博士の愛した数式 (新潮文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (291ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101215235

感想・レビュー・書評

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  • 優しくて暖かくて、息が詰まりそうなくらいに切なくなった。寂しい時期に読んだら、そっと寄り添ってくれるような作品。

    2015/4/28

  • 【出会いは最悪なふたりでした】

    初めて読んだ小川洋子は私に見向きもせずに素通りしていった。
    こんなにも、愛想のない小説は滅多に出会えなくて、私はずるずるとしがみつく様に小川洋子の本にのめり込んだ。

    実は今でもこの本の本当の面白さを私は理解していない。だけど、小川洋子への扉を確かに開いたのはこの作品だった。

  • 10年ぶりくらいに再読。

    読んでいて感じたのが、野矢茂樹氏の「無限論の教室」と結城さんの「数学ガール」に似た雰囲気を感じた。
    オイラーの公式の美しさについて書かれたお話。
    自然対数の底eと円周率pi、虚数単位iの関係が奇跡的なバランスで成り立っていること、複素平面上で円を描くことがそれとなく表現されていた。
    例えば地球の大気の薄さなど自分たちが生きているのはこの自然の絶妙なバランスの上に生かされているのだなと感じた。
    また、そのバランスがいつか崩れる可能性があるということも感じた。

  • 数の羅列によって美しく奏でられる数式
    博士のいる場所は近くて遠い。
    切なくも心温まる物語

  • 小川さんは『80分しか記憶が持たない人』と『数学』を何故結び付けて書こうと思ったのだろう。
    まずこれが一番の疑問だったんだけど、最後まで読み進めると、この疑問がエレガントな証明を見せられた後のようにするすると解けた。

    数学とはこの世の真理であり、この世を語る言語みたいなもの。記憶が途中で途切れる人でも『続き』を考えることができる唯一のもの。
    博士にとって、だから数学は無くてはならないものだった。
    その他のことは、服にクリップで留めておくほど大事だけれども、そこまででしかない。

    主人公の家政婦と、彼女が世話をする80分しか記憶が持たない数学博士、息子のルートの関係がとても絶妙。
    主人公が博士に抱いた感情は何なのだろう。恋愛感情に似ていて、母性も含んでいて、なのに博士に父性をも求めている気がする。

    博士と義姉の関係はほとんど書かれていなかったけど、最後に彼女が言った台詞がものすごく強烈でした。

    「義弟は、あなたを覚えることは一生できません。けれど私のことは、一生忘れません」

    記憶が途中で途切れる博士にとっては、いつ眺めても『変わらない』真実である数学と同じように、以前から記憶している義姉もいなくてはいけない人だった。
    義姉は博士にとって数学と同じものだけど、主人公たちはそうではないというはっきりしたくくりが見えます。
    それでも主人公親子が博士と死ぬまで交流したというのは切なくて、かつ爽やかで良い。
    主人公親子は、博士の記憶には残れないけど、博士の生きざまを残すことができたんだなと思った。

  • とても評価されている作品なんだけど、僕にはいまひとつピンとこなかった。80分しか博士の記憶が持たないという設定がうまく生きていない気がするし、博士がなぜ子供に優しいのかも最後までよくわからず、数学をテーマにしている割には、美しい公式がもたらすような調和の感動が得られなかった。ところどころ、詩的で瑞々しい表現にハッとさせられることはあったんだけど。僕はひねくれ者なんだろうか?

    僕は数学が苦手だったけど、途中で出てくる完全数や、1から100までの総和の解き方とか、そういったトリビアはためになったし、楽しかった。

  • 一般に定義される6つの愛の内、そのどれにも属さない愛が登場人物の間に存在していると感じた。登場人物の根底にある想いはそれぞれだが、みな共通して思い遣り合うところにこの作品の美しさが詰め込まれていると思う。母が博士を信用せず、ルートが涙を流すシーンはお気に入りだ。

    ”「ママが博士を信用しなかったからだよ。博士に僕の世話はまかせられないんじゃないかって、少しでも疑ったことが許せないんだ」”

    ”博士はいつどんな場合にも、ルートを守ろうとした。どんなに自分が困難な立場にあろうと、ルートは常にずっと多くの助けを必要としているのであり、自分はそれを与える義務があると考えていた。そして義務が果たせることを、最上の喜びとした。(中略) 懸賞問題の考察が佳境に入っている時でさえ、ルートのためには無制限の時間が用意されていた。何であれ彼から質問されるのを喜んだ。子供は大人よりずっと難しい問題で悩んでいると信じていた。ただ単に正確な答えを示すだけでなく、質問した相手に誇りを与えることができた。”

  • 事故により記憶が80分しかもたない数学博士と母子家庭の家政婦さんと息子の間での日常が淡々と、そして暖かく描かれています。
    大きな事件が起こるわけではないですが、読んでてほっこりした気持ちになれますね。

  • 第一回本屋大賞受賞作品
    とってもやさしい物語(#^.^#)
    事故により記憶が80分しかもたない・・・しかし数字に対して天才的な知識を持つ博士と呼ばれる老人
    誰の助けも受けず生きてきた家政婦
    そして、彼女が愛する息子(博士は彼をルートと呼ぶ)
    三人の心の交流を描いた感動作であります

    数式に美を感じ、生き方の向こうに数字を見る
    それも80分だけ・・・・・・
    彼らが体験する非日常的生活がすべてを満たすことのできない屈折した世界を包み込んでいく感覚は、悲しくも、愛おしく、暖かい・・・・・なんとも言えない感情に導かれます
    生き方にレシピはなく、生き方はひとつだけではない
    人はそれぞれで、生き方もそれぞれ
    それぞれに悔いのない生き方を目指せ
    と諭されているよう

    映画では息子(ルート)目線で語られるようであります
    本書は家政婦である母の目線でありますが、子から見た自分を愛し、守ってくれた二人の関係性を描くことは、この物語のまた違った一面も見ることができそうです

    いつの時代も子は宝物

    その愛を感じて成長する子も決してその意志を忘れることはないでしょう

  • すごく優しく切ない一冊でした。この夏最も私が、時間をかけ読んだ一冊です。数字が苦手で数学の授業に頭を抱えた昔の自分の前に存在して欲しかった!どんな数字嫌いな人でも、読めば、数字が愛おしくなる本だと思います。

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著者プロフィール

小川 洋子(おがわ ようこ)
1962年、岡山県生まれ。高校時代に文芸を志し、早稲田大学第一文学部文芸専修入学。在学中から文芸賞に応募。卒業後一般企業に就職したが、1986年の結婚を機に退職、小説家の道に進む。
1991年『妊娠カレンダー』で芥川賞、2004年『博士の愛した数式』読売文学賞、本屋大賞、2006年『ミーナの行進』谷崎潤一郎賞、2012年『ことり』で芸術選奨文部科学大臣賞、2013年早稲田大学坪内逍遙大賞をそれぞれ受賞。芥川賞、太宰治賞、読売文学賞、河合隼雄物語賞などの選考委員を務める。
『博士の愛した数式』は映画化され、大ヒットとなった。受賞作以外の代表作として、『薬指の標本』『人質の朗読会』『猫を抱いて象と泳ぐ』。

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