- Amazon.co.jp ・本 (238ページ)
- / ISBN・EAN: 9784101235059
作品紹介・あらすじ
インドのデリーからイギリスのロンドンまで、乗合いバスで行く-。ある日そう思い立った26歳のは、仕事をすべて投げ出して旅に出た。途中立ち寄った香港では、街の熱気に酔い痴れて、思わぬ長居をしてしまう。マカオでは、「大小」というサイコロ博奕に魅せられ、あわや…。1年以上にわたるユーラシア放浪が、今始まった。いざ、遠路2万キロ彼方のロンドンへ。
感想・レビュー・書評
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GW何処か行ったぁ?(行けてませんが、それが何か?)せめて気分だけでもと、本書を手にしました。
1986年に『深夜特急 第1便』として刊行。第3便まであり、文庫としては6冊の分冊化で出版、本書は第1便の前半部分とのことです。
本書刊行後、若者が低予算で予定を立てずに自分探しの旅に出るという、いわゆるバックパッカー間でバイブル的な書となり、 80〜90年代の個人旅行流行の一翼を担ったとか‥もはや伝説ですね。
ネットもスマホもない時代に、よくもまぁこんな行動を‥というか、こんな時代ならではの〝熱量〟がひしひしと伝わってきます。下手に描けば全く不毛な表現になるのでしょうが、沢木さんの筆致は真逆で、街の息吹や人の生き様の濃密さに痺れます。
現代だと、スマホ一つで交通手段から宿泊先手配、決済までスマートにできるので、こんな無謀な旅はなくなりつつあるのかもしれません。便利さの陰の味気なさを少し感じてしまいます。
それにしても、デリーからロンドンへの紀行なのに、まさかのその手前の香港・マカオ止まりの本書‥。この先、どう展開するのでしょうか?
異文化でほぼ頼る人のいない状況下に身を置き、自分で考え、判断し、実行に移し、困難を乗り越えていく経験は、きっと貴重な財産となり、将来何らかの役に立つ場面が訪れるのでしょうね。
歳を重ね守りに入るともうダメです。新たな挑戦意欲が徐々にしぼみ、言い訳ばかりで若かりし日を懐古するだけのお荷物(私です)では、やり直しは効きません。
そーなんです! 本レビューを読んでくださっている若い皆さん! 立ち回りの上手い、要領だけ良いような大人にならずに、頑張って茨の道を進んでください。そして周囲に愛を!(何なの、アンタ!)
「ほら来たよ、年配者の説教‥。
小さな親切大きなお世話!」
徒然なるままの独り言でした。 -
名作とは聞いていたけれど読んだことのなかった《深夜特急》
なんで敬遠していたんだろう?読んでみたらすごく読みやすいし面白かった!
初版は1980年代だから、もう30年以上前の本で、まだ香港がイギリス領だった頃。
今の香港とは随分隔たりもあると思われるけれど、文章は瑞々しく、生き生きとして古さを感じません。(そもそも当時も最近も香港行ったことないし)
若者ならこれを読んだら海外に飛び出したくなるだろうなー。
90年代に、若手芸人がヒッチハイクのみで香港からロンドン遠目指すという無茶な企画のTV番組があったけれど、あのプロデューサーはもしかしてこの本のファンだったのだろうか?と、読みながらふと思い出しました。-
初めまして。その芸人が書き綴った日記が書籍になり、それを読んだ事があります。そのあとがきに、青山のABCブックセンターに行った際、棚に平積み...初めまして。その芸人が書き綴った日記が書籍になり、それを読んだ事があります。そのあとがきに、青山のABCブックセンターに行った際、棚に平積みされていた本書を見てその企画を思いついた。と書かれていたのを覚えています。ただ、単純にバスで行ったのでは面白くない(バラエティ的に)から、そこはヒッチハイクに変えたと。なぜこんなに鮮明に覚えているかというとこの企画が当時、中学生だった私には強烈だったからです(笑)長文、失礼いたしました。2020/08/12
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きーちゃんさん、はじめまして。
あの番組の企画は、やはりこの本からなのですね!
ホント無茶苦茶な企画でしたよねえ。
わかってスッキリしました...きーちゃんさん、はじめまして。
あの番組の企画は、やはりこの本からなのですね!
