- Amazon.co.jp ・本 (474ページ)
- / ISBN・EAN: 9784101223223
作品紹介・あらすじ
昭和二十三年、警察官として歩みはじめた安城清二は、やがて谷中の天王寺駐在所に配属される。人情味溢れる駐在だった。だが五重の塔が火災に遭った夜、謎の死を遂げる。その長男・安城民雄も父の跡を追うように警察学校へ。だが卒業後、その血を見込まれ、過酷な任務を与えられる。大学生として新左翼運動に潜りこめ、というのだ。三代の警官の魂を描く、空前絶後の大河ミステリ。
感想・レビュー・書評
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下巻へ
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過酷な仕事で同情はするけど、それと家族に手を上げることは全く別の話。
自分の生活圏が舞台となるのは(あまり良くないシュチュエーションだとしても)読者意欲がますものですね。 -
時代ごとの警察人小説
警察官も普通の生活があり家族がある。それでも警察官としての使命を負っているのはどの時代でも同じなんだろうなと
下巻が気になるところ -
警察小説かと思ったら、というよりは親子三代にわたる警察官人間小説だった。三代にまたがるので時代も戦後のバラックから現代までと幅広い。初代の安城清二の時代に殺人事件が起こり、その真相に気づいた清二が不審な死を遂げる。息子の民雄は安保闘争の時代となって潜入捜査員となり、公安とのつながりから父親の死のかくされた真相に迫ったところで殉職。さらに息子の和也がついに古い昔の真犯人をつきとめる。そう書くとミステリそのものだけど犯人に意外性はなく、謎解きというよりは三代それぞれの警察官としての生き方の方が主題となっている。三代そのときどきのエピソードをつないでゆくのだが、それぞれは底が浅くお互いの関連もないので、独立した連作のようだ。
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書き手の懐の深さみたいなのがもうバンバン
来ます。いやジャンジャンかな。ギャンギャンか?
もういっそ来ないです。おもそろかったです。 -
昭和23年から平成12年まで52年間警官3代に渡る大河ミステリー小説。帝銀事件の日、清二が警察官募集の広告を妻に見せる導入部が良い。戦後の混乱の中で、清二の希望に満ちた警察官としての第1歩の様子と、3人の同僚との出会いの場面は秀逸。妻と清二のやり取りも心地よい。
上巻は、清二が上野警察署に配属され、手柄を立て希望していた谷中の駐在所勤務となり、五重塔火災の夜の遭難から、息子民雄の警官としてのスタートを描く。浮浪者、男娼、ヒロポン、原田先生という怪しげな浮浪者のリーダー等、昭和20年代の風俗の描写が詳しく、生き生きとしている。
ミステリーとしてはふたつの殺人事件が中心となっているが、この小説の面白さは戦後の警察の機構と警官の意識がどのように変化してゆくかである。ジャカルタから成田への夜行便の中で一気に上巻を読んでしまった。 -
清二、民雄、和也の親子3代に渡って描かれる物語。
戦後の民主警察の黎明期に警視庁に採用された清二。
ある事件を追うなか、突如として・・・
民雄が公安警察で潜入捜査する場面も、
とてもスリリングで、読んでいるこちらがドキドキしてしまう。
続きが気になる作品。 -
舞台は終戦直後の東京。定職を探してみつけた『警官募集』広告で
主人公:安城清二は警視庁警察官採用試験を受ける。
昭和初期の警察官から入り昭和後期、平成と
父、息子、孫と三代続く警官の御話。
歴史に忠実にそった内容で
非常に興味深い内容になってます。
上巻で出てくる歴史的な事件時系列は
父親:清二(駐在警官)の時に
上野公園不法滞在者強制退去代執行、
御徒町親善マーケット(アメ横)手入れ、
谷中:天王寺五重塔放火心中事件、
父はこの五重塔火災の夜近くの
線路で不審な死をとげます。
息子:民雄(公安部出向、潜入捜査員)の時に
共産同赤軍派大菩薩峠事件
本庁公安エリートコースを辞退し
本来希望していた念願の駐在警官になった
息子の話は下巻に続き、
父:清二の自殺とされた不審死に
民雄は単独捜査を始める。