球形の季節 (新潮文庫)

著者 :
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レビュー : 414
  • Amazon.co.jp ・本 (341ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101234120

作品紹介・あらすじ

四つの高校が居並ぶ、東北のある町で奇妙な噂が広がった。「地歴研」のメンバーは、その出所を追跡調査する。やがて噂どおり、一人の女生徒が姿を消した。町なかでは金平糖のおまじないが流行り、生徒たちは新たな噂に身を震わせていた…。何かが起きていた。退屈な日常、管理された学校、眠った町。全てを裁こうとする超越的な力が、いま最後の噂を発信した!新鋭の学園モダンホラー。

感想・レビュー・書評

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  • 例えば、夏の日の突然の夕立。激しい雨の中から、ふわりと抜け出したことがあります。振り返ればどんより雨雲が広がっています。でも、今わたしは晴れた空の下に。見慣れたはずのいつもの街並み。アスファルトの道路。なのに、こっちとあっちで別々の世界になったような、そんな違う空気に包まれたような不思議な感覚を覚えました。
    谷津のあっちの世界は、混沌とした葦原の中つ國のようなイメージがわたしの中では広がります。まだ何モノでもなくて、善も悪も光も陰も全てのモノが混じり合ったような。そんな世界に跳ぶことは、ある人にとっては不気味だったり不安になったりするだろうし、でも、ある人にとっては自分をがんじがらめにしていたしがらみから解放されたような気持ち良さを与えてくれるんだと思います。
    「ここは自分の場所じゃない」なんて思ったことがあります。実はこっちが夢の中で、わたしは覚めない夢の中で無意味に時を刻んでいるだけなんて。
    自分じゃない自分になる。望んでなる人もいれば、その方法しかない人もいるんじゃないでしょうか。逆に全く必要のない人もいるでしょう。でも、それを選ぶのは自分であって、あっちの世界に足を踏み入れること、それは間違いではないのかもしれません。きっかけを与えるものは噂だったり、ゼツボウだったり、そういうものだとしても、みんな何らかの期待や祈りや好奇心や残虐性やらいろんなものが心の奥底に眠っていて、実は目覚める時を望んでいたのかもしれません。ただ、待ってる人がいるということを忘れずにいてほしいです。
    今も谷津はうつらうつらとしながら、覚めない夢の中にいるのでしょう。

  • 登場人物が無駄に多く散文だなという印象だった。一気に読めばまた印象が変わるかも知れないけど、大抵の人は途切れ途切れになってしまうと思う。
    そうなってしまうともう、あれ誰だっけ? どういう人だっけ? の繰り返しで全然物語りに集中できない。
    最終的にどうなってしまうのか、気になってしょうがない終わり方でここまで苦労しながら読んだのにと嘆きたくなる。
    色々とキャラクターに細かく性格設定がされていたが、どのキャラも好きになれなかったのは残念。視点がころころ変わり感情移入しにくかったからかもしれない。
    結局の所、偽善でしかない噂の首謀者の鬱屈した気持ちの正体はなんだのだろうか。病弱ということだけなら、なんとも悪質。
    丹野静の役割は藤田晋で十分だったろうし、忠彦と孝彦が双子である理由もなかった。マサルがいなくても物語に支障はない。
    登場人物が減ることで恐怖が分散することなく伝わってきたような気がします。

  • この作品は初めて読んだ。

    東北地方が舞台ということで、シンパシーを覚えた。登場人物が多くてちょっと混乱したけど、少しずつ物語がつながっていくのが面白かった。ラストはあっけなく、「これで終わり?」と拍子抜け。このあとみんなどうなったんだろう。

  • 10代の意味のない不安感と民話がドッキングした感じで面白かった。ただラストが読み手に委ねられすぎというか…
    こういうSFチックな作品って、ラストが難しいとつくづく思う。

  • 学園三部作2

  • まず各章の中のセリフからとった章タイトルのつけかたがかっこいい。噂を効果的に使っており、向こう側の世界が出てくるものの全体をこちら側にとどめながら雰囲気を盛り上げる手腕は新鮮だった。噂は人々が語りたいから広まるという説明はなるほどと思わせられた。だから「ノーライフキング」で子供たちに死の噂が広まるのは彼らが潜在意識の中で死を身近に感じていたからだということが今更ながら納得できた。東北の眠ったような町という設定や次々起こる事件の配し方が効果的。「十六番目の小夜子」も読んでみよう。

  • おお~!恩田陸ど真ん中!
    この禍々しさと、
    その年頃の脆さ、
    閉鎖的な地域特有の心地良い闇。

  • 東北の田舎町の高校生たちに広まる噂。噂の広まり方を調べる中で街に異変が起きて、噂が現実になり、退屈は混沌としてくる。
    ファンタジーなのだけど、田舎の街の持つ排他的な住民の関係性でドロドロと。
    オチというか、街がこうなったのかの腹オチがイマイチでした。

  • 心情の描写がかなり観察されて完成されていると感じた。
    心の機微をよく描いている。
    ストーリーの創造性の高さも良かった。
    人の名前が途中で忘れそうになるのが難点。
    藤田晋になりたい

  • 自分が高校生の時は、まだ当作の登場人物ほど異性と親しく話すことが苦手であった。

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著者プロフィール

恩田 陸(おんだ りく)
1964年、青森市生まれ。幼少期は名古屋、長野、富山、仙台などを転々とする。高校時代は茨城県水戸市に在住。水戸第一高校を卒業し、早稲田大学進学・卒業。
1991年、第3回日本ファンタジーノベル大賞最終候補作となった「六番目の小夜子」でデビュー。2004年刊行『夜のピクニック』で第26回吉川英治文学新人賞及び第2回本屋大賞、2007年『中庭の出来事』で第20回山本周五郎賞をそれぞれ受賞。
2017年『蜜蜂と遠雷』で第156回直木三十五賞と第14回本屋大賞を受賞した。同作品による直木賞・本屋大賞のW受賞、そして同作家2度目の本屋大賞受賞は史上初。大変大きな話題となり、代表作の一つに挙げられるようになった。

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