主婦病 (新潮文庫)

Kindle版

β運用中です。
もし違うアイテムのリンクの場合はヘルプセンターへお問い合わせください

  • 新潮社 (2017年12月25日発売)
3.15
  • (12)
  • (30)
  • (59)
  • (24)
  • (5)
本棚登録 : 563
感想 : 51
サイトに貼り付ける

本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています

Amazon.co.jp ・本 (304ページ) / ISBN・EAN: 9784101211916

作品紹介・あらすじ

「たとえ専業主婦でも、女はいざという時のために最低百万円は隠し持っているべきでしょう」。新聞の悩み相談で目にした回答をき っかけに、美津子はある仕事を始めた。八時三十分から三時まで、昼休憩を除いて六時間勤務。完全在宅勤務でノルマなし。欠かせないのは、熟したトマト─。R 18文学賞読者賞を受賞した「まばたきがスイッチ」をはじめ、生きる孤独と光を描ききる六編を収録!

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 部外者が興味本位で立ち入ってしまったら、
    え、なにこれ、とっても怖いんですけど…
    腰を抜かして逃げ出すことができなくなってしまった

    …そんな感じ。

    「金髪の男」への主婦たちの浮気やら不倫やらを描いたもの哀しさ漂う連作短編集。

    「月影の背中」の由紀乃が言った「まっとうした」という言葉が特に心に残りました。そわっと。

    感想と別のところで思ったのは、「主婦」って言葉、響きが古めかしいな、と。
    この作品は10年前のもの。
    もしかすると、そのころから今までの間に急激に色褪せた言葉なのかもしれない。
    死語化するのも近いのかもしれない。

  • 読後感が良くなく好みじゃないなあ!

  • 淡々と少しどんよりしたお話。明るい気持ちにはなれないけど、面白かった。
    "女は主婦だろうが母親になろうが女は捨てられない"
    "男は旦那だろうが父親になろうが特に変わらない"
    そんな気がしたかな。
    表紙のイラストは誰なんだろう?

  • 子どもの髪は、室内でも雨の日でもひだまりの匂いがする。
    当たり前に知っていた記憶がいつのまにか私の中から消えていたことに気付いた。
    娘たちのつむじを明日の朝嗅いでみよう。

    出会いというのは、何でもない日常の亀裂だ。
    けれど、泥の川から砂金を掬い出すような、
    奇跡としか言いようがないものが、一生のうち何度訪れるだろう。
    誰にでも「金髪の男」は存在する。

    ”冒険なんて、実行しないから冒険と呼べるのに”

  • 本屋さんで、タイトルがなんとな~く目に留まり購入。

    収録されている「まばたきがスイッチ」は、第12回女による女のためのR-18文学賞読者賞受賞作品です。(故に性表現が多めです。)

    ♡ブログにて詳しいレビューしています♡
    https://happy-books.hateblo.jp/entry/books-shufubyou

  • 主婦として、母として、というより1人の
    オンナとしての思いが内容的には過激に綴られているのに主人公が達がどこか冷めていてそれでいて行動は時に大胆。それを淡々とした表現で綴られているのでシュールでした。

  • 初読みの作家さん。
    なんとなく読んでみたが、とても良かった。
    裏表紙の説明は、俗っぽく気を引きそうな部分を抜き書きしているが、この作品の読みどころは他にもたくさんある。
    エロスと生活感と心理描写とホラー、ファンタジー…その辺のバランスが、私個人的には丁度いいと感じる。

    「主婦病」というタイトルの短編が収録されているわけではない。
    “病”ってなんだろう。
    「みんなどこかおかしいんだから、おかしくなんかないわ」登場人物のセリフ。
    そういう人たちの、人には言えない思いが描かれている。

