栄の兆しと崇められる一方、「あわこさま」と呼ばれる怪異があると恐れられてもいた。
    異形の奉公人たちの手で守られる平穏が瓦解したとき、人々は思い出す。あわこさまは不村に仇なすものを絶対に許さない、と。


    異形の血脈を受け継ぎ、異形の奉公人たちに囲まれ暮らす東北地方の旧家・不村家。「あわこさま」と呼ばれる正体不明の存在が憑く、「水憑き」の一族の、100年以上の歴史を様々な人物の視点から追う年代記です。
    怪しく、恐ろしく、悍ましく、でもどこか美しく悲しい。

    全7章で構成されており、ある語り手で不完全だった部分が他の語り手の情報で補完されたりはしますが、どちらかと言えば余白が多いというか、語り手の心情部分以外は解釈の余地の多いお話しかと思いました。
    特に、特定人物への愛や執着の重い複数名の登場人物は、その感情を抱くに至った過程が気になる。好きだから好き、でも別にいいんですけどね、それもまた愛なので。

    扱っているテーマ上、割とショッキングなシーンも多いですが、身体的・精神的に欠損や不自由を抱えた人々、家や憑き物筋という柵に捕らわれた人々の悲哀と決意、様々な形の愛情を感じる事の出来る一冊です。

    個人的に好きなキャラクターは詠子とコウ。浮世離れしていつつも、人間らしい弱さが好きです。

  • 恐ろしくも妖しい幻想的な世界観。旧家に代々とり憑いている水憑き「あわこさま」に身体の一部を持っていかれるのと引き換えにずば抜けた才覚を授かる当主。様々な異形のものたち。揺らめきの世界に浸ってる感覚だった。

  • 祟はしないが、業が溜まる。何百年も前から降り積もった、不村の業がな───。

    貴志祐介氏の「さかさ星」の読了時も同じ事を感じたが、呪いや祟り、そういうものの発端はやはり人間の業であるということ。あわこさまは、余りにも惨く、悲しい人間の業の元に生まれる。

    ホラーと言うジャンルに分類される物語から、こんなにも自分の価値観を顧みるきっかけを与えられるとは、想像だにしなかった。多様性と言う言葉で表現すると何だか安っぽく感じてしまうのだが、これは単なる怪奇小説では無いということを、断言したい。

    一部はネタバレに触れる可能性があるため割愛するが、この不村家は何かとまだ保守的な現代の日本の縮図とも感じられる。自分は本当に普通か。人と違う事は、不幸なのか。その判断を第三者が下していいものか。あらゆる違いに過剰に関心を抱く必要もないが、過剰に避ける必要もない。排除するのではなく、共存する。差別だけでなく戦争や、犯罪等人々が様々な過ちを犯してきた事、そしてその事によって多くの血が流れた事を忘れるのではなく、記憶にきちんと残す事。そして教訓とすること。

    幻想的で、何処か官能的。乱歩を思わせる熟練された筆致で現代人が今きちんと向かい合うべき問題を、提起している。

  • 東北地方の旧家·不村家では数代に一度、特別な子どもが誕生する
    また不村家には『あわこさま』と呼ばれる怪異がおり、周囲の人々から恐れられていた…
    …というあらすじからわくわくするホラー!

    1900年代からおよそ100年、語り手が変わりながら不村家について描かれている
    ただホラーなだけでなく、読み進めていくうちに不村家の因縁めいた哀しさが分かってくる
    怖いというより、どちらというか物悲しい印象が強かった
    怖さはそんなになくするすると読み終えた

  • これはよかった。
    一族の因果が巡るというか、こういった年代記は好きなんだよねぇ。
    あわこさまの得体のしれないホラー的な怖さもあるけれど、人間の業だなと感じるそちらも怖い。

  • ――東北地方の旧家・不村家では数代に一度、特別な子供が誕生する。

    ――奇妙なことに、不村家の奉公人は、すべて異形の者だった。

    プロローグの舞台は1898年春。
    奇譚の定番に思える始まりだけれど。
    その後のエピソードの舞台は、
    1978年夏、
    1977年春、
    1978年秋、
    1998年春、
    2032年初夏、
    20**年春、と続く。

