一瞬の夏(上) (新潮文庫)

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  • 新潮社
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レビュー : 51
  • Amazon.co.jp ・本 (348ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101235028

感想・レビュー・書評

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  • ボクサー内藤のキャラクターが好きだ。

  • 新田次郎文学賞。

  • 新潮文庫の発行年が昭和59年。
    なつかしい時期である。

    この作品は、カシアス内藤という元プロボクサーについて書かれている。
    世界チャンピオンになったわけでもないが、そこそこの人気はあったようで、私も名前は知っていた。

  • 世界チャンピオンも狙えると言われたボクサー、カシアス内藤の
    選手生命の終焉を描いた「クレイになれなかった男」から5年。
    カシアス内藤がリングを去ってから4年半。ルポライターとしての
    仕事の上で事実誤認からミスを犯した著者は、しばらく日本を
    離れようとしていた。

    友人との酒の席での他愛ない話の中で、思いもかけない
    ニュースが飛び込んでくる。どうやらカシアス内藤がリングに
    復帰するようだ…と。

    夢が、再び前に進み始める。再起に掛ける元チャンピオン、
    日本のボクシング界を語る時に忘れてはいけない名トレー
    ナーであるエディ・タウンゼント、著者の友人である若き
    カメラマン、そして、著者である沢木氏。

    もう何度、本書を読んだだろうか。結末は分かっているんだ。
    それでも、懸命にトレーニングをするカシアス内藤に感情
    移入し、エディさんの厳しいけれど愛のある言葉に心を
    鷲掴みされ、沢木氏の視点でカシアス内藤を眺める。

    上巻はカシアス内藤の再起第一線までだが、沢木氏が
    アメリカ・ニューオリンズへモハメッド・アリのリターンマッチ
    を観戦する為に訪れる挿話が秀逸だ。

    世界ヘビー級王者であるモハメッド・アリ。その本名である
    カシアス・クレイからリングネームを名付けられた内藤。
    ふたりのボクサーの再起が微妙にシンクロしている。

    やっぱり上手いわ、沢木氏は。試合の描写も勿論だが、
    スパーリングの描写を読んでいると目の前で内藤が
    動いている錯覚に陥る。

    結末は分かっている。それでも下巻を読むのが楽しみだ。

  • 実在したボクサー カシアス内藤の現役復帰を描いたノンフィクション。この作品を読んでボクシングの興業に少し興味がわいた。機会があったら生で観戦してみたい。

  • エスノグラフィーガイドブックから選んで読んでみたものの、普通のフィクション小説みたいで、これってエスノグラフィーなの!?って思った。

    ボクシングをやめた人がまた再びボクシングを始め、著者や周りの人が支えていく。
    途中で様々なことがおこる。
    ボクシング選手にとって、ブランクがあるということはとても難しい。ボクシング選手であるけど、気弱な性格で、なんかそこが面白い。

  • 才能があるのに努力しないボクサーが5年のブランクを経て再帰する物語。
    若干29才で年を取っていると言われてしまうボクシング界。
    人生経験や試合経験よりも、瞬発力、運動神経、目の良さ、そして絶対に勝つ気迫が重要な要素だ。
    若いときに自分の才能に気づき、それに溺れることないように努力させるには、本人の性格もあるが周りの協力者の力が非常に重要だ。
    沢木さんは一度見捨てたボクサーの再帰を知り、ふたたび力を貸すようになる。
    主人公が練習に打ち込めるよう環境を整えたり、試合をスケジュールするが、ボクシング界の背後には腹黒い人間や、欲深い人達が渦巻き、一筋縄ではいかない。

  • ボクサー、カシアス内藤の復活をめぐるドキュメンタリー。ドキュメンタリーなのだが、小説かと錯覚させるなめらかな展開で、全く押し付けがましくない。

    実のところ、この前半部の途中までは、架空の話だとばっかり思って読んでいた(紹介などは読まずに読み始める質なので)し、小説にしてもなかなか良く出来た話ではないかと思う。

    カシアス内藤の復活のために尽力する作者が、カシアスの名前の由来にもなった、モハメド・アリの復活戦を見にアメリカへ渡る。このへんが小説なら「なんでよ?」となるわけで、そこで調べてドキュメントだとわかったわけです。

    全体に、ボクシングと関係のない部分が語られることが多く、やきもきしたり、逆にホッとしたりする。アメリカに渡ってからも、割とどうでもいい話がたくさん書かれる。

    しかし、最終的にダメだったんじゃないのかな?というのが透けて見えてくるので、長く引っ張られるのは、救いが有るのではないのかな?と思われる。

  • 本書はルポとはいえないかもしれない。筆者が被写体に入り込み自分の抱える閉塞感や焦燥感を内藤へ重ね託す。才能ある者は湯水の如く湧く才能を浪費し才能が疲弊し喪失しかかったときに取り返しの付かなさに気付き再起を図るのかもしれない。ニューオリンズでのカシアス・クレイ(アリ)の復帰戦はショービジネスと化した何とも言えない物悲しい残骸感が漂う。試合前の計量者やマネージャーの態度は戦う者への敬意が欠如した見世物に成り下がった実情を感じさせられる。

    一方、カシアス内藤や大戸のボクシングへの真摯な姿勢に対して本番でのある種期待はずれの不完全燃焼な出来は弥が上にも現実は常にドラマチックとは限らない現実を突きつけられる。筆者の昇華しきれぬ想いを抱え下巻に向かう。

  • 濃密な人生の中の時間がうらやましい・・・

    沢木さんのバイタリティーはすごい

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著者プロフィール

沢木 耕太郎(さわき こうたろう)
1947年東京生まれのノンフィクション作家、小説家。横浜国立大学経済学部卒業。大学卒業後、ルポライターとして活動、注目を集める。
浅沼稲次郎暗殺事件で刺殺された浅沼と、その犯人である少年を描いた『テロルの決算』で第10回大宅壮一ノンフィクション賞を受賞。以後、バックパッカーのバイブル『深夜特急』をはじめ、スポーツや旅などを題材にした多数のノンフィクション作品、小説などを発表。2000年に初めての書き下ろし長編小説『血の味』を刊行し話題となる。
2003年これまでの作家活動で第51回菊池寛賞、2006年 『凍』で第28回講談社ノンフィクション賞、2013年 『キャパの十字架』で第17回司馬遼太郎賞をそれぞれ受賞。

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