薬指の標本 (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社
3.66
  • (798)
  • (1014)
  • (1635)
  • (155)
  • (24)
本棚登録 : 7867
レビュー : 1095
  • Amazon.co.jp ・本 (185ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101215211

作品紹介・あらすじ

楽譜に書かれた音、愛鳥の骨、火傷の傷跡…。人々が思い出の品々を持ち込む「標本室」で働いているわたしは、ある日標本技術士に素敵な靴をプレゼントされた。「毎日その靴をはいてほしい。とにかくずっとだ。いいね」靴はあまりにも足にぴったりで、そしてわたしは…。奇妙な、そしてあまりにもひそやかなふたりの愛。恋愛の痛みと恍惚を透明感漂う文章で描いた珠玉の二篇。

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
  • 2019.10.10読了。
    今年37冊目。

  • 不気味な世界観の2作。
    文章が美しく、読んでいて心地よい時間が流れました。小川洋子さんの作品、だいすき。

  • なんというか不気味、というかなんというか、そして最後にどうなるかわからないから、さらに強くなるというか…!

  • 再読。名を呼びたいから名ではないすべてのものを教えてほしい、と口にしてしまうのかと思った。
    ひんやりと冷たい建物の中を流れていく標本技術士とのひそやかな時間。あちらとこちらは薄いガラス板一枚で隔てられ、分かちがたく癒着している。ほのかに漂う官能の香り。ただ靴が導くまま歩いていけばいい。身体の身動きはとれなくとも、心は解放されていく。心の奥の封印された部屋がひとつひとつ開かれていく。ただ身をゆだねて眠りたい。薬指を捧げるだけでは足りない。
    抑えきれない独占欲が自ら標本になることで叶えられた瞬間の恍惚のとき。

  • 2作品。薬指の標本の方は静かで暗くて不気味な雰囲気の中引き返せない恋愛をしていく。六角形の小部屋の方は声に出す事で何かが変わっていくって感じかな。言いたいことがいまいち掴めなかった。

  • 博士の愛した数式しか読んだことがなかったのでびっくりした。

    あるとないが倒錯する世界がすごい
    素敵な標本になって愛でてもらえるといいねぇ

  • 喪失したからこそ永遠に忘れられないものがある。それは、繰り返し思い出し、懐かしむものではなく、心の奥底に封じ込め、分離し、完結させるもの。人はそれを「標本」にする。

    存在したものが消えてなくなること。
    それは万物の理とでもいうのかな。
    けれどこの作品で、「ある」ものと「ない」もの、その両方が不安定な均衡で一緒に存在することに気づかされた。
    消滅したはずのものが「標本」を通じて、そこにあること。とても神秘的でありながら、あまりにも当然のことのようにも思えるのだ。

    彼の手のなかで揺らめく「わたし」の一部。ひそやかに恍惚に。「わたし」はそこにある。

  • 引き込まれた。

  • いつもの小川洋子です。ちょっと川上弘美とかぶるけど、こちらの方が
    より現実的かな。

  • 透明で、儚くて、少し残酷。
    小川洋子の文章は繊細で、美しくて、すごく好き。

  • 文中に漂う空気感はきれいで、ちょっと怖さと寂しさ。

  • 小川洋子さんの唯一無二の世界が心地よくて癖になりそうな2編の幻想中編小説集。今回も現実にはあり得ない2つの職業が描かれていますが、何となく実は本当にあるのではと思わせる雰囲気を感じるのですね。『薬指の標本』標本室は人々の願いを叶える善意の施設ではあるのですが、ヒロインは生きながらにして弟子丸氏の標本にされてしまうのでしょうか?さり気ないサイコホラーとも読めますね。『六角形の小部屋』私の町にも何時か「語り小部屋」が来るのでしょうか?でもある日突然に消えてしまったら語り小部屋ロスで相当に悩み苦しむでしょうね。

  • たまに通う書店と、ヴィレヴァンがコラボした企画をしていて、その中の一冊だった。
    小川洋子さんの小説はずいぶん前の『博士の愛した数式』以来だったけど、なんとなくこの人の文章は「静謐」というイメージがあって、本書を読んでそのイメージはやっぱり合ってたと一人で納得した。

    『薬指の標本』には、決定的なことはほとんど書かれていない。一年働いてから、浴場でデートをするようになったとは書いてあるけど、、、弟子丸氏のああいう所がいいんだとかそういうことはわからない。そもそもわたしに恋愛感情があったのか。「自由になんてなりたくないんです」

    そしてあのやけどの少女はどうなってしまったのか、過去の事務員はどうなったのか、わたしはどうなってしまうのか。なんでもお見通しの靴磨きのおじいさんになりたい。

  • どくどくしているけれども、きれいな文章。「薬指の標本」も素敵だったけれど、「六角形の小部屋」がより印象的だった。

  • 静謐で歪んだ世界がどうしてか美しい。小川作品だからこそだと思う。

  • 表現が美しい。ドールハウスを覗いているかのようだった。官能的で繊細な、ふたりの世界。美しすぎる中に時々姿を見せる不穏な空気。細かい描写の全てが二人の関係を示唆している気がして、噛み締めるように読みました。

  • フランス映画みたい

  • 世にも奇妙な物語。ビビリの私からすると、夜に読むとちょっと怖くなります。今までに読んだことのないタイプの、恋愛のお話。

  • 大人のファンタジーといった感想。

    どうなるんだろう、と、淡々と物語が進むのとは対照的に先が気になるお話。二つの作品が収録されていたけれど、どちらもそう感じた。作者の作品が皆そうなのかもしれないが、とても良い組み合わせだと思った。

    最終的に、ああなって終わりそう、という予想はつきながらも、実際にその予想通り終わってしまうのが寂しくなる、不思議な感覚に陥った。

全1095件中 1 - 20件を表示

著者プロフィール

小川 洋子(おがわ ようこ)
1962年、岡山県生まれ。高校時代に文芸を志し、早稲田大学第一文学部文芸専修入学。在学中から文芸賞に応募。卒業後一般企業に就職したが、1986年の結婚を機に退職、小説家の道に進む。
1991年『妊娠カレンダー』で芥川賞、2004年『博士の愛した数式』読売文学賞、本屋大賞、2006年『ミーナの行進』谷崎潤一郎賞、2012年『ことり』で芸術選奨文部科学大臣賞、2013年早稲田大学坪内逍遙大賞をそれぞれ受賞。芥川賞、太宰治賞、読売文学賞、河合隼雄物語賞などの選考委員を務める。
『博士の愛した数式』は映画化され、大ヒットとなった。受賞作以外の代表作として、『薬指の標本』『人質の朗読会』『猫を抱いて象と泳ぐ』。

薬指の標本 (新潮文庫)のその他の作品

薬指の標本 Kindle版 薬指の標本 小川洋子

小川洋子の作品

薬指の標本 (新潮文庫)に関連する談話室の質問

薬指の標本 (新潮文庫)を本棚に登録しているひと

ツイートする