ホント無茶苦茶な企画でしたよねえ。
わかってスッキリしました。教えてくださってありがとうございました。2020/08/14
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ポプラさん
全部読み終えました、残念なことに。
これほど読み終えるのが惜しく思えた作品も少ないです。
再読するという習慣が無い私ですが、読み...ポプラさん
全部読み終えました、残念なことに。
これほど読み終えるのが惜しく思えた作品も少ないです。
再読するという習慣が無い私ですが、読み返すたびに違った発見がきっとあるのでしょうね。2020/10/06 -
ついでに、
ツイッターにAmazonの深夜特急の新着レビューにこんな物を発見したと興奮しているようにも思える次の書き込みがありました。興味あ...ついでに、
ツイッターにAmazonの深夜特急の新着レビューにこんな物を発見したと興奮しているようにも思える次の書き込みがありました。興味ありますか?
「香港編
香港編の最後に出てきたベティちゃんは、指で沢木の胸に書いたのは、「晩女」ではなく、「晩安」ではないかと思います。「おやすみ」の意味で。しかし、「安」と「女」は明らかに書き順が違います。そこで考えられる原因として、ベティちゃんは船上生活者であって、ちゃんとした教育を受けているかとうかも確かではない。だから、「安」を「女」として間違って書いたではないかという推測です。」2020/10/06 -
2020/10/07
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名作っていうのは知っていたけど、読む前の僕の気持ちはこんな感じ
「どうせ、堅苦しい文章を長々と読まなきゃいけないんだろうなぁ〜」
読んだ後の感想はこんな感じ。
「香港! マカオ! 行ってみてぇぇぇぇ!」
めちゃくちゃ読みやすい。それにその当時の香港だったりマカオだったりの風景が、読んでいると眼に浮かぶ。こんなの読んだら、飛び出してしまいたくなってしまうじゃないか。
沢木さんの独特のユーモアと、若すぎない年齢から描かれる心情が、凄く読んでいて心地が良い。面白い、続きを早く読みたいと思っている自分がいる。堅苦しそうと思っていた自分を恥じた。 -
もう何回も読んでいるのに、また読みたくなる。
そんな本だ。
今はコロナで海外旅行が難しく、行けないストレスがこの本を本棚から引っ張り出させたのだ。
香港とマカオ。
熱気、騒音、風、匂い、光、闇。。。文章を通して、あたかも自分がそこにいるような気分にさせてくれる。
しかし。香港の現在が長引く民主化運転の影響で、この頃と大きく変化してしまったのは残念。-
きーちゃんさん様
全く同感です。
私は一度読んだ本の再読なんてしたことなかったのにこの本は違いました。
青春の血が騒ぐという平凡な表現がむし...きーちゃんさん様
全く同感です。
私は一度読んだ本の再読なんてしたことなかったのにこの本は違いました。
青春の血が騒ぐという平凡な表現がむしろ輝いて思えました。2020/08/13
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20数年ぶりに再読。当時との違いは、沢木さんが旅した国で、行ったことのあるところが増えたこと。そして、海外に住むという経験をしていること。どんな新しい印象を受けるか、全6冊、楽しい旅をしたいと思います。
第1巻は、香港、マカオ、デリー。沢木さんが旅したころとは年代が違うけど、私も3か所ともいきました。香港は中国に返還されたけど、本書に出てくる熱気は変わらない。マカオは1日行っただけだけど、異国な雰囲気が独特だった。本書に出てくるカジノには行ってません。マカオはあれからまたカジノで大いに儲け、そして悩んでいますね。デリーはもう昔とは大違いなんでしょう。私が行ったのは2011年ですが、すでに近代都市の様相でした。今はもっとでしょう。沢木さんが旅したインドは、先進国からしたら、まさに異国。この先の巻でまたインドは詳しく出てくるので、楽しみにしたいと思います。
それにしても、26歳で仕事を辞めて、こんな旅に出たってのは、すごいことだな。あれから、深夜特急にあこがれて旅する若者が増えたけど、今はどうなんだろう? -
「無鉄砲な若者の挑戦」という懐かしい表現が浮かんでくる。
後先顧みず興味のまま前に進んで時間を無駄なく思いっきり使う、あるいは思いっきり無駄な時間を使う事の喜びが伝わってくる。
ロンドンへ向かう途中の寄り道は香港、マカオ。
筆者はマカオのカジノで苦悩する。
目的達成のために自制心を働かせるべきか、思いのままトコトンギャンブルに入れ込んで、なるようになってみるべきなのか。たとえ旅が続けられなくなっても。
