ベルリン飛行指令 (新潮文庫)

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  • / ISBN・EAN: 9784101223117

感想・レビュー・書評

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  • 開戦間近の緊張の中、ゼロ戦が日本から敵国領空を通過してベルリンまで飛ぶ。なんてスリリングな話なんだろう。思わず実話かと思ってしまうようなリアリティ溢れる描写に引き込まれた。
    この作品の主人公もまた氏の作品らしい。
    おそらく今年最後の読了記録かな。

  • 面白かったです。お話は日独伊三国同盟締結直後。イギリスの最新戦闘機に悩ませられたヒトラーは日本で開発された最新鋭戦闘機である零戦のライセンス生産の為に二機の購入を依頼す。安藤大尉と乾一空曹との命を賭けたベルリンまでの大飛行の物語です。

  • 東西ミステリーベスト100、91位の本書を読了。
    読了後、暫く放心する位圧倒されました。

    激アツの冒険小説であり、歴史ミステリーの傑作です。恐らく当時の情勢と情報収集を相当にされて虚実のギリギリのラインを狙ったんでしょうね。

    日本人にとって零戦というのは、悲劇を纏う題材としては戦艦大和と並ぶ位のものです(そのラストを含めて)。

    乾がイラクで自己犠牲の精神と共に離脱した辺りからページを捲る手が止まりませんでした。☆×4.5

  • 最初のくだりは「永遠のゼロ」を思い出した(こちらの方が先に書かれているので、本来は逆なのだろうが)。実際はかなりの部分を創作で補わざるを得なかったということなのだろうが、結局この危険な飛行は何のためだったのだろうかなどと色々考えてしまった。

  • 佐々木譲さんの冒険三部作のひとつ、面白かったです。

  • ずっと読みたかった佐々木讓さんの冒険小説。
    面白かったが飛び立つまでがちょっと長い。
    着陸の為の中継地点を築く話は面白い(インドの藩王国)が飛び立ってからが意外とあっさりと進む。
    飛行士の2人は魅力的。
    三部作の残りも読みたいと思う。

  • 「蛮行ならば迷うことなく愚考を選ぶ」といったことばにあらわされるような安藤大尉の男気がとにかくかっこいい。ストーリー的には前半は少し長い感じでしたが、後半は一気読み。まるで実話なの?というリアリティーも感じました。

  • 太平洋戦争開戦前、ドイツ空軍は、日本が新たに開発した戦闘機の情報を入手します。
    その戦闘機は、航続距離も長く、戦闘能力も高い、日本が誇る零式艦上戦闘機。
    ヒトラーは、日独伊三国同盟を結んだ日本に対し、この零式艦上戦闘機のライセンス生産を、ドイツで行うことを持ちかけてきます。
    そのために数機を購入することを希望します。
    帝国海軍はヒトラーの要望に応えるため、零式艦上戦闘機をドイツまで届けることになります。
    優秀な二人のパイロットを選定し、インド、イラクの協力を取り付け、中継飛行場を確保し、危険の中、未曾有の長距離飛行に挑みます。
    細部まで描かれたリアリティあふれるストーリーがすごいです。
    読み応えありました。

  • 2019/11/3読了。
    先日再読したヒギンズの「鷲は舞い降りた」の直系の関連図書として再読。これもやはり一気読みの面白さ。

  • かっこいい。

  • 飛ぶための準備や人物の紹介に多くが割かれていて、400ページをこえてなお、なかなか飛ばない。

  • 読後、こんな歴史があったのかと調べたくらいドキュメンタリータッチのフィクション小説です。
    この人の文章力はやはりおそるべし。

    国ぐるみの愚行に歯向かった軍人は、優秀であるがゆえに上から疎んじられる。
    こうした有能な人材を生かしきれないのが、日本に綿々と続く官僚制度の弊害だということに、いい加減気付くべきだ。
    やはり、国をしょって立つべき人物は超の付く優秀さと大局観が無ければ、国民が泣かされることになるのが歴史の必然。
    7月の参議院選挙は、心して投票しましょう。

