警官の血 上 (新潮文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (474ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101223223

感想・レビュー・書評

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  • 時代ごとの警察人小説
    警察官も普通の生活があり家族がある。それでも警察官としての使命を負っているのはどの時代でも同じなんだろうなと
    下巻が気になるところ

  • 上下巻読んでの感想
    安城清二、民雄、和也。三代に渡り警察官として生きた男たちの物語である。
    終戦直後に警察官採用試験を受けた清二は、警察練習所で同期だった三人と共に警察官になる。
    それぞれに将来に向けた希望はあったけれど、清二の希望は駐在所勤務だった。
    やがて希望通りに天王寺駐在所に配属された清二だったが、ある日突然に謎の死を遂げる。
    万引常習犯の少年と父親との場面が印象に残っている。
    警察官でもあり父でもある清二。
    民雄にとっても印象に残る出来事だったのだろう。
    父として警察官として清二を尊敬していた民雄だからこそ、突然の清二の死が納得できなかったのだ。
    いつか事実を突き止めたい。
    それは自然な思いだったように思う。
    公安というと後ろ暗いイメージが付きまとう。
    組織だった左翼運動は次第に暴力化し、民雄が任官した頃は公安の果たす役割もいまよりは大きかったのかもしれない。
    仕事なのだから。そう納得はしていても、神経が擦り減っていくのはどうにも出来なかったのだろう。
    学生運動では多くの犠牲者が出たという。
    命を失った者も、その後の人生が変わってしまった者もいた。
    民雄もまた、その多くの犠牲者のひとりなんだと思う。
    PTSDなんて子どもだった和也にわかるはずもない。
    警察官なのに、家では母親に暴力をふるう父親。
    父親への反発もあったのだろう。成長し同じ警察官になって、あらためて父親が理解できた部分もあっただろう。
    父親としてはけっして立派な父親ではなかったけれど、警察官としては誇れるような父親だったと和也は思っていたはずだ。
    事実を突きつけられたときの和也の対応が、三代にわたる警察官の血を感じさせた。
    したたかであるけれど、間違ったことはしていない。
    父である民雄ほど弱くもなく、祖父である清二ほど純粋でもない。
    利用できるものは利用し、したたかに組織の中で生きていく。
    それが和也の選んだ道なんだろう。
    読んでいて長さをまったく感じなかった。
    それぞれの時代を感じさせるように、物語の中に流れている当時の空気感がいい。
    重厚さも、構成の巧みさも、人間描写も、細かな設定も。
    すべてが面白く、すべてを楽しむことができた。
    犯人は途中で「この人怪しい」と思った人物だった。
    やっぱり・・・とは思ったけれど、ガッカリはしなかった。
    犯人当ての物語ではないし、そこにはあまり重要性は感じずに読んでいたからかも。
    読みごたえは十分!!

  • 書き手の懐の深さみたいなのがもうバンバン
    来ます。いやジャンジャンかな。ギャンギャンか?
    もういっそ来ないです。おもそろかったです。

  • 清二、民雄、和也の親子3代に渡って描かれる物語。

    戦後の民主警察の黎明期に警視庁に採用された清二。
    ある事件を追うなか、突如として・・・

    民雄が公安警察で潜入捜査する場面も、
    とてもスリリングで、読んでいるこちらがドキドキしてしまう。

    続きが気になる作品。

  • 安城清二はなぜ死んだのか?
    重要人物は浮かび上がらせている。
    孫まで続く展開でどうはっきりさせるのだろう?

  • 面白い

  • 清二が追っていた2件の未解決事件の犯人は?

    清二が死んだ真相は?

    すべてがここにつながっていくのか…

    三代に渡る真相は…

  • 過去の「このミス大賞」1位。3世代に渡り警察官となった親子の物語。1代目の戦後の混沌とした時代の上野、谷中近辺の様子や当時の警察官の役割、1代目から3代目の時代の移り変わり、最後まで興味深く読んだ。馴染みのある場所が舞台だと読んでて情景も浮かぶのでより良い。

  • 2014/4/3最初、進まず何回か積読だっが、民雄の項からスピード感が出て面白くなってきた。下巻が楽しみです。★4

著者プロフィール

1950年北海道生まれ。79年「鉄騎兵、跳んだ」でオール讀物新人賞を受賞しデビュー。90年『エトロフ発緊急電』で山本周五郎賞、日本推理作家協会賞を、2002年『武揚伝』で新田次郎文学賞、10年『廃墟に乞う』で直木賞、16年に日本ミステリー文学大賞を受賞。他に『抵抗都市』『帝国の弔砲』など著書多数。

「2022年 『闇の聖域』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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