    夫たちは皆、経営者だったり、公務員だったりして、妻たちは全く収入に困っていないのが共通点。
    けれど、お金以外の悩みを抱えている。

    少女達の、あきらめや物分かりの良さも悲しかったり、逆に、生き抜くための大人へのおもねりが切なかったりもする。

    そして、一番気になる、どんどん気になって…各作品をつなげているのが、“金髪の青年”
    染めている金髪に抱く印象も人それぞれ。

    『眠る無花果』
    無花果は花が咲かないのではなく、果実の中に咲く。
    見せたくないものは隠す。

    『まばたきがスイッチ』
    目を閉じれば現実は遠ざかる。

    『さざなみを抱く』
    それは隠しておいてほしかった一言。
    悪あがきだったのか…彼女の努力と虚無感。

    『森と蜜』
    骨よりは肉。「眠る無花果」と繋がっている。

    『まだ宵の口』
    朝の4時から7時まで、団子屋でパートする、子供の出来ない主婦。

    『月影の背中』
    ああ、そうだったのか…とある意味繋がる。
    彼女の願いが叶う時は来るのだろうか。

  • 面白かった・・・・
    寂しさ、切なさ、女の業がにじみ出る。

    そして文章が好き。
    綺麗で、悲しい。

  • ゆるゆると熟して腐りかける間近の女たちの悲鳴を感じる。
    それでいいのだと言い聞かせて、なにもなかったことにして。
    それでも、時は進み、些細な日常は積み重ねられ、あるいは、爆発的に誘惑の事件が時に起こる。
    ささやかな日常すらも、事件になる。

    女としての自分を見直したくなる。
    そんな一冊。

    それにしても、つくづくこの金髪君は人妻に縁があるものだね。
    彼こそ最終的に幸せな結婚とやらを手に入れてほしいもの。
    だけど、この主婦病一冊かけてわかるのは、夫婦ってどこまでいっても他人なんだなと。
    だからこそ、歩みより、理解しようとたゆまぬ努力を日常的に続けていくことになるのだろう。
    相手が思うままにならなかったり、裏切られたり。
    一番好きな人と添い遂げるのは地獄かもしれない。
    二番目くらいのこの人なら許せるという人の方が、自分が傷つかなくてもすみそうだ。
    勧められての結婚、相手から求められての結婚。
    自分の意思はどこ?
    だからこそ、彼女たちは窒息しそうな日常のなかで金髪の頼りなげな青年に夢を見る。

  • 眠る無花果
    母との永遠の別れがまだ受け入れられないのに、
    新しい母親を受け入れるのにこの歳ならではの葛藤がありながらも
    戸惑いつつ受け入れるのが意外と早かったのが驚きでした。
    この母親と父親との関係も何だか生々しくて
    お互いに密やかな裏の心がありそうで、
    様々な余韻を想像させられました。
    無花果の花言葉のように生前の母は女であり
    純粋であったようにも思えます。
    けれどそこにはまた夫婦しか分からない愛情や絆などが
    この短い中に秘められているのでただの短編とは思えなかったです。

    まばたきがスイッチ
    この主婦の仕事がまた生々しいけれど仕事として割り切るところが潔かったです。
    夫とのことは割り切り、次のステップに徐々に移行しているところがしたたたかでスリリングでした。
    こんな事は現実にはできないと思いますが、
    誰でも密かに願望はあるのかと思ってしまいます。
    いざという時の100万円は用意すべきか?
    この100万円は高いのか?それとも安いのか?
    なんて思ってしまいました。

    さざなみを抱く
    夫をやっと自分に振り向かせるチャンスだったのに
    こんなラストになってしまうなんて切なすぎました。
    夫婦としてはダメだったけれど、
    人間同士だったら良い仲間だったなのかと思えました。
    それが救いかどうか・・・
    彼女らしくぶれない人生を送って欲しいと思ってしまいました。
    このタイトルのさざ波というのは一見すると爽やかですが、
    後から考えてみるとかなり意味深なことに思えます。

    森と密
    眠る無花果の続編というべきか、母親の視点で描かれています。
    封印されていた過去を振り返りながら夫とのことも描かれていますが、
    あまりにも過去の事が生々しいので読んでいるのが
    少し苦しい気持ちになりました。
    母であり妻ででありその前に一人の女であったということ。
    それが強く印象に残る作品でした。

