ボクの音楽武者修行 (新潮文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (244ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101228013

感想・レビュー・書評

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  • 青年は原野をめざす。
    小澤征爾さんの訃報が届いた。若い頃、この本がエネルギーを与えてくれた。小田実さんの「何でもみてやろう」とともに私のバイブルだった。
    貨物船で2ヶ月かけて、ヨーロッパをめざす。見えてくる島に、燃えるような夕焼けにひとつひとつどきどきを感じながら。どきどきの瑞々しさが若さであり、エネルギーだ。
    スクーターと日の丸で人とつながり、不安を自信に変え、やがては大きなコンクールで一等賞をとる。
    才能は覚悟。昨日読んだ本の通りだ。
    行き当たりばったりの旅が指揮者への道につながっていく。
    尊敬するシャルル・ミュンシュの懐に飛び込み、カラヤンの弟子になり、バーンスタインの友となっていく。
    ホームシックにかかり、家族に手紙を綴る。
    3年の月日を経て日本に帰ってきた時の大いなる喜びが思い浮かぶ。

    娘達にプロコフィエフの「ピーターとおおかみ」を聴かせた時、怖がって怯えた。あのアルバムは小澤征爾さんのCDだった。水戸の管弦楽団との演奏も何度か聴いた。

    ラグビーを愛した指揮者。
    指揮棒、いや身体全体でハーモニーを引き出した指揮者。
    自分の筋肉の力を抜き切る状態をつくることが、指揮の一つのテクニックと語る小澤征爾さん。
    ゆっくりおやすみください。
    今までお疲れ様でした。合掌。

    • workmaさん
      まいけるさん
      こんにちは(^^)
       いいね をありがとうございます。
      おそらく同年代と思われますが…『ボクの音楽武者修行』と『何でも観てやろ...
      まいけるさん
      こんにちは(^^)
       いいね をありがとうございます。
      おそらく同年代と思われますが…『ボクの音楽武者修行』と『何でも観てやろう』…、兄の影響で読み、「よその国へ行ってみたい、」と、感銘を受けたおかげで、3ヶ月と短い間、外国に滞在できました。レビューを読んで、そんなことを思い出しました。
      2024/02/11
    • まいけるさん
      はじめまして。3か月も?羨ましいです!
      でも若いうちに海外を体験することは宝ですよね。
      これからもよろしくお願いします。
      はじめまして。3か月も?羨ましいです!
      でも若いうちに海外を体験することは宝ですよね。
      これからもよろしくお願いします。
      2024/02/11
  • 世界的指揮者小澤征爾さんが26歳の時に書いた作品。

    スクーターとギター一本持って貨物船でヨーロッパに渡ってからの2年間を家族に宛てた書簡とともに振り返るエッセイです。

    予想を超えて、超面白かった。

    リコーダーすらまともに吹けないし、小澤征爾さんの指揮してる場面もネスカフェゴールドブレンドのCMでしか見たことない私ですが、音楽抜きにおもしろい。

    まず小澤征爾さんが魅力的。

    文章の中に散りばめられた感受性豊かな表現力や家族を含めた周囲の人への愛情がみずみずしく伝わる素敵な本です。

    終盤はYouTubeで小澤さんが指揮したオーケストラの演奏聴きながら読みました。

    軽い気持ちで読んでみてください。

    60年前の作品とは思えない!オススメです♪

  • 小澤征爾が2024/2/6にご逝去。有名な指揮者ということしか存じ上げなかったので、司書さんに薦められて読んでみた。とても面白かった。文章もモタモタするところもなく、若き小澤征爾が、臆することなくチャレンジしていく様子が、伸びやかに語られていた。コンクールに次々と優勝していくのはやっぱり凄い人なんだなーと思う。ミュンシェ?バーンスタイン、カラヤン、バックハウス?フィッシャー・ディースカウ?最後の2人は、世界中の音楽家の中で、一番尊敬している人らしい。理由は百回演奏会して、九十九回まで同じ様に完璧に演奏できるから。
    カラヤンに飯を食おうと誘われてもしめたとは思わないが、バーンスタインに誘われたら、しめた今日は美味いものにありつけると思うー
    オーケストラのお国柄というものがあって、ベルリン・フィルハーモニーはどんな指揮者でも崩れない。フランスは、一人一人の楽員の音がバラバラに。
    アメリカはビジネスに結びつき、指揮者の技量に出来が左右される。
    手紙に出てくる、弟のポンがいい子みたいで、小澤征爾もとても可愛がっているし、頼りにもしている。

