- Amazon.co.jp ・本 (151ページ)
- / ISBN・EAN: 9784101215266
感想・レビュー・書評
-
詳細をみるコメント0件をすべて表示
-
河合さんの、カウンセラーとしての人への接し方にはだいぶ学ぶことがある気がした。助ける者が強すぎてはいけない、結論をだすのを急がずに寄り添うという在り方。
また、物語とは、人が矛盾との折り合いをつけるときに人の支えとなるもの、という話が興味深かった。
20180913再読
物語とは、こうだったらいいなとか、こういうつらいことにもこんな意味があるかもしれないとか、こういう考え方や対処もあるとか、こんなことを信じたいとか、色々な思いを重ねうるものかなあ、と思った。
-
2014年52冊目。
『博士の愛した数式』著者の小川洋子さんと、ユング派心理学や箱庭療法の日本での第一人者・故河合隼雄さんの対談。
人間の深層に降りていくことの意味を分かっている人同士で、絡み合いが絶妙。
「人は生きていくうえで難しい現実をどうやって受け入れていくかということに直面した時に、それをありのままの形では到底受け入れがたいので、自分の心の形に合うように、その人なりに現実を物語化して記憶にしていくという作業を、必ずやっていると思うんです。」
物語は過去に対してだけ効果のあるものではないと思う。
人間誰しもにある暴力性を、物語を書く・読む中で実現させることで、現実世界をやり過ごすことができる、そういう未来性もあるのだと。
「物語」、この言葉をまだまだ追求していきたい。 -
河合隼雄先生との対談をまとめた本書。河合先生が亡くなられたことで未完に終わっているのが唯一残念だが、タイトル通り「物語」が持つ意味や力、日本とキリスト教世界での生きることの意味など深く広い知識と、臨床心理の現場の経験から生み出される言葉は、学ぶことがとても多かった。
また、小川洋子氏の小説を河合先生が読み解くところでは、小川氏の知らないところで様々な偶然が小説の中で起こり、彼女の意図を超えたところで物語が勝手に動いていることも面白い。作家の意図を超える解釈の自由は許されるのだ!これがユングの集合的無意識というものなのか。無意識から汲み取られる物語。 -
臨床心理学の河合氏と作家の小川氏の対談2篇(初出は2006年、2008年に雑誌に掲載)を収録。長い「あとがき」を含めても、160ページに満たない。だから、買って手元に置くというよりも、待合室などに置いてあるのを手にとって、ぱらぱらとめくって目にとまったところから読み始めるような、そんな手軽な造りの本です。(文庫本ではなく、単行本で読みました)
でも、生き方や哲学に通じる内容が込められていて、じんわりと心にしみてくる場面もあります。
臨床心理の専門家は、人が「物語」をつくりながら生きていることに気づき、その「物語」を大切にして治療していきます。
小説家は、「誰もが生きながら物語を作っているのだとしたら、私は人間であるがゆえに小説を書いている」ことに気づきます。
寄り添うことの難しさ、大切さに気づかされる、一冊です。 -
-
「昨年の震災から1年過ぎての今、言葉が欲しかった。」
そうですよね、鼓舞しない、頑張り過ぎない、人に寄っては不謹慎に思われるかも知れないけれ...「昨年の震災から1年過ぎての今、言葉が欲しかった。」
そうですよね、鼓舞しない、頑張り過ぎない、人に寄っては不謹慎に思われるかも知れないけれど、多くの人が「それで良いんですよね」と、ホっとしただろうと想像しています。2012/08/03
-
-
私がその域に達していないのか、
なんだかあんまりしっくりこず。
宗教や日本のルーツがお二人の経験談と絡み合う。
様々な信仰対象や歴史的背景があって
今の我々が形成されているんだから
しっくりこなければいけない気がするんだけど、
言語化できぬ。。
河合先生の「望みを失わず傍におれたら、もう完璧」がよかった。