    まだ宵の口
    「それぞれの女の悲しみがある。
    どんな母親だって、母親じゃない自分を夢見るよ。」
    これは良いことなのか、悪いことなのか。
    この作品では女性の立場として二極に分かれるかなと思えた作品でした。
    けれどいくら女であったとしても
    子供のことは二の次にしてというのはちょっと人としては
    失格だなと思ってしまいました。

    月影の背中
    お金持ちで何不自由のない生活をしていた女性が、
    結婚した相手が普通ではない人でなかったばっかりに
    人生の歯車が少し狂い出したように思えました。
    元々持っていた気質や性格のようなものもあるのかもしれないですが、
    それが自分と合わなければ合う人を
    求めてしまうのが性なのかもしれないです。
    偶然にも行き着いた先で激しい恋に堕ちてしまって
    この先がどうなるかも分からないけれど、
    それでもそこにしがみついていくというのはやはりこれが
    本望なのかと思ってしまいました。
    「いつか一緒に天国に行こう。」という台詞は決まり事のような
    言葉でもあるけれど、これもある意味での意味深言葉です。

    六作品のうち前半の三作品は女性の秘めたる想いを中心に描かれていて、
    読んでいてもまだそんなには苦痛にはならなかったですが、
    後半の三作品はかなり積極的な女性の想いを中心に描かれていて
    かなりリアルで生々しい表現があるので少し苦痛気味でした。
    全作品の中に必ず金髪の若い男というのが登場してきますが、
    これは何か深い意味があるのかなと思いましたが、
    風貌が金髪の若い男という方が想像力をかき立てられるみたいなので
    こんな風に出てくるのかと思いました。

    この本のタイトルが主婦病となっていますが、
    主婦病というと少し主婦を偏見した見方に思えるので
    違うものが良いかなと思えました。

    森さんの作品は初めてですが女性の心底に秘めているものを
    リアルに生々しく描かれていると思いました。
    なかなかこのような事を心のどこかで思っていても
    いくら女性同士でも堂々と会話にして出来ることではないので、
    そういった意味では余計に切実な問題だなと思ってしまいました。
    何よりも女性はいくつ歳を重ねても女性なんだなと思わされて、
    ちょっと女性とは?そして夫婦とは?と普通の観点からではなく、
    裏の方向から見ることで考えさせられました。

    R18受賞作品というだけあるのであまりリアルにレビューも書けないので
    ややオブラートに包んで書いています。

  • ものすごかった
    大好き愛してるだけじゃない夫婦の関係
    夫婦の中にある性と愛と情と哀しみみたいのを可視化してぶつけられたような消耗
    それを見ている子供の視点の中に、まだ小6なのに分かってしまった分かってしまえる女が産まれていて喜ばしくも苦しい

  • その...どうしてこういうテーマになる時、パートナーの無知、鈍感さを絶望したり責める色合いの小説になるんだろう。

    いえ、別に何かをどちらかを擁護する気はさらさらないけれど、こういうテーマで取り上げられる問題の原因て、文化的背景、生活スタイルの変遷等々、性別や個人だけの問題では無い(それがまた絶望なのかもしれないけど)と思っているので、ただ鬱々とした気分を目にするのも億劫になりパタンと本を閉じがち。

  • 【2022年100冊目】
    タイトルとあらすじからは想像もできない豊かな表現に満ちた6篇のお話。あっと思わされる一文が多く、けれど不自然さはちっともなくて、全てが物語の中にしっかりと溶け込んでいます。

