チェーン・スモーキング (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社
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本棚登録 : 688
レビュー : 60
  • Amazon.co.jp ・本 (266ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101235110

感想・レビュー・書評

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  • 小説のようなエッセイ集。
    煙草一本吸う間に読めてしまう長さの短編が連なります。各話の中に、「そういえば」と言ったよう小さな話が、連鎖しながら繋がっている。唐突に思える思考の飛躍も、読み終わると一人の人の吐息を感じさせる。
    なんてことはない、からこそ素敵。のんびりと、他人の個人的などうでもいい話を聞くことなんて、最近してないからかもしれないけど。

    沢木さんは「不思議に思う力」を持っている人。
    轡田 隆史さんの著書、「桜は花見のできない人のために咲く」を読んだときに、あぁ大事にすべきだな・・・と思った感覚を持っている人。そういう人のエッセイに出会うと、自分の人生における意識の空白が自覚されて、痛気持ちいい。で、この一冊もそういう一冊。
    彼にとって「記憶」は、頭の奥から引っ張り出してきて懐かしむものではなくて、身体の中を川のようにめぐりながら、常に「今」の自分と共にあるんじゃないかな。
    そのたゆたうような思考の流れが持つ深さと淀みなさが、うらやましい。

    これまで何冊か沢木作品を読んできて思ったことですが、
    堀江敏幸が書くものに対する私の感情が憧れを含んだ恋心だとしたら、沢木耕太郎の著書へのそれは、反抗期を終えた子供が父親に抱く、素直になれない愛情のようなものじゃないかと。
    好きって素直に言えない。考え方が似ちゃうのが憎たらしく、誇らしく。いつも考えてるわけでもないのに、なぜか絶対的。そんな感じ。

  • タクシーの話をいつも再読してしまう

  • 沢木耕太郎さんの本。ずーっと持っていたのですが、何年間も読んでいなかったので、処分しようと思い、最後にもう一回と思って再読しました。
    ジャンルから行けばエッセイなのでしょうが、「そういえばこんなことがあってね・・・」と、沢木さんがバーで煙草をくゆらせながら語ってくれるストーリーテリングの本という印象です。
    煙草を吸うこと自体が恰好良かった時代があったんですよね。
    今は、においをかいだだけで、後ずさりしちゃうんですけど(苦笑

  • 沢木耕太郎によるエッセイ集。一編一編がわりと長めで小説のようでもあるが、パラグラフごとにガラッと雰囲気が変わって意外な形で各エッセイの表題に着地するので少し読みづらい時もあった。ただ、ハードボイルドでカッコいいなぁ〜〜〜とずっと思いながら読んだ。読んでいる最中に、自分の大好きなアニメ(「はじめの一歩」と「ガングレイヴ」)を思い出してしまうこともあった。
    それはともかく、沢木さんの文章はハードボイルドではあるが、根は明るいんだなと思った。
    チェーンスモーキングのタイトルは、やはり私も「なんか煙たく」感じるので(私は嫌煙家ではないが)、もっといいタイトルがあったのではないだろうか。

  • 豊かな人間性を育みたいという願望があるので本を読みたいのだが、社会人になってへとへとな日々で積ん読ばかりが増えていく。その中で、読みやすいので沢木耕太郎のエッセイばかりを読んでしまう。『深夜特急』を読んで以来、彼のロマンチシズム溢れるエッセイを読むのが心地よくて(時折そのロマンチシズムが鼻につくものの)愛読している。まだまだ私の本棚には彼の著書があるので、他の作家の作品とのバランスを考慮しながら読み続けることになるのだ。

  • 2015

  • 非常に物語仕立てのエッセイで、エッセイ苦手でも楽しめる作品。古本屋で見つけた本の書き込みの謎の話が一番好き。著者の時間ギリギリ癖が伺える話には少々引いた。

  • 沢木耕太郎による、『バーボン・ストリート』(1984年発表、第1回講談社エッセイ賞受賞作)に次ぐ、1990年発表のエッセイ集(1996年文庫化)。
    前作同様に、複数のエピソードの間を魔法の絨毯で飛んでいるような、さり気なくも絶妙かつ緻密な構成は、山口瞳をして「エッセイを小説のように書く」と言わしめた沢木氏ならではのものと言えよう。
    また、街、雑踏、リングを包む歓声、カジノのざわめき、夜の路地に鳴る靴音。。。都会を彩る音が聞こえてきそうなところも、沢木氏のエッセイの特徴かもしれない。
    前作に続き、(バーボンでほろ酔いになるような)なんとも言えない心地よさを味わえる作品である。
    (2013年2月了)

  • 物語が紫煙の如き現れては消え消えては現れ。全体的に軽やかな文体で深みには欠けるものの、一つひとつの物語に沢木耕太郎のセンスが光る。「老いすぎて」などはヘミングウェイの「老人と海」的哀愁を感じさせる。

    沢木氏のエッセイとしては「バーボン・ストリート」にはやや劣るものの、特に所々に見受けられる書評に筆者の描写力や表現力の高さが窺える。

  • 150626読了

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著者プロフィール

沢木 耕太郎(さわき こうたろう)
1947年東京生まれのノンフィクション作家、小説家。横浜国立大学経済学部卒業。大学卒業後、ルポライターとして活動、注目を集める。
浅沼稲次郎暗殺事件で刺殺された浅沼と、その犯人である少年を描いた『テロルの決算』で第10回大宅壮一ノンフィクション賞を受賞。以後、バックパッカーのバイブル『深夜特急』をはじめ、スポーツや旅などを題材にした多数のノンフィクション作品、小説などを発表。2000年に初めての書き下ろし長編小説『血の味』を刊行し話題となる。
2003年これまでの作家活動で第51回菊池寛賞、2006年 『凍』で第28回講談社ノンフィクション賞、2013年 『キャパの十字架』で第17回司馬遼太郎賞をそれぞれ受賞。

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