パラサイト・イヴ (新潮文庫)

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  • 新潮社
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レビュー : 93
  • Amazon.co.jp ・本 (560ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101214344

感想・レビュー・書評

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  •  文庫版を読みました。
     初版の中の科学的につじつまが合わない点を2箇所改訂しているそうです。(from 文庫版あとがき)

     以下、若干のネタバレがあります。





     出版元は「ホラー」と謳っていますが、どっちかというとサスペンスアクションものかなという感じがしました。
     人それぞれに感じ方は違うと思いますが。
     もちろんそれとは関係なく、というより、ホラーといううたい文句以上に楽しめるエンタテインメント作品でした。
     15年前の作品ですが、今読んでも十分に楽しめると思います。
     なお、文系の方は、巻末に用語解説がありますので、そちらも参照の上で読んでいくとわかりやすいかもしれません。

     個人的には、細胞よりも小さなミトコンドリアが高度な知性を持つなんてあまりに荒唐無稽な話だというのが払拭できなかったので、それはそれとして、昔のスペースオペラを読むような気持ちで読みました。
     それでも十分に楽しめました。

  • ホラーは好きじゃないけど、これは心に残っていて保存用に買いました。最後がバッドエンドなのもわりと好きです。今日も体の中でミトコンドリアが元気に活動しています。ああ心がざわざわする…

  • 神保町の古本屋にて、タイトルを聞いたことがあったので購入。

    元々生物・生理学には、教養はないけれど興味があったので「ミトコンドリア」というキーがどう絡んでくるのかわくわくしながら読むことができました。
    ホラー小説大賞を受賞したエンターテインメント作品。ホラーテイストなのはその作品に慣れている人なら物足りなく感じかもしれない。というよりこれはホラーでありSFなんだと思う。

    細胞の中に棲んでいるとされているミトコンドリア、というのは理科の授業で誰しもが聞いたことのあるものだろう。
    ミトコンドリア・イヴというのは、人類進化に関する学説において、現生人類の最も近い共通女系祖先。アフリカ単一起源説を支持する有力な証拠のひとつであるらしい。(wiki調べ)

    主人公は永島利明。薬学部の講師だ。薬学、あるいは生理学に詳しい人なら専門用語を理解しながら読むことができるだろう。もしなくても大抵は読み飛ばすか、あとがきの解説を参考にしながら読めばだいたいの流れは把握できるはずだ。
    パラサイト・イヴでは、""Eve1"と名付けられた肝細胞(?)内のミトコンドリアが、タイトルの通り寄生虫としての猛威をふるい出すことから悲劇が始まる。

    繰り返しになるが、ミトコンドリアを始めとして生理学には教養がないのでさっぱりな部分があったけれど、それ以外はSF、またはホラーとして読み進めることができた。
    論文はいくつか読んだことがあるが、学術的な知識を小説というフィクションのなかで再現できることは素直に「すごい」と思う。あとがきでもあくまで"フィクション"であることを言及していたが、物語の中で現実の事象を結論にまでつなげられることはいち読者として大変面白かった。
    たいていの物語においては作者自身が体験した物事や感じ取り考察したことが隠されている(と個人的には思っている)から、必ずしもこの『パラサイト・イヴ』だけが特例であるというわけではないけれど、こうもわかりやすく、なおかつ現実に在り得る表象が身近に、体内の中のこととして表現できるのは作者の知識量や考察・表現力に感服する。

    そして更に気になったのが聖美もとい"Eve1"の本能に由来する情動の機微だろう。"Eve1"は永島利明を発端としてミトコンドリアの本性を露わにすることを望んでいた。そしてそれが期待できるとなると艶めかしいまでの描写が連なるのは、恐らく生物として子孫を残す、あるいは種族として生き残るための方法論に過ぎないのだが、それがあけすけなまでに素直で情欲的だ。ある意味それは「人間以外のもの」を表すには端的かもしれないが、ミトコンドリアとして共生してきた単体として考えるとその行動欲求も理解できるし、何よりエンターテインメント性も出る。恐らくそう感じたのは私個人がとても面白かったからだろう。

