旅する力―深夜特急ノート (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社
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本棚登録 : 1679
レビュー : 171
  • Amazon.co.jp ・本 (382ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101235189

作品紹介・あらすじ

旅とは何か、なぜ人は旅へと駆り立てられるのか?冒険と叙情に満ちた紀行文学であり、瑞々しい青春記でもある名作『深夜特急』の誕生前夜、若き著者には秘められた物語の数々があった…。幾多の読者からの絶えざる問いかけに初めて、そして誠実に応えた"旅"論の集大成、著者初の長篇エッセイ。

感想・レビュー・書評

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  • 紀行小説「深夜特急」シリーズの著者による<旅>論の集大成となる長篇エッセイ。

    自分も21歳の頃、一人バックパックを背負って鉄道で1ヶ月半かけて欧州を巡った。
    夜のピカデリーサーカスの喧騒、夕暮れ眩しく煌めくナポリ湾のさざ波、早朝到着したウィーン中央駅でかじかむ手で飲んだ熱いカプチーノ、独りグラスを手にしたマドリードのバー。
    本書を読みながら、まだ携帯電話もない時代の宿も決めず行き当たりばったりでやや無鉄砲だった貧乏旅行をなつかしむ。

    その後何度か海外に行く機会に恵まれたが、それらは“旅行”であって“旅”ではなかったように思う。
    まさに旅は「途上にあること」であって、<旅>論を通して若く途上にあった日に“旅”した人のノスタルジアを掻き立てる一冊。

    • kiyotchanさん
      なるほど。「旅」は「旅行」とは違うのですね。決まった目的地はなく、プロセス自体を楽しむのが「旅」だと理解しました。
      なるほど。「旅」は「旅行」とは違うのですね。決まった目的地はなく、プロセス自体を楽しむのが「旅」だと理解しました。
      2016/05/15
  • 深夜特急の旅に至るまで、深夜特急を書くまで、タイトルの由来が書かれてる!
    持っていった荷物も参考になる!
    旅をしていると自分が人として小さいことに気づき、1人が好きでも人といることが好きなことに気づける!
    危険を察知する力と危険を回避する力は自然に身につく!
    恐れずに。しかし、気をつけて。

  • 久しぶりにまとめて休みが取れて、ボルネオの海に行くこととなった。機上で読んでみた。

    著者の「深夜特急」はあまりにも有名ですが、正直バックパックの旅にはあまり興味がなかったのでこれまで読んでいませんでした。この作品は、「深夜特急」がうまれることとなったのか、背景や動機などを中心にまとめられています。面白い!

    行こうと思えば、それほど苦労をすることなく世界中のどこにでも行ける世の中です。

    ・「どこへ行く」ということよりも、行って「どう感じたか」が重要

    ・旅を面白くする年齢がある訳についても触れられていて、ある程度経験をつんでいて、なおかつ知りすぎてもいない年齢が旬だという。なるほど。
    その年齢でしかできない旅がある。

    ・旅は自分の身の丈を示してくれる。困難やトラブルに対応する力が試される。まさにアドベンチャーですね。このへんはやっぱり一人旅でないと味わえないでしょう。

    最近自分も意図的に一人旅を好むようになってきたのですが、このようなことを魅力に感じてきていたからかもしれません。

    旅はやっぱりいい!本物に触れられる。

  • 70も過ぎる義祖母は、旅が大好き。
    そんな彼女が、同じく旅を愛する私に言った言葉は、『あのとき、旅に使ったお金が、旅をしなかったからといって、今ここにそのお金が残るわけじゃない。』
    旅の適齢期にあった旅を惜しむことなくしておくべきだと。
    70過ぎてから行けるところには限りがあると言っていた。
    また、この本の中で沢木耕太郎は、旅の適齢期は、ズバリ26歳だと言っている。