    地表をコンクリートで覆って、
    片手に端末を持って過ごすようになっても、
    今は常に過去の上に成り立っている。

    確かにあった、業の物語。

  • 東北の旧家・不村家の怪異と異形の妖しい美しさに彩られた年代記。
    不具者ばかり集められた使用人たち、生まれてくる子や来客の躰を喰う「あわこさま」と呼ばれる憑きものの存在…謎めいた一族を見つめる視点と年代が移り変わり、「あわこさま」の正体に迫っていく。
    消えることなく淡々と続く呪縛を背負い共存していかなければならない業こそ、呪いの本当の怖さ。払うことも逃れることもできない中で不村家の人たちは幸せを感じる時があったんだろうか…。奈央にとっての善足のような存在にそれぞれ出会えたことが救いと呼べるのかな。

  •  産婆を生業としながらも"水憑き"と畏れ忌まれた東北の旧家、不村家には、"あわこさま"と呼ばれる異形の存在が取り憑いていた。7編の連作短編で綴られる、不村家の恐怖と愛憎、悍ましくも悲哀に満ちた一世紀半に亘る年代記。

     不村家という憑き物筋、そして奉公人が異形の者たちばかりの家の年代記というよりも、不村家の血と業を受け継いでいった者たちの約一世紀半の年代記とでもいうのが正しいのかもしれない。
     産婆、水憑き……となると不村家の業とは、そしてあわこさまとは何かということも序盤で凡その察しはつくが、それらの一つの答えは6章で奈央らの考察という形で提示されることになる。不村家の血を引く者たちや関りを持った者らの物語がこの年代記の緯糸であり、不村家の業やあわこさまという存在、さらには両膝下を欠損して産まれながら天才的な頭脳で不村家を再興させ、後々の代を見守る形で存在し続ける愛一郎と、奉公人の斡旋から婚姻先、さらに家人やその関係者の世話までを代替わりしながら顧問弁護士の如く勤める"木村"が、この経糸といったらいいだろうか。

     不村家の業も闇も深く、これはかつての日本―否現代ですらも実際に存在するものだろう。あわこさまが招く事態は時にかなり凄惨であり不気味(特に5、6章はホラー要素が濃い)だが、個人的には登場人物たちの紡ぐ関係や言動がそれ以上に悍ましく、またどうしようもなく悲しく感じられたのも事実。
     恐怖や伝奇と併せ、身近な者同士の愛憎、相克、桎梏……そういった耽美的な要素も好む人にはかなり堪能できるんではないかと感じた次第。

  • ホラーというよりもある一族の歴史。もともとの『不村家奇譚』の方が内容を表しているように思う。あわこさまの正体は好みの方だけど、もっと禍々しいものを期待していたので物足りない。

  • 独特な世界観と静かな不気味さがずっと続くホラー小説。
    あわこさまが別に何をしてくるわけでもなくただ周りに気配を感じてまとわりついてくる感じがジワジワとしています。最初は喰った足だけの存在だったのにコウとヨウの時には首なしの体になって、奈央の時は逆に顔だけ。口があると怖さが一気に上がる感じがします、なんか食べられそうとか、あわこさまの感情が出てきてる感じがしてゾッとするというか。
    個人的にはキャラクターとしては木村が好きです笑
    客観的な立場にいながら事の顛末を見届けてる感じが好きです笑
    どハマりとまではいかなかったのですが推理物のミステリーを読んでる時の気分転換にテイストの違うホラー小説を読むにはさくっと読めました。

  • 登場人物は誰も彼も、邪悪の権化とまでは言えないにしても、善人とは言い難い手合ばかり。そうした彼らが織りなすエピソードもグロテスクだったり、おぞましかったり。にも関わらず、このお話を端的に形容するならハートウォーミング系になるだろう。そういう意味ではほんとに変な話。グロ耐性があるならぜひ。

  • 913-S
    文庫

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