  • 2019/6/2購入
    2020/9/5読了

  • とても面白かった。零戦をベルリンまで飛ばせという戦時下における壮大な愚行…。戦線で蛮行に加担するくらいなら、飛行機に乗れるのならばと、指令に応諾した安藤大尉。唯一の居場所を追い求めた哀しくも誇り高い男の物語ですね

  • 2019/3/6読了
     零戦を駆り、ベルリンまで飛行する冒険譚。ごく限られた者たちの間で進められた零戦空輸計画、東西アジアを横断しての輸送ルート探しと、実際に現地に降り立ってのやり取りには日本人だけでなくアジア各地域で生きた人々の情熱が感じられる。舞台はインド、中東、ドイツなど。ワクワク、ハラハラドキドキを味わった。

  • 一気読み。佐々木譲はこのころの作品(エトロフ発至急電とか)がいいね。

  • 佐々木譲の第二次世界大戦三部作のひとつ。

  • 中学か高校のときに読んで以来の再読。のめり込みました。
    乾の行方に涙した後の、グラーフとの再会がすごい救いになっている。ちょっとだけ救われた気分で読み終えられる構成に感謝。

  • こんなことが本当にあったとはね。凄いよ。

  • 久々に寝食忘れて読んでしまった。
    佐々木譲さんの第二次大戦3部作の第1作目だったようだ。「エトロフ~」を先に読んでしまっていた。順番通り読んでいたら、「エトロフ~」がもっと楽しめたのかも!
    この本は「エトロフ~」ほど難しくなく、物語に入っていきやすかった。そして、登場人物の誰もが自分の美学、信念を持っていてかっこよすぎる。それ故に、悲しい…。
    海軍の中に、これほど現実を直視できる有能な人間がいたはずなのに、何故大戦を止められなかったのか残念でならない。そして、安藤、乾、柴田…その他多くの人々の命を賭し成功させた任務をなかったことにしてしまうなど…。安藤は…その後どうなったのだろう。エピローグには書かれていなかったが?
    気力を回復してから第3弾を読むとしよう。
    素晴らしい本に出会えたことを感謝する。

    • しろコシオさん
      chieさん、フォローありがとうございます。本棚拝見させていただきました、既読でかぶってるものも多く、読書の傾向に近しいものを感じました。
      ...
      chieさん、フォローありがとうございます。本棚拝見させていただきました、既読でかぶってるものも多く、読書の傾向に近しいものを感じました。
      また未知のものもあり、いろいろ情報をいただいたり、勉強させていただけそうです。
      今後ともよろしくお願いします。
      「ストックホルムの密使」のレビューを楽しみにしてますね!
      2017/09/27
    • hs19501112さん
      コメントありがとです。「ストックホルムの・・」では、きっとchie0305さんの喜ぶだろうという記述が数行、出てきたはずです♪
      と、神父さ...
      コメントありがとです。「ストックホルムの・・」では、きっとchie0305さんの喜ぶだろうという記述が数行、出てきたはずです♪
      と、神父さん(?)のその後も・・・。

      誉田哲也、自分は大好きです。まだ刑事物系しかお読みでないようならば、ぜひとも刑事モノ以外の誉田作品も手に取ってみることをおすすめします。

      (自分の中では「白い誉田」と名付けてます)
      おすすめ度合い(万人受けしそうな)順に・・・

      ①「武士道シックスティーン」(映画化)
      ②「疾風ガール」
      ③「幸せの条件」
      ④「増山超能力師事務所」(連ドラ化)
      2017/09/29
    • kiyorhintaさん
      幸せの条件
      幸せの条件
      2018/10/31
  • 「エトロフ」を読みたいがために手にとったのが申し訳なくなるほど、おもしろい小説だった。冒頭の謎から一気に物語の世界に引きずりこまれる。この時代設定で現代の我々が魅力を感じる人物像を作るには、どうしても国策に思うところがあるということになる。ほとんどの登場人物がそういう立場をとっているのは少し現実味がないかなと思う。ただ第二次世界大戦の日本やドイツというと、どうしても負のイメージがつきまとうけれど、どういう状況におかれようと国家と個人は別物で、ゆれない強い人たちもいたのだろうとあらためて思わされる。

