まぶた (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社
3.37
  • (100)
  • (248)
  • (548)
  • (68)
  • (9)
本棚登録 : 2250
レビュー : 262
  • Amazon.co.jp ・本 (221ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101215228

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
  • 小川洋子の作品でまぶたは一番印象に残っている作品。

  • 不可解な事象を体験しながらも人は誰も不幸だと認識しなければ十分に幸せなのだと感じさせてくれた小川洋子さんの心奪われる8編の物語。『飛行機で眠るのは難しい』嘘は己の内面を着飾る服で愛とも言えるでしょうね。『中国野菜の育て方』光る野菜と謎のおばあさん。『まぶた』少女はハムスターの二の舞から救われたのかもね。『お料理教室』一刻も早く帰りなさい!『匂いの収集』五体満足な内に逃げなさい!『バックストローク』弟よ!あなたを捨てたわけじゃない。『詩人の卵巣』さあ、眠りなさい。『リンデンバウム通りの双子』家族を大切にね。

  • 意味不明と片付けてしまえばそれまで、とも言えるようなシュールな世界観。でもそこにはうっとりするような美しさとか、心に引っ掛かるイメージとか、温もりとかが確かにあって、これぞ芸術、文学的文章……という感じ。堀江さんの解説を読むとまたなるほどなあと思います。

  • 一見、日常的な風景なのに、いつのまにか非現実な世界に入っていることに気づいた。
    小川洋子さんが描く静謐な雰囲気は変わらず。

  • どんよりとした曇り空、じっとりと湿った空気、しんと静かな街、ひやりとした手触り。
    ちょっとだけぞくりとするものが垣間見えるような。

    ずっと気になっていた本を、物語の役割をきっかけに読む。
    私の好きなテイストの小川さん。

  • 高校の国語の授業で「バックストローク 」
    をやって面白いと思って読んでみた

    ちょっと難しい
    本質には直に触れない感じ

  • 静謐な時にはグロテスクでもある奇妙な情景が、7つの短編に繰り返される。2018.4.29

  • 会いたいのなら今会えるだけ、と掌の中の死は物語っている。細く小さな銀色の愛くるしさに海老がぴょこっと跳ねてヤモリがキラっと光ったの。
    触れられぬものに触れようとするように、不確かなものを確かに感じていたい。埃降り積もる朽ちていく世界の片隅、君の香りだけ嗅ぎ分けた。
    君の瞼の曲線が、過去も現在も僕の心を掻き毟り溺れて奪っていったのさ。瞼を切られた相棒がカラカラと回し車を鳴らす音に、バイオリンの不規則で不安定な音階が重なり絡まり愛し合う。ほら、ハートの葉っぱが笑っているよ。いつまで待ち続けても来ない便りのように、物寂しく私は海の向こうに永遠を見る。

  • とてもするすると読んでしまうのですけれど、この短編集も確かに小川ワールドでした。
    何度読んでも大好きな「詩人の卵巣」の眠りの描写が、心にひたひたと染み込みます。軽くはなりましたが、不眠症でもあるわたしの眠りの召し使いは何処に…。
    どのお話も死の予感がするのですが、「匂いの収集」の猟奇的な感じも好きです。
    「バックストローク」の、弟の片腕が体から離れていく描写も素敵。
    お話たちの薄暗さが心地好いです。日常を離れられました。

  • 2008年11月10日~10日。
    すすすいと読めてしまう。
    派手なホームランはないけど、地に足の着いた確実なアヴェレージ・バッターって感じ。

  • 難しいですね。いかにも純文学。
    最後の「リンデンバウム通りの双子」を除いては、何らかの不条理が存在します。例えば中国野菜が夜光性だったり、下水から過去の料理の残骸が出てきたり、元水泳選手の腕が取れたり。何かの寓意と言う訳ではなく、作者の何かに対するイメージなのだともいます。
    イメージは見事に伝わってきます。そこらの筆力は素晴らしい。でもそのイメージをどう捉えるべきかで悩んでしまう感じです。
    どちらも余り読んではいないのだけど、どこと無く倉橋由美子を思い出させる雰囲気です。

  • 最近一番好きな作家さん。
    表題のまぶたはホテルアイリスの下地になったもの?
    まぶたを膨らませてアイリスになったのかな。
    全作の根底にあるそこはかとない空虚な雰囲気は小川さんならでは。
    短編なのでさくさく読めるのに、読後はどんよりしている不思議。

  • 「バックストローク」が好き。静かな世界たちの話

  • 8編の短編集。まぶたを閉じて現実と夢とが混ざりあっている時のような感覚になる。読後は「?」が並ぶ話ばかりであったし紐解きたいとも思わないけれど悪い心地もしなかったのは文章が読みやすいからだろう。特に「リンデンバウム通りの双子」は雨の憂鬱さと温もりとが感じられ、心も湿った気がした。

  • 純文学の世界?世界観が出来上がりすぎてておもしろいかどうかわからなかった...

