パラサイト・イヴ (新潮文庫)

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  • 新潮社
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本棚登録 : 844
レビュー : 93
  • Amazon.co.jp ・本 (560ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101214344

感想・レビュー・書評

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  • ミトコンドリアが宿主を乗っ取る、パラサイト淫夢。後半はギャグ小説だった。

  • 神保町の古本屋にて、タイトルを聞いたことがあったので購入。

    元々生物・生理学には、教養はないけれど興味があったので「ミトコンドリア」というキーがどう絡んでくるのかわくわくしながら読むことができました。
    ホラー小説大賞を受賞したエンターテインメント作品。ホラーテイストなのはその作品に慣れている人なら物足りなく感じかもしれない。というよりこれはホラーでありSFなんだと思う。

    細胞の中に棲んでいるとされているミトコンドリア、というのは理科の授業で誰しもが聞いたことのあるものだろう。
    ミトコンドリア・イヴというのは、人類進化に関する学説において、現生人類の最も近い共通女系祖先。アフリカ単一起源説を支持する有力な証拠のひとつであるらしい。(wiki調べ)

    主人公は永島利明。薬学部の講師だ。薬学、あるいは生理学に詳しい人なら専門用語を理解しながら読むことができるだろう。もしなくても大抵は読み飛ばすか、あとがきの解説を参考にしながら読めばだいたいの流れは把握できるはずだ。
    パラサイト・イヴでは、""Eve1"と名付けられた肝細胞(?)内のミトコンドリアが、タイトルの通り寄生虫としての猛威をふるい出すことから悲劇が始まる。

    繰り返しになるが、ミトコンドリアを始めとして生理学には教養がないのでさっぱりな部分があったけれど、それ以外はSF、またはホラーとして読み進めることができた。
    論文はいくつか読んだことがあるが、学術的な知識を小説というフィクションのなかで再現できることは素直に「すごい」と思う。あとがきでもあくまで"フィクション"であることを言及していたが、物語の中で現実の事象を結論にまでつなげられることはいち読者として大変面白かった。
    たいていの物語においては作者自身が体験した物事や感じ取り考察したことが隠されている(と個人的には思っている)から、必ずしもこの『パラサイト・イヴ』だけが特例であるというわけではないけれど、こうもわかりやすく、なおかつ現実に在り得る表象が身近に、体内の中のこととして表現できるのは作者の知識量や考察・表現力に感服する。

    そして更に気になったのが聖美もとい"Eve1"の本能に由来する情動の機微だろう。"Eve1"は永島利明を発端としてミトコンドリアの本性を露わにすることを望んでいた。そしてそれが期待できるとなると艶めかしいまでの描写が連なるのは、恐らく生物として子孫を残す、あるいは種族として生き残るための方法論に過ぎないのだが、それがあけすけなまでに素直で情欲的だ。ある意味それは「人間以外のもの」を表すには端的かもしれないが、ミトコンドリアとして共生してきた単体として考えるとその行動欲求も理解できるし、何よりエンターテインメント性も出る。恐らくそう感じたのは私個人がとても面白かったからだろう。

    個人的なSF巡礼行為の一端として『パラサイト・イヴ』を読了したのだが、こうした想像以外のものから明らかに端を発しているものを作品に昇華させることができたのは大変読みごたえがあった。それなりに難解ではあったが、私の中では充分エンターテインメントの名に適う作品だった。
     

  • そういえば 昨年の夏のいまごろ
    「生物と無生物のあいだ」を読んでいました

    古本屋さんに立ち寄って
    何気なく手にした一冊でした

    こんなふうに
    「科学」を「小説」に料理できるのは
    たいしたものだなぁ
    と ただただ 感心しました

  • 福岡伸一先生が動的平衡の中で挙げていた作品で気になったので読んでみました。また単独でも有名な作品でもありましたので教養がてらも込みで。
    科学的なことは一切わからないのでそういう説明の部分はよくわからず斜めに読み飛ばしてました。
    ミトコンドリアがエネルギーを作り出しているということはようやく理解できたような;;生命ってあらためて面白い。
    作者の文庫化にあたり書いた後書きという名の批判についての反論がすごいw流石、学者さんは反駁が理詰めですごいや。

  • 現役の科学者が書く小説だからリアリティがありそうに思えるのですが、今イチそんな風にも思えない内容でした。ホラー小説ということになってますが、そんなに怖いシーンがあるわけでもなく空想科学小説といった感じでしょうか。ミトコンドリアが寄生虫(みたいなもの)だっていうのを初めて知って勉強になりました。あとがきが異常に長くて少々うんざりしましたが、著者の熱意はビンビン感じました。

  • 高校生の頃読んでドキドキしたのを覚えています。生物の授業がたのしくなりました。フィクションが現実のフィクションのようなものと科学反応するとこういう作品ができるのだ。

  • 2011.7

  • 登場人物の設定や視点の多さが活かされていないような気がした。(eveに操作されてたから?)主人公の感情の推移が分かりにくい。けどそれがこの小説の型にハマらない部分であるのかな。ホラー小説ってこんなもん?あまりよんだことがないからわからないや。小説自体はとてもよみやすかったので星3です。

  • 売れた理由もよく分かるよね。 クリスクロス、ブレインバレー、パラサイトイブ・・ 一気に瀬名秀明の小説を読みまくった高校時代でした。 知的好奇心を満たしつつSFを楽しめる。 そのリアルと虚構の境目がいいんですよね・・

  • ミトコンドリアが意志を持って動き出しちゃうバイオホラー。
    らじは生物学が好きなので、専門用語やその実験なども含めて、かなり楽しませてもらいました。
    1994年当時の法律と医療および科学で書かれているので、今は違うところもあるだろうけどね。
    やっぱり理系の知識は必要だなぁ♪

    しかし、これを書いた当時の瀬名さんは20代。
    同じく20代で書かれた平野啓一郎さんの『日蝕』でも思ったんだけど、これくらいの年頃の男性って両性具有に興味があるの?

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著者プロフィール

■瀬名 秀明(セナ ヒデアキ)
1968年静岡県生まれ。仙台市在住。東北大学大学院薬学研究科(博士課程)修了。薬学博士。
1995年に『パラサイト・イヴ』で第2回日本ホラー小説大賞を受賞しデビュー。
1998年には『BRAIN VALLEY』で第19回日本SF大賞を受賞。
SF、ホラー、ミステリーなどさまざまなジャンルの小説作品に加え、科学・ノンフィクション・文芸評論など多岐にわたる執筆活動を行っている。
2011年に藤子・F・不二雄作品のノベライズとなる『小説版ドラえもん のび太と鉄人兵団』を手がけ、大きな反響を集めた。
ほかの著書に『大空のドロテ』(双葉社刊)、『月と太陽』(講談社刊)、『夜の虹彩』(出版芸術社刊)、『新生』(河出書房新社刊)、『この青い空で君をつつもう』(双葉社刊)などが、また近著に『魔法を召し上がれ』(講談社刊)がある。

「2019年 『小説 ブラック・ジャック』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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