薬指の標本 (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社
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本棚登録 : 7877
レビュー : 1096
  • Amazon.co.jp ・本 (185ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101215211

感想・レビュー・書評

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  • これは、怪奇小説?

  • フランス映画の原作。
    綺麗でエレガント、シュール。
    どこか冷たさが漂う。
    フランス映画になるのも納得。
    映像にするには、とてもいい材料だと思う。

    でも、私としては、
    もうひとつの『六角形の小部屋』の方が好き。
    『薬指の標本』よりも、
    より人間的で、日常的。

  • 表題の『薬指の標本』の他に、『六角形の小部屋』が納められてる本です~。

    『薬指の標本』は、なんでも依頼人の要請で標本にしちゃうちょっとミステリアスな標本室のお話。
    標本室のある建物もミステリアスであれば、経営してる男の人もミステリアスでちょっと気味悪いし、なんだかホラー色のある話しになってます~。
    こういうのって嫌いじゃないよ~。

    『六角形の小部屋』もちょっとミステリアス。
    六角形の小部屋に入り、自分のはなしたいことを話す人たち、六角形の小部屋を経営し、旅をし続ける親子の話です~。
    こっちのほうが、ちょっと心温まる感じになってるの。

    どっちも、よくある日常に突然あらわれたミステリアスな世界。
    ある空間だけが異次元のようになってて、夢と錯覚しそうになるある小さな現実を書いてます。

    • 猫丸(nyancomaru)さん
      「夢と錯覚しそうになる」
      日常と非日常の境が曖昧な世界を描くのが上手いですよね。そして、そうなって欲しくない終わりを想像させるのも。
      悲しい...
      「夢と錯覚しそうになる」
      日常と非日常の境が曖昧な世界を描くのが上手いですよね。そして、そうなって欲しくない終わりを想像させるのも。
      悲しいけど、美しいイメージに救われているような気がします。。。
      2013/04/04
  • 綺麗なものは美しくて怖い。

  • ふんわり幾重にも薄い絹のベールがかかったかのような不思議なお話。
    どの標本も死の匂いを漂わせていて、試験管の液体の中を上下するキノコは生と死の狭間にいるかのよう。標本室に持ち込まれるものが標本になる度に静かな喪失感を覚えるけれど、主人公の存在そのものが薬指を包み込んだサイダーの泡のように儚くて、最後は、泡になってしまった人魚姫を彷彿とさせられました。

    • 猫丸(nyancomaru)さん
      「どの標本も死の匂いを」
      小川洋子の不思議な感覚に嵌ると抜け出せなくなりますね。。。
      「どの標本も死の匂いを」
      小川洋子の不思議な感覚に嵌ると抜け出せなくなりますね。。。
      2012/10/29
  • 『この靴をはいたまま、標本室で、彼に封じ込められていたいんです…』

    小川洋子の世界観が好きならぜひ。
    美しい静謐さを纏った恐ろしいようなものに侵されてゆく。

    表紙の写真は白い椅子の足が写っているような気がするけれど、靴を履いているのだろうか…

  • 『薬指の標本』
    小川洋子はどうしてこう、薄れていくものや、消えていくものをうまく描く作家なんだろう。
    標本をつくる男のもとではたらく、それ自体の奇妙さもさながら
    男のくれるあまりにも足に合う靴を履き続けることになるというそのストーリー設定。魅惑のかたちをこんな風に描くのが小川洋子らしい。

    その靴をいま脱がないなら、その靴に足がくわれてしまうよ。
    靴磨き士の言葉にちょっと胸を突かれる。
    「いいんです。わたしはもう脱がないことを決めたのです」
    嫉妬から、自分を彼の標本にしてもいい。そう決めることができるのは女のなせる技か?わたしはそういう女にはならない。それは愛なのか、それを愛と思う女なのか。 うん、すごく奇抜。無くした薬指の欠けた部分と足と同化した靴。もう人生そのものを預ける女、他にもう人生を捧げるものが無いという発想が女の生き方なのかなあ・・・。


    『六角形の小部屋』
    こんなにドライな小川洋子さんもいるんですね。
    プールでであったミドリさんというおばさん。彼女を気になりはじめて後をつける。そこでであう謎の六角形の小部屋。
    だれもがその小部屋に自分を語るとくせになる。
    移動式の小部屋は移動サーカスのようで、読み終わったあとなんとなく夏の終わりを感じるのは気のせい???

  • 標本博士。女性ってどうしてこんな人を好きになってしまうのか・・・

  • 話としての文章を追わず、感性で撫でるようにするのが正解の本じゃないかな?肉質な感じは全くないけど、性的な要素が多分にある。

    小説として、身体の細部を描かずに、骨格で留めている印象。
    肉付けは、各々で行うのだ。

    前回読んだ谷崎とはよい意味で真逆な感じ。

    読み手としての女性からと男性からでは大きく印象が違ってくるような作品に感じるなぁ。

    冷たい、硬質、少女趣味、フェテッシュ。

    感覚的に、女性の琴線に触れる作品なんだろうなぁ。

  • 『薬指の~』は再読のはずなのに、靴磨きのおじさんとの話や二人のご婦人の話をすっかり抜かしていた。ソーダ工場に溶け消えた主人公の薬指の先、欠けたままの薬指を彼女は標本技師の思い人へ捧げることを望む。
    二編目の六角柱の話を知り合い二人から薦められていた意味が分かった。背中の痛みの治療のためにプールに通う主人公はあまりに普通の中年女性ミドリさんと出会い妙に気になってしまうところからはじまり、彼女を付けていくうち廃墟のような社宅の管理事務所へ迷い込んでしまう。そこではミドリさんと息子のユズルさんとが生活をしながら“カタリコベヤ”の番をしている場所だった。人々は看板もないその場所へ吸い寄せられたように集まり、一人ずつその中で自分の中に溜まった言葉を吐き出していく。主人公もまた誰にも話したことのない自分をそこで語りはじめていく。
    幻想的というのか、それなのに現実的というのか。そういえば小川節全開。買った小川さんの本二冊目だった。

    • 猫丸(nyancomaru)さん
      「幻想的というのか、それなのに現実的というのか。」
      小川洋子を読むとゾクゾクっとします。淡々としているから現実味を帯びるのかなぁ、、、←えっ...
      「幻想的というのか、それなのに現実的というのか。」
      小川洋子を読むとゾクゾクっとします。淡々としているから現実味を帯びるのかなぁ、、、←えっと、私は違う感想なのですが、言葉が思いつきません。
      2013/01/04
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著者プロフィール

小川 洋子(おがわ ようこ)
1962年、岡山県生まれ。高校時代に文芸を志し、早稲田大学第一文学部文芸専修入学。在学中から文芸賞に応募。卒業後一般企業に就職したが、1986年の結婚を機に退職、小説家の道に進む。
1991年『妊娠カレンダー』で芥川賞、2004年『博士の愛した数式』読売文学賞、本屋大賞、2006年『ミーナの行進』谷崎潤一郎賞、2012年『ことり』で芸術選奨文部科学大臣賞、2013年早稲田大学坪内逍遙大賞をそれぞれ受賞。芥川賞、太宰治賞、読売文学賞、河合隼雄物語賞などの選考委員を務める。
『博士の愛した数式』は映画化され、大ヒットとなった。受賞作以外の代表作として、『薬指の標本』『人質の朗読会』『猫を抱いて象と泳ぐ』。

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