  • 【私がタイピストになった理由】

    私が通う専門学校はもともとタイピスト養成学校だった。今でこそ、IT専門学校などと名乗っているが、昔この場所には女学生が溢れ、溢れ返っているのに皆無口でひらすらに細かい活字の海を飛び回っていたのだ。

    小川洋子にタイプライターはとてもお似合いだった。それもとても古くそして、管理の行き届いた美しいタイプライターだ。適度に使い込まれ、それでも汚れてはいないタイプライター。小川洋子がタイプライターという七文字を打ち込む姿を想像しただけで、私は幸せな気持ちになるのだ。私にとってタイプライターは特別な存在になった。小川洋子の作品にはその描写がなくても、いつもどこかでカタカタとタイプライターの音が聞こえるように思える。新しく読む作品の中にその七文字を見つけた時は私は舞い上がってしまった。そして、この作品の中にも幸せな七文字はひっそりと紛れ込んでいる。

    私は思う。今でも、タイピストという仕事があったなら、私はなにを置いてもタイピストを目指しただろう。無口で言葉を愛せる仕事にもしもつくことが出来たのなら、とても幸せなのにと夢想した。

  • 読友さんの感想を拝見し、小川洋子さんってこういう作風も書くのか?と気になり手に取ってみた。悪夢なのか?それとも現実なのか?そんな感覚を行き来する不思議で奇妙な話が連続する短編集である。フェチや執着心が狂気を誘い、かと思えば心温かくさせて独特の世界観を堪能した。妙な緊張感とモヤモヤ感を併せ持つこの幻想譚こそきっと小川ワールドなのだろう。

  • 新聞で紹介されていたのを機に再読、★3.5ですがおまけで★4。手元に過去読んだ本を置いておくとこういった好機に直ぐ読めるというのは捨て難いです。その逆に狭い家がどんどん乱雑になっていくという代償は払わねばなりませんが。
    まぁさておき小川洋子の世界が全開。フェティシズム、収集癖等々全てが死に結節する独自の感覚と言って差し支えないんでしょう。そのほとんどが非現実的なお話であるのに、今まさに眼の前にあるような不思議な感じを受ける。
    更にさらっと読めてしまうのもこの作家の力量がなせる技かと思われ。

  • とても現実的なのに不思議な世界。だるい夢のような物語が続く短編だが、人物や物事や出来事が少しだけ繋がってるような気がした。女性的、生と死、人間の器官、年寄り、食べ物、クラッシック音楽など、各短編に共通項がある。描写がうまいのであろう、現実にはありえないことなのに頭にぱっと映像が流れる。
    個人的には「飛行機で眠るのは難しい」、が好き。

  • 奇妙で、面白いという印象から、「バックストローク」から圧倒を抱き始めた。詩人の卵巣、リンデンバウム通りの双子も圧倒的。死に触れるからこそ生を感じる。喪失、欠損から、いま、ここがあることが分かる。だから文学は偉大だ。

全262件中 1 - 20件を表示

著者プロフィール

小川 洋子(おがわ ようこ)
1962年、岡山県生まれ。高校時代に文芸を志し、早稲田大学第一文学部文芸専修入学。在学中から文芸賞に応募。卒業後一般企業に就職したが、1986年の結婚を機に退職、小説家の道に進む。
1991年『妊娠カレンダー』で芥川賞、2004年『博士の愛した数式』読売文学賞、本屋大賞、2006年『ミーナの行進』谷崎潤一郎賞、2012年『ことり』で芸術選奨文部科学大臣賞、2013年早稲田大学坪内逍遙大賞をそれぞれ受賞。芥川賞、太宰治賞、読売文学賞、河合隼雄物語賞などの選考委員を務める。
『博士の愛した数式』は映画化され、大ヒットとなった。受賞作以外の代表作として、『薬指の標本』『人質の朗読会』『猫を抱いて象と泳ぐ』。

まぶた (新潮文庫)のその他の作品

まぶた(新潮文庫) Kindle版 まぶた(新潮文庫) 小川洋子
まぶた 単行本 まぶた 小川洋子

小川洋子の作品

まぶた (新潮文庫)を本棚に登録しているひと

ツイートする