波の音が消えるまで 第3部: 銀河編 (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社
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  • Amazon.co.jp ・本 (372ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101235257

作品紹介・あらすじ

劉が遺したノートにたった一言書かれた謎の言葉。あの人はついにバカラの必勝法を見出したのか? 偶然のなかに完全な必然はあったのか? その指先でバカラの深奥に触れた航平は退路を断ち、最後の賭けに打って出る─。もう後戻りなどしない。勝つためではなく、生を濃く生きるために。世界を み、神になるために。幾多の河を渡り、最後の岸辺に着いた青年は何を見たのか。激動の完結編。

感想・レビュー・書評

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  • 沢木耕太郎『波の音が消えるまで 第3部 銀河編』新潮文庫。

    あっという間に最終巻を迎えた。非常に面白いのだ。劉が亡くなり、李蘭も去り、独りマカオに残り、バカラの必勝法を追い求める航平の辿り着く場所は…

    航平は、かつてノースショアで敗れた大波に乗れるのか…いや、結末は既に見えている。一度、大波に敗れた人間に、流れに身を委ねることなど出来ないのだ。

    束の間の儚い夢と新たな希望。ギャンブルとサーフィンを対比しながら、描かれる人生。そして、見事な結末。久し振りに良い物語を読んだ。

  • 日本に一時帰国し、束の間の平和な日々を送っていた主人公が心が通じ合いつつあった村田明美の制止を振り払い再びマカオに行く姿が渋くてカッコよかった。
    そう思うのは男だけだろうけど…

    死んでしまった劉さんの残した言葉
    「波の音が消えるまで」の意味を求めてバカラにのめり込んでいく。

    全てを失い後戻りするチャンスを捨ててバカラをする主人公。なぜそこまでやれるのか?
    客観的には没落しているが、果ての果てまで追求する姿に羨望の念を抱いてしまった。

    最後の50ドルだけで勝負していくところは緊張感があって引き込まれた。全てがあのシーンのためのフリだったように感じる。

  • マカオでのギャンブルの話。ギャンブルが嫌い、苦手な人こそ面白いと思う。バカラなんか絶対したくないけど、必勝法はあるかもな。いや、しないぞ。

  • 先週、鹿児島から入り、一週間かけて各県を周る九州出張に持って行きた。その時に持って行き、電車の中で、ホテル寝る前に読んでいた本。
    最初のページをめくると、「深夜特急」を思い出した。元サーフィン好き、カメラマンの主人公がバカラ賭博にハマってしまい、必勝法「波の音が消えるまで」を探し求める話。

    私は賭博はやらないが、マーチンゲールや賭博のやり方、考え方には感化され、やってみたくはなってしまう。
    ラストは少しずるいかなと感じる。

  • 清々しいバカラカス

  • 元サーファーで元カメラマンの主人公がマカオでバカラ賭博の必勝法を求めるフィクション。1970年当時のマカオの喧騒が、バカラ賭博の熱と共に伝わってくる。主人公の師ともいえる劉さんが、死ぬ間際にバカラの必勝法に辿り着き、主人公に伝えたのは「波の音が消えるまで」。サーファーの主人公はバカラ賭博の庄間のツラ目、戻り目を波と捕らえ、最終的には自分自身が波となる。冷静で聡明そうな主人公も最終的には劉さんのように暗雲とした人物像に変化していく。

  • まあまあ

  • 冒険研究所書店の選書で購入。

    劉の体が悪くなり、金も尽きた航平は一度日本に帰り、治療費を作ってマカオに戻る。

    しかし、劉はすでに亡くなって、李蘭に一冊のノートを託す。

    そのノートにはバカラの必勝法が書かれているとばかり思ったが、ノートにはただ一言「波の音が消えるまで」と書かれただけだった。

    この本を完読した感想は「村田明美」に会いたいです。

  • 沢木耕太郎の、サーフィンとバカラを題材にした長編。なんと全3巻。本を読む時間がどんどん削られている状況の中、頑張って読みました。基本、博打って大嫌いなのでバカラの話がほとんどを占めるのに3巻読めるか心配だったけど、バカラのルールの詳しい解説の部分はさらさらと読み飛ばしながら(本当はちゃんと理解した方がもっと面白いんだろうけど)読了。
    主人公はもとカメラマンでサーファーで、波を求めてハワイに長期滞在したりしていた、バックパッカーみたいな青年。博打は嫌いだったが、ひょんなことからマカオに滞在することになり、バカラにハマりまくる。
    「面白くてハマった」とか「ビギナーズラックで大儲けしてハマった」とかではなく、簡単に言ってしまえば「バカラに世界を見る」というか、単純なのに奥の深いそのゲームに魅了されてしまった。そして現地で知り合った謎の老人と娼婦に、深く関わってゆく。
    いやー、それにしても、賭け事は賭け事で、絶対バカラに必勝法なんてあるわけないし、博打にハマらないほうがいいに決まってる!という確固たる(?)信念を持つ私でさえ、小説として面白く読めたので、もともと博打好きの人ならもっと面白いかも!?いや、面白すぎてマカオに行ってしまうかもしれないので読まないほうがいいかも。
    タイトルの「波の音が消えるまで」という言葉の意味は、最後の最後になってわかるが、バカラの必勝法ともいえるその言葉の意味を理解したからと言って、何かに到達できるわけでも開放されるわけでもない。結局は博打にハマってしまうことの虚しさや、そこに何かを求めてしまう人々の哀しさみたいなものを表現しているのかもしれない。
    小説とは全然関係ないけど、日本でもカジノを作ろうという動きがあるけど、個人的にはやめてほしい。ほんとに。

  • 沢木さんとして残念な内容と構成
    どっても つまらなかった

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著者プロフィール

1947年東京生まれ。横浜国立大学卒業。73年『若き実力者たち』で、ルポライターとしてデビュー。79年『テロルの決算』で「大宅壮一ノンフィクション賞」、82年『一瞬の夏』で「新田次郎文学賞」、85年『バーボン・ストリート』で「講談社エッセイ賞」を受賞する。86年から刊行する『深夜特急』3部作では、93年に「JTB紀行文学賞」を受賞する。2000年、初の書き下ろし長編小説『血の味』を刊行し、06年『凍』で「講談社ノンフィクション賞」、14年『キャパの十字架』で「司馬遼太郎賞」、23年『天路の旅人』で「読売文学賞」を受賞する。

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