レプリカたちの夜 (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社
3.09
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本棚登録 : 343
レビュー : 37
  • Amazon.co.jp ・本 (325ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101216515

作品紹介・あらすじ

動物レプリカ工場に勤める往本がシロクマを目撃したのは、夜中の十二時すぎだった。絶滅したはずの本物か、産業スパイか。「シロクマを殺せ」と工場長に命じられた往本は、混沌と不条理の世界に迷い込む。卓越したユーモアと圧倒的筆力で描き出すデヴィッド・リンチ的世界観。選考会を騒然とさせた新潮ミステリー大賞受賞作。「わかりませんよ。何があってもおかしくはない世の中ですから」。

感想・レビュー・書評

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  • 動物のレプリカを製造している工場で、品質管理部の往本(おうもと)は、ある夜、動くシロクマを目撃する。レプリカなのか着ぐるみなのかそれともとうに滅んだはずの本物なのか? 工場長はそのシロクマについての調査と抹殺を往本に命令するが、以来往本の周辺では次々と奇妙なことが起こり・・・。

    いつのまにかいなくなった部長、曖昧な記憶、ドッペルゲンガー、工場の地下の噂、水路に現れるピラニアや鮭、ハゲなのにモテる同僚・粒山、動物について熱く語る女性うみみずさん、巫女のような呪力を持つ自称・粒山の妻ナシエ、変な日本語を喋るアパートのブラジル人姉妹、工場長の死体、凶暴なシロクマ、自称人工生命体の美少女シーニーニー(C22)、うみみずのレプリカ、ターンテーブルカッパ・・・等々、次々出てくる変なキャラ、うっすらと不条理が漂う、奇妙な世界観。ずっと悪夢の中にいるような、わけのわからない事象が次々起こる。

    個人的にはとても面白かった!新潮ミステリー大賞という言葉はとりあえずいったん忘れて、現代的な安部公房だと思って読めばほぼ間違いないかと。初期の伊坂幸太郎みもあるし、文章自体はいたって読み易い。個人的にはブラジル人姉妹の会話がツボってかなり笑えたりもしました。毒舌のうみみずさんのキャラも好き。

    人間以外の動物や物質にも自我や意識、感情はあるのかということについて度々言及される。思い切って断言しちゃうけど、これ、テーマは『ブレード・ランナー』と同じだ。レプリカ=レプリカント。

    主人公の往本は、たびたび「え、今、死んだよね?」という目に合わされるのだけど、なぜか次の瞬間には当たり前のように日常に戻っているということを繰り返す。悪夢なのか記憶障害なのか、それとも修理されては戻されているのか。記憶、自分を自分たらしめているもの、人間を人間たらしめているもの、それはいったいなんだろう?

    あと余談ですがターンテーブルカッパというものがあまりにも素敵で欲しかったです。頭のお皿がターンテーブルになっていてレコードをかけられる河童!そして背中の甲羅にはレコードを収納できて、連れて歩けるという効率の良さ!ビーチボーイズの「ペットサウンズ」をこのカッパで再生するシーンはまさに「素敵じゃないか」と思いました(笑)

  • こう言うと頭悪そうだけど、全貌が明らかになる方が好きみたい。

  • 【全幻想真実】
    小説です。

    意味不明です。
    しかし、読後感から何か巨視眼を感じます。

  • ずっと意味わかんない展開なのにどんどん
    読み進めてしまったのが不思議。

    解説にある「この私という自我の不確かさ」という

    一度その不安というか奇妙な違和感を持ってしまえば何もが疑わしくなってしまいそう。

    ラストシーンの映像が目に浮かんだ。

  • 解説で、ディックリスペクトだって言われてたけど、確かにそんな世界観。ミステリではない‥
    感想はとても難しい。文学とか哲学専攻の博論みたいな。好きな人はワーッて盛り上がれるけど、普通の人は引いちゃって入り込めない議論みたいな。
    著者は性格めんどくさい人そう(褒めてる)

  • 文庫の帯と表紙の絵に惹かれて購入しました。意味不明、不可思議なストーリー展開なのに引き込まれました。往本の身に次から次へとおかしなことがおこり、着いて行くのでやっとになってしまいました。あまりに突飛でおかしな世界でした。ミステリでもありますが近未来SF感が強いです。ぞわぞわする気持ち悪さが癖になる。オチがゾッとしました。やはりミステリだなぁと。この世界観をまた味わいたいです。

  • 一ページ目からとても魅力的。謎めいていて不思議な、よくわからない世界が広がっている。さまざまな動物が絶滅している時代に動物のレプリカを作るという仕事。登場人物たちの良さとどこに進んでいくのか、この先どうなっていくのか予測がつかない展開。自分の見ているものは何なのか。世界のその奥深くにある隠されたもの。人間と地球、人間と動物というものの関係に想いを馳せながら読んだ。

  • 冒頭の一文で引きつけられてしまうという、走れメロス効果がある本で読んでしまった。一言で行ってしまえば不条理な世界。1984やすばらしき新世界につながるものだけれど、悪者が存在しないというか誰が悪いのか分からない上にどうすればいいのかもわからない世界が描かれている、と感じました。

  • 読む平沢進。

    訳の分からなさも、ここまで突き抜けてくれれば何か愛らしく感じてくる。

  •  不思議な物語は好きなほうだが、これほど突き抜けたお話は初めてだ。

     自意識や存在とは何かを問いかけてくる。主人公の彼は、いったい何者で、何人いるんだ?自分が自分であることは何をもって証明できるんだ?証明しなければいけないのか?昨日の俺は自分自身だと思っているが、その経験はすでに単なる記憶だ。記憶は共有できるのか?じゃあ、俺は誰?
     さらにバーチャルなネット空間が絡めばどうなる。存在の軽さと、重さがマヒするテーマでではある。

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