メリーゴーランド (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社
3.42
  • (84)
  • (335)
  • (544)
  • (48)
  • (12)
本棚登録 : 2246
レビュー : 287
  • Amazon.co.jp ・本 (445ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101230337

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
  • 毎年巨額の赤字を生み続ける、閑古鳥の鳴く寂れたテーマパーク。
    市役所勤務9年目になる啓は、そのテーマパークの再建をする部署に出向することとなった。
    天下り、煩雑な手続き、業者との癒着、事なかれ主義。
    「お役所仕事」に泣かされながら、啓一はなぜか一念発起、お客の呼び込みに奔走することになる。

    いや~、有川さんの「県庁おもてなし課」にも通じる、ぬるくてやる気のないお役所仕事を皮肉りながらも、奮闘する一職員にスポットをあて、頑張ればこんなに変われる!というサクセスストーリー。
    でも最後までサクセス続きにいかず、あっけない幕切れとなるのがまたリアルなところで、もちろんフィクションだけどけっこう地方の第三セクターを忠実に再現しているのではないかと思った。
    あっちでもこっちでも、酷すぎて選挙の争点にまでなっちゃう第三セクターの話よく聞きますもんね。残念ながら。

    個人的にツボだったのは、入園料が高すぎるのでは、近隣のテーマパークでも値段を下げることで客が増えた…というデータを出向先のペガサスリゾート開発の面々に示したところ、
    値段を下げて客が増えれば、今までが間違っていたことになり、責任問題になりかねない→じゃあそのままで!(満場一致)
    というエピソード(笑)
    唖然としちゃうけど、違う世界なんだなぁというのがよくわかって笑ってしまった。

  • 公的機関勤めの身としては、主人公が感じる理不尽さ、前向いてんだか後ろ向いてんだか分からない仕事、内部での足の引っ張りあい等、「分かる!」と共感できる部分が多かった。でも、そんなしょうもない世界に慣れてしまってる自分もいたりして。
    終始明るい文体で、読んでて楽しかった。メリーゴーランド乗りたくなりました。

  • 荻原浩の2冊目読み。
    「図書館戦争」が映画化され、「三匹のおっさん」が連ドラ化されていて、
    名前は知ってるけど、それだけに逆に“なんかミーハーな感じ”がして敬遠していた作家さん。

    たいした期待もせずに手に取った「三匹のおっさん」が思いの外面白かったために、2冊目も、という流れで。




    と書いた(2018年7月11日)ものの、ちょっとふり返ってみたら、荻原浩さんは、初読みでだった。有川浩と勘違い(混同)してたらしい・・・・・、めっちゃ恥ずかしい(苦笑)

    有川さんファンの方、
    荻原さんファンの方、
    ごめんなさい。
    (2018年7月12日、追記)





    う~ん。




    「メリーゴーランド」
    なんと皮肉たっぷりなタイトルだろう(苦笑)。
    デフォルメされてるとはいえ、「ザ・日本のお役所」なあれこれに憤り、それに立ち向かい始めた主人公に情がわき・・彼が結果を出していく過程を読んで序盤の溜飲が下がる。

    ……と思いきや、メリーゴーランドは一周回ってまた同じ地点へ逆戻り。

    デフォルメたっぷりだけど、リアリティもたっぷりだという点も、より一層な皮肉。

    だけど、あのラストシーンは大好きだな。
    (悪い方の意味で)メリーゴーランドな世の中だけど、それでもなんとか明日を頑張って生きてみようという気持ちになれる。

    ★3つ、7ポイント半。(★4つ寄り)
    2018.07.11.古。


    ※自分の中での作者評は“荻原浩は面白い”に認定(笑)。
    近いうちに2冊目も読むことになりそうな予感。

    ただし………

    ※2006年の刊行だというのに、子供が興じるテレビゲーム筐体の名が「ファミコン」って(笑)。

    ※小学1年生の4月時点で「(お父さんの仕事をテーマに)国語の授業で作文を書く」ことになったって・・・。
    (平仮名さえも、全部の文字は習い終えてない時期よね。習ってなくとも読める子供は多いのが現代日本だとしても)

