夢の壁 (新潮文庫 か 24-1)

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  • Amazon.co.jp ・本 (359ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101222110

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  • 第二次世界大戦の戦時・戦後の中国が舞台。雰囲気のある名作。

  • 1982年下半期芥川賞受賞作。唐十郎との同時受賞だった。著者が5歳から11歳までを過ごした中国での体験が語られている。回想記風の文体で描かれるが、小説の前半2章は中国人少年の午寅に視点が据えられ、時制は戦中である。そして、3章以降は戦後に移行すると共に、視点人物も佐智に引き継がれる。それは、著者の、中国人と日本人を相対的に描くための方法だったのだろうが、意図はともかく必ずしも成功しているとは言い難い。また、中国の風土や空気感はよく表出されているが、主題はあまりにも素直で尖鋭なところが感じられない。

  • <あらすじ>
     舞台は1945年前後の北京、日本人の少女佐智がこの街で過ごした数年間の物語。中国人の車引き老高(ラオカオ)やその息子午寅(ウーイエン)との話「夢の壁」、国民学校と終戦前後の生活、国際学校SH学院での宋梅里(ソンメリ)との出会い、帰国の船旅までを描いた「北京海棠の街」、の2本を収録。

    <ひとことコメント>
    「夢の壁」は第88回〈芥川賞〉受賞作です。それなのに今では手に入りにくくなってしまっているのが実状。平積みされてもいいほどの名作だと思うんですけどね。これは佐智シリーズの第一作目です。機会がありましたらぜひ一度手に取ってみて下さい。

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著者プロフィール

1936年札幌生まれ。41年両親とともに北京に渡り、47年引揚船に乗り帰国。北海道大学農学部卒業。農林省農業技術研究所に勤める傍ら、「三田文学」に作品を発表。72~89年自然観察会代表。82年「野餓鬼のいた村」で第14回新潮新人賞、83年「夢の壁」で第88回芥川賞、91年『尾崎翠の感覚世界』で芸術選奨文部大臣賞、2002年『長江』で毎日芸術賞を受賞。08年から財団法人北海道文学館顧問。日本野鳥の会会員。

「2015年 『尾崎翠の感覚世界』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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