六番目の小夜子 (新潮文庫)

  • 新潮社 (2001年1月30日発売)
3.51
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本棚登録 : 18067
感想 : 1758
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  • 本 ・本 (352ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101234137

感想・レビュー・書評

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  • 名取佐和子さんの『金曜日の本屋さん』で紹介されていて、一度読んでいた本ですが、全く覚えていなかったので、読みたくなり再読しました。

    恩田陸さんのデビュー作で、ファンタジーノベル大賞候補作。
    作者あとがきによると「こんなの二度と書けないと思うし、それでいて既に私らしいところは全部入っているなあと思う」そうです。

    ジャンルでいったら、学園ホラーとでも言ったらいいのでしょうか。
    学校のとある隠れた『行事』で3年に1回、その年の『サヨコ』が代々、決められ、指名された者は、自分が『サヨコ』であることを悟られることなく、年に一つのすべきことをやりとげることができれば、それがその年の『吉きしるし』でありその年の『サヨコ』は勝ったことになるそうです。

    花宮雅子、唐沢由紀夫、関根秋らが三年生になった、その年は『六番目の小夜子』の年でした。
    その年の『サヨコ』は既に決まっていましたが、神戸の名門高校からとびきりの美少女である津村沙世子が転校してきてから事件が始ります。

    雅子と沙世子はすぐに親しくなり、由紀夫と秋で四人のグループになります。
    秋は『サヨコ』の謎をつきとめようとして、沙世子にも疑いを持ちます。
    そして、以前の『サヨコ』の一人で交通事故で亡くなった『サヨコ』の名前が津村沙世子であったことを知り、愕然とします。

    怖かったです。
    津村沙世子とは一体誰なのかと思いました。
    一体、どんな謎が隠されているのか。
    なぜ、沙世子には超能力があるのか。
    悪人なのか、善人なのか。
    事件の黒幕は誰なのか。
    そもそも事件とは何なのか。

    最後まで読むとおおよその謎は解けますが、整った、整合性のあるミステリーではなく、ホラー小説といったほうがいいかと思いました。
    怖かったけど、面白かったです。

    • しずくさん
      この本は大好きで、当時高校生だった息子に勧め、2人で語り合った思い出深い本です。続けざまに3度も読んだのですが、今再読しても同じような感想を...
      この本は大好きで、当時高校生だった息子に勧め、2人で語り合った思い出深い本です。続けざまに3度も読んだのですが、今再読しても同じような感想を果たして抱けるかなぁ~
      2020/07/07
    • まことさん
      しずくさん♪こんばんは。

      コメントありがとうございます(*^^*)
      息子さんとの思い出の本なのですね!
      三度も読まれたとは!
      私...
      しずくさん♪こんばんは。

      コメントありがとうございます(*^^*)
      息子さんとの思い出の本なのですね!
      三度も読まれたとは!
      私も、二度めでしたが、年数がたちすぎていたせいか、最初に読んだときのことはまるきり忘れて読みました(^^;
      記念に、再読されてレビューを書かれてみてはいかがですか。
      2020/07/07
  • 以前から気になってた作品。

    著者のデビュー作。
    デビュー作でこの作品は圧感です!

    特に、学園祭のシーン。
    どんどんのめり込みました。

  • 表紙のなんとも言えない一種の不気味さに逆に興味がわいてどんな作品なのだろうかと読み始めました。舞台となる高校に伝わる奇妙な伝説。このこと自体に違和感を感じないのはどこの学校でもこの作品ほどではないにしても何らかの伝説、噂の類があるものだからでしょうか。しかし、この作品の伝説は生きたものであり、誰かがその生きた伝説を現在進行形で演じ続けているという事実が不気味さを深めていきます。ホラー小説一歩手前の世界観も描かれて一体どういう結末を迎えるのかハラハラさせられました。主人公それぞれの性格がよく描き分けられ、卒業を前にした学園生活も垣間見える中に描かれるホラーな世界。同じく卒業前の学園生活を描いた「夜のピクニック」では学園生活の中の一つの非日常としての歩行祭という伝統が作品の全てでしたが、この作品ではそれが学園祭を頂点にしたサヨコという伝説が全て。同じ学園生活を描いても見事に違う世界観を楽しませていただきました。
    ただ、疑問点がそれなりに残った分、「夜のピクニック」の読後感とは随分差がありました。自分の想像力によってこうだろうとかなりの部分は落としこめたのですが沙世子が男子学生たちを河原に導いた部分だけは、どうしても納得感のいく答えが見つからず、この点モヤモヤが今も残っています。まあ何でもはっきりすれば良いものでもないでしょうし、これはこれで良いのかなぁとも思うことにします。
    それにしても恩田さん、デビュー作から恩田さんなんだなぁと思いました。楽しませていただきました。

  • NHKドラマを当時観ており、あの独特の音楽効果も強く、ゾクゾクするホラー感があって好きだった。

    途中

  • 恩田陸さんの本は、実は「夜のピクニック」しか読んだことがなく、他の本も読みたいな…と思いつつもなかなか手が伸びずにいた。

    表紙が印象的な(ドラマ化した際の津村沙世子役栗山千明さんを彷彿とさせる)文庫版の表紙。


    地方の進学校の文化祭で行われる演劇発表。
    そこに絡められた三年に一度割り当てられる謎の「サヨコ」の役割…。
    登場する高校生たちが昭和の青春ドラマに出てきそうな雰囲気(漫画で言うと「生徒諸君!」ああ懐かしい)。
    スピード感あるミステリーで、ぐいぐい読めたが、最後の方がちょっと「ん?ん?ん?」と苦しい気がしてしまった。

