一瞬の夏(上) (新潮文庫)

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  • 新潮社
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  • Amazon.co.jp ・本 (348ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101235028

感想・レビュー・書評

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  • もう40年前の出来事であるのに、全然古めかしい感じはしない。才能があるが今は落ちぶれたボクサーと、不遇なトレーナー、自分の人生に思いを重ねた私が、再起をかけて闘いをいどむ物語。
    私ノンフィクションの金字塔と評価される作品だが、小説としても評価できる作品。

  • [丁半の定め刻]圧倒的な才能を有しながらも、ボクシングに本気になれず、その世界から惨めな敗北とともに脚を洗ったカシアス内藤。そんな彼が4年ぶりに復活するという話を耳にした著者は、引退前の彼に取り憑かれたときのように、またジムへと訪れ、彼の再起をその眼で見たいと願うのであるが......。男たちの一世一代の賭けを追ったノンフィクション。著者は、私がもっとも好きなライターの1人である沢木耕太郎。


    人生で一度は震えの起こるような勝負をしてみたいと思ったことがある方なら、本書を読んで間違いなく震えが走るはず。ボクシングに「かたをつける」ためにリングに上がるカシアス内藤、その内藤に形容し難い夢を見る沢木氏、そして内藤で自らも一花咲かせたいと思うトレーナーのエディ......。1人1人の「これが最後」が弾け飛ぶ見事な作品だと思います。


    本書の事実上の準主役となっている沢木氏自身の心模様が、筆遣いにも若干の影響を与えているところに読み応えがあります。竹を割ったようなすっきりとした話ではないのですが、それ故に勝負の面白さ、不思議さ、蠱惑さにハッとさせられます。自身が仕事でも生活でも守りに入りつつあると感じる今日この頃、それ故に余計に胸動かされる作品でした。

    〜いい博奕よ……これはいい博奕よ……〜

    沢木さんの文章はいつ読んでも良い☆5つ

  • カシアス内藤という実在するボクサーの再起を描いたノンフィクションの前編。下巻を読み終わってないので細かい感想はまだひかえる。今のところは面白く読めている。

  •  一度は挫折した悲運のボクサーの再起を描いたノンフィクションです。

     ボクシングという過酷な競技にあって、誘惑に弱く優柔不断なボクサーに読んでいて時折苛つきさえしますが、それが生身の人間なのだろうと思います。
     それを支えようとする周囲の熱意に感動する。そんな話でした。

  • ボクサーの夏

  • 沢木耕太郎は、人物を題材をゆっくりと選ぶ作家だ。
    主人公である『カシアス内藤』に少しづつ自分を重ねてゆき、覚悟を決めて同行していく。
    自分とうまく折り合いが付けられず、
    何か「やりきれなさ」を抱えたまま終盤を迎える。

    著者の作品を読んでいると、せつなさが込み上げてくる。独自の視点で何処か天邪鬼で、必ずしも読者の期待に応えなくて。

    若い頃の著者は、いつも答えのないものと格闘していた。
    それがもしかしたら「青春」なのかもしれない。

  • 感想は下巻で

  • 評価は読了まで保留。
    ボクシングの暗さと沢木耕太郎の文体はよくマッチしている。
    ボクシングの描写自体はやはり『空の拳』と比較し期待通り断然上、あとはボクシングという素材を使って何を表現しきれるか、楽しみに下巻にまいりますか。

  • 小説のような本当の話。

    人間臭さがボクサーとしては仇になってしまう主人公と、彼を支える沢木たちとが共に、世界チャンピオンを目指し夢を語る場面では、何度もその場にタイムスリップしたような感覚に陥る。

    ノンフィクションならではの結末が、プロスポーツの厳しさを表している。

  • 30年前の作品。筆者と主人公のボクサーは二十歳代の終わりごろ。5年前に筆者がプロモーターとして関わり、ボクサーは韓国のライバルに敗れ、人生もつまづく、それ以来の再会。

    5年近いブランクののち、どうして再起を図る気になったのか。

    瑞々しく、透明度の高い文章。一つ一つ誠実に積み上げていく。

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著者プロフィール

沢木 耕太郎(さわき こうたろう)
1947年東京生まれのノンフィクション作家、小説家。横浜国立大学経済学部卒業。大学卒業後、ルポライターとして活動、注目を集める。
浅沼稲次郎暗殺事件で刺殺された浅沼と、その犯人である少年を描いた『テロルの決算』で第10回大宅壮一ノンフィクション賞を受賞。以後、バックパッカーのバイブル『深夜特急』をはじめ、スポーツや旅などを題材にした多数のノンフィクション作品、小説などを発表。2000年に初めての書き下ろし長編小説『血の味』を刊行し話題となる。
2003年これまでの作家活動で第51回菊池寛賞、2006年 『凍』で第28回講談社ノンフィクション賞、2013年 『キャパの十字架』で第17回司馬遼太郎賞をそれぞれ受賞。

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