博士の本棚 (新潮文庫)

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  • 新潮社 (2009年12月24日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (336ページ) / ISBN・EAN: 9784101215259

感想・レビュー・書評

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  • 以前に読んだ小川洋子さんのエッセイ集2冊とはまた違った小川さんを見られました。
    その2冊からわたしが窺い知る小川さんは、作品と地続きになっているような静謐な空気が流れる日常を過ごされながら、魅惑的だったり幻想的だったり……そんな素敵な作品のイメージからは想像できない、クスッと笑ってしまうお茶目で可愛らしい女性です。
    そこに今回、「作家」小川洋子としての本に対する真摯な眼差しを知ることができました。
    小川さんは自分の読書への向き合い方について“『中国行きのスロウ・ボート』を開きたくなる時”に、敬愛する作家の最も好きな作品を読むとき、純粋な読み手としてではなく書き手として向かい合ようになったことから、いかに物語が豊かであるか、より実感を持って知ることができたと綴っておられます。と同時に、これほどまでに愛される作品書いた村上春樹に、奇妙な嫉妬を感じたりもしていると明かしておられます。この「奇妙な」の部分が小川さんの人柄を表しているようで、決してそれはネガティブな性質の嫉妬なんかじゃないだろうなと思えます。
    作家小川洋子が愛する物語を紹介したエッセイ集でした。

  • 「博士の本棚」エッセー
    小川洋子さんはエッセーもおもしろい。
    短編集なので、ちょっと空いた時間にサラッと読める。

    「博士の愛した数式」を執筆するエピソード(ちょっとだけ抜粋)
    「完全数を背負う投手」
    『28は完全数。この一行を眺めてひらめいた。江夏の背番号じゃないか、と。ここから江夏豊を愛する数学者を主人公にした小説がスタートした。(中略)28が持つ永遠の完全さに比べ、人間とは何とはかなく、不完全な存在であろうか』といった具合に...。
    「読書は楽しい」

  • 読みたい本がいくつも見つかった。
    言葉の力とそれに伴う責任を再確認した。
    ーーー
    印象的だった一節
    「言葉がぐさっと胸に刺さった時は、かつて私の口から吐き出された言葉によって傷ついた誰かに向かい、心の中で謝ることにする。」

    言葉遣い、言葉選びには自分なりに気をつけているつもり。子どもたちと向かい合う時にはなおさら。
    それでも、やっぱり「誰1人傷つけない」はきっと難しくて、でもそれを諦めたくはなくて。
    悩んでた時に出会ったこの言葉、大事にしよう。
    言葉を向ける人にも、それを発する自分にも心を留めよう。

  • 子どもの頃に読んだ本についての思い出、影響を受けた本、飼っている犬の話、食卓日記などのエッセイ。いろんなことがちりばめられていて飽きなかった。何冊か読んでみようと思える本にも出会えた。
    一番多く書かれていたことは影響を受けた本への思い。同じ本を読んでいても細かいところ、深いところに気づくのが作家になる人なのかもと思った。

  • 小川洋子が愛する本たちのエッセイ集。本のことだけでなく、彼女の愛犬ラブ(永遠のやんちゃ君)のことや、『博士の愛した数式』にまつわる話、生活の一片を綴ったものなども。かつてタイトルからエッセイと思って手にした『原稿零枚日記』のような日記もある。エッセイに出てきた本、どれも読みたいと思う。作家への敬意と本への愛が溢れている一冊。

  • 人の本棚を覗くのは、どうしてこんなに楽しいんだろう?

    • 猫丸(nyancomaru)さん
      「どうしてこんなに楽しいんだろう? 」
      ビビっときたり、ふふんとなったり、おーとなったりするからでしょう。。。
      「どうしてこんなに楽しいんだろう? 」
      ビビっときたり、ふふんとなったり、おーとなったりするからでしょう。。。
      2014/05/22
  • 読書エッセイを読むのがたまらなく好き。

    本の話ができる友達が周りにほとんどいないから、(友達自体ほとんどいないが)自分が好きな作品や既読の作品について書いてあると心のなかで相槌打ったり言葉を返したりしながら読んでいる。