    しかしこれがデビュー作だなんて、驚きだ。
    やっぱりほかの作品も読まなくちゃ。

    2021.2.17

  • 毎日暑いので、ちょっと涼もうとホラー小説のつもりで読み始めた。
    昔テレビ番組で放映されていた当時は興味があったのだが、結局見ることができず、記憶の彼方にあった一冊。ほぼ20年越しに全貌を知ることとなった。

    恩田陸さんのデビュー作。割と自由な校風である地方の公立進学高校。学校祭やクラスの懇親会など、自分の高校時代を思い出し、とても懐かしくなった。なかでも、「うたごえ喫茶みぞぐち」が発案され、実行に移される場面は個人的に気に入っている。「マジかよ」という内容を本当に実現してしまう高校生の爆発力を感じ取った。

    筆者の描く通り、同じ年代の少年少女をかき集めて、校舎という箱の中に閉じ込めて、同じ服装をさせて過ごさせるのは「異質」なことである。濃密な時間を一緒に過ごして楽しむからこそ、一気に受験モードに切り替え、大学入試を乗り切ることができるのだろう。異質な空間が生み出すゆえのエネルギーである。

    そして、異質空間だからこそ生まれる「伝説」とか「怪談」がつきもの。それに便乗して楽しむ者もいれば、憑りつかれてしまい人生を棒に振る学生もいるわけである。こういった怪談を簡単に信じ込んで、気がおかしくなったり、暴挙に出てしまうような、ピュアで脆い心理、思い込んだら迷わず突き進むパワーといった、浮き沈みの激しい高校生たちの様子をしっかり描いている。

    それにしても、高校生の頃の私は、秋や沙世子と比べて、序盤で存在が消されてしまうようなザコキャラだったなあと思う。個人的には最初に登場した「彼女」が気の毒で仕方ない。

  • 奇妙なゲームの謎を追う学園ホラーミステリー。好奇心とともに不安を掻き立てる設定と、恩田陸氏の書く学生群像劇に魅了された。

    「サヨコ伝説」と呼ばれる一種の都市伝説のようなゲームが語り継がれる進学校。
    三年に一度、「サヨコ役」に選ばれた生徒が「自らがサヨコだと知られてはいけない」「始業式の日に、戸棚から取り出した花瓶に赤い花を活ける」といった決まりを守らなければならない。そんな高校に転校してきた美女・津村沙世子。「サヨコ」と同じ名前も持つ彼女は、一体何者なのか。
    津村沙世子という転校生の謎を追う話かと思いきや、彼女とその友人たちの高校最後の一年を描く話を中心として進み、ミステリーやホラーといった側面もあったが、純粋に青春小説として楽しめた。逆に、どっぷりとした本格ミステリーを好む人には合わない作品かもしれない。

    やはり、この作者の描く学生モノにハズレなし。学生たちの不安定さや、好奇心に駆り立てられ危険な行動に出てしまう心理などが緻密に描写されていた。『夜のピクニック』を読んだ際にも感じたが、恩田陸氏の描く恋人でも家族でもない男女の関係は、強烈に惹かれる何かがある。
    印象に残った場面が文化祭の演劇という読者は多いのではないだろうか。「一体何が始まるんだ?」という緊張感を味わえ、登場人物と読者の感情が重なる瞬間が味わえること間違いなし。

  • 3年に一度サヨコと呼ばれる生徒が選ばれる奇妙なゲームが受け継がれている学校。六番目のサヨコが誕生する年に一人の転校生がやってくることで動き出す学園生活の話。
    沙世子が何者なのか気になって一気に読んでしまった。文化祭の朗読のシーンも、情景が目に浮かびめちゃくちゃ怖かったけど、引き込まれた。
    文化祭へ向けてクラスみんなで一致団結する様子、勉強への焦りや人間関係に悩む生徒がいる様子など、社会人になった今はすべてが懐かしいなと思う。

  • もしも長い時が経って、秋、由紀夫、雅子、沙世子が高校時代を思い返すことがあったとしたら。時の流れに記憶が曖昧になってるかもしれないけれど、あの学園祭の日に起きた竜巻の美しさは誰も忘れていないような気がします。でも、それは決して開けてはいけない、まるでパンドラの函のように思いました。読み続けている間、喉元に刺さった小骨のように何かがつっかえてるような、じっとりとした不穏な空気がまとわりついてるような、ほんの些細なことで壊れてしまいそうな、そんな不安定な気持ちにさせられました。一体何だったんだろう『サヨコ』って。学校って。微熱に浮かされたよう。
    でも、最後に沙世子と秋の関係が見えない壁をぶち破ったように感じました。
    生徒は水が流れるように留まることはないけれど、学校という容器はずっと其処にあり続けます。その中でまた、何かが生まれていくのでしょう。

  • 秋の章がいちばんドキドキ先を気にしながら読んだ。
    サヨコが一体なんだったのか読了した今もよく分からん。
    終わりまで中だるみはあまり感じず読めたけれど、結局サヨコって???といいう具合でスッキリ感はない読了となった。

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著者プロフィール

1964年宮城県生まれ。92年『六番目の小夜子』で、「日本ファンタジーノベル大賞」の最終候補作となり、デビュー。2005年『夜のピクニック』で「吉川英治文学新人賞」および「本屋大賞」、06年『ユージニア』で「日本推理作家協会賞」、07年『中庭の出来事』で「山本周五郎賞」、17年『蜜蜂と遠雷』で「直木賞」「本屋大賞」を受賞する。その他著書に、『ブラック・ベルベット』『なんとかしなくちゃ。青雲編』『鈍色幻視行』等がある。

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