  • まだ海外に飛び出す日本人が少なかった時代の話です。特別に恵まれた経済状況にあったわけでもなかった無名の若者が情熱だけで欧米を渡り歩き、幸運な出会いに助けられ続け、音楽について勉強したわけですが、読んでいて非常にワクワクさせられます。本人による硬すぎない文章もリアルな印象をもたらしてくれます。

  • 若くまだ無名な頃に渡欧し少しずつ有名になっていくのを、淡々と語る感じ。

    成功するには努力も重要だが、やっぱり生まれついての実力やセンスは不可欠だと思った。
    だってどんなに頑張っても、誰もが小澤征爾みたいになれる訳ない。
    この本の頃はまだまだ駆け出しの指揮者なのだが、「特別な人」であると感じざるを得ないのだ。

  • 「世界の小澤」の称号とお顔くらいは知っているものの、どんな方なのか人となりはほとんど知らなかった。この本を読むと、小澤征爾という指揮者がどのように成功していったか、その破天荒ぶり、ざっくばらんな性格、いかに才能があり、音楽仲間や聴衆に愛されているかがよくわかる。
    回想録のわりには妙に現在進行形だなと思ったら、本書が書かれたのは身一つで日本を飛び出してから、やがて指揮者として認められ、ニューヨーク・フィルの副指揮者として日本に凱旋するまでのほんの数年間を直後に振り返ってまとめたものだった。
    文章はお世辞にもうまいとは言えないけれど、その時々に何を感じたかが生き生きと素直な言葉で綴られている。
    その当時ならではの偏見も多分に混ざっているが、各国の特徴を音楽を通して捉えているのが面白かった。
    バーンスタインの楽曲が大好きなのだが、指揮者だったとは知らなかった。

  • すっかりワールドに入り込めた一冊。最後の場面。ニューヨーク・フィルハーモニーの副指揮者として日本に帰ってきて感無量になる場面は、こちらもこみ上げるものがあるほどでした。海外でのあの武者修行があったからこそ、世界的な指揮者になれたのだということを説得力をもって感じさせられました。著者の「優しさ」に注目された解説も興味深かったです。

    ■音楽のすごさがやっとわかった
    音楽のすごさ。それは、言葉が通じなくても、弾いたり、歌ったりすればよさがわかること。みなが楽しめること。言われてみれば当たり前なのかもしれませんが、ピアノをいやいや習って全く身につかなかった人間からしたら、別世界の話だったんです。でも、本書を読んで考えが変わりました。あぁ、こういう考えで音楽を聞けたら学生時代の音楽鑑賞会をぐっすり寝ないで済んだかもしれません。

    ■日本は芸術的な町がない
    ドイツやパリ、アメリカでは、あたりまえにあるまちなかの芸術が日本にはないことを憂いていたところが印象的でした。確かに、芸術家の名を付した道路や、大会っていまだにないですよね。セイジ・オザワ松本フェスティバルくらいでしょうか。また、純粋に音楽ではなく、派閥やコネを気にしないといけない日本の貧しさを指摘されていたのも印象的でした。

    ■武者修行の大切さ
    海外で生活して感じたことは、人生の大きな糧になると思いました。確かにお金はかかるし、著者も何回もお金やら梅干しやら請求しています笑 それでも、周りの人に助けられてどんどん成長していきます。コンクールで優勝したあとは、顔が割れたこともあり、地域の方にも助けてもらいます。アメリカ行きのお金がないときにアメリカ大使館に助けてもらうという発想や、スクーターや車でヨーロッパを駆け巡った日々の描写は今読んでもとてもキラキラしていました。たくましくなります。

    (これはネタバレかもしれませんが)
    パリ滞在時代にたまに出てきた江戸さんとは一瞬結婚されますが、(本書ではそこまで出てない)生活の不一致で別れることに。そんな視点で読むこともできます。

  • 【新潮文庫2014夏の100冊24/100】小澤征爾がともかく若い!青春の瑞々しさが炸裂してる。解説で萩元さんは彼の『優しさ』を書いてるけど、お金はいらないといいつつちょっと送ってとか、日本からいろいろ入れた慰問箱送ってー♡全部じゃなくてもすぐじゃなくてもいいけど今送った方が税金得だよーとか、こいつ調子いいな(-"-;) 思うとこも多かったけど(苦笑)でも、本人の前に進み続ける生き方や周囲の人間の温かい理解や協力が世界の小澤をつくった気がした。オペラを歌うメキシコ人の女子の話が良かった。

  • 23 歳にして海路 (しかも貨物船) で渡欧とは、すごいバイタリティーですね。天才の真似事はしようにもできませんけど、音楽に限らず日本人が日本国内に凝り固まりがちなのは否めない事実だったりするのでしょうね。

  • 海外経験があればより面白く感じるだろう

    2023年6冊目

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