    個人的なSF巡礼行為の一端として『パラサイト・イヴ』を読了したのだが、こうした想像以外のものから明らかに端を発しているものを作品に昇華させることができたのは大変読みごたえがあった。それなりに難解ではあったが、私の中では充分エンターテインメントの名に適う作品だった。
     

  • 高校生の頃読んでドキドキしたのを覚えています。生物の授業がたのしくなりました。フィクションが現実のフィクションのようなものと科学反応するとこういう作品ができるのだ。

  • 売れた理由もよく分かるよね。 クリスクロス、ブレインバレー、パラサイトイブ・・ 一気に瀬名秀明の小説を読みまくった高校時代でした。 知的好奇心を満たしつつSFを楽しめる。 そのリアルと虚構の境目がいいんですよね・・

  • 怖かった。科学的な事象を題材にしたホラーは、それが現実には怒らない、とは言い切れない怖さがある。
    夢中で読みました。

  • リングを描いた鈴木氏の作品と勘違いしていた。

    この著者自身が薬学部の出であり、
    サイエンスホラーがとても臨場感があり、説得力のある内容だった。

    太古の世に、人間の先祖であり、核の時代に振り返り、ミトコンドリアが寄生し、進化を遂げていき、現代の世において、そのミトコンドリアが今度は人間を破壊しはじめる

    エンターテイメントに科学的要素や歴史的要素が含まれる
    小説は、読む側にも勉強になるし、新たな興味を湧かせる力があるなー
    と感心した作品だった。

  • 生化学者の妻が、不可解な交通事故死を遂げた。夫は妻の死を受けいれられず、肝細胞を“Eve1”と名づけ培養する。徐々に恐るべき性質をあらわす…。人間という種の根幹を揺るがす物語。(篠田節子)


    ・レビュー

    鈴木光司の『リング』とよく比較される作品。
    個人的には非常に面白かった。辞書片手に読むような専門用語の連続だったが意味が分からないわけではない。
    「ミトコンドリア」の起源というノンフィクションの情報から、その秘密というフィクションを引き出し、リアルとも虚構とも言えぬ科学的な決着の仕方をしているのも良かった。
    息を呑む展開も楽しい。

  • 1012 テーマ自体が好きで存分に楽しめました!これぞ小説!もっと早く読めば良かった。日本ホラー大賞受賞。

  • いつかは読んでみたいと思っていた。ふと本屋に立ち寄ると文庫になっていたので買ってしまった。人類が進化したのはミトコンドリアのおかげ。ミコトンドリアとの共生によって大きなエネルギーを産生することができ運動する能力を発展させ考える力を獲得することができた。ミトコンドリアはほとんど母方のDNAだけ増えていくという。その誰もが持っているミトコンドリアの反乱。難しいところも多いけど結構噛み砕いて説明されていて引き込まれていきました。 

著者プロフィール

■瀬名 秀明(セナ ヒデアキ)
1968年静岡県生まれ。仙台市在住。東北大学大学院薬学研究科(博士課程)修了。薬学博士。
1995年に『パラサイト・イヴ』で第2回日本ホラー小説大賞を受賞しデビュー。
1998年には『BRAIN VALLEY』で第19回日本SF大賞を受賞。
SF、ホラー、ミステリーなどさまざまなジャンルの小説作品に加え、科学・ノンフィクション・文芸評論など多岐にわたる執筆活動を行っている。
2011年に藤子・F・不二雄作品のノベライズとなる『小説版ドラえもん のび太と鉄人兵団』を手がけ、大きな反響を集めた。
ほかの著書に『大空のドロテ』(双葉社刊)、『月と太陽』(講談社刊)、『夜の虹彩』(出版芸術社刊)、『新生』(河出書房新社刊)、『この青い空で君をつつもう』(双葉社刊)などが、また近著に『魔法を召し上がれ』(講談社刊)がある。

「2019年 『小説 ブラック・ジャック』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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