考える人 (新潮文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (320ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101226330

感想・レビュー・書評

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  • 評伝の参考として。相変わらずのツボウチ節だなぁと思いつつも、一気に読了。
    いくつか気になる人・本あり。これは今後の課題。
    テーマを決めての評伝なので、それぞれの人物への私淑度が足りない(愛は感じる)様にみえるが、これもまたひとつのスタイルなのだろうな。

  • 雑誌の連載からの文庫化。
    小林秀雄、神谷美恵子、幸田文、吉行淳之介・・・などなど、
    16人の文筆家が、いかにして考え言葉に表したかを分析している。

    名前も知らず読んだことのない人も結構入っていて、
    教養不足の私には大変勉強になった。
    個人的には深代淳郎と、作者のお父様が友人だったという
    福田恒存が特に興味深い。

    考えるとはどういうことか、言葉の持つ重みについて
    じっくり向き合うことのできる1冊である。

  • ちょっと難解だけど、たぶん 1 度といわず読み返したほうが味が出てくる気がする。神谷美恵子や深代惇郎の著作を読んでみたくなった。

  • 坪内祐三(1958~2020年)氏は、早大文学部卒、雑誌「東京人」の元編集者で、コラム、書評、評論などを手掛けたライター。『慶応三年生まれ 七人の旋毛曲り』で講談社エッセイ賞を受賞(2001年)している。
    本年1月13日、心不全で亡くなった。享年61歳。
    私が最初に坪内氏を知ったのは、2005年に『新書百冊』(新潮新書/2003年出版)を読んだときである。その後、無類の本好き・神保町好きである坪内氏はいつも気になる存在であった。私が月に数回は訪れる神保町の東京堂書店に、坪内氏のセレクトブックコーナーが設けられていたことも、身近に感じる背景になっていたと思う(残念ながら、東京堂書店でお見掛けすることはなかったが。。。)。
    今般の訃報に接し、本書を久し振りにパラパラとめくってみた。
    本書は、雑誌「考える人」の創刊号(2002年夏号)から2006年春号にかけて16回連載されたもの一冊にまとめたもので、2006年に出版され、2009年文庫化されたが、残念なことに既に絶版となっている。(雑誌「考える人」も2017年に休刊。「Webでも考える人」は継続中)
    本書で驚くべきは、取り上げられた16人の顔ぶれであろう。小林秀雄、田中小実昌、中野重治、武田百合子、唐木順三、神谷美恵子、長谷川四郎、森有正、深代惇郎、幸田文、植草甚一、吉田健一、色川武大、吉行淳之介、須賀敦子、福田恆存。最も早く亡くなったのは深代惇郎(1975年)、最も遅かったのは田中小実昌(2000年)であるが、この25年の間で、これを上回る「考える人」たちを選ぶことはなかなか難しいのではないだろうか。(寺山修司、白洲正子などもいるが。。。)
    私は10年前に本書を読んだとき、(不覚にも)長谷川四郎や深代惇郎は名前すら知らなかったし、名前は知っていても著書を読んだことがない人も多数いたのだが、とても興味深く読み進めることができたのは、本書が、これらの人びとの単なる紹介文ではなく、著者がそれぞれにとても強い愛情を抱いており、それを飾らない表現で綴っているからなのだと思った。
    本書を読んだ後、幾人かの著書を手に取ったし、更に、(坪内氏には及ぶべくもないが)自分版「(現代の)考える人」を選ぶとしたら誰になるだろうなどと思いながら、読書を広めていくようになったという意味においても、いいきっかけを与えてくれた一冊であった。
    (2009年5月了)

  • 『考える人』。実に大雑把かつ壮大なタイトルであります。
    坪内祐三氏がいふ考へる人とはどんな人か。そもそもどんな人でも、深浅の相違こそあれど考へる人でせう。本書では、トップの小林秀雄からトリの福田恆存まで16名選抜して論じてゐます。

    この16人の中には、ちよつとわたくしが苦手な(ありていに言へば嫌ひな)人物も混じつてゐますが、さういふ人でも坪内氏の筆にかかれば、なんだか魅力的に思へてきて「いつちよう、今度読み直してみますかな」と思はせるに十分なのであります。
    今わたくしは「筆にかかれば」と書いてしまひましたが、坪内氏は実際には恐らく「筆」は駆使してゐないのではないかなあ、とも思ひます。もとより比喩表現としての「筆」ではありますが、きつとこれも福田恆存氏の非難する、良くない紋切り表現の一例なのでせう。

    印象的な部分をひとつ上げますと、武田百合子氏にとつての「考へること」が、「見ること」と繋がつてゐるといふくだりであります。『日日雑記』を例にとり、「動物的な反射神経のよさ」を指摘しました。ほほう。一見好き放題に書いてゐるやうですがね。

    わたくしが読んだことがある作家の作品も、本書の視点からもう一度読むと、新しい発見がありさうです。

    http://genjigawa.blog.fc2.com/blog-entry-146.html

  • 福田恒存という存在をこの著書によって知ったけれど、ぜひとも福田恒存さんの本を読みたい!かいつまんだ言葉なのに圧倒させられた。すごい人だ・・・。そんな出会いをさせてくれた坪内さんに感謝っ!

  • 2009/11/13購入
    2012/4/9読了

  • 明治から昭和の考える人についての論考
    昔の人も深く鋭く物事を考えていたことがわかり面白かった
    知らない人についての知識アップ

  • 坪内祐三はどこかで書いていた、呼吸をするように本を読むと。ここに書かれている考える人たちの本を僕はまったく読んだことが無い。
     今巷にあふれている本は、きっちりカテゴライズされている。啓発・小説・ビジネス・経済・政治。好みに合わせて、目的にあわせて的確な本を買うことができる。それは効率的でいいんだけど、本をただ読むために本を探すということができにくくなった気がする。この本に登場する考える人たちの著作は、エッセイであり雑文が多い。そんな、読者の目的に与しない本を今の本屋で見たことがあるだろうか。僕が知らないのも無理ないのではないだろうか。勉強や娯楽といった目的を持たずに本を読むこと、それは呼吸ぐらい自然なことなんだろう。         

  • 縦糸と横糸の重なる部分の多さは、読んだ本の量に比例する、ということが最近実感できるようになってきた。ということがふと思い浮かんだ。そういうことも書いてあった。考える、とはなにか、について、何度も何度も問いなおしている丁寧さにひかれた。だからここにもあまり簡単には「考える」とは書けないな、とも「考える」

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著者プロフィール

評論家、エッセイスト。1958年、東京生まれ。早稲田大学文学部卒。「東京人」編集部を経て、コラム、書評、評論など執筆活動を始める。評論、随筆、対談、日記エッセイ、解説等多彩に活躍。『慶応三年生まれ 七人の旋毛曲り―漱石・外骨・熊楠・露伴・子規・紅葉・緑雨とその時代―』で第17回講談社エッセイ賞を受賞。著書に『ストリートワイズ』『靖国』『文学を探せ』『私の体を通り過ぎていった雑誌たち』『総理大臣になりたい』など多数。近著に『昭和にサヨウナラ』『文庫本を狙え!』『文庫本宝船』など。

「2017年 『壁の中【新装愛蔵版】』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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