人の砂漠 (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社
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レビュー : 53
  • Amazon.co.jp ・本 (524ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101235011

作品紹介・あらすじ

一体のミイラと英語まじりの奇妙なノートを残して、ひとりの老女が餓死した-老女の隠された過去を追って、人の生き方を見つめた「おばあさんが死んだ」、元売春婦たちの養護施設に取材した「棄てられた女たちのユートピア」をはじめ、ルポルタージュ全8編。陽の当たらない場所で人知れず生きる人々や人生の敗残者たちを、ニュージャーナリズムの若き担い手が暖かく描き出す。

感想・レビュー・書評

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  • 陽の当たらない生活を強いられた人々を描いた沢木耕太郎のノンフィクション集。昭和40年代後半という時代の出来事であり、私の生まれる数年前~直前にこのような世界が日本にあったという事実に驚かされる。いや今も存在していて、自分が目を背けているだけなのかもしれない。近づいて肌身で感じたい世界だとは決して思わない。それでも引き込まれてしまうのは、各短編に出てくる人々の生き様が強烈すぎるからだろうか。

  • 昭和52年に出された、著者渾身のルポルタージュ8篇。

    「おばあさんが死んだ」は偏屈な老女の死と兄のミイラ化された死体を巡るルポ、「棄てられた女たちのユートピア」はもと売春婦の養護施設の暮らし体験、「視えない共和国」は台湾と隣接する最果ての地与那国島の暮らしの変遷、「ロシアを望む岬」は北方領土を望む根室の人々の複雑な事情、「屑の世界」は廃品回収リサイクルの現場の人々(仕切場や曳子)の生きざま、「鼠たちの祭り」は相場氏達の壮絶な博奕人生、「不敬列伝」は戦後皇室に対して事件を起こした人々のその後、「鏡の調書」は老女が起こした大胆な詐欺事件のルポ。

    今から40年以上前に描かれているため、時代を感じるが、それぞれに描かれている人物は生き生きとして色褪せていない。

    事件や市井の人々を描く著者の筆致には、自分を見つめ続けた「深夜特急」とはまた違った味があって面白かった。

  • 断片的に読んだため読後の印象が散漫だが
    ・「おばあさんが死んだ」・・・元歯科医の老女
    ・「鏡の調書」・・・銀座の煙草屋と称した詐欺師の老女
    の話が特に面白かったように思う。

  • いろいろな生き方をしている人間にスポットをあてた短編集。「鼠たちの祭」では穀物相場を張る相場師たちの生き方を紹介している。桑名の板崎氏の激しい浮沈のストーリーには感銘を受ける。

  • 沢木さんは私の知らない世界に案内してくれる。
    フィクションなのに小説の様に面白い。
    この本は、8つの世界について書いてある。
    孤独死、婦人保護施設、与那国、根室半島、屑の仕切場、相場師、天皇不敬罪、詐欺師。
    どれもうわっつらを拾っただけの文章ではなく、沢木さんが足で拾い集めたり体験した中での文章なのですごく伝わってくる。
    このような世界があるなんて、私はまだまだ世間知らずなんだなぁ。

  • 沢木耕太郎独自の視点が濃密な人間模様を織り成す。収録された8篇いずれのルポも素晴らしい。個人的なお気に入りは沢木氏の人への暖かい視点を感じる「屑の世界」だが、天皇への(旧)不敬罪を犯した者たちを追った「不敬列伝」が作品として光る。社会的タブーを敢えて取り上げ、事件当時の新聞記事を冒頭に置き、意外にも普通の等身大であった者たちの姿は興味深い。

    「深夜特急」「バーボン・ストリート」で見せる軽やかで都会的な文章とは一味違う、深くて濃い空気感を味わうことができる一冊である。

  • ルポの大傑作。
    8作ある中で、一つも重なるものがない。こんなにも違った見方が出来るのか、と感激する。
    餓死した老夫婦の悲壮さを描いたと思ったら、南の島で太陽と褐色の肌を描く。そして、一つ一つに人が印象深く描かれている。
    僕もこういうルポを書きたい。

  • 2013.7.28読了。

    ジャンルとしてはルポルタージュ、ノンフィクションであるが 、その衝撃や感動、熱量といったものは小説をはるかに凌駕する。

  • 日本で生きる、
    様々な人たちの
    知られざる生活。

  • 再読なので評価無し

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プロフィール

沢木 耕太郎(さわき こうたろう)
1947年東京生まれのノンフィクション作家、小説家。横浜国立大学経済学部卒業。大学卒業後、ルポライターとして活動、注目を集める。
浅沼稲次郎暗殺事件で刺殺された浅沼と、その犯人である少年を描いた『テロルの決算』で第10回大宅壮一ノンフィクション賞を受賞。以後、バックパッカーのバイブル『深夜特急』をはじめ、スポーツや旅などを題材にした多数のノンフィクション作品、小説などを発表。2000年に初めての書き下ろし長編小説『血の味』を刊行し話題となる。
2003年これまでの作家活動で第51回菊池寛賞、2006年 『凍』で第28回講談社ノンフィクション賞、2013年 『キャパの十字架』で第17回司馬遼太郎賞をそれぞれ受賞。

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