    それで、その中の気になった作品を本屋に買いに走ったり、また読み返して、もう一度そのエッセイを読む。報告するみたいな感じで。

    というわけで今回は「アンネの日記」を読み返し、「富士日記」を買いに行きます。

    • 猫丸(nyancomaru)さん
      「もう一度そのエッセイを読む」
      マメですねぇ~
      知らない本や、喰わず嫌いで読んでなかった本に、思いもかけない光が当たったり。。。
      先入観無し...
      「もう一度そのエッセイを読む」
      マメですねぇ~
      知らない本や、喰わず嫌いで読んでなかった本に、思いもかけない光が当たったり。。。
      先入観無しで本と対峙したいと思いつつ。本に纏わるエッセイを読むのは止められませんね。
      2012/07/24
    • 美希さん
      >nyancomaruさん☆

      一度読んでイマイチと思った作品でもエッセイとか書評読んでからまた読み直すといい部分を感じ取れたりするから...
      >nyancomaruさん☆

      一度読んでイマイチと思った作品でもエッセイとか書評読んでからまた読み直すといい部分を感じ取れたりするから好きです。
      2012/07/25
    • 猫丸(nyancomaru)さん
      「いい部分を感じ取れたりするから好きです」
      読み直して良かったと思えたら、紹介エッセイや書評を書かれた人の信頼度が増しますよね。
      自分では全...
      「いい部分を感じ取れたりするから好きです」
      読み直して良かったと思えたら、紹介エッセイや書評を書かれた人の信頼度が増しますよね。
      自分では全然手に取らないような本を読んで、世界が広がります。。。
      2012/07/27
  • こうやって読みたい本は増えてゆく。もう抱えきれないくらいなんだけどなあ。
    読むことでも、書くことでも、世界は広がってゆく。

  • 小川洋子先生、圧倒的に自分の内面をさらけ出すエッセイよりも赤の他人とか隣人だとか、社会的第三者と接しているネタのときのエッセイが圧倒的に読みやすいしおお…と思わされるのを書いていてなんか…なるほど…って思った……
    書いているものと人格ってか、人当たりはやっぱり乖離するもんなんだな…
    少なくとも”小川洋子”はそういう作家だったんだな…

  • あとがきすら乱暴な文体の作品が増えてきた日本の文学界にあって、小川洋子は気持ちがいい。


    作家の読む本というのは、それだけで気になるもの。

    ある作家が書いた本をさらに魅力的に見せる魔法のようなものがある。もちろん逆もあるが。読む方は文が短いと読むのが楽という単純な調子になるが、書くほうが短くまとめるのは特に気に入った本については難しいものだ。

    そんな難しさを見せず、しかし生きた日本語でありながらその世界に入れる文を書く小川洋子。
    若い頃、同時代日本人の作品をほとんど読まなかったが、今は特に女性ならではの感情の豊かさに惹かれる。

    蠅取り紙は、私も薬品や電気を使いたくないので今でも使っているのだが、ひっかかったハエの気持ちはいつも複雑になる。と言っても現代では蝿すらあまりいないが、小さい頃同じような気持ちになったものだ。

    蝿取り紙のカモ井加工紙の皆さんが「蝿供養」をしているのは知らなかった。有難いことである。

  • エッセイを読むのが面白い理由は、小説が生まれるきっかけとなったと思われる出来事がちりばめられているところだ。クラフト・エヴィング商會、フランス人翻訳家、青年Jなどなど、これらはあの本のあのお話に関係するのでは?と一人でいろいろと推測するのは、ファンにとってひそかな楽しみだろう。

    どのエッセイを読んでも、小川さんの優しさが溢れているように思う。

  • タイトル通り、小川さんが心打たれた本、思い出に残る本について書いたエッセイ集。
    たまに犬や家族、仕事の話など。

    それぞれの本や出来事に対する考察も興味深いけれど、一番心に響くのは書くこと、表現することについての苦しみと喜びについてである。
    そして物書きとして小川さんが励まされる思想というものはどれも深い。
    元の文章も良いのだろうけれど、それを咀嚼し自分の養分としているところが、小川洋子の世界観を保ったまま上質な文章を書き続けられる秘訣なのかと感じた。

    書くことに限らず、あらゆる活動は最終的に死に至る人間の運命と照らし合わせるとあまりに空虚で無力感を覚えさせるものだ。
    だけどいつか自分の痕跡が跡形なく消え去っても今表現を辞める理由にはならないという強い意志が心地よい。