彼は気づく、ここでやめて帰るのは賢明な判断だ。
しかし自分が望んだのは賢明な旅ではない。中途半端な賢明さから脱して、徹底した酔狂の側に身をゆだねようとしたはずだ。
結果的に酔狂の側に身を委ねながら、ほぼ無傷で戻ってくる。
そして旅は続く。
著者は香港の屋台前で失業中だが日本のことに大いに興味を示す若者と気が合って話が弾んだ。彼は蕎麦を食べようと言い出し屋台のおばさんに作ってもらい二人で食べる。食べ終わると彼は屋台のおばさんに中国語で何か話しかけ、グッドバイと言い残すと料金も払わずに帰ってしまった。タカラれたと思ったが、実はその彼は翌日ありつけるはずの仕事で得られるだろう稼ぎをカタにしてツケでおごってくれたのだった。
著者は書いている、
「情けないのはおごってもらったことではなく、一瞬でも彼を疑ってしまったことである。
少なくとも、王侯の気分を持っているのは、何がしかのドルを持っている私ではなく、無一文のはずの彼だったことは確かだった」-
moboyokohama さん
沢山 感想読んで頂きありがとうございました。
なかなか自由な旅はできませんけれど、深夜特急は、普通の人達...moboyokohama さん
沢山 感想読んで頂きありがとうございました。
なかなか自由な旅はできませんけれど、深夜特急は、普通の人達との触れ合いが、羨ましいですよね。
深夜特急続巻の感想も、ゆっくり読ませていただきます。
フォローさせてくださいね。2022/02/15 -
2022/02/15
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本当に旅をしているような感覚に襲われる。香港の街中に表れる地響きのようなエネルギーは、僕が出張した時も感じた。
デモ隊に遭遇したこともあるけど、どこか学生のイベントのような感じがして、体制崩壊を望んでるよりも、一種の文化祭のような高揚感を覚えた。
文化的に日本と近いところから、外国を体験することは本当に良いことだと思う。
自分が外国人であることを理解し、大きな地球の一部なんだと実感できる体験は、まさに旅にあると思う。 -
何年ぶりかの再読
私の大好きな小説のベスト5に入るほどこの本が大好き
はじめは、大沢たかお主演の三夜連続かのTVドラマでこの話を知り、あまりのおもしろさに図書館で単行本を借りて読む
どうしても自分の手元に置いておきたくて、古本で手に入れ、今回の再読となった
何年経ってもこの本のおもしろさが色褪せることはない
読者である私も、歳を重ねてきたが、やはり今回も主人公と一緒にインドのデリーからロンドンまで乗合いバスで行く旅に出発した
第一巻は出発地であるデリーにも辿り着いていない
デリーの前に立ち寄った香港の熱気に魅せられ、ゴールデン・パレス・ゲストハウス(金宮招待所)を足場に、来る日も来る日も香港の喧騒の中を取り憑かれたように歩き回る
さらにマカオのカジノでの「大小」というサイコロ博打にのめり込み、あわやの緊迫した場面
実際にはとてもじゃないけれど、そんな所に行けないけれど、本の中では興味津々で街をぶらついていた
街のムンムンとした人いきれ、喧騒、匂いが伝わってくる
『深夜特急』の中でも、特に私のお気に入りの場所だ
長く居過ぎた香港を発つ決心をした主人公、次はどこへ向かおうとしているのか
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深夜特急は全巻読んだけど、圧倒的に面白いのが香港・マカオ編。まだ香港が英国領で空港も啓徳空港だった時代だけど、狭い土地にあらゆるものぶっ込んでみました!な感じはこの頃から健在だったんだなと。この本を読んでから実際に香港へ行って、重慶大厦を見つけると無性にテンションが上がります(ただし中に入る勇気は私にはなかった…笑)
著者プロフィール
沢木耕太郎の作品






長期休暇にふさわしい本ですね!
久しぶりに体の中に熱風が吹いた感じがします
素敵なレビューをありがとうございます♪
私も20代の...
長期休暇にふさわしい本ですね!
久しぶりに体の中に熱風が吹いた感じがします
素敵なレビューをありがとうございます♪
私も20代の頃に夢中で読みました!
「深夜特急ノート」は未読なので読んでみたいです。
コメントありがとうございます。
時間が経過して再読すると、また印象が変わったりするものですよね。読みたい...
コメントありがとうございます。
時間が経過して再読すると、また印象が変わったりするものですよね。読みたい本だらけの時に、人生で再読本はどれだけあるのか‥、うーん、悩みますね。
GW後半、ご自愛を!