研ぎ師太吉 (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社
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  • Amazon.co.jp ・本 (363ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101213446

作品紹介・あらすじ

深川黒江町の長屋で、刃物の研ぎを生業とする太吉、ひとり者。ある夏の日、裏店にひとりの若い女が訪ねて来る。料理人だった父親の形見である出刃庖丁を、供養として研いでほしいという。快く引き受けた太吉に、かおりと名乗るその娘は、妙なことを口走る。「おとっつあんは、殺されたんです」-。一本の庖丁が暴いていく、切ない事件の真相とは。切れ味抜群の深川人情推理帖。

感想・レビュー・書評

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  • 山本一力が安二郎の仕事に批判的な職人たちをヒーローとして描いたのは、現代社会に蔓延している職人の手抜きに警鐘を鳴らすためだったのではないだろうか
    料理人の道具を手入れする太吉は、裏方の職人である。著者が、Spotlightを浴びる花形職人ではなく、地味な裏方を主人公に選んだのは、職人の本質が、研ぎ師のような地道な仕事にあると判断したからではないだろうか

  • (古本を購入)
    読み始めた(4月15日)〜読み終わった(4月20日)

    「これからも、ひとのために骨惜しみをしなけりゃあ、生きるのも楽だぜ」
    太吉は誰と落ち着くのか?

  • 主人公の研ぎ師である太吉を中心に、いつもの太吉の実直な仕事っぷりと人柄に惹かれ、いろいろな人に支えられながら生活していたのですが、そんな中、とある殺人事件に巻き込まれ、人助けのために真相究明に挑み、見事真相究明にいたるという姿が爽快でした!
    見事な山本一力ワールド全開な作品で最高でした!

  • 元旗本の家で砥ぎ師をしていたが、訳あって今では
    市井で料理人などに名を知られた砥ぎ師太吉。

    思い人と同じ、かおりという名前の娘から託された
    出刃包丁を巡る事件の解決に奔走する。

    その筋の人が出てこないですし、
    事件は事件であまり深い謎があるわけでもないですが、
    気持よく読める登場人物たちの物語です。

  • 花のお江戸の殺人事件サスペンスというか
    捕物帳みたいな感じなのだけど
    そこは岡っ引きが主役ではなく
    凄腕職人、研ぎ師の太吉さん。
    最初、んん??ってなったけども
    読み進めていくにつれ
    太吉の人間味というか人の良さと
    みんなから愛されてるのね!という感じ。
    たまたま依頼で研いだ包丁からの謎解きサスペンス。
    まぁとにもかくにも御無事でなにより、かおりさん。
    なんか後半というか最後の犯人自白までの中だるみというか
    太吉の姿がストーリーから消えた感じなのだけど…
    そこは主役出して!と声を大にして言いたい。
    まぁ話としては面白かった。
    他の職人の皆さんも良かった。

  • 殺人事件の犯人を捜し、主人公に包丁の研ぎを依頼した女性の濡れ衣を晴らす話なのですが主人公は走り回ってばかりで推理をしたのは鍛冶職人。犯人を追い詰める役も奉行所絡みの人々や主人公と付き合いのある元締めの配下で主人公の影の薄いこと。
    後半も呆気なく、主人公の気持ちや彼の周りの女性陣の恋心の行方は置いてきぼりで終わってしまいました…。

    しかし人情味に溢れた登場人物と江戸の生活が目に見えるようで、このあたりは面白く読めました。肝心の話の筋立てが物足りなく感じてしまったのは残念です。

  • L

    刃物研ぎを生業とする太吉が昔と現在の人の関わりから、とある殺人の容疑をかけられた娘を救う話。
    太吉の実直な性格からいろんな人が助けてくれる。それぞれの生業の解説にもページを割いて事情が詳しくわかりやすい。が、犯人は安易で裏がなかったし、結局役人による拷問による自白だし、関わった人が多かった割にあっけない幕切れ。太吉自身の活躍はあまりなく、全て太吉を育てた師匠のおかげ?でなるようになった感が。 とはいえ、地味な硬さが非常に心地いい読み応え。

  • 一徹な職人気質の研ぎ師が主人公のサスペンス。人情味溢れた下町の温かさが心地よい。場面説明が冗長。かおりが関わりの浅い太吉をのみ頼る結びつきが釈然としないが、さらっと楽しめる小説。2015.10.31

  • 職人達の生活のくだりが素晴らしい。
    主人公が江戸の街を歩き回るところも、新しい感覚だった。
    物語のラストは2時間サスペンスみたいで、正直、何かが足りなかった。
    年齢層高めの火サス好きの人にはいいかもしれない。

  • 山本一力らしい作品であった。出てくる人が皆人格者過ぎるところが、都合が良すぎるが人情物のご愛嬌か。推理仕立てになっているところがちょっと珍しいが、推理自体はあまり目新しくも無く、そこへいたる道筋で出てくる人物たちがいい感じ。ただし、太吉の後日談をきっちり描くか、続編を出してほしい。

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著者プロフィール

1948年高知市生まれ。都立世田谷工業高校卒。旅行代理店、広告制作会社、コピーライター、航空関連の商社勤務等を経て、97年「蒼龍」でオール讀物新人賞を受賞。2002年『あかね空』で直木賞を受賞。江戸の下町人情を得意とし、時代小説界を牽引する人気作家の一人。著書多数。

「2023年 『草笛の音次郎』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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