    それにしても小川さんのエッセイに出てくる阪神はいつも負けている。

  • 好きな作家の本当に愛する本を知れるという、それを共有することができるという幸せ。

  • まだ、できないな~。
    今まで読んだ本を振り返るのは。
    と思いました。

    特に学生時代読んだ本は宝物のように大切であると同時に、ひょっとしたらそう思い込んでいるだけで、再読してガッカリしたら宝物が逃げるような予感がします。


    アンネの日記とサリンジャーの行を読んで、閉じ込めた宝物を開けたい気もしましたが、もう少し先のような気がします(〃⌒ー⌒〃)ゞ

    • 猫丸(nyancomaru)さん
      「再読してガッカリしたら」
      ナルホド、、、それはあるかも。。。
      「再読してガッカリしたら」
      ナルホド、、、それはあるかも。。。
      2014/03/14
  • 書評とエッセイ。
    同じ作品を読んでいることにうれしくなったり、未だ知らなかった作品を知り得たり。
    そっと本棚の片隅に置いて、ふと手に取りたくなる一冊。

  • 小川洋子さんのエッセイ集。

    今まで自分が読んできた本の話かなと思って読み始めたら、
    それだけでなく、愛犬の話や作家という職業への思いや
    日々の生活の中で起きる事件や出来事、そこで考えた事などが、
    淡々と、しかしとても大切に、愛情をこめて、書き連ねてある。

    このエッセイを読んで感じ入ったのは、
    小川洋子さんの持つ謙虚さ。

    芥川賞をはじめとして多くの賞をもらっている
    才能溢れる作家であるにも関わらず、
    白紙の原稿用紙を前にして、自分の胸に湧き起こる
    「もしこのままずっと書けなかったらどうしよう。」
    といった焦りや弱気を読者の前に広げて見せてしまう潔さ、
    ある作家の著作を読み、その作品の魅力を語っている内に、
    「私はこんなすごいもの書けない。」と素直に告白してしまう
    正直さには驚かされる。

    この謙虚さこそが、彼女を思慮深い作家にし、
    生命を見つめるその目は優しく、
    真理を切り取るメスならぬペンを持つ手は慎重にさせ、
    素晴らしい作品を生み出す源になっているのかもしれない。

  • 小説を読む体力はないものの素敵な文章表現には触れたい……と思っていたところで大好きな小川先生のエッセイを見つけたので、通勤バッグに仕込んで持ち歩いてたけど、結局全然読まず……

    やっと今日、読むぞ! と奮起してカフェに持ち込んで読了

    本にまつわることをベースとしたエッセイなのだけど、いろいろと「死」について触れる場面が多く感じられた

    あと小川先生、村上春樹がお好きなんだ

    世の中には私の知らない本がたくさんあって、まだまだ増えていくのだなあと、なんとなく途方に暮れた
    悪い意味ではないんだけども
    世界は広いのだなあ的なやつです

  • 私が心の内で思っていたことが、すべてこの本に詰まっていた。これからも小川洋子さんについて行きます。

  • 敬愛する作家にして、読書好きにとっての憧れでもある小川洋子の、本にまつわるエッセイ集や、あとがき寄稿文を収録した一冊。

    物語、それを生み出す作家、彼らにまつわる物事。本を形作るあらゆる要素に、深い敬意と、誠実でひたむきなまなざしが注がれている。

    『偏愛短編箱』、『陶酔短編箱』等のアンソロジーもそうだけれど、小川さんの書評は単なる作品紹介や解説の枠にとどまらない。物語の世界に思いを寄せ、丹念な言葉でそれを紡ぐ、どこか祈りにも似た静かな熱意が感じられる。

    その祈りに、もっと深く身を浸してみたい。心震わせてみたい。
    私もそう願って、本書で紹介されている作品をひとつずつ読み進めているところ。

  • この本で紹介されているどの本も読んでみたくなる。
    昔読んだことのある本も、こんな感じ方があるのか、と新鮮でまた読み返したくなった。

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著者プロフィール

1962年、岡山市生まれ。88年、「揚羽蝶が壊れる時」により海燕新人文学賞、91年、「妊娠カレンダー」により芥川賞を受賞。『博士の愛した数式』で読売文学賞及び本屋大賞、『ブラフマンの埋葬』で泉鏡花文学賞、『ミーナの行進』で谷崎潤一郎賞、『ことり』で芸術選奨文部科学大臣賞受賞。その他の小説作品に『猫を抱いて象と泳ぐ』『琥珀のまたたき』『約束された移動』などがある。

「2023年 『川端康成の話をしようじゃないか』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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