暴雪圏 (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社
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  • Amazon.co.jp ・本 (513ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101223247

作品紹介・あらすじ

三月末、北海道東部を強烈な吹雪が襲った。不倫関係の清算を願う主婦。組長の妻をはずみで殺してしまった強盗犯たち。義父を憎み、家出した女子高生。事務所から大金を持ち逃げした会社員。人びとの運命はやがて、自然の猛威の中で結ばれてゆく。そして、雪に鎖された地域に残された唯一の警察官・川久保篤巡査部長は、大きな決断を迫られることに。名手が描く、警察小説×サスペンス。

感想・レビュー・書評

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  •  前作「制服捜査」で登場した川久保篤巡査部長が再び活躍する。前作は連作短編という形だったが、本作は長編。シリーズものではあるが、本作単体でも十分に楽しめる。
     全く何の脈絡もない登場人物が、爆弾低気圧という自然の猛威の影響で徐々に一か所に集約されていく、登場人物それぞれの動き(登場人物それぞれの視点から描かれている)が何かに導かれるように焦点を結ぶ様は、読んでいてついのめり込んでしまう。
     ただ、登場人物それぞれの視点からの内容が多いので、川久保篤巡査部長シリーズではあるが、必然的に川久保巡査部長の登場部分は少ない。そこが少し物足りない気もするが、余韻を残した終わり方をしているところが気になる。

  • え…!これで終わり?と言う唐突な最期、勿論不消化感。
    読む「ドキュメント12時間」という展開。最近かなり有名になった「爆弾低気圧~ホワイトアウト」の凄まじい描写が作品全体を覆っている。筆者モノを愛する理由⇒ページターナー炸裂だ。白い雪に赤いダウンジャケットの色彩、金庫強盗と反社会組織、精神的に不安定な女性とセックス・金をモチベーションにし世の中を斜めに泳ぎ切ろうとする安っぽい男の点景がフォーカスされて行く。警察モノというものの、川久保巡査のフォルムはどうかすると流れに呑まれ、物足りなかった。でも「制服警官」の作風は好きなので引き続き、読んで行こう。

  •  『制服捜査』の駐在警官が再び登場。『制服捜査』が複数の短編から成るのに対し、此方は一本の長編。


     猛吹雪に見舞われ、機能を停止した町で、訳有り人物達の群像劇が繰り広げられる。
     ばらばらに点在していた人物達が、軈て吹雪に絡め取られ、点から線に繋がって、一つの結末に収斂していくといった具合。




     タイトルからの予想の域を超えるものではなかったものの、以前読んだ『制服捜査』よりは面白かった。

  • 評価は3.

    内容(BOOKデーターベース)
    三月末、北海道東部を強烈な吹雪が襲った。不倫関係の清算を願う主婦。組長の妻をはずみで殺してしまった強盗犯たち。義父を憎み、家出した女子高生。事務所から大金を持ち逃げした会社員。人びとの運命はやがて、自然の猛威の中で結ばれてゆく。そして、雪に鎖された地域に残された唯一の警察官・川久保篤巡査部長は、大きな決断を迫られることに。名手が描く、警察小説×サスペンス。

    う・・・ん。くどい。

  • 制服捜査の川久保さんが出て来るが、単なる続編という感じではない、というのも川久保さんは主役ではないから。
    じゃ誰が主役かというと、人物ではなく、3月ごろこの地方を襲う猛吹雪である。

    交通がほぼ完全に遮断され、停電やボイラー故障が頻発し、暖房の効かない建物内や車の中では凍死すらあり得る、猛吹雪の中で、色んな過ちや過去を抱えた人が何かに導かれるようにとあるところに集約されていく。

    人を主人公としてその描き方を読むとぎこちなさや物足りなさを感じるのだが、大自然の驚異の中であたふた生き延びようとする人間のおろかさを見下ろすような視点で読めば、この作品は面白い。

    以前にも思った佐々木譲お得意の「余韻」がそういう特徴のこの物語でもいかんなく発揮されていて良。書き込み過ぎない不親切さが、苛烈すぎるくらいに人に厳しい自然の描写に
    似合っていると思う。

  • まずは、雪国って大変だ~と。いや、本心で。
    いろんな事件が同時進行で、登場人物が次々出てくるしで、少々混乱しながら読んだ。なるほど最後こんなふうにリンクするのか、お見事です。
    キャストが多すぎて、川久保巡査部長が存在感薄なのがちょっと残念だった。佐々木譲さんはラストをこんな風にするの多いな。

  • 佐々木譲に外れなし。
    基本的には。
    (前読「屈折率」は例外:笑)

    前の方で誰かが書いた「小悪党が大悪党の陰で誤魔化される話」にも一理あるとも思えるが………。やはり佐々木作品は面白い!

    警察小説というよりは、「ユニット」や「犬どもの栄光」等の、警察モノで脚光を浴びる前の一連の作品群に似た作風。

    川久保さんの、駐在警察官としての吟じに心打たれた。
    甲谷警部は、結局何もできてないね…(笑)
    家出少女の未来に幸あることを願う。

    2012.02.28.了。

    • jonkoさん
      コメントありがとうございました。『暴雪圏』読んでみます。
      コメントありがとうございました。『暴雪圏』読んでみます。
      2018/03/13
  • まず地吹雪の恐ろしさを理解すべくYouTubeで検索してみるに、確かになかなかのもんじゃね。
    この雪国の恐ろしさを知ってからでないと。と言っても読んだあとに調べたわけだけど。
    でもってお話としては、なんだか色々と事件が起きまくってもう大変だー。というわけです。それぞれがすったもんだの上に最終的にどうなったのかな?と想像を膨らませるのが楽しい、という小説かもしれん。それなりに登場人物は多いけど、ちゃんと付いていけるように話が進んでると思う。大雑把には悪くない方向に収まったのかなぁ、というわけで、おあとがよろしいようですよ。

  • 身体の自由を奪われると人は精神の自由に意識が向く。雪に閉ざされた人々は内面に意識が向き、ドラマが濃くなる。春が近づくこの季節に読めたのも嬉しい出会いだった。

  • 猛吹雪に見舞われた北海道の田舎町での一晩の出来事。
    様々な登場人物の群像劇がどう関わっていくのか。決着のラストといくつか残された想像の余地があり、でもきっと明るさはあるよねと思いました。
    前作を知らないままシリーズの2作目から手に取りましたが、何も問題はありませんでした。

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著者プロフィール

1950年北海道生まれ。79年「鉄騎兵、跳んだ」でオール讀物新人賞を受賞しデビュー。90年『エトロフ発緊急電』で山本周五郎賞、日本推理作家協会賞を、2002年『武揚伝』で新田次郎文学賞、10年『廃墟に乞う』で直木賞、16年に日本ミステリー文学大賞を受賞。他に『抵抗都市』『帝国の弔砲』など著書多数。

「2022年 『闇の聖域』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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