深夜特急3-インド- (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社
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レビュー : 432
  • Amazon.co.jp ・本 (226ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101235073

作品紹介・あらすじ

風に吹かれ、水に流され、偶然に身をゆだねる旅。そうやってはやっとインドに辿り着いた。カルカッタでは路上で突然物乞いに足首をつかまれ、ブッダガヤでは最下層の子供たちとの共同生活を体験した。ベナレスでは街中で日々演じられる生と死のドラマを眺め続けた。そんな日々を過ごすうちに、は自分の中の何かから、一つ、また一つと自由になっていった-。

感想・レビュー・書評

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  • ここにきて旅の本質が見えてきた。自分は自由に旅を続けることにあこがれを持っているけど、ここに描かれているような旅を続けて慣れすぎた先にあるものには近づきたくないような、戻ってこれるなら一度浸ってみたいような。巻末の此経さんとの対談と合わせて、旅について実に深いところまで考えをめぐらせることができました。

    前半では旅の正の側面、後半では負の側面の臭いを感じた。正の側面は、インドで手を使って大便の処理をできるようになったくだりでの「しだいに自由になっていく感覚」「ものから解放されていく感覚」というもの。自分も旅の経験を積むにしたがって、できないと思っていたこと、あるとも思ってなかったことができることがわかる気持ちよさは、やってる旅のレベルは違うけど感じたことがある。特に海外に出るとお手軽に感じられる。身の丈が伸びていくような感覚。

    一方、後半のカトマンズとデリーでは死と隣合わせの日常が語られる。カトマンズの体験は手紙文体で記されていて、降りしきる雨の描写と相まって、静かに死に取り囲まれていく感覚になった。死の臭いと、随所で語られる旅慣れしすぎた者のすえた臭いというのは同系統なんじゃないかと思う。ハシシをやりながら、明日にでも死んだっていいじゃないかという感覚。何にも責任を持たなくてよく、すべてに、自分の命にさえも無関心になっていく感覚。旅先でいくらでもズルしてやっていけてしまうことに気づいて、人を利用し始めてしまったら、今度は逆に身の丈は縮んでいく一方だ。旅の果てにロマンなんてきっとない。

    巻末の対談がまた本当に面白い。旅人とは通りすがるだけの無責任な存在で、現地で関わりを持てるのも、基本的には老人と子供。外部は外部でしかなく、わかるのは自分のわからなさだけだったと二人は語る。伸びたり縮んだりした末に本当の身の丈がわかるのが旅なんでしょうか。

    対談で沢木さんは、この旅のことを10年も経って書きたくなった、それは僕の中でこの旅が終わったということだろうと書いている。書くことによって何かが終わる。確かに体験を一度文章という箱におさめてしまうと、次に思い出すときにはその文章が体験そのものよりも強いアンカーポイントになってしまうという意味で、書くということは書き手にとってとても重要な転移点になると思う。本の感想を書くということも同じ。

    旅の一回性について。同じ旅は二度とありえないし、同じ道を辿っても失望が待っていると沢木さんは言う。自分の側に変化があれば、同じ道すじでも同じ旅ではないのでそれは独立したものとカウントすればいいと自分は思う。前段でも此経さんが、旅先で騙されまいと肩肘張るよりも、まわりまわっての精神で初めての旅を繰り返す方が良いという話に落ち着いていた。

    学ぶことが非常に多い3巻でした。4巻はシルクロード。

  • 人生後半になった今、日々の暮らしに意味を見つけにくくなる。
    けれどこの作品を読むたびに、世の中の苦難や貧困の渦に巻き込まれて生きる人々の人生を考えさせられ、自分のような甘い考えを持てるということが幸福なのだと知らされる。
    苦難の中でもがきながらも生きている人々と比べて、と考えるのは自分勝手であるのはわかるのだが。

  • 旅がしたい。

  • いやあ、インドはやっぱりディープだな。
    一度行ってみたいとは思ってたけど、日本国内ではあり得ない色んなことがありすぎて、個人旅行ではとても行けそうにない。
    やっぱり若いうちに行っておくべきだったか。

  • インドのスケールのデカさに圧倒されてしまった。動物と市井の人々の描写は圧巻の一言で、生と死の悲喜交々とが主人公の視点を通して生々しく伝わってくる。旅は時に順調にいかない時もあり、人の醜さに触れる瞬間もある。しかしそれでいながら、縁は紡がれ世界は回る。また、旅をする上で度胸だけでなく運も大切なのことなのだと教えてくれた。ここに書かれているのは単なる旅行ではなくれっきとした旅であり、読んだ後はすぐさま世界を放浪したくなるそんな魅力に満ちている。

  • 第3巻では、インドとネパールでの体験が綴られます。

    インドのデリーにたどり着いた著者は、日本人の医大生と、ダッカへ向かうという旅慣れた日本人青年に出会います。そこで著者は、ダッカ行きの青年に連れられて、身体を売る幼い少女や、物乞いをする老人、さらにカースト制度のもとで生きる人びとの姿など、強烈なインドの現実を目にすることになります。ブッダガヤーでは、日本語教師をしている此経啓助に出会い、「アシュラム」と呼ばれる孤児院を訪問します。

    巻末には、旅から10年後におこなわれた著者と此経との対談が収められています。

  • 牛が恍惚とした表情で死体の臭いを嗅ぐ

    相好を崩して、ニーランニャム 男女交歓図 民法大意 出入りする活力

  • 名作

  • インド興味深かった。ネパールまったりしてて過ごしやすそう。雨が多いのは×

  • 【No.81】「疲労困憊してくると、人の親切がうまく受けられなくなるんですね。わずらわしくて。肉体的な疲労がたまってくると、人を拒絶するようになって、その果てに、人に対しても自分に対しても無関心になって、どうでもいいじゃないか、たとえ死んでもかまわないじゃないか、と思うようになってしまう。自分に無関心というと、超越的な何かをイメージするかもしれないけど、そうじゃなくて単純な肉体的疲労なんですね」「怠惰とか倦怠の80~90%は、肉体的に健康で疲労が取り除ければ消えちゃうんじゃないか」「旅に出る前は、人から話を聞くことはできても、人に話をすることなんてできないと思っていた。自分ががらんどうで、カラッポな人間で、何もないという気がしていましたからね。でも、帰ってきたら一つくらいは話せることができたな、それでこの旅はオーケーだと思いましたね」

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著者プロフィール

沢木 耕太郎(さわき こうたろう)
1947年東京生まれのノンフィクション作家、小説家。横浜国立大学経済学部卒業。大学卒業後、ルポライターとして活動、注目を集める。
浅沼稲次郎暗殺事件で刺殺された浅沼と、その犯人である少年を描いた『テロルの決算』で第10回大宅壮一ノンフィクション賞を受賞。以後、バックパッカーのバイブル『深夜特急』をはじめ、スポーツや旅などを題材にした多数のノンフィクション作品、小説などを発表。2000年に初めての書き下ろし長編小説『血の味』を刊行し話題となる。
2003年これまでの作家活動で第51回菊池寛賞、2006年 『凍』で第28回講談社ノンフィクション賞、2013年 『キャパの十字架』で第17回司馬遼太郎賞をそれぞれ受賞。

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