  • 最近は警察物が多い佐々木譲だがこの本をはじめとする三部作は傑作中の傑作。

    • chie0305さん
      kakaneさん、お薦め本ありがとうございます。実は、「エトロフ」の方はちょっと固いというか、私には難しかったんです。「ベルリン」を先に読め...
      kakaneさん、お薦め本ありがとうございます。実は、「エトロフ」の方はちょっと固いというか、私には難しかったんです。「ベルリン」を先に読めばもっと違ったんでしょうが。でも「ベルリン」はすごく読みやすくストレートに胸に響きました。でも、いい本を読むと物凄く疲れます…。少し休んでから「ストックホルム」に行きます。安藤さんの消息が知れたらいいな!お薦め本も是非読みたいです。
      2017/09/24
  • フィクションなのか、ノンフィゥションなのか。
    その狭間をたゆたう物語。
    その当時、日本からベルリンまで戦闘機を飛ばすのにどれだけ困難があるのか。
    前半は、困難を克服するための準備を描く。
    こちらも困難だらけ。
    後半は、実際に飛行することでの困難を画く。
    まさしく困難。
    最後はもう少し主人公の安藤大尉の心理描写が欲しかった。

  • 物語の冒頭、本田技研のF1参戦史を取材するライターが奇妙な伝説に出会う。老いたドイツ人が大戦中「ベルリンでゼロを間近に見た」というのだ。ノンフィクションのような抑制された語り口で始まるプロローグから、男心をがっちり鷲掴みにされてしまう。
     第二次世界大戦の初期、日本海軍はドイツ空軍から最新鋭の戦闘機タイプゼロの実機を送るように請われる。バトルオブブリテンの空戦でメッサ―シュミット戦闘機は800キロに届かぬ航続距離で苦戦を続けており、ゼロのライセンス生産を画策したのだ。
     タイプゼロの航続距離は2千キロ超、しかし東京から欧州戦線までは直線距離で6千キロ超。しかも英国空軍が大半の制空権を握るユーラシア大陸を飛び、敵地下で補給整備をせねばならない…。なんともスケールが大きく、ロマンあふれる冒険小説である。

     初冬、横須賀の飛行場から2機の「零式艦戦」がベルリンに旅立つ。軽やかに飛び立ち、雨雲のなかに消えて行く情景が鮮やかに目に浮かんだ。零式艦上戦闘機、通称ゼロ。ゼロ戦は、誇り高き海軍の技術と美学によって生み出された美しい戦闘機だった。小説なのであるが、終始ゼロ戦の優美さが描写され、美しい機影を想起させてくれる。
     ドイツまで戦闘機を運ぶのは安藤と乾の二人のパイロット。海軍士官の美学と洗練が酔わせてくれる。 そして…。 友情と別れが胸に迫る。
     きわめて男子向けの、ロマンチシズム溢れる小説である。
                       

  • 2014.10.2(木)¥250+税。(-2割引き)
    2014.10.13(月)。

  • ありがたいことに、身近には“本選びの羅針盤”とでもいうべき友人が数人いる…

    もちろん、読書は個々それぞれが好きに感じる悦楽…その上、このひん曲がった性根からすれば、他人から進められた本の全てに、推薦した人の思惑通りに感動したり勉強になったりすることは、まず無い!のだが(苦笑)、何故かその数人の友人が推す本には、所謂“ハズレ”が無いどころかドストライクが多い…というか、おそらく私の性質を知った上で投げてくれる、優しい球だとも思うのだが(笑)

    で、先日も、その中の一人(元文芸出の編集者)と、不定期ながら唐突に始まるヤサグレ飲み会の折に、警察小説から、佐々木譲氏の『嗤う警官』に話が移ったときに、“第二次大戦三部作”を読まずには、佐々木譲を語れず!的な指摘を受け…いや、正に読めという“指令”を受けた。…そして、指令をうっちゃったまま、はや数ヶ月…仕事も無いヒマな日が目の前に広がると、粋な趣味的なものも持たず、多くの友人達のように“リア充”な食べ歩きやイベントに動くような、心や財布の余裕がある訳でもない身としては、活字世界に心の拠り所を求めたりする訳で(笑)…とりあえずは、おそらくドストライクであろうその球を受けたく、ようやく手を伸ばした。