    せっかくの面白い物語の途中で、純白のシャツに跳ねたラーメンスープの染みのような違和感を感じてしまったのが、残念。
    そういう細かなトコロの“時代考証”にも、あとほんの少しだけ気を配ってほしかった。

    ※“豆男”の演劇、観てみたいと思った(笑)。

  • 【ちゃんと働くっていいことだと思う】

    公務員の仕事とは本当にこういうものなんでしょうか。同じ部署のメンバーにお茶を出したり、会議は採決を挙手にするか無記名投票にするかを決めることから始まったり、本来なら一日で出来上がるポスター作りの工程に一週間かかってしまったり……。

    市役所勤めの主人公は赤字経営のテーマパークの立て直すため、周りの人たちの協力を得て、市役所に勤めてから初めて多くの残業もして、お役所ルールを時にはごまかし、時には破り奮闘します。

    ある程度脚色されていると思うのですが、民間の会社で働いていて良かったなと思いました。忙しくても、「どうせ変えられない」「どうせ上手くいかない」と思いながら仕事するのはつらいです。

    でも公務員も一般企業に勤めていても、大なり小なりしがらみや政治的な圧力が出てきます。それでも、せっかく働いてるんだから何か形を残したいし、人に喜んでもらえることをしたいとあらためて思いました。

    働くっていいです。

  • コミカルに描かれた辛辣なまでにリアルな日本の歪み。社会経験がある人なら分かるだろう理不尽さや納得できない不条理が描かれ、コミカルな内容のはずなのに苦しくなる。

  • 公務員の人、公的機関の人は読んだら笑ってしまうかもしれない。自分たちの仕事の愚かさがストレートに書いてあるから。「起案書」「代決」「鶴の一声」ピンとくる人は読んでぜひ笑ってください。そして自分の仕事を見つめ直したくなること必至。

  • ただのエンタメ話じゃなく、やり切れなさや苦さも味わえる。
    温かい気持ちにもなれる。
    芯のある話。
    イベントの描写は読んでて楽しい。
    「県庁おもてなし課」よりずっと読み応えある。

  • 何だろう、公務員ならみんなで安心してぶっ叩けるのかあ?

    おもてなし課読んだ時も思ったけど、
    民間にいた時の体験とかもあるのかもしれないけど、
    現場の実情を肌身で知るわけでもないのにお約束のようなステレオタイプを安易にコピペしてる気がして、すっきりしない。

  • 内容(「BOOK」データベースより)
    過労死続出の職場を辞め、Uターンしたのが9年前。啓一は田園都市の市役所勤務。愛する妻に子供たち、あぁ毎日は平穏無事。…って、再建ですか、この俺が?あの超赤字テーマパークをどうやって?!でも、もう一人の自分が囁いたのだ。“やろうぜ。いっちまえ”。平凡なパパの孤軍奮闘は、ついに大成功を迎えるが―。笑って怒って、時々しんみり。ニッポン中の勤め人の皆さん、必読。

  • お役所仕事がコミカルに描かれている。
    市長選に翻弄される第3セクターってリアル過ぎ。

全287件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

1956年埼玉県生まれ。広告制作会社勤務を経て、コピーライターとして独立。97年『オロロ畑でつかまえて』で小説すばる新人賞を受賞し、デビュー。2005年『明日の記憶』で山本周五郎賞、14年『二千七百の夏と冬』で山田風太郎賞、16年『海の見える理髪店』で直木賞を受賞。『砂の王国』『花のさくら通り』『ストロベリーライフ』『海馬の尻尾』『極小農園日記』など著作多数。

「2018年 『それでも空は青い』 で使われていた紹介文から引用しています。」

メリーゴーランド (新潮文庫)のその他の作品

メリーゴーランド 単行本 メリーゴーランド 荻原浩
メリーゴーランド Kindle版 メリーゴーランド 荻原浩

荻原浩の作品

メリーゴーランド (新潮文庫)を本棚に登録しているひと

ツイートする