    ーーーーーー
    つまり、あの当時の私には、未経験という財産つきの若さがあったということなのだろう。もちろん経験は大きな財産だが、未経験もとても重要な財産なのだ。本来、未経験は負の要素だが、旅においては大きな財産になり得る。なぜなら、未経験ということ、経験していないということは、新しいことに遭遇して興奮し、感動できるということであるからだ。
    もしそうだとするなら、旅をするには幼ければ幼いほどいいということにならないか、という疑問が湧いてくるかもしれない。しかし、それはそうならない。極めて逆説的な言い方になるが、未経験者が新たな経験をしてそれに感動することができるためには、あるていどの経験が必要なのだ。経験と未経験とがどのようにバランスされていればいいのか。それは『旅の適齢期』ということに関わってくるのかもしれない。
    ーーーーーーー

    旅の適齢期を過ぎた私の、これからの旅は、一泊300円のシーツに包まり、安いビールをたらふく飲むことではないことは確かだ。
    うーむ、考えさせられた。
    2012年始めに読んで良かった旅の力。

  •  『深夜特急』を読んで丁度10年目、書店で目に止まり購入した。『深夜特急』を読んだ頃は大学を休学して引きこもっている時で、この本を読んで家を飛び出してどこか旅に行ってしまえたらと強く思っていた。当時の自分も、「自分のこの気持ちは現実逃避だな」と気付いていたが、その上で、どうせ何も持っていないのなら、無計画に、がむしゃらになってみたいと思っていた。
     『旅する力』巻末の対談で、「旅に出たのは、やっぱり逃げ出すためだった」とあり、少し救われた気分になった。

     本の内容は、『深夜特急』が生まれる前後の著者の物語。様々なエピソードを楽しみながら、「旅とはなんだろう」という終着点に知らず知らずのうちに向かってゆく構成だ。
     私は著者のような旅をしたことはないが、いわゆる旅行は去年から頻繁におこなっている。その上で、「旅とはなにか」と思いを馳せることもあった。
     先日旅行した際には、旅とは自分にとって大切なものは何なのか見つけに行くためのものなのだと考えた。心の琴線に触れたものを編み直し、自分というものが見えてくるのだと。「自分探しの旅」と、(時に冷笑的に)呼ばれるものの正体は、これなんだろうなと。
     この本では、それだけでなく、自分の力の不足や自分の背丈を示してくれるのだという。旅という不確定要素の多い環境で、危険と安全の分水嶺がどこにあるのか、距離を測ることになる。あえて教訓めいた事を掬い上げるならば、偶然に対し柔らかく対応することが、旅する力の一つのようだ。

     また、『深夜特急』第一便でも触れられていた、「旅の適齢期」についても改めて語られる。何かを始めるのに遅すぎるということはない、という文句はあくまでお年寄り向けのもので、私自身やはり適齢期というものはあると思う。
     例えば本にしてみても、人生経験をある程度積んだからこそ分かる小説というものもあろう(分からないという思いを抱く経験もまた財産、という考え方もアリだとは思うけど)。逆に、まだ若いからこそ胸に刺さり心を揺さぶってくれる小説もあろう。
     この本では、特に若さがクローズアップされる。

    「~経験は大きな財産だが、未経験もとても重要な財産なのだ。本来、未経験は負の要素だが、旅においては大きな財産になり得る。なぜなら、未経験ということ、経験していないということは、新しいことに遭遇して興奮し、感動できるということであるからだ。
     もしそうだとするならば、旅をするには押さなければ幼いほどいいということにならないか、という疑問が湧いてくるかもしれない。しかし、それはそうならない。きわめて逆説的な言い方になるが、未経験者が新たな経験をしてそれに感動することができるためには、あるていどの経験が必要なのだ。」

     経験と未経験のバランス。いかにも難しそうだが、そのギリギリを突くことで、きっと心が締め付けられるような何かを心に刻み付けることができるのだろう。
     そして、仕事や生活に忙殺されていれば、きっと時期尚早なことよりも、やり残したことの方が多くなっているのではないかと思う。今しかできないことを、時間の許す限り味わって行けたらと思った。