    そして、1日で読み終え…爽快な…かつ重厚な満足感を得ている。

    歴史をベースにした、冒険小説…といったら軽々しいのか?
    やはり自分をワクワクさせてくれる一番のfactorは、登場人物の誰一人として捨て駒的な役回りが無いってことで、もちろん、実存した人名を使うってことは、その義理も果たさなければならないのだろうが、それにしても全ての人物像が生々しくスバラシイ…

    そのこと自体は、『嗤う警官』でも感じたことなんだけど、この話の舞台は、とかく同じような、国家の反省やら汚点として始終する実際の第二次大戦にまさに突入する際のこと…同じ零式艦上戦闘機がモチーフなのに、最近、ベストセラーになって映画もロングランになった、やたら文字数で読ませる放送作家さんとは違って、贅肉が無い展開の中で、国や組織では抑えられない飛行機乗りの気高さや、開戦の無意味さ、男女の心の機微がかえって肉厚に描かれていて、ほんとうに読んでよかったと思う。

    まぁ、ここまでくっちゃべって、言うのもなんだけど…
    未読で、これから読みたい人が居ると申し訳無いので、筋に関しては何も言いません(笑)が、人間は、もっとシンプルであって良いのでは無いか?とも考えさせられました。私も、“蛮行か愚行のどちらかを選べといわれたら、ためらうことなく愚行を選ぶ”…そんな安藤大尉でありたいと、今の日本が、近隣諸国を含め、諸外国に…いや内政にも行おうとしている様々な事柄は、銃弾を使わない“蛮行”のような気がしてならないと…そんな気持ちです。

    とりあえず、元さん!次はエトロフ…行かせていただきます!(笑)

  • 日米ハーフな安藤は飛行機乗り。飛行機が好きだから軍人になった。中国での民間人殺戮を拒否し、軍隊では鼻つまみ者(賛同者も多い)
    これはゼロ戦をベルリンに運ぶ話。半分以上、運ぶまでのなんやかやなの。インド中東経由なので、いろいろあったり、一機しか着かなかったり。
    切ないのは、結局ゼロ戦ドイツでは役にたたないと判断されたこと。
    これ、第二次大戦3部作だから、どこかで安藤出てくるのかな。

  • 1940年。
    欧州戦線にて、英国に苦戦していたドイツは、同盟を結んだ日本に“タイプ・ゼロ”の移送を求めた。
    任務にあたるのは、エースパイロットでありながらも軍内ではやっかい者として知られる安藤と乾。
    一方、機の補給基地を確保するため、柴田は工作員として動くのだが……。

    戦争秘話という形式で描かれるハードボイルド風の作品。
    苦労してゼロを運んだものの、結局ドイツの期待に応えるものではなかったというのが寂しい。

  • 冒頭の登場人物の関係性が掴めたら、後はするすると引き込まれて行く。

    欧州の第二次世界大戦についてほとんど知識がなかったので難しく感じられる所もあったが、それをふまえても面白い。

    零戦の話を読むのは二冊目だが、どちらも作者が零戦を好きなのがよく分かる。

    零戦の事は詳しく知らないが、何か神秘的なものを感じる。

    この読後感は何とも言えない良さがある。
    悲しい歴史の中にほんの少しの光を。

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著者プロフィール

1950年北海道生まれ。79年「鉄騎兵、跳んだ」でオール讀物新人賞を受賞しデビュー。90年『エトロフ発緊急電』で山本周五郎賞、日本推理作家協会賞を、2002年『武揚伝』で新田次郎文学賞、10年『廃墟に乞う』で直木賞、16年に日本ミステリー文学大賞を受賞。他に『抵抗都市』『帝国の弔砲』など著書多数。

「2022年 『闇の聖域』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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