球形の季節 (新潮文庫)

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レビュー : 421
  • Amazon.co.jp ・本 (341ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101234120

感想・レビュー・書評

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  • 学園内で囁かれる噂に生徒たちが翻弄されていくのは
    「六番目の小夜子」に、
    土地そのものに伝承があり、異世界と隣り合わせになっている場所が
    舞台なのは「ネクロポリス」に、
    それぞれ似ていた。

    一つの山の周りに4つの高校が固まって建っていて、
    なおかつ地歴研という4校合同の部活が
    存在する環境があることに対して魅力を感じた。

    地歴研のメンバーを中心に話が進む群像劇では
    あるが、最終的に”跳んで”みることへの決断が
    登場人物毎にそれぞれ異なるのが面白い。

    8月31日の「予告」だけは前二つの噂と違って
    自分が参加するという選択ができた分、
    もし教会に向かった人を集計してみたら、
    如何に皆が現実とは異なる、別の世界に関心を持っていたかが
    よくわかったのだと思う。

  • 高校生を中心に描かれる噂話から始まる壮大なファンタジー。
    ファンタジーと言っていいのか分からないくらい本当にありそうな物語。
    高校生ならではの感じ方とか言葉が心にどんどん入ってきて読みやすかった。

  • 恩田さんお得意の学園もの。この人の思春期感、すごい好き。今作は春から夏へ季節の描きかたが秀逸。
    噂の怖さが描かれている。それは内容であったり広まるスピードであったりと様々な要因を孕むが、実現してしまった噂の怖さに全てが集結する。不特定大多数の人間が噂に加担し、一種の宗教感を浮き彫りにしていた。
    ラストシーンに納得いかない意見もあるが、このフランス映画のようなふんわりした引き際もまた彼女らしいと思う。

  • 久しぶりに再読。
    今改めて読むと「普通でないこと」に対する羨望と憎しみ、背伸びと自己憐憫が詰まってて、懐かしくも背中がむず痒くなるかんじ。
    みのりの凄さが少しわかってきた気がする。

  • 娘に勧められて。
    作者は、ずっと高校生の心を持ち続けておられるのだなあ、と改めて感じました。あの頃の、焦燥感、不安…孤独を求める気持ちと、誰かと深くつながりたい気持ちの、揺れ、など。登場人物が多くて、描き切れていない感はありましたが、一人ひとり、かけがえのない存在として大切にされていてよかったです。
    「谷津」という平凡そうな町がどんどん特別な存在になっていく様に、日常に潜む非日常性を感じ、戦慄が…。でも、これが恩田陸ワールドの魅力ですね。
    あいかわらず結末は、なんとも切ない余韻を残します。そして私は、晋よりも弘範派(^^)

  • 最後まで不思議な物語。
    登場人物がなんだか似てて、ちょっと覚えにくかったな(笑)
    でも、こーゆーモヤっとした話きらいじゃない!

  • 何だか、また怖い本を読んでしまった…
    実は、ホラー小説はとても苦手。
    私の読書タイムは、ほとんどが寝る前なのでホラー小説を読み始めると徹夜になってしまう。
    だって、怖くて怖くて、最後まで読まないと眠れないから。


    この本もそういった意味で、やっちゃいました。
    夜明けを見ましたよ…(涙




    舞台は、東北の小さな街。
    そして、登場人物達は、作者の得意とする高校生達だ。
    前回に読んだ名作『夜のピクニック』の全体に輝いていた「青春の煌めき」を、どこかで期待していたのかもしれない。


    そして、思いっきり裏切られました!←褒めている


    小さな街に住む高校生達の恐怖譚的な噂話が本当になっていく、というストーリー。
    再三言っているけど、高校生達の日常の閉塞感や焦燥感や青臭さといったモノを、書かせるとこの作者さんは本当に上手い。
    誰もが「あ〜、こんな感じだったよ高校生活!」とノスタルジーを感じ事請け合いだ。
    そのノスタルジーの中で、怖さがヒタヒタと近付いてくる。


    古い農家の床下の暗闇に、『何か』がいて、それと目が合った、といったシーンが出てくるのだけど、これがこの作品の恐怖のエッセンスを凝縮していると思う。
    そこにある、恐怖。
    日常と平行にある、恐怖。
    こういうのが、一番怖い。


    私の場合、ホラーは余りに日常から離れていると恐怖を感じない。
    例えば、江戸時代を舞台にしたホラーとか、読み物としては楽しめるけれども、その恐怖を肌で感じるかというとそうでもない。
    超常現象を絡ませたホラーにも、同じ理由で余り恐怖を感じない。
    読んでいるうちに、その出来事が今、現実に起こりそうな作品であればある程、怖いと感じる。


    「5月17日に、如月山にUFOが来て、エンドウさんという子が連れ去られるらしい」というよく分からない噂が、高校生の間に広まる。
    こんな噂だから、「連れ去られるらしいよ〜」と、無責任かつ笑い話として、つまり、他愛ないお喋りの一つとされるだけ。
    そして、5月17日当日。
    エンドウさんが消えてしまうのだ。
    別に、エンドウさんに恨みも憎しみも無いのに、単なる噂だったのに、それが現実になってしまうと、噂を口にした高校生には「嫌な感じ」が残る。

    この「嫌な感じ」の、読み手への伝わり方が上手くて、怖さを肌で感じさせる。
    ファンタジックな恐怖譚であるのだけど、それを「あってもおかしくないでしょ?」と思わせる文章。「そんな事、あるわけない!」と思ってしまうと怖さが無くなるのだけど、「知らないだけで、あるかも…」と考えてしまう、この文章。


    「この作品をもっと若い時に読んでおけば!」と思う事はある。
    けれども、この作品は「高校生の時に読まなくて良かった!」と心の底から思った。
    だって、怖くて学校行けなくなったもん。

  • 雰囲気は好みだったけど
    ラストにいまいち
    ハマれなかった…。

    ただ「モダンホラー」という
    ジャンル(?)を初めて知ったので
    そこは少し満足かも。

  • 田舎町、学校、友達、家族・・・
    若者にとっての閉塞感が抽象的だが克明な描写の中で物語は進む。
    vice versa 逆もまた真なり
    我々が当たり前のことと思っているルールの世界だけが日常ではなく、極身近に存在する非日常がきっと幾重にも存在する。
    また、その非日常を日常と捉えている人たちもいるわけで・・・。
    世の中複雑です。
    私にとっては、ミステリーでもホラーでもなく哲学書でした。

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著者プロフィール

恩田陸(おんだ りく)
1964年、青森市生まれ。水戸第一高校を卒業し、早稲田大学進学・卒業。1991年、第3回日本ファンタジーノベル大賞最終候補作となった「六番目の小夜子」でデビュー。2004年刊行『夜のピクニック』で第26回吉川英治文学新人賞及び第2回本屋大賞、2007年『中庭の出来事』で第20回山本周五郎賞をそれぞれ受賞。2017年『蜜蜂と遠雷』で第156回直木三十五賞、第14回本屋大賞、第5回ブクログ大賞などを受賞した。同作品による直木賞・本屋大賞のW受賞、そして同作家2度目の本屋大賞受賞は史上初。大変大きな話題となり、代表作の一つに挙げられるようになった。同作は2019年4月に文庫化され、同年秋に石川慶監督、松岡茉優・松坂桃李らのキャストで映画化される。

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