    全ての話に出てくる金髪の男を、各話の登場人物がどう見るのかも再読するときには注目したいと思いました。

    解説はあまり読まないのですが、今作の三浦おしんさんの解説はこの本の良さを的確に表しているので、是非そこまで読んで頂きたいです。

  • こんなに人は性にとらわれているのか
    作者の力を別の作品世界に使ってほしい

  • いつのまにかタブー扱いされている妻の性についての短編。でもどこか世界は繋がっていて。最後の話で一気に話が引き締まった。

  • 2019/01/27読了


    正直こう、もっとドロドロした女の世界が見たかった、、、
    というのもあるけど、これはこれで十分恐ろしい
    「女」の話。


    主婦で妻で母親で、でも根底には「女」があり、満ち足りない 満たされない「性」がある。愛とかよりウェイトがある。
    それでいて現状でありながら満たされない存在である「日常」の中で狂って壊れてしまう。
    分かる部分もあるし、壊れてしまった箇所もあるし。
    そういう意味では、主婦という立場において漠然と存在する「恐怖」であるでしょう。
    短編であり連作でもある、物語のどことどこがリンクして
    という読み方もできるのだけど(きっとそのリンクを味わうのが本来の読み方)
    あくまで日常の中の女の話なので、渦巻く性への渇望以外はストーリーのスパイス程度にしか読めないし見られない
    ・・・というのが、私個人の読み方になります。


    「いざ」

    は、まさにこのときである

  • 評価の難しい本。作者の力量はズバ抜けていると感じる。解説で三浦しをんも恐ろしい才能と書いているけど、日常に潜む小さな感情の泡立ちをすくいあげて文に、それが段落に、短編に、短編集にとからみあって世界を織りなしていく様子には背筋が寒くなる。
    凄味がありすぎて楽しめない、美しすぎて正視できない、といったらいいのか。
    小説の主人公たちの狂気ともあいまって、読んでいて怖くなる。
    ホラーサスペンス?が好きな人なら楽しめると思うけど、私はダメだった。
    繰り返すけど、文章は本当にうまい。灰色の日常生活に差し込む緋色のマフラーや金髪の兄ちゃんといった色のコントラストはポスターみたいだし、ベランダの上と下で唇の形だけで交わされる無言のメッセージはドローンで撮影されたようなシーンだし、だんだん入り混じってくる回想と現実には狂っているのが誰の何かわからなくなる恐怖があるし、ほめるところしかない。
    この小説を必要としている人はいると思う。この狂気によってしか救われない人もいると思う。単に、今の私がそうでないだけ。

  • 主婦というカテゴリーに属した孤独な女達の連作短編。

    特殊な性癖を持った夫、夫の不倫、不妊、テレクラのサクラなど、主婦の秘密が目白押し。
    随所に登場する謎の金髪の男は、最後の話で初めて少し好感の持てる存在になります。

    結婚24年、のんきに暮らす私には、へーと感心する話ばかりで、共感共感出来る人はいなかったけれど、興味深く一気に読みました。

    R18文学読者賞受賞作「まばたきがスイッチ」が好み。

  • 主婦にとっての付き纏う病とは何なんだろう?

    それは女や母親としての悩みと=なのだろうか?

    金髪の男という不穏さが連作短編の中に
    暗示的に漂っているが
    それは見た目の派手さだけに騙されるなよということだろうな

    いい主婦を演じている、なっている人だって
    心の内は人に語れないことを1つや2つ持っている。

  • 主婦達の短編集。
    夫という生き物は妻に無関心になっていく。男は肉が好きなのだ。
    アンニュイで息苦しく狂気も感じられる。わりと好きな雰囲気。
    中でも"さざなみを抱く"が印象に残った。妻として戸惑う気持ちも分かる。ご主人も辛そう。どこか切なく、やるせない。
    他の作品も読みたくなるような一冊。

全44件中 1 - 20件を表示

著者プロフィール

1970年、埼玉県生まれ。1995年、少女小説家としてデビュー。2013年、「朝凪」(「まばたきがスイッチ」と改題)で、R-18文学賞読者賞を受賞。主な著書に、受賞作を収録した『主婦病』のほか、『私の裸』『母親病』『神様たち』など。アンソロジーに『黒い結婚 白い結婚』がある。

「2023年 『わたしのいけない世界』 で使われていた紹介文から引用しています。」

森美樹の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×