  • 前半は主に著者の仕事上の回顧、後半は主に著者の旅に対する考え方が書かれている。旅を語ることが結構率直に人生を語ることに繋がっているように思うので、後半に心動かされる点があった。
    特に2つ、まったくその通りだと、自分に引き戻して思うことがある。一に、いまだからできる旅は後回しにできないし、まして老後の楽しみになどと考えてはいられない。二に、自分に本質的な影響を与えたり、考えを刺激したり、行動を触発するような先生、人物はどこかしらいる。
    そしてまた、この本に表れる「恐れずに。しかし、気をつけて」というフレーズは、私にとっても支えになっている。

  • 20180329
    『深夜特急』の最終便として書かれた集大成としての作品。深夜特急が完成されるまでの裏話や、旅を出る時の心構えが書かれ、デリー初ロンドン行の旅から数十年経っているだろうが、今なお情熱に溢れている作品だ。
    旅の適齢期と、旅をする意味=自分を試すことは、下記記載の通り、沢木氏から学んだことである。自分がなぜ旅をしたいのか、色々な新しい文化・味・匂い・音・景色を感じたいのか考えたい。今陳腐な言葉で記載することはしたくないが、漠然として持っている核を言葉にして、周りにも共有できるほど育てて行きたい。


    恐れずに。しかし、気をつけて。
    旅立つすべての人へのメッセージ。裏表紙からすでに旅への情熱がほとばしる。
    26歳になる年である。情熱を新たに、自分が為すべき道とは。

    旅=途上にあること
    →人生と同義
    余儀ない旅+夢を持つ旅
    →自分ならではの旅

    経験と未経験の配分
    →20代、26歳辺り=旅の適齢期

    予期しないことが起こると、予期しているか。
    その経験が積めるのが旅

  • 深夜特急の沢木耕太郎氏の作品。あの頃もたまたま古本屋で出会って読むことになったんだけど今回も前回同様です。「旅には適齢期がある」と言うことには賛成です。歳をとるごとに減る感動ということは確かにあるなと。「旅に教科書はない。教科書を作るのはあなたなのだ。」これの言葉がこの本の全てですね。

  • 旅をすることは自分を作ること
    旅をして気付いたことは
    無力だということ
    自分の中で考えさせられる映画やドラマは
    Nのために
    きいろいゾウ
    風に立つライオンだった。

    この本のあとがきがインタビュー形式になっていて普段ならインタビュー形式のものはすっ飛ばして終わりだが、大沢たかおと沢木耕太郎のインタビューだったため、最後まで漏れなく読んだ。
    ドラマがやっていたことはこの本を読んで初めて知ったし大沢たかお演じる沢木耕太郎という点でもドラマを見たいと思った。

    サイン会の話で、旅に出る前の億劫さを実感した女の子について、私も同じ感覚になったことがあり、これは誰しもなることなんだと思った。

    旅をする前にバッグやリュックに必要なものを入れる行為がすごく苦手だったが、それは旅に出たくないという意志の表れだったんだなと認識

    再度読みたいと思う。
    自分のやりたいことがようやく見つかり、これから突っ走る勢いで指南書になれば良いと軽く手に取った本であったが、突っ走って疲れた後に再度読みたいと思った。

  • 恐れずに しかし気をつけて

    こんな旅がしたいなあ

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著者プロフィール

沢木 耕太郎(さわき こうたろう)
1947年東京生まれのノンフィクション作家、小説家。横浜国立大学経済学部卒業。大学卒業後、ルポライターとして活動、注目を集める。
浅沼稲次郎暗殺事件で刺殺された浅沼と、その犯人である少年を描いた『テロルの決算』で第10回大宅壮一ノンフィクション賞を受賞。以後、バックパッカーのバイブル『深夜特急』をはじめ、スポーツや旅などを題材にした多数のノンフィクション作品、小説などを発表。2000年に初めての書き下ろし長編小説『血の味』を刊行し話題となる。
2003年これまでの作家活動で第51回菊池寛賞、2006年 『凍』で第28回講談社ノンフィクション賞、2013年 『キャパの十字架』で第17回司馬遼太郎賞をそれぞれ受賞。

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